「一撃!?」
その光景に目を疑った。
(本当に倒しやがった…。)
目の前にいる師がとんでもない化け物であることを初めて知った。
正直目が悪いのは昔からであったが、ここまで人を見る目がないとは思ってもいなかった。
動揺しながらも杏の方を素早く向いた。
やはり驚いてた。
「思ってた通りです。」
突然怪人の死体の前に鎌を持った男が現れた。
「どうもー。私はジャック。王直属の殺し屋です。あなた方に快楽を与えに来ました。」
白井はジャックの能力を見ようとした。
しかし、文字化けして見ることが出来なかった。
「!?」
白井はウチらを助ける為にジャックを蹴飛ばした。
「なんてこった。ぱんだこった。抜け出せん。」
白井の足はジャックのマントの中へ吸い込まれるように入っていき、アスファルトから足が生えた。
「本当ならば影の中に閉じ込めて起きたかったのですが、あなたには弟子の死ぬところを見る仕事があるので。」
ウチはその瞬間危険を悟った。
(ヤバイ…。今のウチじゃ、どう転んでも勝てない。)
「安心してください。直ぐには殺しませんので。」
そう言うと、ジャックの周りから紫色の煙がたち始めた。
その規模は視界に入る人々が見えなくほどである。
(やべっ。意識が…。)
そこで意識が途絶えた。
神原はふと目覚めた。
そこは今までいた場所とはまるで違った。
何故ならそこは草むらの中だったからである。
170㎝くらいだと思う。自分をスッポリと包み込むような草むらであった。
しかし、遠くの方を見ると黄色の花びらを付けた花あった。
量からしてお花畑なんだろう。
だが、この世のモノとは思えぬほど神々しく、キラキラと輝いていた。そしてウチは花の美しさに吸い込まれる。
ジジッ。
頭の中に数刻前の、気絶する前の風景が映像として流れた。
立ち込める紫色の煙。バタバタと倒れていく人々。
(あれっ、今まで何してたっけ?)
少しの間考え込んだ。
う~ん。
少しずつ思い出していく。
足を固定された白井さん。
そして…。
数刻後に草むらの間で立っていたウチは現在へ戻ってきた。
相変わらず趣味の悪い色だった。
違和感があると言えば、自分にそっくりな人が倒れていたことである。
(やばい!)
自分が今、死にかけいることに気づいた。
(11年前のデジャブか!?)
ふと自我を取り戻すとゆっくりではあったが、ジャックへと攻撃を仕掛けており、弱々しく殺意のこもっていた。
だがウチがいるのは数メートル上の空気であり、地上で戦っているのも自分であった。
っ!
そこで一度意識が途切れた。
気づいたら目の前にジャックがおり、ジャックもまた自分の前にいた。
「ウフフフフフッ!」
ジャックはとても楽しそうにウチを苦しめていた。
最初に皆を巻き込んだ催眠ガス、寝込みを襲いに来たかのような鎌の斬撃、そして今始まった大量の武器の雨。
避けているが、長時間の戦闘で体力の限界がきていた。
今にでも停止しそうな肺。
だが止まったらそのまま命が停止するほどの斬撃。
呼吸を乱せばその反動でしばらく動かないであろう肺。
全てがギリギリだった。
無数の斬撃が勢いを緩まってきた。
「これで貴方は終わりです。」
そう呟き、神原には温度のない斬撃が四肢を切り落としていった。
四肢が無くなるのに気づくのは早くなかった。
滑らかな切断面。流れ行く血。それらはピカドンが落ちる前の青空のように静かだった。
手足の感覚が消えた神原はゆっくりと自分の四肢を確認した。
それを認識した時、初めて痛みが襲ってきた。
「!!!!!」
今まで感じたことのない痛みだった。
4方向からの痛みが体を押さえつけてきた。
痛みの重力に教われて声を出す処か意識さえも飛びそうになった。
いや、正確には何度も意識を飛ばされ意識が戻る繰り返しだった。
少しずつ痛みの重力にも感じなくなってきた頃、ジャックの顔がかすみながらも見えるようになっていた。
「いいか…、ウチはこれからも死ぬ。しかし、ウチが死ぬのはお前が強いからじゃない…。ウチが弱かっただけだ…。」
そう言って、意識が途絶えた。
神原が意識を失う少し前。
足を封じられ動けなくなった白井は懐から球体を出した。
数十メートル先のジャックに致命傷を与えることができなさそうなものだった。
(ほいっ。)
数十メートル上まで飛ばした球体は昼間の中で眩しく光るほどの閃光を数秒間放ち静かに消えていった。
またその同じく時にして、ある男が動いていた。
白い服の後ろにはその小さな体に似合わないくらい大きな刀を背負っていた。
「まったく、役立たずども目が。」
〈キャラ紹介〉
・ジャック
能力:???
得意なこと:感情のコントロール