Lost Belt No.8 完了形極刀国 日の本 ※凍結中 作:冥土のメイド
昨日、劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン見てきました。本当に綺麗な作品ですよね。絵ももちろんですがお話そのものが。アニメだと、雨傘の回がお気にいりです。たくさんの感動をいただきました。ありがとうございます。
さて今回ですが、そろそろこの異聞帯を詳しく描写していきたいと思います。刀語の原作を知っている方はもちろん、知らない方でも楽しめることを目指して行きます。
ガバガバな設定もあると思いますが、どうかご容赦を。
「し…き…ざ…き?」
しきざき?シキザキ?四季崎と言ったのか?どういうことなのか、子孫?この体?尾張幕府?わけのわからないことが多すぎる。うまく脳が働かない。私は未知に対してあまりにも無力すぎた。
「あぁ?俺を知らないのか?親から何も聞いてねぇのか?四季崎の大願を」
何故そこで両親がでてくるのか。混乱と恐怖で私の体は一向に動いてくれない。
「はぁ、仕方ねぇな。ちょっと頭の中覗くぞ」
四季崎を名乗る男は腰の刀を抜いた。刀身は黒く、刀からは瘴気のようなものが出ている。男はそっと私の耳たぶを切った。まるで他人事だ。裂けるような痛みも朧気だ。
次の瞬間、私の中に何かが入ってきた。
痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
中で何かがはいずりまわる。血管を筋肉を骨を神経を魔術回路を乱暴に傷つけながら私の頭に向かってくる。
「痛みはただの拒否反応だ。実際は何も傷つけてない。幻肢痛ってやつだ。もういいか」
男はヘラヘラしながら言ううちに、痛みは引いた。
「ふーん、なるほどねぇ。お前の父はずいぶんな過保護だなぁ、でもこれもはや裏切りだろ。お前の父が2世代、いやもう1世代早く生まれてたら、俺の博打はどうなっていたことやら。いやお前の母親あってこその存在か、運命とは数奇なもんだ」
男は何を見たのだろうか。少し苛立ちをみせては、すぐに鎮め、何か思いふけていた。
「何を…したの…」
「あぁ、記憶少しばかり覗いただけだ。体に問題はない」
まただ。こいつは当たり前のように常識外の事を言う。
「オーケー大体把握した。色々と説明しなきゃいけねぇな」
男が刀をしまう。私はもはやパニックだった。もう嫌だ。付き合ってられない。このままではいつか殺されてしまう!私は必死に駆けだした。未来視の能力で最適の逃走を視る。いや、逃げるだけでは駄目だ。戦わなければ、未来演算に英霊召喚を組み込む。……いける!これならあいつを殺せる!今は走れ!目的地を目指して。
「おいおい、殺る気満々じゃねぇか。それにしてもわかんねぇのかなぁ…
目的の大きな部屋に入る。この城は霊脈の上にあるためサーヴァントを呼ぶことが出来るだろう。最速で陣を書く。こんな即興ではオフェリアに怒られるのは間違いないが、冗談は言ってられない。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 」
詠唱を始める。聖遺物もないがそこは私の未来視でカバーする。
「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」
徐々に魔力を回す。この匙加減で呼び出すサーヴァントは変わってくる
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。」
ここだ。ここで大きく魔力を回す。
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷しく者。」
右手に令呪がハッキリと浮かび上がり熱を持つ。
「汝 三大の言霊を纏まとう七天 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
間違いない成功した。今呼べる中で最も良いサーヴァントを引き当てた。
「召喚に応じ、参上した。真名を俵藤太と申す。アーチャーのクラスをもって顕界した。」
米俵を背負った大柄なサーヴァント、彼なら私を守れるはずだ。不思議とそう思える。何なら出し惜しみなく宝具を連射してもらってかまわない。
「む、何やら困っているようだな、マスター。任せろ私が来たからには大丈夫だ」
少しばかり安心する。だが油断出来ないあいつはすぐそこまで来ている。
「お願い。私を守って」
「任された」
多くを語ることはなかったがアーチャーは察してくれた。そうして戦闘体制に入った。
「…ったく、何処までいくのやら」
あいつが来た。私も魔術回路を起こしておく。
「マスター、あれは本当に人間か?あの刀から出ている瘴気の量はしゃれにならんぞ」
「私にもわからない、でも敵であることに違いはないわ!」
「随分嫌われたもんだなぁ。で?そのサーヴァントで俺を殺すのか?まだ何も知らないのに?」
「えぇ、悪いけど。あなたに殺されたくないの」
「いつ俺が殺すなんて言ったかねぇ。パニック状態なら仕方ない。一度黙らせて話を聞かせるとするか」
「マスターに触れられると思うなよ。悪鬼」
アーチャーが矢を構える。
「その矢が当たるといいなぁ、そう思わねぇか?」
男の口の両端が歪に上がる。
そして次の瞬間、音を置き去りにする矢が放たれた。
「バ……カな…」
アーチャーが粒子となって消滅する。あり得なかった。いくら何でも人間がサーヴァントに敵うわけがない。
「たとえ音速越えてようが、来る場所分かってたらどうにでもなるだろうが、それにとっくに人間やめてんだよ」
「それでも!」
「相性が悪かったな、まぁそうなるように視てたんだけど」
「え?」
「お前にとっての最適解を俺が演算出来ない道理はないだろう?初めから手のひらの上、俺だって『四季崎』なんだぜ」
ようやく理解し始めた。私ではこの男に敵わない。恐ろしかったのは、それを本能的に感じていたからだ。私の足掻きは無意味だった。私に抵抗する気力はもうなかった。
「ひでぇ部屋だな。後処理は御側人衆にでもやらせるか。」
私に近づいて四季崎記紀は語り始めた。
「あーやっと、説明パートだ。耳の穴かっぽじってよく聴けよ。この世界のあり方とこの俺、四季崎記紀の大願についての話だ」
-----interlude-----
むかしむかし、あるところに一人の鍛冶師がいたそうな。その鍛冶師の腕の良いこと良いこと。摩訶不思議な刀を作るのです。彼が打った刀の数は何と
めでたしめでたしで、この世界が続けばよかったんだが。どうやら、人類の総意はこの世界が気にくわなかったらしい。行き止まりにした理由は…今はいいだろう。俺はこんな結果に納得できなかった。俺はこの世界を存続させたかった。だが、いくら未来を視ても演算しても
・四季崎記紀 シキザキ キキ
全ての始まりにして、元凶。実質異聞帯の王
実は、刀語本編よりスペックが高い。「予測」と「測定」の未来視を持ち合わせ、魔術についても履修済み。刀語本編を越える熱意で刀を一万本打つ。
体は彼自身のものでなく、彼の持つ毒刀・『鍍』の力により、記憶の転写を行い体を奪うことで生き永らえている。体の持ち主は「毒塚胡蝶」と言う名。ちなみに毒塚家は大老の一角、代々毒刀・『鍍』を当主に継承している。
○変体刀
四季崎記紀が打った一万本の刀
○完成形変体刀十二本
変体刀の中でも、極めて完成度が高い十二本。刀に選ばれた者だけが使える限定奥義が存在する。
○毒刀・『鍍』
四季崎記紀の打った『変体刀』一万本のうち、完成形変体刀十二本と呼ばれるものの一つ。
今作の四季崎記紀が刀語本編の10倍に及ぶ刀を打ったので、必然的に完成形変体刀十二本のどれも性能が上がっている。この刀で言うと、毒気の強さ×10。記憶の転写成功率×10。
今日はこのぐらいで。おそらくもう、「四季崎の大願」については予想がつくのではないでしょうか。と言うよりもう説明出来る方もおられる気がします。
俵さんかませ犬役でごめんね。明日はお米食べます。後6章の劇場版での活躍待ってます。
皆様、読んでいただき本当にありがとうございます。お気に入りしてくださった方々には涙を流します。先日は感想などもいただいて、大変励みになります。これからも頑張っていきます!