チャージマン研!~ジュラル星人の楽しい地球侵略~ 作:やきたまご
ここは、地球ののいずこかの海底。そこに、ジュラル星人の宇宙船がどっしりと構えているんだ。今日彼らは地球侵略のための作戦会議を行っているんだ。
「魔王様! 面白い情報がありますよ!」
「X-003号か、よし聞こうか」
「はい! 地球には、とんでもない人種がおります! その人種は全く生産性がなく、利益を潰していくことに罪悪感がなく、何のために生きているのか分からない人生を楽しんでいるのです! 日本ではその人種をニート、ぷーたろー等と呼んでいるようです」
「ふぅむ、我々には理解しがたい人種だな。各々が設定した目的を達成するために人生はある。そんな人種に世を任すことはできない。いっそのこと抹殺した方が良いな」
「魔王様! 私に良い考えがあります!」
そういったのはX-001号だった。
「ほう、その考えとやらを言ってみろ」
「はい、逆に世を任せられない人種が増えるのなら、我々が世を支配しやすくなる事になります。つまりニートを増やせば、我々を主体にした社会作り、つまり地球侵略も容易になるかと思われます!」
「ほう、なかなかのアイディアだ。だがな、そのニートをどうやって増やすかが問題だ。他のジュラル星人の調査では働くことに命をかける社畜なる人種というのも存在しているらしい。社畜という人種は決して少なくない。こいつらをいかにニートに変えるかが問題であろう」
「魔王様、とっておきのがあります!」
「む、お前は技術部長のX-004号! よろしい、話を聞こう」
そう言うと、X-004号があらかじめ用意した資料を会議に参加しているジュラル星人達に渡していった。
資料を見た魔王様の目の色が生き生きとしていく。
「よし! 善は急げだ! X-004号! こいつをすぐに大量生産できるようにしろ! 営業班のX-002号とも協力しながら上手く販売ルートを築くのだ! 他の皆も協力してやってくれ!」
「はい!」
こうして、ジュラル星人による新たな惑星侵略作戦が始まった!
瞬く間の内に、商品生産工場のための土地の確保、建設、大量生産用の機器の開発が進んだ。
そして1か月後……
「寝つきの悪いお子様に♪ 仕事で早起きの多いあなたに♪ いつまでも健康でいたいあなたに♪ 快適な睡眠をお届けするジュラル布団♪」
ジュラル星人が開発したのは布団であった。
テレビコマーシャルやSNSを用いて宣伝が多くされ、商品の売れ行き絶好調であった。
しかし、その布団が社会に異変をもたらしていたんだ!
とある一人暮らしの男性のアパートにおける朝において、月曜日の朝7時に、平和な時間を壊すかの如く、ジリリリリと目覚ましの音がけたたましく鳴り響いたんあだ。
「うぅ~、仕事なんか行きたかねえ、やだよ~」
それでも男性は起きようと、体を動かすが、途中で動きが鈍くなる。
「やばい、新しく買った布団が気持ちいい~~。もう怒られてもいいから二度寝する……」
その男性はこの日、会社に出ることはなかった。
布団購入者の間で同じような事が各地で起こった。
やがて、会社を休む人間の増加のために、仕事が上手く回らなくなり、人々は混乱していった。
「今日が納期だぞ! まだ三浦コンサルから連絡は来ないのか!」
「そ、それが、担当の方が無断欠勤しているみたいで、対応しようにも担当の人しか分からないみたいで」
「まじかよ! どうすりゃあいいってんだ!」
交通網でも問題があった。
「電車いつになったら来るんだよ!
「もう30分は待っているぜ!」
列車に関しても、唐突な無断欠勤による人員の不足で、運転手等が十分に確保できていない状況であった。
やがて、ジュラル布団の売れ行きに比例していくかのように、日本において、無職の人間が増えていき、倒産する会社まで出てくる始末であった。
ネットやマスコミを介して、その布団の恐ろしい効果は広まり、伝わっていったのだが、好奇心の多い人間も多く、かえってこの布団を購入しようという人が多くなってしまった。
「好調ですね! 魔王様!」
X-003号が機嫌良く言った。
「ふふふ、次は働く人手が足りなくなったタイミングで、ジュラル星人による人材派遣会社を立ち上げよう。人手の少なさにつけこめば、多少高額の人材でも送り込める。つまり高利益を見込めるというわけだ!」
チュドーン
突如会社内で爆発が起きた。一体何事だと思ったタイミングでチャージマン研がやってきた。
「お前達の悪事もこれまでだ!」
「なに! なぜ我々の居場所が!」
「お前達の立ち上げた会社のホームページに住所やアクセス方法がのっていたのさ!」
「くっ、会社のうさんくさいイメージを払拭するためにあえてのせえいたんのだが、仇になったか!」
「それにこんなキチガ〇布団を提供するのはお前達の仕業に違いないからな! お前達の布団のおかげで小学校に渚先生が来なくなったんだ!」
「くそ~、お前らチャージマン研をやってしまえ!」
「おっと、僕の狙いはこっちじゃない!」
チャージマン研! すぐに逃げた様に見えた。しかし、真の狙いは別にあった。
ちゅどーん
会社と併設している製造ラインの工場が爆発した。
「あびゃーーーーーっ!!」
多数のジュラル星人が苦痛の悲鳴をあげた。
「はははは!」
チャージマン研は次々倒されていくジュラル星人に対し、満面の笑みを浮かべた。
「臨時ニュースを申し上げます。ジュラル布団を製造している株式会社ジュラルがチャージマン研の暴走により破壊されました。株式会社ジュラルは本日を持ち破産の手続きに入ったとのことです」
泉家のTVでこのようなニュースが流れていた。
「よくやったな研、これでパパの病院も無事に営業を再開できるよ。休んでいた分、こき使ってあげないとね」
「あなた、せめて死なない程度にこき使いなさいね」
「おいおい、私は医者だよ。死にそうになったら治療して上げるさ」
「はははははは」
今日も泉家は平和な笑いに満ちていた。