今回はツカサの辿ったこれまでの空白の時間について明かしていきます。
令和・ザ・ファーストジェネレーション観てきましたが…ガッツリ1型が好きになりました。
あんなかっこいい父親ライダー、久しぶりに見ました。
感想、評価が作者の力になります!
『この本によれば、普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『生きて帰ることを誓い、立ち上がった我が魔王と妃の白崎香織はかつての宿敵である魔物を討ち果たすが、そこに本来この世界に存在しないはずの怪物『スマッシュ』に襲われる』
『絶体絶命の中彼らの窮地を救ったのは、行方不明になっていた我が魔王の兄、南雲ツカサだった。彼はいつの間にか仮面ライダーディケイドの力をものにしており、その圧倒的な力を遺憾無く発揮』
『我が魔王達と感動の再会を果たし、彼は語る………行方不明の間に知った、『仮面ライダー』の存在に関して』
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ツカサとの再会から数日。
ハジメ達は洞窟の探索を続けながらツカサにこれまでのことを尋ねていた。
「なあ兄貴…俺達と離れていた間、兄貴は何があったんだ?」
気になったのはツカサの持っていた『ネオディケイドライバー』なのだろう。
ツカサは少し考える素振りを見せると、ゆっくりと語り始めた。
「…あれは、俺がお前達と一緒に橋から落ちていった時のことだ」
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気が付くとツカサは、薄暗い洞窟の中で倒れていた。
「ぐ………俺は、一体…?」
ゆっくりと起き上がって近くの壁によりかかっていると、ツカサは自分が橋から落ちたことを思い出す。
だが、それにしては自分の居た場所が明らかにおかしかった。
川の中にいたわけではなく、まるで建物のように整備された洞窟で倒れていた。
「そうだ…ハジメ…白崎…!」
一緒に落ちた2人の安否が気になって歩き出したツカサだったが、洞窟の中を歩いていると不思議な場所にたどり着く。
「これは…建物!?」
朽ちてはいたものの、それはトータスの建築様式とは異なる、どこか懐かしい雰囲気を漂わせる建物。
そこの玄関には日本語で『光寫眞館』の看板が掲げられていた。
「写真館…どうしてこの世界に?」
疑問に思いながらもツカサは慎重に写真館に入っていく。
「っ………」
埃が溜まっていた写真館にむせそうになるツカサだったが、その中で彼がたどり着いたのは背景ロールのあった部屋。
どういうわけかその部屋だけはホコリ一つ見当たらなかったのである。
「これは…!」
ツカサが見つけたのは、その背景ロールに描かれていたもの。
それは『黄金の魔王が人間族、魔人族、亜人族関係なく全てを滅ぼしていく』様を描いたものだった。
その瞬間、ツカサは引き込まれるように背景ロールに触れ…
「ガッ!?なんだ…これ!?」
いきなり、頭の中に何かの映像が刷り込まれていくような感覚を覚え、酷い頭痛に膝をついてしまう。
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「う………」
気が付くと、ツカサは不思議な空間にいた。
「…どうやら、継承される時が来たようだな」
ツカサの前に現れたのは、どことなく彼に酷似した風貌の青年。
不思議なことに、彼の首にかけられたトイカメラのデザインはツカサの趣味と一致していた。
「あんたは…俺をあの洞窟に連れてきたのはあんたなのか?」
「ああ…だが、俺の力ではどうやらこれが限界らしい。この世界に蔓延る妙な力が俺達『オリジナルの仮面ライダー』の存在に干渉するらしくてな」
青年の言葉にツカサは疑問を持つ。
「仮面ライダー…?それって、なんだ?」
「………人間の自由を、そして己の誇りを守るために戦う存在。俺はそう認識している」
青年はマゼンタカラーのバックル『ネオディケイドライバー』をツカサに投げ渡した。
「本来なら俺達が乗り込んで対処するべきなんだろうが…世界を自由に超えられるはずの俺ですらどういうわけかこのトータスという世界には渡れない。できたのはせいぜい、こいつをコピーしてこの世界に生きている人間に託すくらいだった」
ツカサがネオディケイドライバーを見つめていると、青年が語る。
「だが…既に一度この世界に誕生した仮面ライダー達は敗北して、その力は歪んだ形となってあいつらに…『タイムジャッカー』に奪われたからな。俺達が新たに託した力は様々な形で眠っている」
青年が指を鳴らすと目の前に19個の光が現れ、そのうち7つは足元に現れたトータス全体の地図の中に消え、1つは青年の手に。残った11個の光はツカサ達の周囲を飛び回っている。
「この世界の真実を記した場所、七大迷宮にそれぞれ7人のライダーの力が封じられ、ディケイドの力は本来持っている俺に…残った力はふさわしい宿主を探しながら数千年もの時間を彷徨っている…そして」
青年は懐から、何か時計のようなものを投げ渡してきた。
「そいつはライドウォッチ。さっき言った俺達仮面ライダーの力を文字通り『全て』記録することが可能な唯一のデバイスだ。あいにくそいつは何の力も宿っていないが…それを必要とする奴がいたらバックルに秘められたディケイドの力の半分をそいつに宿せ。そうすればお前は力をウォッチに移しても戦うことは可能だ」
続けて、青年は重大なことを口にする。
「ライダーの力を全て集めることができれば次元の一つや二つ、簡単に超えられる…つまり、お前達の故郷へと帰還できるってわけだ」
「なっ…!?」
ツカサは、手渡されたブランクライドウォッチをじっと見つめる。
「これがあれば…俺達は元の世界に帰れるのか?」
「ああ。悪いが、俺が説明できるのはここまでだ。あとは…この世界に生きるお前達が物語を紡いでいけ」
そう言うと、青年は踵を返して去っていこうとする。
「ま、待ってくれ!俺はどうすればいい!?」
「簡単な話だ。まずはその力を使いこなして、お前の探している相手を見つけろ」
青年…門矢士はツカサの方を振り向く。
「そうすればいずれ、全てのライダーの力がジオウに…時の王者に受け継がれる」
そう言い残し、門矢士は姿を消す。
それと同時に、ツカサも意識を失っていった。
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そして現在…
「で、あとはディケイドの力に慣れていくために戦いながらお前達を探し回ってたわけだ。残念ながら気が付くと例の写真館跡地は消えて非常食くらいしか残っていなかったから、それからはずっと野宿だな」
ツカサはハジメと香織の拠点である穴の中でこれまでのことを語っていた。
「なるほどね…じゃあ、ツカサ君はあの怪物たちのことも知ってるの?」
「ああ。奴らはスマッシュ…」
そう言うとツカサはライドブッカーから1枚のカードを取り出してハジメと香織に見せる。
「この『仮面ライダービルド』が戦った怪物の一種で、どうやらこの迷宮の先にはビルドの力が眠っているらしい」
よく見ると、薄らとだがビルドのカードが光っている。
「もしかして…ライダーの力が近づくとカードが光るのか?」
「ああ。だから俺はこの反応を探しながら洞窟の中を探索していた」
そこまで語ると、ツカサはライドブッカーにビルドのカードをしまった。
「で、これからどうするんだ?」
ツカサの言葉にハジメ達が反応する。
「どうって…決まってんだろ。これだけ探索しても上への道は見つからなかった…なら、とことん降りていくだけだ」
「そうだね…まずは進まないといけない。ひょっとしたら脱出のためのヒントとかも見つかるかもしれないもんね」
探索していた結果、地上へと繋がる道は存在せずハジメもダンジョンの壁や天井を錬成で掘削していくという反則的やり方は一応試した。
だが、一定の範囲を進むと壁が錬成に反応しなくなっていたのだ。
ハジメはこの現象に関して『神代の時代に作られた迷宮に仕掛けられたプロテクトか何か』と考え、上層への脱出プランは早々に頓挫してしまった。
が、その代わり地下へと続く階段は見つかっており、進む道はここしかない。
「さて…行こうか」
ツカサの言葉にハジメも香織も頷き、3人は緑光石の無い暗闇へと進んでいった…
しかし、この時ハジメ達は知らなかった。
ツカサはここまでの経緯を説明したが、一つだけ彼らに語っていないことが存在したということを。
それは、門矢士との会話が途切れる寸前に流し込まれたイメージ映像。
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そう遠くない未来。
多くの命が転がっている中で2人の男が向かい合っていた。
「ハジメ…お前、本当に全部終わらせるつもりなのかよ!?これがお前の望んだことなのかよ!?」
頭から血を流したツカサが叫ぶが、ハジメは淡々と答える。
「…ああ。もうこの世界に価値なんてない。香織を…●●を…俺の『大切』を奪ったこの世界も、あいつらも…俺にとっては等しく無価値で有害な存在だ」
ハジメの目は、この世界全てに絶望していた。
裏切り。死。それらを彼はあまりにも多く見すぎたのだ。
『ナ……南雲…!お前は…俺が倒す!』
そんな中、折れた剣を握りながら怪物…『アナザージオウⅡ』がハジメ目掛けて剣を振り下ろすが…
「変身」
ハジメが小さくつぶやくと、彼の腰に装着された金色のベルトが輝く。
《最低!最悪!最大!最恐!
オーマジオウ!!!》
おどろおどろしい音声がベルトから鳴り、凄まじい衝撃波がツカサとアナザージオウⅡを襲う。
気が付くとハジメが変身した黄金の魔王『オーマジオウ』の裏拳によってアナザージオウⅡの頭部は跡形もなく消え去っており、オーマジオウの足元には金色の鎧と折れた剣を持った男の死体が転がっていただけ。
「………もう、この未来は変えようがない。ならば…!」
ツカサはネオディケイドライバーを装着し、カードをドライバーに装填。
「変身!」
《KAMEN RIDE…DECADE!》
ディケイドに変身したツカサと、オーマジオウに変身したハジメ。
かつて最強の絆で結ばれた兄弟の姿はそこにはなく、互いの視界に入っていたのは自分の目的を果たすためにはどうしても邪魔な『敵』。
「敵は…殺す。それが俺のあり方だ。もう誰も…俺を止められる奴はいない」
「例えそれが…兄貴だろうとも!」
オーマジオウの右手に黒と金のオーラが纏われ、ディケイドの右手にも白とマゼンタのオーラが宿る。
「「………うあああああああ!!」」
互いに叫びながら振り抜かれるディケイドとオーマジオウの拳。
それがぶつかった瞬間、強い光が走り………
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(違う…あれは…『あんな未来』、起こしてたまるか!)
あの時見えたのは、自分達が辿る可能性のある未来の一つ。
自分がディケイドに覚醒したように、ハジメもまた仮面ライダーの力を得るかも知れない。いや、もう力を持っている可能性だってある。
だからこそ、あんな未来が訪れないようにハジメ達をこれからも守っていくとツカサは心に誓った…
奈落の底、ハジメ達が現在いる場所から数えて50階層ほど下に存在する大きな部屋の中。
その中で不思議なキューブ状の物体に封じ込められていた少女がいた。
「………」
何も語ることがなく、呼吸していることから生きていることだけはわかる少女。
そんな彼女の前に、月のように輝いていたものがある。
それはコウモリのような紋章と『2008』の表記が刻まれた『ライドウォッチ』であった…
次回、ありふれた職業と最強兄弟
第12話 預言者と偽の破壊者