ウチは目を覚ました。どうやらベッドの上のようだ。
突然頭の中に気絶する前の記憶が流れ込んできた。
(そうだ…。あの時、隕石が降ってきて。)
すぐさま隕石の事を聞き出そうと思い、ベッドを飛び出そうとした。しかし、体が思うように動かないことに気づいた。
(そうか、これは後遺症!?)
「それただの筋肉痛だよ。」
ふと、右側を振り向くと髪がパーマっている白衣の青年?が座っていた。
「驚いたねぇ。たしか君、鬼ごっこの鬼してただけだよね?」
(鬼?あぁ、確かに鬼ごっこだったかも。)
「ただ追いかけていただけなのに重症だねぇ。しかも、全然回復してないのに3時間で目覚めて。」
その時だった。突然建物全体が揺れたあと悲鳴が聞こえた。そしてナースの花田さんが息を切らしながらもドアを力強く開けた。その行動からも今の状況を伺える。
「早く逃げて!」
「よし、今回だけだぞ。こう見えても僕は運動音痴だから援護は君に任せる。」
そう言って彼はウチの体の至るところに針を刺した。
刺したかと思えばすぐに抜いた。
「これで少しは動けるはずだ。頼んだぞ。」
そんなこと言われてもCの下なのにこんなの無理やん。しかし、見た所他に戦えそうな人がいない。そこに違和感を感じていた。
一方その頃…
白い砂浜、そして水着。楽しいはずのビーチで杏は危機迫る表情をしていた。
「あの白井さんが…?」
杏の目の前には黒いスーツにストレートなロン毛の男が壺を持っていた。
「この壺の中では流石に手も足も出ないようね」
杏は焦っていた。能力を知れる能力者、しかもベテランが捕まって出れない。その事実に驚きを隠せなかった。
男は壺を撫でながら、ふっ。と、余裕の笑みを浮かべていた。
杏は流石の状況に手も足も出ないだろうと諦めかけていた。
ふと、男が壺を持っていることにある連想をした。
蠱術だ。蠱術といえば壺の中に毒虫を入れ、最後の一匹になるまで殺させる呪術のはず…。けれども壺の中には白井さんだけ。そういうことか!
杏は男の所まで一気に距離を詰めた。そして、壺を蹴り割ろうとした。これで白井さんを助けられるとホッとして確認してみると壺は割れていなかった。
っ!
男は余裕そうな顔で、バーカ!と言って杏を蹴飛ばした。5m飛ばされて一瞬意識を失いかけたがすぐに体勢を取り直した。
その時、武装した人たちが数人、男に向けて催眠玉を投げつけた。いきなり過ぎて男は抵抗できずに気を失った。
壺は発光しだすと中から白井さんが出てきた。
「あー、危なかった。」
その言葉からも表情からも不安も焦りも感じられなかった。
「危なかったじゃないの。どうせ知ってて捕まったんでしょ!」
幼い少年がイタズラでもしたかのような表情をしながら、すまん。とだけ言った。
「よし、彼らの援護でもするかのぉ。」
白井と杏は武装した人たちと共に神原たちの援護へと向かった。