Lost Belt No.8 完了形極刀国 日の本 ※凍結中   作:冥土のメイド

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千刀・「鎩」

お気に入り3桁を越えて驚いています。本当に嬉しい限りです。これからも頑張っていきます!

 

基本的に一話につき完成形変体刀一本でいこうと思います。

そのため分かりやすさ重視でタイトルを刀の名前にします。それではどうぞ

 


 

出雲に向かうと言うものの、江戸の少し外れた刀華の家から直線距離でも400kmはある。未来視を使っても軽く1週間はかかる事が分かる、ハッキリ言おう、2カ月で終わる気がしない。歩きである時点であまりにも辛い。と言うか馬鹿だ。

 

「ねぇ…本当に歩いていくの?」

 

「違うのか?」

 

「・・・・・・」

どうやら本気のようだ。

 

 

 

~しばらく歩いて~

「少し休憩しようか」

 

「助かるわ…」

 

予想以上に疲れた。まさかここまでとは、正直舐めていた部分もあったが、今思えば魔術師なんて基本的引きこもりだった。それにしてもこの異聞帯、文明レベルはそこまで高くない。さっきまで歩いていた道のりを思い出しても汎人類史で言う緑の多い田舎だ。

 

休憩している私に彼が水筒をくれる。今の時期は春先のようで、桜がぽつりぽつりと咲いていた。

 

「・・・・・・・・緋華歩くのキツいか?」

 

「ちょっとね、私全然運動しないから」

 

「じゃあこうしよう」

 

そう言った彼は私に背を向けて両手を後ろに回してかがんだ。え?何これ?

 

「・・・・・・・・」

 

「やっぱりおんぶは嫌か?」

 

おんぶ…おんぶ…ああ!そういうことか!確かにそれは楽で助かる。体格差的にも問題ない、彼の身長はおよそ180cmに対して私は160cmぐらい。是非お願いしたいが、気恥ずかしいところもある。悩む、5秒ほど考えて、おんぶしてもらうことにした。

 

「じゃあ失礼します」

 

「あぁ、どうぞ」

 

彼におぶられる。彼の肩に掴まる。男性の体は思っていたより硬く、しっかりしていた。桜が咲き始める木々の中ゆっくりと刀華は歩を進めた。

 

 

 

やばい、楽すぎる。さっきまでの疲労はもう何処かへと飛んでいくほどの極楽が彼の背中にあった。そうだ、話くらいはしよう。出ないとただおんぶさせてるだけで申し訳ない。

 

「刀華、あなたってどれぐらい強いの?」

 

「ん?どれぐらいって言われてもなぁ、サーヴァントだっけ?それと戦ったことないから何ともいえないかな」

 

「じゃああの記紀に勝てる?あのチート未来視持ちに」

 

「記紀か?普通に勝てるな」

 

驚きだ。まさかあの未来視持ちに勝てるって言いきれるなんて…

 

「まぁ、いつか俺の戦うところは嫌でも目にするよ。じゃあ逆に緋華はどれぐらい強いの?」

 

「強さで聴かれると私なんて中の下もしくは下の上くらいだよ」

 

「交戦向きじゃ無いってことか」

 

「うん、私がカルデアのAチーム選ばれたのもそこそこ高いレイシフト適正とマスター適正。何よりこの未来視が大きなところを占めてるかな…」

 

「レイシフト?マスター?」

 

「ううん、気にしないで。人理焼却が解決した今そんなものどうでもいいから」

 

そう、私は結局どうでもいいのだ。自分で世界を救えなかったとか、ただの一般人に横取りされたとか、本当にくだらない。私はカルデアに対しての執着は一切ない。でも今私は同じクリプターの彼らをどう思っているのだろうか。

 

カドックはいつも必死だった、自身にもできると証明するために

 

オフェリアは不器用な子だ、真面目なのはいいが、きっとそれで自身が苦しんでる

 

ヒナコは私と似ていた、でも彼女には成し遂げたい何かがあった

 

ぺぺも少し歪んでいた、でも彼は誰よりも正しく己を理解していた

 

キリシュタリアは本当に優秀だ、でも彼は私にはうるさいくらいに眩しい

 

ベリルは…接点全然ないや、変な人

 

デイビッド、間違いのない天才。あんまり関わりたくなかった

 

今まで興味もなかった彼ら、競争相手となる彼ら、次会うとき私はどんな顔をするのだろう。

 

「緋華、大丈夫か?」

 

「大丈夫、さぁ出雲の巫女さんに会いに行きましょう」

 

 

 

この後、気分転換を兼ねて、刀華に本気で走ってみてくれとふざけて言った結果、二時間弱で出雲に着いた。あまりの速さに私は途中で気絶していた。魔術による体の防御がなければ危なかった。

 

 

 

~出雲に到着~

「こ…ここが…出雲…」

 

「さすがにやり過ぎた、ごめん緋華ちょっと楽しくて調子に乗った」

 

「いいの…私がふざけて言ったから…」

人生ではまず、経験出来ない体験だった。なるほど彼のこの速さなら余裕で2カ月で終わるのもうなずける。ひとつ分かったことは新幹線よりも速いなんて彼も人間をやめている。たどり着いた場所は大きな神社だった。

 

「神社ってことは出雲大社かしら」

 

「ちょっと違うかな、ここは「出雲国三途神社」

 

凛々しい声が刀華の言葉を遮る。声の場所へ目を向ければそこには綺麗な女性がいた。髪は黒髪で長く後ろでひとつにまとめており、着て巫女服が本当によく似合う人だった。

 

「ようこそ、刀華と見知らぬ可愛いお方」

 

「久しぶりだな色彩、元気だったか?」

 

「ええ、この通り無病息災ですよ。あなたも変わらないようで何より。ところでその女性は?」

 

「あ、はじめまして四季崎緋華です」

 

当たり障りのない自己紹介のつもりだったが、ややこしくなる原因の姓を普通に名乗ってしまった。

 

「四季崎?」

 

「あー俺たちは今回その辺りの詳しいことを説明しに来たんだよ」

 

刀華がフォローを入れてくれる。そうだ、この世界では四季崎の名はあまりにも大きすぎる。これからは母の旧姓を名乗った方がいいのだろうか…

 

「とりあえず、二人とも中へどうぞ。お茶を淹れてますよ」

 

「あれ?俺たちが来ること聞いてたのか?」

 

「いいえ、何処かの誰かが迅雷の如くこの出雲の土地へ突撃してきたので、何事かと思ったのですが、そんなこと可能なのは錆かあなたくらいですから。お茶でも淹れておこうと思ったまでですよ」

 

 

 

 

「申し遅れました。私はこの出雲国三途神社の長、千刀流当主の敦賀色彩と言います」

 

神社の中へ、彼女の個室へと案内された私たち、彼女はとても無駄のない動きで丁寧にお辞儀をしては名を名乗った。さっきの私のありきたりな挨拶が罰当たりのようにも思えてきた。千刀流とまた知らない流派が出てきたが、溢れ出る気品さから彼女が完成形変体刀の持ち主であることに間違いはないだろう。

 

「それで、今回はどういった件ここまで訪ねに?」

 

「また、戦いが始まる。詳しいことはき、胡蝶からの手紙に書いてある」

 

「戦ですか…しばらく平和でしたが起こってしまうのですね…毒塚殿の手紙とは?」

 

私が持っていた手紙を彼女には渡す。どうやら手紙は一人一人に直筆で書いてあるようで、色彩さんはしばらく黙って手紙を読んでいた。

 

「なるほど、今までとは比べ物にならないほどの強さを持った人が来るのですね。緋華さん貴女のこともおおむね理解しました。お互いに力を合わせ戦いましょう」

 

「あ、ありがとうございます。何か詳しく聴きたい事とかありますか?」

 

「いえ、大丈夫ですよ。どのような事があっても私はここを守るだけですから」

 

「戦場には立たないのか?」

 

「えぇ、胡蝶殿の手紙にそうありましたから。それに私はここを離れないのは刀華も知っているでしょう」

 

一体どういうことなのか、彼女が前線に出ない理由を尋ねようとした矢先、一人の黒い服を着て顔に御札を貼っている女性が慌てて入ってきた。

 

「色彩様!刀人の発作を起こしたものが!」

 

「っ!誰が発作を!」

 

「巴でございます!今本殿の前で暴れています!」

 

「すぐ向かいます!すまない刀華、いきなりだが話は後で!」

 

急いで部屋を出て行く色彩さん。刀人?確か、あの鬼面の餓鬼丸さんもそのようなことを言っていた覚えがある。

 

「緋華、俺たちも行こう」

 

「うん」

 

 

 

彼女の後を追って本殿らしき場まで向かう。そこには、一本の刀を持っては半狂乱に振り回す白い服を着た女性とそれに優しく向き合う色彩さんがいた。彼女たちの会話が耳に入ってくる。

 

「あああぁぁあ、が、我慢できないぃぃ!斬りたい!キリタイ!人を斬りたい!」

 

「いけませんよ巴、人を斬りたいなどと。刀に心を奪われてしまいます」

 

「うるさい!私のこの衝動がなくなるなんてこときっとない!」

 

「いいえ、必ずおさまります。そのために貴女はここに来たのですよ。忘れましたか?ここに初めてきた時から貴女は誰よりも己と向きあっているのですよ。」

 

「だからって何になる!『刀人』になってしまった私がいまさら何になる!!!!」

 

色彩さんが相手の方と言葉を交わし続ける。女性の言っていることは徐々に整合性がとれなくなっている。刀華はただじっとその場を見ているだけだった。私も迂闊に動くことはできない。できないがため、私はたまらなくなって彼に問いかけた。

 

「ねぇ、『刀人』って何?」

 

「どんな刀にも大小あるけど毒がある。人を斬りたいっていう衝動の毒、美しい名刀ほど毒が強かったりする。中でも記紀の打った変体刀はどれもが名刀の中の名刀、その毒に魅入られる人は多い。『刀人』はそうした衝動が理性を超えた人のことだ。そうなったら彼らは自らの全てを用いて暴れだす」

 

淡々と私の問いに答える彼、あまりの異質さに驚き隠せない。そんな中、色彩さんは彼女へと近づき始めた。

 

「く、来るな!来るな!…あぁぁぁ!」

 

女性は遂に色彩さんへと襲いかかる。手に持った刀振りかぶる、次の瞬間、刀は誰もいない明後日の方向に飛んでいった。そして色彩さんは女性を抱きしめた。何か彼女に囁いているようだが、聴きとることはできない。そうした内に女性は落ち着きを取り戻しては意識を失った。

 

 

 

 

「お話の途中で失礼しました。何においても優先しなければならなかったもので」

 

女性を介抱した色彩さんは私のところに来て一番にそう言った。

 

「私たちのことは気にしないでください!それよりもさっきの人は…」

 

「はい、一度落ち着いたので大丈夫でしょう。あぁ先ほどの刀を回収しなければ…」

 

「ほら色彩、ここにあるぞ」

 

刀華が抜き身の刀を彼女に渡す。いつの間にか回収していたようだ。

 

「ありがとう・・・・・ふふ、貴方にはやはり刀を持つことは似合いませんね、刀華。いつかの間抜けな素振りを思い出します」

 

「アンタはいつも一言余計だよ、まったく…」

 

「間抜け?」

 

「えぇ、彼は虚刀流という素晴らしいものがありますが、刀を振ることはからきしなのです」

 

ちょっと意外だ。そしてあとちょっとその素振り見てみたい。

 

「緋華、そんな顔してもやらないぞ」

 

え?もしかして顔に出てた?次は気をつけよう

 

「それにしても色彩、相変わらずの奪刀術・千刀流だな。腕は鈍ってなくてよかったよ」

 

「ここ守るのが先代から引き継いだ誇りであり、私の生きる意味ですから」

 

「ずっとここを守って?」

 

「そうです。ここは心を患った女性を守り、癒す場なのです。先ほどの彼女のように」

 

そう語る彼女の瞳は真っ直ぐで、生きる目的を何も持たない私は少し辛いものだった。

 

 

「ところで刀華、貴方の胡蝶殿よりの仕事にまだ余裕はありますか?」

 

「別に余裕はあるがどうしてだ?」

 

「少し手合わせをお願いしたいのです。貴方より強い人はそう滅多にいないでしょうから、今の私がどれくらい出来るのかを知るのも兼ねて」

 

「それなら良いぞ」

 

「ありがとう、では緋華さんをお借りしますね」

 

「「は?」」

 

いけない。自分の世界に入っていたために状況が読めない。手合わせ?借りる?

 

「いえ、だから緋華さんは私側で手伝っていただきます。何せ胡蝶殿も唸る程の策士と手紙に記されていましたし」

 

「いやいやいやいやいやいや」

 

「遠慮なさらないでくださいな、見たところ二人共まだ戦闘面ではお互いによく知らない様子、良い機会では?」

 

「確かに一理ある」

 

「刀華まで!?」

 

「俺も緋華がどこまで出来るのかを知りたいし、いいハンデにもなる」

 

のっぴきならない方向で話がまとまった。

 

 

 

 

 

「刀華、お互いの勝利条件を定めましょう。貴方は緋華さんを捕まえたら勝ちです」

 

「アンタの勝利条件は?」

 

「半刻の間で貴方が勝てなければ、私たちの勝ち」

 

「わかった」

 

 

 

 

いや、本当にどうしよう。捕まえたら駄目ってハードすぎない?相手はマッハで動ける。例えどんな未来を視たってつかまらない未来がない。私がどんな術を用いても手にすることの出来ない未来はやはり一定数ある。キリシュタリア、デイビッド辺りの人でも魔術戦でも勝てる未来は限られているぐらいなのだ。

そうこう悩んでいると色彩さんがやってきた。

 

「もう少しで始まりますよ、大丈夫ですか?」

 

「・・・・・いいんですか?この神社で戦って」

 

「えぇ、皆さんには外に出るのを禁止しましたから、それに私以外の者いますよ」

 

「逃げきれる自身ないです」

 

「なら、彼を倒してしまいましょう。そうすれば逃げきれます」

 

「・・・・・・・・」

 

この人について少しわかった気がする。思考がポジティブというよりアクティブすぎる。問題を問題としてとらえてない。

 

「緋華、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「!」

 

「やはり聡明な方だ。刀華はもちろんですが、私の完成形変体刀、千刀・『鎩』の力も見てくださいね」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「色彩、もういいか?」

 

「えぇ、緋華も準備出来たようですから・・・・・いざ!」

 

「尋常に!」

 

「「勝負!!」」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

神社を囲む森の中に身を潜めた私は、遠くから彼らを視る。私にできることはどこまで行っても未来を視ることだけだ。そう視なければ始まらない。

ゆえにまずお父さんから教わった魔術は『遠見の魔術』。ぶっちゃけ望遠鏡でも補える低級な魔術、しかし今何よりも重要なのは彼らの状況を知ることだ。

 

刀華の恐ろしく鋭い虚刀が色彩さんへ、しかし彼女は臆することなく彼に肉薄する。彼女の体捌きも目を瞠るものがある。何回かの攻防ののち、色彩さんの持つ刀が容赦なく折られる。ん?折られる?完成形変体刀が?ちょっと色彩さん!あっけなさすぎでは!?

私が驚いてる中、彼女はそれこそ眉一つ動かさず刀華と距離をおいてから、逃げた。まさに脱兎の如く、て言うかこっち来てない?間違いない!わかっててこっち来てる!だって笑ってる!

刀華もこっち来てるし!でも動けない。今動けば捕まる未来しかない。

・・・・・・・・

よし、色彩さんに任せた!私は認識阻害と周りの色に同化する魔術を使って縮まる!そうこうしているうちに状況が変わる。森に逃げ込んだ色彩さんはいたるところに仕掛けてある刀を用いて攻撃を始めた。刀投げたり、距離を詰めては離れたり、相手を揺さぶり続けるその動き、これが彼女の戦い方。だが何本もポキポキ折れているのはどうなのだろか、刀が脆いのか、刀華が強いのか…

 

いい感じだ。あいにくまだバレてはいなさそうだ、刀華は色彩さんに釘付けにされてうまく立ち回れていないように感じた。だがそれにしても彼の表情は一切ぶれない。色彩さんと繰り返し打ち合う。手合わせの終了まで後3分もないだろう。このまま様子を見ていればいい。何ならカップ麺にお湯でもいれたいくらい。

 

なんて調子に乗り始めたその時、()()()()()()()。あ、これやばい。一直線にこちらに彼が向かってくる。色彩さんもさすがのスピードに追いつけない。駄目だ、逃げるのは下の下、どうする?戦う?敵うわけもない…

 

 

 

 

いや、足を止めよう。そうだ、私に戦う力などないのだから、色彩さんが追いつけるようにすればいい!他力本願で結構!とりあえずひたすら足止め妨害を、逃げきる未来ではなく色彩さんが間に合う未来を演算していく…視えた。まずはひたすらガンド、ガンド、石ころ強化して投げる。ガンド、ガンド、近くにあった刀を投げる。投げる。彼が驚いている。予定通り。色彩さんも刀を投げる。あと30秒だがこれだけではまだ足りない。最後の一手を打つ!

 

「刀華!!」

 

「!!」

 

「私は昨日!実は下着を履いてなかった!」

 

「!?!?」

 

「追いついた、隙ありだ!刀華!」

 

「っ!」

 

これでギリギリ、私たちの勝ち。勝利の代償は私のメンタルだった。もしこのために記紀がふんどしを渡して、私に履かせない選択までさせたと言うなら、私は本当にやつを殺さなければならない

 

 

 

 

「ハッハッハッ!最高だったよ緋華!あんな刀華の姿を見たのは初めてだ!」

 

「・・・・・・・・」

 

「俺の負けってことなんだよな…」

 

「もちろんだとも、さぁ敗北者には刀を元の場所へ直してきてもらおうか」

 

「あぁ…なんて面倒な…」

 

「でもありがとう、いい刺激になった」

 

「別に良いよ、緋華を頼むぞ」

 

「任された」

 

「・・・・・・・・」

 

「緋華、いつまで黙っているのだ」

 

「・・・・・・・・」

 

「仕方あるまい、緋華、お風呂に入ろう」

 

「・・・・・・・・はい?」

 

 

 

と言うわけではお風呂。まさかのここにも大浴場、それに私たちだけでなくここに住まう女性も一緒に入っていた。何故なのか…

 

「何故みんなで入るか?そんなの楽しいからに決まっている。裸の付き合いと言うやつさ」

 

当主様様はお酒を飲みながら湯船使っている。彼女は着痩せするタイプだった。

 

「刀、ポキポキ折られてたけどいいの?それに何で神社もそうだったけど森の中まで刀が仕掛けてあるのよ」

 

「あぁ、何だ知らなかったのか。千刀・『鎩』は千刀にして一本の刀、本物を破壊しない限り他が壊れても再生する。そしてこの刀の限定奥義、『千刀巡り』あらゆるところに千刀の刀を配置して戦う。どうだ疑問は解消出来たか?履かない緋華」

 

「・・・・・・・・」

 

不機嫌な私を見ては笑う色彩さん、そんな彼女を尻目に賑やかな浴場を見渡す。誰かとお風呂に入る。案外悪いものではなかった

 

 

 

後に帰ってきた刀華、神社のみんなでご飯を食べた。美味しかった。

 

 

 

夜、まさかの色彩さんと刀華と月を見ながらの晩酌、昨日も見た月だがその装いは少し欠けている。

 

「刀華、緋華、いつここを出る?」

 

「明日中にかな、急ぐ理由もないけどゆっくりし過ぎるのもな」

 

「そうか…またいつでも来るといい、私も嬉しい」

 

「色彩さん」

 

「どうした緋華?」

 

「どうすれば、貴女のように生きる意味と言いきれる何かを得られるの?」

 

「・・・・・・・・」

 

押し黙る刀華を尻目に彼女へ問う

こんな時に聴くことじゃないのはもちろんわかってはいる。けどどうしても聴いておきたかった。私にとってこの旅は大きなものになるから。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・ふっ、ハッハッハッハッハッ」

 

まさかの笑い、真剣な話だったのだけど…

 

「硬い、固い、堅い、そういって考えている内は決して得られんよ。それがあるから生きるのではない、生きているからこそそれは譲れないのさ」

 

「・・・・・・・・」

 

わかったようでわからない。

 

「今を精一杯生きればいい、君は君らしく。刀華はどう思う?」

 

「そうだな、今俺に言えることは、月が綺麗で酒が美味いってことかな」

 

今宵は深く深くふけていく…

 


 

更新スピード上げるとか言った愚か者はここです。書きたいこと書いたら文章量が結構なことに…

 

・敦賀 色彩  ツルガ シキサイ

出雲国三途神社を守護する巫女、千刀流の後継者であり、腕前も最高峰。千刀・「鎩」の所有者である。礼儀正しく、よく笑い、アクティブな女性

 

千刀・「鎩」

完成形変体刀十二本の一つ、千本で一本。壊れても勝手に治る優れ物、四季崎一万本の影響によってこの治癒力は所持者にも、傷の治癒が早い。そして刀の力を用いて心に傷を負った女性の治療を行っている。

 

 

 

 

 

 

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