IS‐護るべきモノ-   作:たつな

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イギリス代表候補生登場!

「では、ここまでで質問がある人はいますか?」

 

 

―――休み時間をはさんで二時限目、IS基礎の勉強の時間だ。休み時間の拷問に近い視線の数々に比べれば、難しい授業など楽園のようなもの。教壇には山田先生だけではなく、千冬さんも仁王立ちして授業の状況を見つめ、時折山田先生の代わりに解説する時がある。だから全員の視線はおのずと前の黒板にいっているため、俺と一夏に視線が集中することはない。

 

 楽園のようなものだとは言ったけど、この授業自体が難しいことには変わりない。何とか言われることを聞き逃さないようにノートに書きとめながら、教科書にも重要な箇所にマーカーを引く。そんでもって視線は黒板に。

 

特にIS関連の授業は覚えることが非常に多いため、少しでも気を抜いているとすぐに分からなくなる。今何とかついて行けているのも、事前に渡された参考書を読んでいたからだ。やれやれ、先に渡してくれたことに感謝だな、あれがなかったら魂が抜けた人形のようになってただろう。

 

と、まぁ俺自身は何とかついていけているものの、問題は俺の前に座っている人間か。さっきから顔を真っ青にしながら体を小刻みに震わせ、全然分かりませんアピールをしている。助けたいのは山々だが授業中に声を上げるほど、俺も肝が据わっているわけではない。

 

というか今やっている内容って、確か入学前に渡された参考書の最初の方に書かれている部分だよな。……一夏。お前入学前に渡された参考書、読んだのか?

 

 

そんな一夏の表情が青ざめていることに気が付き、山田先生が優しく歩み寄ってくる。

 

 

「織斑くん、何かありますか?」

 

「うわっ! えーっと……」

 

「質問があったら聞いてくださいね? 何せ私は先生ですから!」

 

「うぅ……あの……先生……」

 

 

ガタガタと壊れた機械のように右手をあげる一夏。いや、もう何て言うかよっぽどテンぱってたのな。体中汗だくじゃないか。

 

 

「はい、織斑くん♪」

 

 

そんな一夏に、天使のようなほほ笑みで質問を待つ山田先生。

 

何だろう、この後発せられる一夏の言葉が何となく想像できるぞ俺。頼むから火に油を注ぐことを言うのはやめてくれよ。

 

 

「殆ど全部分かりません……」

 

 

あぁ、やっぱりか。予想通り過ぎて何か気分は複雑だ。折角だから裏切ってくれてもよかったのに。ほら、山田先生の天使のようなほほ笑みが、信じられないって表情に変わっちゃったじゃないか!

 

 

「え……全部ですか? 今の段階で分からないっていう人はどの位いますか?」

 

 

 もしかして自分の教え方が悪かったのではないかと、山田先生はクラス中に今の段階で詰まってしまった生徒がいないかどうかを確認する。

 

俺? 俺は大丈夫だよ?

 

山田先生の教え方は凄く分かりやすい。例えるなら英文の和訳解説が隣に置いてある状態で、英文を和訳してくださいと言われているようなもの。それくらい内容が自然と頭に入ってきた。

 

 

数秒ほどあたりを見渡すが山田先生の表情に変化はない、ってことは現段階で授業の内容が分からない生徒がいないわけだ。

 

そしてクラスを一周眺めるとその視線は一夏ではなく、俺に止まる。一夏が分からないってことはもしかしたら俺も理解できていないのではないか。

 

そんな不安が山田先生をこのような行動に駆り立てるんだろう。もう何か山田先生も泣きそうな顔してるし……ここで俺が分かりませんって言ったら俺は一生後悔する気がする。

 

 

「き、霧夜くんは大丈夫ですか? 分からないところないですか!?」

 

 

もう顔が必死だ。例え分かっていなかったとしても分かりませんなんて言えない。

 

 

「俺は何とか、ついて行けてます」

 

「そ、そうですか。よかったです!」

 

 

授業について行けていることを伝えると、少し山田先生の表情に明るみが戻る。安心してください、すごく分かりやすいので。

 

すると俺がついて行けていることがよほど意外だったのか、一夏が俺の方へ振り向いてきた。

 

 

「え、大和お前分かるのか!?」

 

「まぁ、そこそこに……というかお前は俺より先にISを動かしたんだから、俺なんかより早く参考書が届いただろう? まさか読んでいないのか?」

 

「え、参考書?」

 

 

おい、まさかその反応……。もしかして読んでないどころか、存在自体知りませんでしたとかいうオチじゃないだろうな。

 

 

「霧夜の言う通りだ。織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

 

今起きている光景を見かねた千冬さんが教壇から降りて一夏の前に立つ。当然その手には出席簿が握られている。一夏、下手するなよ。

 

 

「えーっと……あ、あの分厚いやつですか?」

 

「そうだ。必読と書いてあっただろう?」

 

「いや……古い電話帳と間違えて捨てました……うわぁ!?」

 

 

 ものの見事に火に油を注いでくれた、御馳走さまです。光速、いや神速にまで加速した出席簿の一撃は一夏の左側頭部をピンポイントで捉えた。あの出席簿って何で出来ているだろうな、もしかして人を引っ叩くように特注で作られているとか……

 

古い電話帳って言われても、真ん中にでかでかと必読って書いてあったわけだし、捨てるってのはどうなんだろうか。捨てたものはもう戻ってこないし、どうしようもないけど。

 

 

「後で再発行してやるから、一週間以内に覚えろ。いいな……」

 

「い、いや! 一週間であの厚さはちょっと……」

 

 

あ、バカ! このタイミングで何ダイナマイトに火をつけるようなことしてるんだこのアホは!

 

んなことしたら……

 

 

「やれと言っている……」

 

「うぐ……はい、やります」

 

 

蛇に睨まれた蛙みたいだな、この光景。……仕方ない、同じ男性操縦者としての仲だ。少し助けてやろう。

 

 

「一夏。参考書が届くまでは俺のを代わりに見せてやるから、これ使えよ。線とか引いてあって見にくいかもしれないけどな」

 

 

 前の一夏に、俺が使い込んだ参考書を手渡ししてやる。それを受け取った一夏は、何か感極まった表情で俺の手を握ってきた。……ってちょっと待て、俺にその気はないぞ! 夏休みに薄い本として出版されるなんてごめんだからな!

 

 

「うぅ……助かるよ、大和」

 

「ってなわけで織斑先生。代わりに俺の参考書を見せますので……もちろん、一週間以内に覚えれなかった場合は、俺の恩を蔑ろにしたってことで俺も教育に参加してもいいですよね?」

 

「ああ、好きにしろ。ただ私がいる前でなら、だがな」

 

「え、ちょっ! それは無いっ……あっだああぁ!?」

 

「授業中に大きな声を出すな、馬鹿者」

 

 

もはや一夏が殴られることが定番化して、それに慣れつつあるこのクラスが怖くなってきた。そんな俺たちに向けて、千冬さんは真剣な眼差しで語りかけてきた。

 

 

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった”兵器”を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしたいための基礎知識と訓練だ。理解が出来なくても答えろ。そして守れ。規則とはそういうものだ」

 

 

 ごもっともで言い返す言葉もない。ISは表向きこそ正しく使いましょうなんて習わしがあるが、それを悪用しようと企てる人間もいる。

 

その時ISは人の命を一瞬にして奪い取る兵器となる。悪用すれば、自分達が日常生活で使っている物も凶器にだってなる。料理用の包丁や、交通手段の車、これは正しい使用法を守っているからこそ便利な生活ツールとして役立っているだけで、一歩間違えればそれだけで大惨事を引き起こすものに変わる。

 

ISはさらにその上を行くわけだ。これは千冬さんが自分が乗って経験してきたからこそ言える言葉、だからこそ普通の人間が言うよりもはるかに重く感じる。

 

 

「……山田君。続きを」

 

「あ、はい。ではテキストの十二ページを開いてください」

 

 

その後の授業は何事もなかったように進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、大和も姉がいるのか!?」

 

「ああ。んで、織斑先生と名前がよく似てるからな、たまに混同しそうになる」

 

「へー、なるほど……何となく大和は一人っ子って感じがしたんだけどな。立ち振る舞いとか見てると俺たちと同い年には見えないし」

 

「まだ知り合って数時間しか経ってないだろ、俺がどういう人間かなんてのはもう少し後に決めてもいいんじゃないか?」

 

 

 時間が経つにつれて友情というものは深まっていくもの、授業を終えた俺と一夏は互いのプライベートのことについて談笑していた。立ち位置的には俺の席に一夏が来ている形で、俺は座っていて一夏は立っている。

 

廊下にはまだ数多くの生徒が見物に来ているが、さっきその視線を浴び続けたために多少耐性が出来た。だから、割と今は気も落ち着いている。

 

休み時間まで参考書持ち出してアクティブなんちゃらだの、こうえきうんたらだの勉強会を開く気は毛頭ない、せめて休ませてくれ。学生なんだから。

 

学校にいる最中の醍醐味ってあれだろ? 休み時間と昼休みと授業中寝の『三種の神器』

 

正直勉強なんか二の次、やってられん。テストなんかは一週間くらい詰め込めば何とかなる。せめて休み時間くらい友達と有効活用したい。

 

 

「そういや、ここまでどうやって来てるんだ? 俺は一週間自宅から通学してくれって言われてるんだけど……」

 

 

どうも伝わっていることが食い違ってるな、伝達ミスか何かか?

 

 

「今日は実家から直接来た。でも次からは寮からってことで、荷物はまとめて寮の方に送ってもらったぞ」

 

「あれ、もしかして俺も聞き違いでもしたか……? とりあえず、今日は家に「ちょっとよろしくて?」ふぁ?」

 

「え?」

 

「まぁ! 何ですのそのお返事? わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」

 

 

 二人で話している最中に横から唐突に声をかけられる。一夏は気の抜けた返事で、俺も急に話しかけられるとは思ってなかったために中途半端な返し方になってしまう。確かイギリス代表候補生のセシリア・オルコットだっけか?

 

いかにもプライドの高そうなお嬢様って感じだ、いや実際プライド高いんだろうけど。それにそれ相応の態度とは言われてもな、ごきげんようオルコット様って返せばいいのか?

 

この見下すような高圧的な態度見る限り、どうも女尊男卑の傾向が強そうだ。俺としてはあんまり得意じゃないタイプ。穏便に済ませることが出来るなら、穏便に済ませたい。

 

どうしようか考えていると一夏が

 

 

「悪いな。俺、君が誰だか知らないし、大和は?」

 

 

先に返答し、さらに俺に話題を振ってくる。

 

 

「え? いや俺もまぁ……」

 

 

何故こんな返し方をしたんだ俺……。曖昧な返した俺を全力で殴りたい、適当に返してしまった結果がこれだ。やってしまった感が尋常じゃない。

 

そんな俺たち二人の反応が気に食わなかったのか、机を叩いて身を乗り出して抗議してくる。

 

 

「わたくしを知らない!? セシリア・オルコットを!? イギリスの代表候補生にして、入試主席のこのわたくしを!?」

 

 

いや、俺は知ってるけどね。捲くし立てながら迫ってくるオルコットに一夏はちょっと待ったとばかりに手を広げて差し出した。

 

 

「あっ、質問いいか?」

 

 

 質問、質問ねぇ。確かに興味はあるわな、まがいなりにも代表候補生なわけだし。どんなISを使ってるのかだとか、イギリスの代表候補生ってどれくらいいるのかとか。ぶっちゃけ俺もそれに関しては知りたい。

 

 

「ふん! 下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

 

 

何かいちいち言動が癪に触るな、もう少し普通の立ち振る舞い出来ないものか。

 

無理しているっていうか、子供が背伸びしているっていうか。表面上だけ取り繕っている感じがどうも強くてたまらない。こういう人間もいるのかって考えればいずれは慣れるか……

 

オルコットに対して真剣なまなざしを向ける一夏。なるほど、今度は期待していいんだな?

 

 

「代表候補生って……何?」

 

 

 

 

ドガシャァアア!!

 

 

 

そこ!? そこなのか!? 期待した俺がバカだったよ!

 

今の音はクラスの聞き耳を立てていた生徒たちが盛大にずっこけた音だった。窓際の子なんて机盛大に押し倒しているし。しかしこのクラスほんとすっ転ぶのがうまいな、マジで芸人として食っていけるんじゃないだろうか?

 

IS学園……いや、下手すりゃ一般人でも知っているようなことを聞かれて、オルコットも茫然と立ち尽くしていた。

 

 

「あ……あ、ああ……」

 

「あ?」

 

「信じられませんわ! 日本の男性というのは、皆これほどにも知識に乏しいものなのかしら!? 常識ですわよ! 常識!!」

 

「おい待て、勝手に俺までひとくくりにしないでくれ」

 

 

キーキー発狂しながら食ってかかってくるオルコットだが、とりあえず無視だ。これ以上何か言ったら藪蛇になりそうだし。

 

 

「大和、代表候補生って何だ?」

 

「代表候補生ってのは、代表になるかもしれないって人間のことだよ。言葉の通りに解釈してくれればいい」

 

「なるほど、つまりエリートってことか」

 

「そう、わたくしはそのエリートなのですわ!! 本来なら、わたくしのような選ばれた人間とクラスを同じくするだけでも奇跡! 幸運なのよ! その現実を少しは理解していただけるかしら?」

 

 

 クネクネしたかと思ったら急にどや顔で俺たちの方へ振り向く。確かにラッキーかもな、俺と一夏はISを操縦することに関しては完全に素人なわけだし、そっちからすれば色々教えられることもあるだろう。……っというわけで。

 

 

「「そうか、それはラッキーだ」」

 

 

偶然にも一夏と考えていた言葉がハモった。いや、別に世辞じゃなくてラッキーなことだとは思っているぞ、ただ急に出てきた言い方がこれしかなかったっていうか。

 

 

「……馬鹿にしてますの?」

 

「お前が自分で幸運だって言ったんじゃないか」

 

「大体、何も知らないくせによくこの学園に入れましたわね。どんな殿方かと思いましたが、とんだ期待外れですわ」

 

「俺に何かを期待されても……」

 

「……」

 

 

 もう面倒だ。遠まわしに嫌味を言われているのがたまらなく疲れる。これがもし男とかだったら容赦なく出来るかもしれないけど相手は女性、一つの発言が大惨事に繋がらないこともない。

 

別にこういう手合いはISが発明されてから何人も見てきたから、慣れているっちゃ慣れている。怒るっていうよりかは、呆れるって方が正しいか。だが女性にこき使われるだけなんてまっぴら御免だ。

 

 

「まぁわたくしは優秀ですから。貴方達のような人間にも優しくしてあげますわよ? 分からないことがあれば……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ? 何せ入試で唯一、教官を倒したエリート中のエリートですから!」

 

「あれ? 俺も倒したぞ、教官」

 

 

オルコットの自信を打ち砕くべく……一夏自身は全くそんなつもりはないんだろうけど、ぼそっと自分が教官に勝ったことを伝える。

 

へぇ、一夏は倒したのか。入試っていっても勝ち負けではなく、生徒がどのくらいの力を持っているのか判断するための適性検査だ。基準がどうなっているのかはわからないが、とにかく教師と一対一のIS勝負をする試験のこと。

 

俺はちなみに負けた。IS戦で千冬さんに勝てるはずもなく、近接ブレードを破壊するのが精いっぱいだった。最後の方は割とまともに戦えて、シールドエネルギーも削るだけ削ったけど、所詮は後の祭り。世界最強のIS乗りに勝てるわけがなく、シールドエネルギーが切れて負けた。

 

初めて動かしたにしては、十分健闘したんじゃないかって個人としては思っているわけだが、もう少し出来たかもと思う部分もある。思った以上に操縦に慣れるのに時間がかかった上に、慣れたのはエネルギーが切れる直前。

 

それまではまともに戦えたものじゃなかった。身体に変なおもりが巻きつけられているみたいで違和感が強すぎるわ、自分の動きにISがついて行ってくれないわ……。

 

だからこそ、国家代表とか代表候補生なんかは流石だななんて思うわけだけども。どうもオルコットは俺が思っていた代表候補生とは違う感じだ。

 

 

「はぁ!?」

 

 

一夏の教官を倒した発言がよほど驚きだったのか、信じられないといった表情でズカズカと歩み寄ってくる。

 

 

「倒したっていうか、いきなり突っ込んで来たのをかわしたら、壁にぶつかって動かなくなったんだけど」

 

「わ、わたくしだけと聞きましたが……?」

 

「女子の中ではってことじゃないか? 俺たちは数少ない男性なわけだし、試験日程なんかも違ったはずだから」

 

 

 別に勝とうが負けようがそんなに関係ないって思うけどな、ここにいる以上は全員がその試験に合格したってことだし。実際結果がすべてを言うのなら、一夏とオルコット以外は負けたから全員不合格ってことで、今年の一年生入学者は二名しかいません。ってことになっているわけだ。

 

確かに教官を倒したっていうのは力を持っていることにはなるけど、この三年間でどうなるかなんて誰も予想できない。もしかしたらこのクラスの中から日本の国家代表が出るかもしれない。勝利したことは確かにすごいけど、それをだしにお高くとまっていたらそれ以上上には行けないだろう。

 

だがどうやら、どう言いくるめようとしてもオルコットは納得したくないらしい。さらに捲くし立てながら、身を乗り出して顔を近づけてきた。

 

 

「あなた! あなたも教官を倒したっていうの!?」

 

「えーっと……落ちつけよ。な?」

 

「こ、これが落ち着いていられ……」

 

 

 ますかと言い切る前に、休み時間終了の鐘が鳴り響く。流石にこれ以上話しているとまずいとオルコットも察したのだろう、渋々俺たちから離れて、自分の席に戻っていく。

 

 

「話の続きはまた改めて! よろしいですわね!?」

 

 

 後姿からすでに怒りの感情がメラメラと伝わってくる。やれやれ、せっかく視線に慣れたかと思えば休む暇なんてあったもんじゃないな。あれか、俺たちにここにいる以上は休むなっていう暗黙の了解でもあるのか。

 

……いやぁ、お気遣い感謝します。

 

 

「何だったんだ、あれ?」

 

「さあな。別に目に見えて危害を加えようとしている訳じゃなさそうだから、ほっといてもいいんじゃないか?」

 

 

キンキンと響く高音の声は正直うるさかったけど、闇討ちしようだとか、一キロ離れたビルからスナイプするとか考えている訳じゃなさそうだし、放っておこう。

 

 

「そうだな。大和、俺正直今日一日体力が持つか不安になってきたよ……」

 

「ああ、俺もだ……」

 

「………」

 

「………」

 

「「……はぁ」」

 

 

一夏とため息がはもる。

 

本当に今日一日、体力がもつのか不安になってきたな。あとで胃薬でも買っておこう、大変だとは思っていたけど、これは想像していたものよりきつそうだ。


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