Lost Belt No.8 完了形極刀国 日の本 ※凍結中 作:冥土のメイド
はい、と言う訳で続きであります。
アニメのバビロニアが遂に放送ですね!
ちなみに自分の地域では1週遅れです(血涙)
・・・・・・・・チュンチュン・・・・・・・・チュン
雀の鳴き声の中で朝を迎えた。昨日の夜はあのままお酒を飲んでいたのだが、どうやらそのまま眠ってしまったみたいだ。いまいちハッキリとしない頭で目をこする。すると私の蒲団で色彩さんが寝ている。裸で、見事なキャスト・オフだ。これが噂の朝チュンなのか……ってそうじゃない!一体どういう状況だ!
「・・・・・・・・・・・・おはよう緋華」
「そんなカッコイイ顔で言われても…」
「いやはや、それにしても昨日は楽しかったな」
「誤解を招きそうだからやめて」
「今日出るのだろう?せっかくだ朝ご飯は食べていくといいよ」
「・・・・・もしかして話聴いてない?」
「では、刀華を呼びに行こうか」
「ちょ!服着てから!って絶対寝ぼけてる!」
色彩さんは朝はあまりにも弱かった。
「おはよう緋華、色彩はどうした?」
「おはよう刀華、お風呂に突っ込んできた」
「あぁ、朝は駄目だったな」
「ここを出るのは朝食のあと?」
「そうだな、ご相伴にあずかってから次に行こうか」
「出発前に一回クリプターの報告してもいい?」
「もちろん大丈夫だ」
「刀華緋華!朝ご飯にしよう!」
色彩さんが私たちを呼ぶ、あとここにいるのももう僅かだ、今生の別れではないけど凄く名残
惜しい
「ところで次は誰に会いに行くのだ?」
朝食の中、色彩さんが刀華に尋ねる。それにしてもここのご飯は本当においしい。魚や山菜と言った和食、日本人の血でも刺激されるのか凄くお箸が進む
「あぁ、次は錆に会いに行こうと思う。たぶんあいつ今も変わらず巌流島にいるだろうから」
「そうかそうか、次は灰斗か・・・・・・不安しかないな」
「錆灰斗?どんな人なの?」
「莫迦だよ。戦好きの莫迦」
「まぁそうだな、立ち振る舞いなど非常に素晴らしい武人だが、中身がな…」
どうやらかなり癖のある人物のようだが、色彩さんが本当にいい人だったのだ。このあとの人たちもそこまで常識の欠けた人はいない気がする。そうだ、報告の内容をまとめておかなければ・・・・
「何にしても、灰斗と会うのならよろしく言っておいてくれ。それにほどほどにな刀華」
「俺はそんなつもりはないよ」
「ハッハッハ、そう言いつつお前も男だからな。また『
「・・・・・・・・」
刀華は黙ってご飯を食べ続けていた。島が無くなる?よく聞いていなかったがさすがに空耳だと思いたい。ってあれ?渡す手紙の中に私宛が・・・・どうやら報告書の内容変えた方が良いみたい
朝食後温かな天気の中出発する
「色々と本当にありがとうございました」
「もう行ってしまうのか…もっといても良いのだが…」
「仕事終わったらまた来る、永遠の別れじゃあるまいし」
「分かってはいるがな…うむ!気をつけてな、緋華!刀華!」
「絶対にまた来ますね!」
「世話になった」
別れの挨拶を交わして歩きだす。色彩さんはいつまでも私たちに手を振っていた
「どうだった?色彩さんは」
「うん、凄くいい人だった。ありきたりな感想かもだけど言葉以上の感謝があるかな」
「そっか、ならよかった。・・・・・・・報告とかってもうしたのか?」
「ううん、今やろうと思って。言ってもデータ送るだけだしすぐすむよ」
クリプター全員に渡されている原理不明の機械を使ってデータを送信する。内容は大まかな異聞帯の特徴と空想樹の成長具合、あとは王様のでっち上げ。この異聞帯を実質支配してるのは記紀だが、彼はどうやら将軍を隠れ蓑にしているらしい。不敬罪で首刎ねられればいいのに、おかげで書類を作り直す羽目になった。
「はい、送信っと」
「それだけで情報が届くのか?」
「えぇ、便利よこれ」
「記紀のやつもこれ使えばいいのに」
「・・・・・・・・」
ぐうの音も出ない彼の独り言に激しい同意を覚えた。
そしてこの後もまた彼のおんぶによるジェットコースターが始まるのだが、今回は距離も近いこともあり前回ほどの目には遭わなかった。どうやら今回の人はなるべく早く終わらせたいそうだ
砂浜についた。この異聞帯での海をはじめまして見たことになるのだが、別段と今までのものと変わらない。海を挟んだ向こう側に大きな島が見える。さすがの彼も水の上を走れないのか、借りられる船を探していた
「あれが巌流島?」
「あぁ、あそこに所持者の一人、錆灰斗がいる」
「彼の持つ完成形変体刀ってどんなものなの?」
「あいつの刀は・・・・っ!緋華!」
唐突に刀華は私をまるで何かから庇うように抱きしめながら、その何かを避けた。そして舞い上がる砂、一瞬の出来事で理解が追いつかない、だが、ついさっきまで私のいた場所に小さなクレーターが出来ていた。比喩でも嘘でもない、あそこにはあんなへこみなど存在しなかったのだから
彼は私を抱きながら島の方を睨む。私も未来視を叩き起こす、
島の向こうから飛んでくる謎の衝撃波、荒れる砂浜
未来を視た。
「刀華!まだ来る!動き続ければ当たらないわ!」
「!!!」
また俊敏に回避をする刀華、抱き抱えられている私は状況打破のための未来を演算する。
「この攻撃は何!?この異聞帯特有の何かなの?」
「いや違う!これはただの正拳突きだ!あの莫迦、やる気満々だ!」
正拳突き!?だが周りに人影はない、一体誰が!砂浜が砂塵となって荒れ狂う、彼が避け続ける中、私も巌流島の方を視た。そこには目を瞑っては一回一回丁寧に拳を振るう男がいた。銀髪に白い眼、長い髪を後ろでくくっているが色彩さんとは対照的に髪の毛はモコモコしている。彼が錆灰斗なのだろうが、目を瞑っている。それなのにこちらに正確に衝撃波を飛ばしてくる、サーヴァントでもこんな馬鹿げた真似はそうそうできない。彼も刀華みたい人なのか
「緋華!このままじゃらちが明かない!あいつのところに行くぞ!」
「行くってどう言うこと!?」
「言葉のままだ!歯食いしばってくれ!」
「っ!!!」
次の瞬間彼は海の方へと駆けだした。その勢いはまるで光の如く、そのまま
錆灰斗が刀を抜く未来を視た。そしてそれを私たちは避けきれない。
「刀華!彼が刀を抜く!」
「くっ!」
視た刀はどこまでも脆そうな薄い刀だった。そして当然のように飛んできた一振りの斬撃、海滑るようにして私たちに襲いかかる。どの未来においても私を抱える刀華は避けきれない、そうか結局こうなるのか、未来は変えられないのか、予定調和、またこの世界に興味を失いかけたその時
「ごめん緋華!」
聞こえた声、海に墜ちた感覚、海に初めて沈んだ、知らない未来、未知、喜び、あぁどうしようもない女だ。私…
「いや、まさか走るのをやめて海に入るとは、さすがだ・・・・・ゴホン、さすがでござるなぁ・・・・・・」
「緋華、大丈夫か?」
自分もずぶ濡れのくせに第一に私を気遣ってくれる刀華、緊張感があるのかないのか、とにかく彼の優しさで気が緩んでしまう
「えぇ大丈夫、攻撃は?」
「あれから何もない」
濡れ鼠になりながらも巌流島にたどり着いた私たち、辺りを見渡せばテレビのサバイバル番組で見そうな岩ばった場所にいた
「あの人は一体どうしてこんなことを」
「まともな理由は期待しない方がいいぞ、絶対ろくなもんじゃない」
「心外だ刀・・・・いや違う、心外でござるな刀華、久々に会ったと言うのに」
「!」
さっきまでそこには影すらなかったのに気がついたらそこにいた。彼が錆灰斗、所持している完成形変体刀は薄刀・「針」・・・・・・・・しゃべり方に癖を覚えるのだが
「錆、何だそのしゃべり方、戦国時代じゃあるまいし」
あ、このしゃべり方古い扱いなんだ。
「良く聴いてくれた!いや、聴いてくれたでござる!これは我が敬愛すべき祖先『錆白兵』が書き残した『ときめくおとこ』に記されていた口調・・・・・でござる!」
「「・・・・・・・・」」
嬉しいそうにその書物を見せびらかしては、さっきまで襲ってきたことすら忘れたように振る舞う錆灰斗、凄くどうでもいい
「まぁそれはどうでもいいよ。錆、どうして緋華を狙った」
「怖い顔するな…でござるよ。もちろん刀華を信頼してこそ、そもそも俺…いや拙者たちは出逢えば斬り合う中で…ござろう」
「慣れてないならそのしゃべり方やめろよ、挙動不審だぞ」
「それで?そこのお嬢さんは?」
「え、あ、四季崎緋華です」
「四季崎、四季崎と言ったか?…ござるか?」
もう口調が無茶苦茶でござる、今わかった事はただ一つでござる、この人はとんでもない莫迦でござる。さっさとここからおさらばしたいで候
「えぇ四季崎だけど特に気にしないで。私たちは手紙を渡しに…って手紙が!」
「うん、見事に濡れてるでござるござる」
「おい、もはやわざとだろアンタ」
「それで要件は?」
「コイツ…」
あの刀華が青筋を立てるほどとは、確かに色彩さんの言う通りだ中身が酷すぎる。今はとにかく手紙を何とかしなければ、今ならまだ復元くらいならできる、魔術回路を起動して修復にはいる。そんな中刀華は錆さんに苦言を呈していた
「よし直った」
「ほほぅ、これまた珍妙なことを…」
「はいこれ、あなたの分の」
「ありが…かたじけないでござる」
「・・・・・・・・」
「緋華、もう次に行こう。これ以上ここにいたくない」
見るからにぐったりしている刀華、精神的疲労が大きいようだ、実際これ以上錆さんと一緒にいる理由もないし仕事は終わった。失礼させてもらおうとした矢先
「待つでござる刀華」
「まだ何かあるのか?」
「ふむ、大方理解した。毒塚もとい四季崎記紀の姦計でござろう。重要なのは
「あぁ、出し惜しみはしなくていいぞ」
「よし、それでは一戦交えようか」
「はぁ?」
「虚刀流
有無を言わせない彼の殺気、先ほどの小競り合いの時以上の緊張感が広がっていく。
「はぁ、面倒だ。というより口調板についてて腹立つ、あとやるにしても条件がある。緋華を巻き込むなよ」
「もちろんでござる。『女性は傷つけない』ときめくおとこの条件でござる」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「じゃあ緋華、今回は立会人を頼む。それと常に安全な場所にいてくれ」
「えぇ、わかったわ。気をつけてね」
「ありがとう」
「準備は万端でござる。刀華、拙者にときめいてもらうでござる」
「その頃にアンタは…どうにもならないか。緋華」
「わ、私?・・・・・・・・いざ尋常に!始め!」
その瞬間、巌流島は真っ二つとなった
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
音もなくまさに気づいたら切られたかのように島は恐ろしいほど綺麗二つに分かれた。その後から繰り広げられる攻防、周りの木や岩が嘘のように砕けては容易く切断されていく、彼らの姿を目視することはできない。速すぎるのだ。未来視をもってして安全な場所に移動し続けるが、地震のように島が揺れては斬撃が飛び交う。これが刀を持つもの同士の戦いなのか、これは確かにサーヴァントにもひけ劣らない
ーーーーーinterludeーーーーー
初手から錆灰斗は、薄刀・「針」を音速で抜刀しては本気の一刀を繰り出す。
遠慮も容赦など一切ない、そもそも彼自身この程度で終わる一戦だと思っていない。
刀華こそこの世において最も優れた究極の刀、実際に刀華は今の一太刀を最小の動き、紙一重で躱しては錆との距離を詰める。
その一つの動作さえ絶技、斬撃は何処かの亡霊のように光速を超えてはいないもののそれを当たり前に避ける。
並の人間には到底できるものではない。
錆は喜びに頬を緩める。
我が友はこうでなくてはならないと、彼はあえて間合いを離して拳を放った。
狙うなら3km先まで狙える拳による衝撃波、それを惜しむことなく放ち続けるが、刀華はこれを意図もたやすく
これもまた一切の無駄な動作もなくこなしては瞬時に懐へと潜り込んでくる。
彼もまた一切の加減なく技を放つ。
「鏡花水月」虚刀流の奥義の一つにして、第一の構え「鈴蘭」から繰り出される最速の掌底、食らえば絶命は免れない死の一撃をこれまた錆も当然の如く躱しては薄刀を振るう。
薄刀・「針」とは簡単に言えば軽すぎる刀であり、その薄さは刀身の向こうが透けて見えるほどに、ゆえに脆く完全な軌跡を描いて振らなければ折れてしまう刀。
だが錆はこの刀を臆することなく振り続ける。
刀は折れない、それこそまさに彼の実力を物語る。
速すぎる攻防、島の木、岩、大地、その他多くが砕けては切られ、切られては砕けていく。
そんな中、錆と一度間合いを離す刀華、そこを勝機とばかりに縮地を超える爆縮地で間合いを詰める錆、しまいには海に出ては海を切り裂いた。
モーセが海を割るように錆はその一刀を振るい続ける。
もはや
刀華はここで己の愚かさに気づく、決着の付け方を決めていなかったことに、こうなってしまっては錆が満足するまで戦い続けることになる。
そうなってしまえばこの日の本の半分は海に沈むだろう。
彼を殺すことはできるが死なせるわけにはいかないし、殺したくない。
この後、まだ抑止力からの使いやカルデアとの戦いもある、彼には生きていてもらわなければならないのだ。
殺さず、無力化を理想として攻めていく。だがあまり迂闊にも攻撃を繰り出せないああ見えて受け流し、カウンター技術も洒落にならない巧さなのだから
一方で錆のバイブスは上がり続けた。久々の猛者との剣戟、高まらないはずもなく、彼は遂に限定奥義を抜刀した。
「薄刀開眼」彼の全力をもって自身中心とし円形にありとあらゆるものを切断する神業。その気になれば半径数十kmにおよぶ範囲を切ることが出来るが今はその必要はない。
彼に切れぬモノなどありはしない。
彼な鞘でも万物を切るだろう。
まさに彼こそ剣聖の中の剣聖、ありえたかもしれない完了形変体刀の一つ、全刀・「錆」棒状のものならどんなものでも刀として扱うことの出来る最強の武人。
緋華を巻き込まないようにして、刀華にその神域の一刀を向ける。
下手をすれば刀華でも死ぬかもしれない。
だが、それ以上に彼は刀華を信じていた。
刀華は迫りくる死の一刀の中一人でに呟く
「十■本目抜刀、■刀・『■』」
究極の一刀をもって神域の一刀を凌駕する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後の大きな揺れを最後に戦闘音は止んだ。彼らの戦いを魔術をもって何とか見ていたが、最後に天をも切り裂く勢いで伸びた黒い光は一体何だったのか、刀華の一撃なのは間違いないが‥
「終わったよ緋華、ここ出て宿にでも泊まろうか…さすがに疲れた」
「錆さんは?」
「ここでござるよ」
「・・・後ろに立つのやめて」
「いや~楽しかったでござるな、帰りの船ならあそこでござる」
「あぁ、当分アンタとはこりごりだ、島も無茶苦茶だし」
「色彩さんにまた言われるね」
「・・・・・・・・」
刀華は本当に疲れたみたいで、一人でに歩き始めた初めてそんな姿を見て微笑ましくなった。
「じゃあ私たち行きますね」
「わざわざ来てくれてありがとうでござる、次にはあなたにもときめいてもらうでござるよ」
「が、頑張ってくださいね」
「かたじけないでござる、それと緋華殿」
「?」
「刀華を頼む、いつもギリギリなんだあいつ」
口調を変えて、いやこれが彼の普通の話方、刀華がギリギリ?その時私はその言葉の真意を知ることは出来なかった。
お久しぶりです、hollow期間に何とか更新できました(汗)これからも何とか頑張ります。そろそろサーヴァント出そうと思ってますが、期待はしないでください。当分は刀所持者のお話しですね。
・錆 灰斗 サビ ハイト
完成形変体刀、薄刀・「針」の所持者にして、四季崎記紀のありえたかもしれない完了形変体刀、全刀・「錆」であり棒状のものならどんなものでも刀として扱うことが出来る。所持者たちの中でぶっちぎり強さを誇っており、並のサーヴァントなら歯が立たない。性格的にはかなり残念な人
祖先の錆白兵の残した一冊の本「ときめくおとこ」、これは錆白兵の思い描く理想の男の姿を書き記したものである。ござる口調などもこの影響
薄刀・「針」
完成形変体刀の一つ、軽さに重きをおいた刀
脆いので完璧な軌跡を描いて振らなければ壊れてしまう。その分切れ味がエグい。色んなものが豆腐みたいに切れます。
ちなみに、刀華が抜いた刀は虚刀・「鑢」ではありません