ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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大変お待たせいたしました!
久しぶりの投稿となります。

世間では今外出自粛が続いていますが、はやく収束するといいですね…

感想、評価をいつでもお待ちしています!



第16話 ヴァンパイアと大迷宮再び

『普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』

 

『奈落の迷宮を進んだ先で出会ったのは、仮面ライダーキバの力を宿した吸血鬼の少女『ユエ』。彼女との出会いは、新たなステージへ進むはじまりでしかない…』

 

 

――――――――――

 

「ってことは…ユエは少なく見積もっても300歳は超えてると」

「…その詮索は、マナー違反」

 

ジト目でユエに見られ、ハジメは気まずい表情になる。

 

現在、ハジメ達4人がいるのはユエの閉じ込められていた部屋から少し離れた場所の横穴。

いつものようにハジメお得意の錬成で壁を造っており、今回狩った魔物の肉や回収した鉱石の確認をしつつユエから彼女の過去を聞いていた。

 

「ねえ、吸血鬼ってみんなユエみたいに長生きするものなの?」

 

香織が質問する。ちなみに呼び捨てなのはユエが歳上なのが理由だったりする。

 

「ううん…人間族と比べたら長寿だけど…私は『自動再生』の技能で年も取らない…」

 

話によるとユエは他の吸血鬼族と違い、先祖返りと言える強大な力を持っているらしい。

魔物同様に魔力を直接操る『魔力操作』。

ある程度魔力が残っていれば頭が吹っ飛ばされても再生する不死身の力『自動再生』。

そしてそれにふさわしい膨大な魔力に、全ての属性に適合しているため最上級魔法ですら大したタイムラグを発生させず放てる。

唯一の欠点は身体能力が劣ることだが、身体強化の魔法があればそのハンデもある程度覆せるのだという。

 

「まあそれより大事なのはこの迷宮の出口だな…ユエ。ここに閉じ込められる前に手がかりとか見てないか?」

 

「…わからない。閉じ込められる前の記憶は…ずっと曖昧…でも」

 

ユエは過去の記憶の中から手がかりになりそうな情報を明かす。

 

「この迷宮は『反逆者』が作ったって…言われてる」

「反逆者…?」

「確か…千年くらい前にこの世界の神とかいうエヒトに逆らって世界を滅ぼした集団だろ?」

 

ハジメ達とは別で自らの天職に関して調べていたツカサは、古い文献から反逆者のことを記した本を見たことがあった。

尤も、ろくな情報が記述されていたわけではないが。

 

「反逆者達は散り散りになって隠れ潜み、ここを含む七つの迷宮を作り出したって………あ?」

 

反逆者に関する情報を口にしたツカサだったが、何かが引っかかる。

 

『この世界に誕生した仮面ライダー達は敗北して、その力は歪んだ形となってあいつらに…『タイムジャッカー』に奪われた』

『この世界の真実を記した場所、七大迷宮にそれぞれ7人のライダーの力が封じられ…』

 

「兄貴?」

 

「…ハジメ。ひょっとしたら、この反逆者ってのは………本来の呼び名じゃないと思うんだが」

 

ツカサはライドブッカーから19枚のカードを取り出し、そのうちビルドのカードを引き抜く。

 

「俺が出会ったあいつの言葉が正しければ…反逆者はライダー達と深い関係にあるはずだ。じゃなきゃ、自らの力を反逆者に託すはずがない」

 

世界を救うために戦ったという仮面ライダーが、何故反逆者に力を託したのか。

恐らく、彼らが反逆者と呼ばれているのには何らかの理由があるのかもしれない。

 

 

「…ともかく。ここが反逆者の作った迷宮なら希望は見えた」

 

ハジメは先程の戦いで消費した銃弾を精製しながら口にする。

これほどまで広大な迷宮を作ったなら、どこかに地上へと繋がる出入り口がある可能性は高い。

 

「だとしたら、これから私達の取るべき手段は…」

「最下層へと向かう。恐らくハジメの思ったとおり、そこに何かがある」

 

新たに決意した香織とツカサ。そんな彼らの姿を見て、ユエはふと気になったことがある。

 

「…3人は、どうしてここに?」

 

――――――――――

 

ハジメは、全てを話した。

この世界の神エヒトによってクラスメイト共々強制的に連れてこられたこと。

そして、オルクス大迷宮で強敵ベヒモスを倒すも、突如現れたアナザーディケイドの襲撃を受けたこと。

 

その最中脱出しようとするが、クラスメイトの檜山に裏切られてこの奈落に落とされたことまで。

 

 

 

「……ぐす……」

「ゆ、ユエ?どうしたの?」

 

説明のさなか、香織はユエがポロポロと涙を流しているのに気がついた。

 

「…ハジメ達…つらい……私もつらい…」

 

涙を流すユエに対し、ハジメは優しく告げる。

 

「気にすることはないって。クラスメイトのことも正直どうでもいいってのが本音…と言ったら少し嘘になるけどよ。それよりも、俺達は故郷に帰ることが最優先だ」

 

そんなハジメの言葉に、ユエの表情がまた暗くなる。

 

「…私には、帰る場所…ない」

 

ユエにはもう帰る場所はなかった。

故郷もこの300年でなくなり、同胞もいない彼女は今や世界に一人と言えるのかもしれない。

 

 

「…だったら、ユエも一緒についてくるか?」

 

ハジメの言葉に、ユエは顔を上げる。

 

「戸籍とか面倒事は色々あるし、魔法も存在しない世界だから住みにくいかもしれないけど…少しはマシな生活もできるかもしれねえし」

 

 

「………いいの?」

 

ユエの言葉にハジメだけでなくツカサも香織も頷く。

 

「………ん。ありがとう…!」

 

ユエは笑顔を見せる。

それは、これまでで一番の花が咲いたような笑顔だった。

 

 

――――――――――

 

一方、オルクス大迷宮の上層では光輝を中心とした勇者一同とメルド達騎士が訓練を行っていた。

 

…だが、その様子は決していい様子とは言えなかった。

 

最前列には光輝と檜山達小悪党組、中列には雫や龍太郎、鈴と恵里の勇者パーティーの他メンバー、後列には彼ら以外で前線復帰を希望してきたメンバーで、龍太郎と同様のガタイのいい生徒『永山重吾』率いる永山パーティーで構成されているが、光輝と勇者パーティーのメンバーが離れているのには理由があった。

 

 

事の発端は数日前、大迷宮へと再び潜るための訓練終了直後だった。

 

 

光輝が許したことで事実上お咎め無しになっている檜山だったが、彼含む小悪党組はメルド達騎士団から厳重に管理され、訓練でもやる気のない姿をわずかでも見せようものなら叱責されることが多くなった。

そういった管理下のもと、檜山達のストレスは徐々に溜まっていく一方。ストレス解消のサンドバッグとして目をつけていたハジメは既に死んだことになっているため思うように苛立ちを発散できず、小悪党組のストレスは限界まで来ていた。

 

 

 

そんなあるとき、小悪党組とある男女の生徒が諍いを起こしてしまう。

相手側は最前線に立つ勇気がまだ出なかったが、男子生徒のほうは少しでも自分に出来ることを探したいと自らの得意魔法である『闇系統の魔法』を練習しており、女子生徒もそれに付き合っていた。

 

だが、檜山達はそんな彼らが褒められているのが気に入らなかったのか相手を罵倒し、その場で喧嘩になりかけてしまう。

 

 

結果的に先に手を出した檜山達にはより厳しい監視がついてしまうこととなったが、雫達が腹を立てていたのはそんな檜山達を擁護した光輝だった。

 

『彼らは訓練をしているということは、俺達とともに戦う気持ちがあるということだ!だったら、今すぐにでもこんなところで弱い魔物を使って練習するより俺達と訓練したほうがいいに決まっている!』

 

そう言って、光輝は二人を自らのパーティーに半ば無理矢理勧誘しようとして雫達に止められたのだった…

 

 

―――――――――

 

重苦しい空気の中、一同はあの日飛ばされた65層へとたどり着く。

尤も、あの日に訪れたのは例の転送用魔法陣によって行くことができるエリアであり、今回は別の場所となっている。

 

しかし、あの部屋同様大きな石橋が存在しているため雫は否応なくあの日の記憶がよぎった。

 

「…おい、雫」

「…ええ。もう大丈夫よ」

 

可能性など0に近い。

それでも、ほんの小さな可能性にすがるように雫達はここまで戻ってきた。

 

 

そんな彼女の姿を見て、光輝が声をかける。

 

「雫………」

 

何かを決意したような顔の光輝は、雫に対してはっきりと告げる。

 

「クラスメイトの死を悔やむ君の気持ちはよくわかる…でも、俺達はそれに囚われている余裕はないんだ」

「ちょっと光輝君、シズシズは別に…」

 

光輝を止めるべく鈴が話しかけるが、光輝は強い口調で鈴を黙らせる。

 

「鈴は少し黙っていてくれ…!今香織がこの場にいない以上、これを言えるのは俺しかいないんだ………雫。厳しい事を言っているのは俺も理解している。でも俺達は今も迷宮にいる香織を助けるためにも戦わなきゃいけない、前に進まなきゃいけないんだ」

 

いつもの笑顔で光輝は雫を安心させるように語る。

 

「大丈夫だ…俺が雫を支える。それに俺は誰よりも雫のことをわかっているさ!雫は、何があっても決して折れたりしない…強い女の子だってね」

 

その言葉に、雫はほんの少し眉をひそめたが光輝はそのことに気がつかなかった…

 

 

「…ええ。よくわかったわ…先に進みましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、目の前に巨大な召喚用魔法陣が出現した。

 

「まさか…あれは!」

 

脳裏によぎるのは、あの日の強大な敵の姿。

 

 

「ベヒモス…ツカサとハジメ君が倒したはずなのに!?」

「迷宮の魔物出現のメカニズムは今だ解明されていない!一度倒した魔物が時を置くと復活することも普通にある。気を引き締めろ!退路の確保を忘れるな!」

 

すぐさまメルドが指示を出すが、それに対して光輝達は不服な顔をする。

 

「メルドさん!俺達はあの頃よりずっと強くなったんだ!」

「今回ばかりは光輝の言う通りかもな…こいつに勝てなきゃ、俺達は先に進む資格もねえ!」

 

光輝が先頭に立ち、龍太郎や雫も臨戦態勢に入る。

 

 

「ベヒモス…あの日はツカサとハジメ君に任せるしかなかったけど…」

 

雫は剣を抜いて、宣言する。

 

「今日あなたを狩るのは、私達!」

 

 

雫と龍太郎の強い思いに反応するかのように、2人のポケットに入れていた『鎧武ライドウォッチ』と『ゲイツライドウォッチ』が激しく呼応していた…

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟

第17話 魔獣再戦2013
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