と言うことで9月の終盤、何とかギリギリ学校に行けるくらい体が治っていた。
と言っても体が完治に近づいてきた訳ではなくただ学校に行かなければ成らないという使命感だけで学校に来ていただけだが。
そのため、四肢の縫い目はまだ痛むし、満足に動くことすら出来ない。たまに血もにじむ
しかし、誤魔化し続けた。だって嫌じゃん。休むと色々提出しんといかんし、授業うのノートも纏めて書かんといかんし。
と言うことで早速学校に着いた。
もちろん、車だ。こんな状態で毎日自転車こげば痛みにうなされながら学校に行く羽目になる。
そこら辺は常識的であると思う。
まぁ、そんなこんなで学校に着くとチラホラと空席があった。
(何でこんなギリギリになってから着くようにしてるんかねぇ。自分なら不安で仕方がない。)
そう心の中で呟きながら教室に入り自分の席に向かった。
そこには炎魔がいた。
おはよう。そう一言言った。
おはよう。そう炎魔は返した。
そしていつも通り炎魔を含む3人で軽く話をするとあっという間に朝の回が始まった。
「一時間目は10月にある文化祭の話し合いをする。」
先生はそう言った。
(文化祭かぁ。何だか楽しそうやなぁ。去年までのウチなら全体残念やったわ。)
神原は出店や演劇、その他多くの期待を膨らませていた。
なんせ初めての文化祭であるからだ。
そう色々考えている内に10分がすぎ休み時間となった。
ほんとだったら友達とあれやこれやと文化祭の会話をする所だが元々人見知りだったウチは友達と大した会話をせずそのまま一時間目へと突入した。
なーんて感じで突入した一時間目。
最初はリーダー決めるのに一時間を食い、四時間目の英語すらも潰れて文化祭の内容が決まった。
あのあと文化祭で悲劇いや黒歴史を刻むとは誰も予想していなかった。
いや内心そう思っていた。
少なくとも今の自分にはそこまでの確証はなかった。
この先、5、6時間目は何事もなく過ぎていった。
「それにしても何であんな弱っちぃやつが選考されてんだ?」
そこは山の奥深くに建つ一軒の家の中である。
「そんなにも知りたいことか?白刀。」
日本刀のようなものを腰に差している男が言った。
「そりゃそうさ。あんな弱いやつが人類を守れるとは到底思わん。あんたもこの間神原の見舞に行ってそう思わなかったか?」
「そうだな。あまりにも貧弱すぎたな。だが白井も何か考えがあっての事だろ。あんま気にすんな。」
「…。」
白刀は何も言い返せなかった。
すぅー。深呼吸をし少し気持ちを落ち着けてから白刀は聞いた。
「マスター、あんたの本名は何だ?」
「俺の事はウェポンマスターと呼べといつも言ってるだろ。」
「今初めてです。」
「あはっ。」
マスターと呼ばれているその男は軽くふざけていたかのように笑った。
今に戻る。
「神原大変よ。すぐそこで怪人が暴れてるの。救援に来てちょうだい。」
自転車を引きながら学校に出る途中、偶然杏に会った。
いや、明らかに待ち伏せされていた。
「今日は日常回だ。誰が何と言おうとも戦わん。」
「いいから早く来てよ。もう既に一人犠牲者が出てるの。」
「死んだのか!?」
ウチは少しだけ興味津々になって聞いた。
「まだ死んでないわよ。そうなる前に来てって言ってるの。」
「嫌だ。」
きっぱりと断った。
「何でよ。」
「ウチは別にそいつがどうなろうが知ったこっちゃない。顔も知らんやつの為にわざわざ行こうとは思わん。ウチは趣味でヒーローやってるだけだからな。」
「後で何か奢るから。」
「分かった。ならバトスキャ10回分で。」
「バトスキャが何か知らないけど分かったわ。」
杏はウチの手を強引に怪人のいるところへ引っ張っていこうとした。
「ちょっと待て。」
突然神原は杏を止めた。