娯楽部っ!   作:アポロ231号

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はじめまして!
この度は読んで下さりあざます!(真面目にやれ)
基本的にはゆる〜い感じに書いてく予定ですので、ゆる〜い気持ちで読んでってください




Stage1 初対面で人のことを罵倒するのはやめておけ

 

「ねぇ、キミは今を全力で楽しんでる?」

 

 

 

あの日、あの場所でキミに出会わなければ、きっと俺の人生はつまらないままだっただろう。ちなみに何故こんなことを言われたのかと言うと、時を遡ること数時間前────。

時刻は昼の12時過ぎ、そろそろ授業終了を告げる音が鳴る頃合い。ある者は時間をチラチラ見ている奴、既に教科書などを片付けている奴、今食っている奴もいる。

先生が注意しようとした矢先に授業終了のチャイムが鳴り響く。

 

 

「ふぃー終わった終わった。結弦、一緒に昼飯食おうぜ」

 

 

自己紹介が遅れたが、俺の名前は【八神 結弦(ヤガミ ユヅル)】。そこら辺にいるごくごく普通の高校1年生だ。

昼飯を食べるべく俺たちは教室を出て食堂…には向かわず、階段の上って屋上に出る。

なぜ屋上に来たのかというとだな、教室で食べるとクラスメートの話し声とかで色々うるさい。食事というのは救われてなきゃダメなんだ。二人で静かで豊かで……。

 

 

「おーい、何突っ立ってんだよ。早く食おうぜ」

 

 

そんなことを心の中で呟いていると友人が座り込み弁当のフタを開ける。

俺の腹もぐぅぐぅ鳴っていることだし、そろそろいただくとしよう。隣に座り込んで持ってきた弁当を開ける。

 

 

「なぁ、さっきの授業の内容さ、さっぱり分かんなかったんだけど」

 

「あぁ、あの先生早口すぎて途中何言ってるか分からなくなるからな」

 

「ハゲチャビンって言ってなかった?」

 

「ンな事言ってねえよ。……多分」

 

 

そんなクソつまらない会話を続けているといつの間にか弁当の中身は空っぽになっていた。

余韻に浸っているのか、残ったジュースを飲みながら空を見ている友人。釣られて俺も空を見てしまう。

別に変わったものなどない、ただ青い空に雲を眺めているだけの静かな時間帯。

ふと、何を思ったのか友人が呟いた。

 

 

「あぁ……なんか満たされてるって感じがする」

 

 

ジジイかお前は!?なんで高校生が弁当食い終わって空見ながら満たされてんだよ!感性お爺ちゃんかよ!

と、心の中で思いながら「そだねー」と返す。

 

 

「こんな良い天気の日は思いっきり遊びてえなぁ〜!野球とかサッカーとか!」

 

「俺にはお前の気持ちがよう理解できんわ……」

 

「えぇ?こんないい気分の時には遊ぶのに限るだろ。よく食って、よく遊んで、よく寝る。これが人間の理想の生き方ってもんよ」

 

 

そんなもんかね?と、俺は思った。確かに人が生きる為に必要なもんなのかもしれないが、少なくとも俺にはそんな生き方は嫌だね。だって疲れるだけだし。

実際、自分はそこまで楽観的に生きられるような人間ではない。適度に勉強して、適度に過ごして、平凡で平和な人生を謳歌できればそれでいい。我ながら枯れた考えとは思っている。

 

 

「あのなぁ結弦、お前って男は……っと悪ぃ、まだ時間あるけど俺行くわ。この後先生に呼ばれてんの忘れてたわ」

 

 

空になった弁当箱を持って屋上から去っていく友人を見送って俺は再び空を見る。

流れていく雲をただただ眺めて時間を潰していく。正直面白くもなんともない時間。

5分ぐらい経過しただろと思って時計を見たらまだ1分も経過してなかった。つまんねえな…と不意に口に出してしまった、そんな時だった。

ふと後ろを振り向くと塔屋に座っている女子生徒がいた。透き通る銀色の髪が綺麗な少女、ネクタイの色からして多分俺と同じ1年生だろう。

 

 

「ねえ、生きてて楽しい?」

 

 

出会って数秒でいきなり罵倒された件について。悲しい。

 

 

「貴方、何の為に生きてるの?そんな人生悲しくない?」

 

 

初対面の相手に此処まで言うか!?さてはこいつSか、Sなのか!?

このままこの女に言われるのはちょっとムカつく……なのでちょっと反論してみた。

 

 

「誰だよお前、いきなり人のこと罵倒しやがって。あとパンツ見えるぞ早よ降りろ」

 

「……由依、【紫乃月 由依(シノヅキ ユイ)】。あとパンツは履いてない」

 

「嘘だろオイッ!?」

 

「うん、嘘」

 

 

こ、こいつ…!人を揶揄ってやがる…!ちょっと期待した自分が恨めしい。

紫乃月と名乗った女子は塔屋に座りながら延々と言葉を吐き続ける。

つまらない男だ、ロボットみたい、散々言いやがる。泣きたくなってきた。自分、涙いいッスか?

 

 

「で、それが何だってんだよ。お前には関係ないだろ」

 

「ない。でもそれはダメな生き方だと思ってる。彩りも、潤いも、何もない。それだといつか壊れちゃう。だから──」

 

 

「私が変える」と彼女は言った。泣きたくなる言葉の暴力の最後に言ったのは、暗くなった心を晴らすような一言だった。だがしかし、俺には効果などなかった。この程度で泣く俺ではない…ないのだ…(鼻声)

昼休み終了の報せを告げるチャイムが鳴り、屋上から去ろうとすると紫乃月に呼び止められる。おのれこの女、まだ何かあるのか。

 

 

「降りられないから降ろして」

 

「……なんで上に登ったん?」

 

「こうすればカッコいいかなって」

 

「さよか……」

 

 

───────────────────────

 

───────────

 

────

 

 

放課後となり、生徒たちが部活活動に勤しんでいる中、帰宅部である俺はそそくさと帰る準備を進める。

早く帰らないとあの女に何されるか分かったもんじゃない。それに今日スーパーの特売日なんだよね、これは逃せない。

教室から出ようとドアを開けると、そこには紫乃月が既にスタンバっていた。遅かった……!

 

 

「だいぶ待った。それじゃあ行くよ」

 

「行くって何処にだよ?」

 

「部室。私が所属してる部活の部室。そこに行くの」

 

 

拒否権は…ダメみたいですね。こうなったら仕方ない、適当にやって適当な所で帰ろう。渋々彼女の後ろに付いていく。

 

 

「部活って何やってんだよ?漫研か?」

 

「違う、私が所属してるのは…まあ見れば分かる」

 

 

到着した教室に入ると、部室というにはあまりにも生活感がある感じだった。具体的に言うと少し大きめのソファーに漫画の山、学校に置いてるのがおかしいゲーム機等がたくさん置いてあったのだ。

おい、ここ本当に部室だよな?なんでゲーム機置いてあるの?W○iとか3D○とか置いてあるんだよ?

 

 

「なあここ部室だよな?なんでこんなもんあるの?おかしくない?」

 

「おかしくない。だってここ、『娯楽部』だもん」

 

「『娯楽部』? なんだよそれ?」

 

「マンガを読んだり…ゲームをしたり…色々楽しむ部活。何をしてもいい、自由な活動。それが『娯楽部』…」

 

 

何かを探しながらそう答えた。ただひたすらに遊ぶ為だけの部活…すいませんちょっと理解できないですね。

誰だよこんな部活設立許可した奴。生徒会長だったわ。大丈夫かウチの生徒会長。

紫乃月が小さい声で「あった」と呟くと、机に置かれたのは将棋、オセロ、チェスだった。これで何すんねん。

 

 

「今から勝負。これ全部やって一回でも勝てれば貴方の勝ち。もう何も言わない」

 

「……もし負ければ?」

 

「娯楽部に入部してもらう。それと私のオモチャ…じゃなくて玩具になってもらう」

 

 

どっちも同じ意味だよ!? やっぱこいつSっ気強いよ!!怖い!!

まあ、なんにせよ勝てればいいだけの話だってのは分かった。

自慢ではないが俺はこういった頭を使う遊びは少し得意だ。妹相手に本気でやって泣かしたことがある俺にとって有利すぎる条件だ。

関係ないが妹を泣かしてから一度も対戦してくれなくなった。反省している。

 

 

「問題ない。貴方が負けて、私が勝つ」

 

「上等だ……全勝してやらぁ!」

 

 

2時間後、3戦やって全敗した。なぜこうなってしまったのかダイジェストでお送りしよう。

チェス、普通に負ける。オセロ、盤面白一色で負ける。将棋、何とか拮抗するも最後の最後で王手を取られてしまう。圧倒的…っ!圧倒的大敗…っ!この女クソ強え……!

 

 

「全部勝った。約束通り入部……」

 

「ま、待て!もう一回、ワンモアチャンス!次はぜってー勝つ!」

 

「……分かった」

 

 

泣きのもう一戦を申し込む。最早俺の中にプライドなど存在しない…奴はこの戦いにはついていけないから置いて(捨てて)きた…!

チェスはダメ、オセロもダメ、一縷の望みに賭けて将棋で挑む。頭をフル回転させるのだ、我が頭脳!(ショート寸前)

俺は熟考しながら駒を進めるのに対して紫乃月は黙々とスムーズに駒を動かす。クソが…何がなんでも負かしちゃる…!!!

 

 

「……ねえ、なんで将棋で挑んだの?」

 

 

パチッパチッと駒を進めてると、紫乃月がそう聞いてきた。単純な事だ、将棋(コレ)のが一番勝率が高いからだ。

さっきやって分かったが、こいつは将棋は然程得意という訳ではないようだ。それでも強いことには変わりないが。矛盾してる?気にするな。

オセロでリベンジも考えたが、心が折れそうだから絶対にノーだ。

 

 

「そこまでして勝ちたいのは、なんで?」

 

 

なんでって、そりゃお前に勝って……勝って……。

そういや俺、何で勝ちたいんだろ?オモチャにされたくないのは勿論だが、決してそれだけじゃない筈だ。

多分、俺が勝ちたい理由は────。

 

 

「【勝つのが楽しい】から、でしょ?」

 

「……まあ、そうだな。そうかもしれねえな」

 

「私は…勝っても負けても、どっちでもいいと思ってる。全力で出し切って遊んだのなら…それはとても『楽しい』ことだから。子供でも分かる事、違う?」

 

「────それは……」

 

「はい、王手」

 

 

んがぁ!!!??あ、あともう少しだったのに……!ちくしょう…ちくしょおおおおっ!!!

悔しさのあまり暴れていたらバランスを崩して椅子から転げ落ちてしまう。背中痛ァ!?

倒れた俺を相変わらず無表情で見下していると、ふっと柔らかく微笑む。

 

 

「子供は成長して、いつか大人になっちゃう…。大人になっちゃえばその心をも忘れちゃう。中には子供のままの人もいるけど…。だから私たち子供は『今を全力で楽しむ』んだよ…。ねえ……」

 

「キミは今を全力で楽しんでる?」

 

 

その言葉に何も言えなくなってしまった。確かに今の俺は、大人になろうと必死に『大人ぶってるだけの子供』だった。

『今を全力で』、か……。出会ってから半日も経っていないが、今までの彼女の言葉で一番刺さった一言だろう。刺さりすぎて重症だ、致命傷といってもいいレベルの重症だ。

『娯楽部』、『自分の思う喜びを見つける部活』……。入部すれば俺だけの「楽しみ」を見つけられるのか?

 

 

「知らない」

 

「オイコラふざけんな」

 

「ふざけてない。それを見つけるのは貴方、私は私の好きにやるだけ。大丈夫、きっと見つかると思う…だから」

 

 

微笑みながらスッと手を差し出される。

ぶっちゃけこの手を取らずにそのまま普通に平凡な日々を過ごしたい。だけど、約束は約束だ。それに……。

 

 

「八神 結弦だ、これからよろしく頼むわ」

 

「ん。よろしく」

 

 

俺の高校生活、この女の言う通り変えられるのなら変えてみたい。

面白味も何もない、灰色の景色でしかなかった俺の世界を極彩色の世界に。

これが俺と彼女、【紫乃月 由依】との出会いの話────。

 

 

「言い忘れてたけど1勝ごとにジュース奢り。4勝で4個、あざーす」

 

「なんでだよっ!?」

 

 

やっぱ入部しなきゃよかった……かな?

その後ジュース4本買わされた。




おかしい…なぜ少しシリアスっぽい雰囲気になってしまっているのだ…

ま、まあ次からはギャグとか多めになると思うからえっか!

次回は出来れば一週間以内…に投稿できたらいいなぁ…(遠い目)

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