ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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お待たせしました、蠍魔物との決着です!

ついに自宅にオーマジオウドライバーとメモリアルライドウォッチが届き、テンションが有頂天です!

感想、評価が力になりますので、いつでもお待ちしています!


第15話 カメンライド2008

『この本によれば、普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』

 

『奈落の底を進む我が魔王達だったが、進んでから50層目で不可思議な扉を発見。中にいたのは古に滅んだとされる吸血鬼一族の元王女『ユエ』。強大な力を持つ彼女は長きに渡り幽閉されており、その理由の一つは生まれ持っての強い力。そしてもう一つは…彼女が継承していた仮面ライダーキバの力だった。』

 

『彼女を解放した我が魔王達だったが、ユエの封印が解かれたことで巨大な魔物とキバの戦っていたファンガイアが目を覚ます』

 

――――――――――

 

「ハアッ!」

 

ディケイドはライドブッカーで迫り来るファンガイアのうち虻をモチーフにしたホースフライファンガイアの毒針をライドブッカーで弾く。

だが、羊型のシープファンガイアの固有能力である高速移動で攻撃を妨害され、エビ型のプローンファンガイアによる斧とカメレオン型のカメレオンファンガイアの体当たりで吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐああっ!?」

 

ゴロゴロと転がるディケイドは面倒くさそうに悪態をつく。

 

「ったく!4体同時に…しかもそれぞれ個性が違うから戦いにくいったらありゃしねえぜ!」

 

 

 

すると、ライドブッカーが勝手に開きその中から複数枚のカードが出現。

 

「これは…!どうしてこのカードが…」

 

ディケイドが掴んだのは、仮面ライダーキバに関する残りのカード。

ツカサがディケイドの力を手に入れたとき、他の仮面ライダーの力が宿ったカードこそ使うことができたが、使えたのは基本形態の力を宿したカードと必殺技を発動させるカードのみ。

しかし、ツカサの手に収まったのはキバに関する封印されていたカード。その力が突然解放されたのだ。

 

(もしかして…ユエの持つキバウォッチの影響か?それなら…!)

 

ディケイドはネオディケイドライバーを開き、別のライダーカードを装填。

 

「変身!」

《KAMEN RIDE…KIVA!》

 

不思議な音声と共にディケイドの姿がまるで違う戦士に変わる。

それは、ユエの持っていた力の持ち主とほぼ同じ姿。

 

「兄貴が…また変身した!?」

 

マゼンタと黒がメインカラーだったディケイドとは異なる、コウモリや吸血鬼を思わせる戦士。

 

ディケイド…否、『ディケイドキバ』はホースフライファンガイアに接近し、怒涛の連続パンチを繰り出す。

 

「はっ!セアアアアアア!!」

宙に浮いたホースフライファンガイアに対し、バック転の要領でキックを打ち込み相手を昏倒させると別のカードを取り出し、ドライバーに装填。

 

《FORM RIDE…KIVA!GARULU!》

 

カードを読み込むと、ディケイドキバの胸部と左腕の装甲が鎖に覆われて弾け、青く刺々しいデザインに変化。

どこからともなく飛来してきた『魔獣剣ガルルセイバー』をつかみ、ディケイドキバは派生形態『ディケイドキバ・ガルルフォーム』に変身。

 

「グルル…ガアアア!!」

 

荒々しい獣のような動きでプローンファンガイアに接近し、ガルルセイバーでメッタ斬りにする。

 

「グウオオオオ!」

 

プローンファンガイアは斧で対抗するが、柄の長い斧を振る前にディケイドキバが近づくため、攻撃がうまくいかず防戦一方に。

 

「コレデ…ドウダ!」

ディケイドキバはガルルセイバーを3連続で振り抜き、プローンファンガイアの体はステンドグラス状にひび割れて砕け散る。

 

「次ハ…!」

 

すかさず、ディケイドキバは新しいカードに交換。

 

《FORM RIDE…KIVA!BASSHAA!》

 

ラッパのような音声が鳴り、左腕が基本形態の姿に戻ると今度は右腕と胸が鎖に覆われ、緑色の魚を思わせる形に変化。

またしても飛んできた『魔海銃バッシャーマグナム』を掴み、ディケイドキバは派生形態『ディケイドキバ・バッシャーフォーム』にチェンジ。

 

「ハッ!」

 

バッシャーマグナムは高速移動を売りにしているシープファンガイアの動きを逃さず、正確に相手の足を撃つことで動きを封じる。

 

「きっちり葬ってやる!」

 

ディケイドキバは黄色のカードを取り出し、ドライバーに装填。

 

《FINAL ATTACK RIDE…KI・KI・KI・KIVA!》

 

周囲の空間が湖のような景色になり、ディケイドキバはスケートのように水面を滑りながらシープファンガイアに狙いを定め…

 

 

「くらえ!」

 

必殺の銃撃『バッシャー・アクアトルネード』がシープファンガイアを粉砕し、残るはホースフライファンガイアとカメレオンファンガイアのみ。

 

「まだまだいくぞ!」

 

――――――――――

 

一方、ハジメと香織は蠍の魔物の防御力に苦戦を強いられていた。

 

「チッ!ドンナーとレーゲンが直撃しても対してダメージがねえとはな…」

 

蠍の防御力はこれまで戦った魔物とは明らかに桁違いとなっており、ドンナーの弾丸を持ってしてもあの装甲にヒビ一つ入れることはできなかった。

 

「一点突破だと時間がかかりすぎる…焼夷グレネードは?」

「こいつでダメなら、作戦の練り直し…だな!」

 

ハジメはドンナーをホルスターにしまい、持っていた焼夷グレネードを投擲。

以前奈落に落ちる前に使っていたものと比べ、より良質なフラム鉱石を採取できたため破壊力は以前よりも上昇している。

 

 

…だが、この武器でさえ蠍の魔物には通用しなかった。

 

「マジかよ…だったら、とことん粘ってやる!」

 

時間が経てば恐らくツカサが助けに来る。

だが、ハジメはその助けを待つつもりは無かった。

 

(いつまでも兄貴に頼りきり…なんてわけには行かねえからな!)

 

蠍の魔物が放つ武装の棘をドンナーで撃ち落としながら、ハジメは心の中で決意した。

 

 

――――――――――

 

一方、ディケイドとファンガイア達の戦いも決着がつきそうになっていた。

 

「3枚目!」

 

ディケイドキバは3つ目のカードを使い、キバの新たなフォームに変身。

 

《FORM RIDE…KIVA!DOGGA!》

 

今度はディケイドキバの両腕と胸により重厚な鎖が巻かれ、まるで城塞のような紫の鎧へと変化。

出現した武器『魔鉄槌ドッガハンマー』を掴み、キバの派生形態最後の一つ『ディケイドキバ・ドッガフォーム』に変身したディケイドはドッガハンマーでカメレオンファンガイアを殴り飛ばす。

 

「ん?透明化か…」

 

途中、カメレオンファンガイアは自らの肉体を周囲に同化させて姿を消すが、ディケイドキバはドッガハンマーの掌部分に隠されたギミック『トゥルーアイ』を発動。

敵を麻痺させたり擬態した相手を探るなどの力を秘めたトゥルーアイにより、カメレオンファンガイアの姿をディケイドキバはしっかりと視認した。

 

「そこか!」

 

ディケイドキバはカメレオンファンガイアに対し、電撃を纏ったドッガハンマーを振り抜き一撃でカメレオンファンガイアを粉砕。

復活したホースフライファンガイアに対し、ディケイドキバは最初の姿に戻って黄色いカードを取り出す。

 

「残るはお前だけだ!」

《FINAL ATTACK RIDE…KI・KI・KI・KIVA!》

 

必殺技を発動させる音声が鳴り、ディケイドキバの右足に巻きつけられた鎖『カテナ』が解放。

右足についた赤い翼『ヘルズゲート』を展開したディケイドキバは高くジャンプし、ホースフライファンガイアに対しキックの体勢に入る。

 

 

「ハアアアア!!」

 

ディケイドキバの必殺技『ダークネスムーンブレイク』が炸裂し、ホースフライファンガイアはステンドグラスのように砕け散った…

 

 

――――――――――

 

「ここまでしても攻撃が通らねえのかよ…!」

 

ハジメは棘が刺さった右足に少量の神水をかけながら毒づく。

さっきから装甲以外の目などを狙おうとしても、蠍の魔物が持つ4つのハサミなどに妨害されて攻撃が一向に届かないのだ。

 

「………どうして?」

「あ?」

「どうして…逃げないの?」

 

ふと、背負っていたユエが聞く。

間違いなくあの魔物は自分の封印が解けたことを考えて配置された敵。

つまりユエが残りさえすればハジメ達は命をかけてこの魔物と戦う必要はないのだ。

 

 

「…そんなの、決まってんだろ」

 

ハジメはドンナーに弾丸を再装填しながら答える。

 

「もうお前を助けたんだ。ちぃとばかし強い敵が出たからってお前を置いて逃げるようなら、最初から助けたりしねえよ」

 

元来、ハジメは弱くとも誰かに対して手を差し伸べられる優しい人間だった。

奈落で戦うと決めてからは余計な慈悲などを切り捨てたものの、それでもハジメは自分が助けると決めた相手を見捨てるということは最初から選択肢には取り入れていない。

 

「それがハジメ君の…そして、私達の決めたこと。だから、ユエちゃんを助けると決めた時点で、私達は目の前の敵と戦う以外の選択肢は無いの」

 

ハジメと香織の決して引かぬ決意。それを見たユエはハジメ達を助けたいと願い、この状況を打破する方法を必死に考えた。

そして…

 

 

 

 

「ハジメ…私に作戦がある」

「へえ…?」

 

チラリと背負っているユエの方を向くと、彼女は強い目で頷く。

 

「だから…信じて」

 

そう言うやいなや、ユエはなんとハジメの首筋に口をつけ、ハジメの血を吸い始めた。

 

 

「っ!?」

「ええぇ!?」

 

ハジメも香織も動揺するが、すぐにユエの種族に関して思い出したので追求することなく、目の前に迫る蠍の棘攻撃を掻い潜りながら時間を稼いだ。

 

 

「…香織。ユエの準備が完了するまで奴を引き付けられるか?」

「…やってみるよ」

 

香織はレーゲンの弾丸をリロードし、ハジメから渡された閃光グレネードなどの武器を使って誘導する。

 

「これなら…どう!」

 

蠍の魔物が棘を飛ばそうとしたのを先読みし、香織は破片グレネードを足元に投擲。

すかさずレーゲンでグレネードを正確に撃ち抜き、本来のタイムラグより早くグレネードを爆発させ蠍の魔物の足元を不安定にし、バランスを崩す。

 

「まだまだ!」

 

攻撃の隙など与えないと言わんばかりにレーゲンの足元ばかりを集中攻撃する香織。

例え攻撃が通らずとも、今の目的は時間を稼ぐこと。

ただそれだけに全集中力を割いていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

「…ごちそうさま」

 

ユエはハジメの首筋から口を離し、すべての準備が整う。

まるで指揮棒を振るうように動いたユエの指は蠍の魔物に対して向けられ、黄金色の魔力がユエの体を淡く輝かせる。

 

 

 

「…蒼天!」

 

たった一言。それが引き金となり、最上級魔法が発動。

蠍の魔物の上空に現れた青白い炎の球体は、一瞬にして蠍の魔物を焼き尽くす火柱となった。

 

 

「うっそ…」

「これが…ユエの力…?」

 

ハジメ達の視線が集中している少女の姿は、先ほどの弱々しい姿ではなく…どこまでも美しく見えた。

 

――――――――――

 

蠍の魔物が息絶え、同時にユエが倒れこむようにハジメに寄りかかる。

 

「ユエ!?」

 

香織が駆け寄り、ユエの様子を見るが、どうやら魔力を多大に消耗した影響で寝ているだけらしい。

 

「そっちも終わったみたいだな」

 

ディケイドは変身を解除してツカサの姿に戻り、ハジメ達に話しかけてくる。

 

「ああ…てか、兄貴のディケイドって随分変わった能力あったんだな…まさか、全然違う見た目になるとか」

 

先程までの能力はハジメ達も見たことがなかったが、ツカサは少し渋い顔をした。

 

「まあな…でも、キバのカードが全部解放されるとは思わなかったよ…」

(ってことは…ウォッチを集めることでディケイドの力もまた増大するってことか)

 

ツカサは復活したキバのカードを手に取りながら考えた。

 

――――――――――

 

場所は移り、ハイリヒ王国の冒険者ギルド。

 

そこでは様々な冒険者達が依頼を探したり、酒を楽しんでいた…はずだった。

 

しかし、今のギルドにいる人間達はみんな『止まっている』。

まるで…時間そのものが停止させられたかのように。

 

 

「ねえ。まだライダーの力は見つからないわけ?」

 

そんな異様な世界で、種族も年齢も性別も違う3人組が話をしていた。

 

「仕方ないでしょ…あれが簡単に見つかるなら、こんなことしてないし」

 

気だるげに語るのは、浅黒い肌に尖った耳が特徴的な魔人族の女性。

その視線の先には人間族の少年がいた。

 

「大体、スウォルツのやつディケイドとジオウをぶっ潰したとか言ってたけど、ウォズに負けて帰ってきたんだろ?なのによく威張ってられるよな」

「…やめておけ。聞かれたらお前が消されるぞ?お前が変身しても、スウォルツには勝てないしな」

 

少年は今まで喋らなかった熊人族の大男に窘められ、舌打ちする。

 

「しゃーない。じゃ、ひと仕事してきますか」

 

少年はポケットからアナザーウォッチを取り出し、立ち上がった。

 

「あら?もしかして使うの?『それ』を」

「ああ。噂程度だけど、ウォッチの手がかりはあるんだよね…確かめてくる」

ギルドの扉を出て、少年はアナザーウォッチを握り、そのボタンを押した…

 

 

 

 

 

 

『オーズゥ…!』

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟

第16話 ヴァンパイアと大迷宮再び
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