もうすぐVシネマゲイツの公開ですが、果たして自分はいけるかどうか…
感想、評価が作者の力となります!
『この本によれば、普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『王としての道を歩み始めているものの未だに時の王者として完全なる覚醒をしていない我が魔王だが、彼らの前に運命の出会いが待ち受けていた』
『300年もの間封印された神子の少女。そして彼女が持っている力。それは………『仮面ライダーキバ』のライドウォッチ』
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「すみません、間違えました」
そう言ってハジメは扉を閉じようとする。
「って待て待てハジメ!問答無用で閉じるやつがあるか!」
「そ、そうだよハジメ君!私もうっかり流されそうになったけど…」
慌ててハジメを止める香織とツカサに、ハジメはいかにも面倒だという顔をして話す。
「あのなぁ。こんな奈落の奥底に封印されてるような奴だぞ?怪しいと思うに決まってんだろ」
呆れたように言うハジメに、ツカサも香織も一瞬だが迷いが生じる。
だが…ツカサは少女の後ろにあるものを見た瞬間、その迷いが一瞬にして消え去った。
「待って…お願い…!」
随分長いこと喋ってなかったのだろう。少女は必死に言葉を繋ぐ。
ハジメ達との出会いが、自分がこの地獄から解放されるたった一度のチャンスだと直感的に理解していたのか、彼女は必死の思いで叫んだ。
「私…裏切られただけ!」
その言葉を聞いた瞬間、ハジメは思わず足を止める。
「………っ!」
ハジメの脳裏に浮かんだのは、この奈落に落ちることになったきっかけ。
クラスメイトによる裏切りの時の記憶が頭をよぎり、ハジメは思わず足を止めた。
「ハジメ君…?」
香織が声をかけても、ハジメはしばらくの間何も反応せず動きを止めていた。
やがて…
「……くそっ!俺もまだまだ甘いってことかよ…!」
天井を見上げたハジメは少女の方に向き合い、閉めかけた扉を開くと少女に対して歩き出す。
(ハジメ…お前、やっぱり)
ツカサも香織もハジメも、奈落に落ちたのは檜山による悪意が理由だとわかっている。
ハジメ達は落ちていく瞬間に見た檜山の表情から気づいており、香織も普段の檜山のハジメに対する態度から察しはついていた。
「…ハジメ。まずは話だけでも聞いておこう。俺も…一つ聞きたいことがあるしな」
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「で、まずお前は何者だ?どうしてこんな奈落の底に封印されている?」
ハジメの問いかけに、少女はポツポツと答える。
「…私、先祖返りの吸血鬼…すごい力持ってる…だから国のために頑張ってた…」
「でも…家臣のみんなに『お前はもう必要ない』って…おじ様が王座について…でも私、不死身だから殺せなくて…それが理由でここに封印されてる…」
「お前…どこかの王族だったのか?」
ハジメの質問に頷いた少女。
「…今、不死身だから殺せないって言ってたが、どういう意味だ?」
「……勝手に治る。怪我をしても、首を落とされても魔力が残っていれば自然に治る」
「そいつぁとんでもないな。で、強い力ってのはその再生能力のことか?」
「…他にも…魔力、直接操れる。最上級魔法を使うとき、陣もいらない」
その言葉に思わず絶句する3人。
通常、トータスの魔法では適性があったとしてもそれは『最低限の詠唱や魔法陣』が必要だ。
しかしこの少女は魔法に関しては間違いなく他のクラスメイト達と比べても圧倒的に上であった。
「えっと…それって、適性のある属性だけだよね?」
「ううん…私、全部の属性に適合してるから…」
「おいおい。あの馬鹿勇者が可愛く見えるレベルのチートじゃねえか」
目の前の少女の反則的な強さに驚くハジメ達だが、ツカサはもう一つ気になったことを質問した。
「お前…こいつをどこで手に入れた?」
そう言ったツカサの手には、少女の閉じ込められている立方体の後ろにあったライドウォッチ…『キバライドウォッチ』が握られていた。
「それ…10歳の時私の手に現れた…世界を狙った、魔物の力…」
「世界を狙う…?どういう意味だ?」
訝しげに聞くハジメに対し、少女は答える。
「文献で…見た。反逆の魔物達………反逆者…神に逆らい、世界を滅ぼそうとした者達の手下だって…聞いたことがある」
「反逆の魔物?ライダーが…?」
ツカサの脳裏に、あの門矢士との会話がよぎった。
『既に一度この世界に誕生した仮面ライダー達は敗北して、その力は歪んだ形となってあいつらに…『タイムジャッカー』に奪われたからな。俺達が新たに託した力は様々な形で眠っている』
「あの言葉は…もしかして…」
「たすけて…お願い…」
思考を続けていたハジメ達だが、少女の声に顔を上げる。
長いあいだ喋っていなかったせいか言葉にするのも辛そうな少女。そんな彼女とハジメの視線が合い…
「………香織。一応神水の準備頼む」
「うん…わかった」
「兄貴は…何が来てもいいように警戒しててくれ」
「わかったよ…」
そう言うとハジメは少女を捕らえている立方体に手を触れ…『錬成』を発動させた。
「ぐっ!?」
(いつもより数倍魔力持って行かれやがる!?だけど…)
体から力が抜けていく感覚にふらつきながらも、ハジメは錬成を続ける。
「ここまできて…負けてたまるかあああ!」
ありったけの魔力を注ぎ込み…ついに立方体は崩壊。少女の体がハジメに寄りかかった。
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「マジかよ…ほんとに魔力使い切っちまった…」
ハジメは座り込みながら香織から受け取った神水を飲み干すと、その手を少女がそっと掴んだ。
「…ありがとう」
そんな少女の様子に香織の『何か』が反応し、僅かながら警戒心が出てくるがそれをすぐに自制心で抑える。
「名前…教えて」
少女の呼びかけにハジメ達は答える。
「俺はハジメ…南雲ハジメだ」
「私は白崎香織。ハジメ君の『恋人』だよ!」
「俺は南雲ツカサ…ハジメの兄貴だ」
みんなが自己紹介する中、香織はやたら『恋人』を強調していたがハジメ達はあえてスルーした。
「ハジメ…カオリ…ツカサ…」
少女は3人の名前を無意識に復唱する。
「お前の名前は?」
ハジメが問いかけると、少女は首を振った。
「………つけて」
「え?」
「もう前の名前はいらない…ハジメのつけた名前がいい」
「いや…そうは言っても…」
少女の名前を考えるハジメ。
ふと、彼女の目と髪色を見たとたんハジメは自然と少女の名前を思いついた。
「…ユエ…なんてどうだ?」
「ユエ…?」
「ああ。地球…俺達の故郷で月を意味する言葉の一つだ。お前の髪色やその真っ赤な目を見て、夜空の月を思い浮かべたからな…気に入らなかったら別の名前を考えるけど…」
ハジメのつけた名前がよほど気に入ったのか少女…ユエは嬉しそうに新しい名前を繰り返し口にする。
「ん…今日からユエ。ありがとう」
「おう。さてま、とりあえず…」
そう言うとハジメはかぶっていた爪熊の毛皮を脱ぎ、それをユエに渡す。
「これ着とけ。いつまでも全裸ってわけにはいかねえだろ」
そう言われてユエはこれまで一糸纏わぬ姿だったことを思い出した。
「………ハジメのエッチ」
「ハジメ君…?」
「…理不尽だろおい」
ユエと香織のジト目にため息をつくハジメだったが…
「お前ら、すぐに準備しろ!」
ツカサがネオディケイドライバーを装着して叫ぶと、ハジメ達の空気が緊張に包まれる。
すると、天井から巨大な蠍らしき形の魔物が現れ、それに続いて銀色のオーロラカーテンからステンドグラス状の模様の怪物たちが4体現れ、ハジメ達の前に立ち塞がる。
「この蠍…俺の気配感知にも引っかからなかった…ユエを解放したことで動き出したってことかよ!」
ハジメと香織もドンナーとレーゲンを取り出し、ユエを守るように前に立つ。
「ステンドグラスの模様…キバが戦ったとかいうファンガイアか!ハジメ、こっちは任せとけ!」
ツカサはライドブッカーからディケイドのカードを取り出し、ドライバーに装填。
「変身!」
《KAMEN RIDE…DECADE!》
ツカサはドライバーを閉じてディケイドに変身。
ライドブッカーをソードモードにしてファンガイアに挑んだ。
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「ユエ!俺に掴まってろ!」
ハジメの言葉に頷いたユエはハジメにおぶさり、ハジメは鋭い目を蠍の魔物に向ける。
「お前が俺達の前に立つのなら………お前も殺して俺達が喰らってやる!」
ハジメのドンナーと香織のレーゲン。
二つの銃から放たれる銃声が、戦いの合図となった…
次回、ありふれた職業と最強兄弟
第15話 カメンライド2008