今回からオルクス最後の戦いがスタートします。
そして次回はついに…
感想、評価はいつでもお待ちしています!
『この本によれば、普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『吸血姫ユエを仲間にした我が魔王達はついにオルクス大迷宮の最深部へと辿り着く』
『そこにいたのは強大なるモンスター。そして…創造を意味する戦士の力』
『さらに、ついに我が魔王覚醒のときが…』
「おっと失礼。ここから先はまだ皆さんには『未来の出来事』でしたね…」
――――――――――
「もうすぐ、俺たちが落ちてきた場所から百層目だな…」
「ああ…だとしたら、そろそろ次に何かあるかもしれねえ」
ハジメ達が落ちた地点は恐らく65層であり、本来ならとうの昔に最下層に到達していたはずだ。
しかしこの奈落を進むうち、ユエと合流していた時点でここが世間に言われている大迷宮とは違うと確信を持てた。
これはハジメ達の推測だが、恐らくオルクス大迷宮は100層より下にもう一つ大迷宮が広がっており、それがハジメ達の今いる奈落だったのかもしれない。
「…この先、間違いなく何かいるね」
洞窟のような場所が終わり、広がったのはまるでどこかの建物のようになっている空間。
4人の視線の先には彫刻の彫られた扉があった。
「感知系の技能には何の反応も無えが…この先にヤバイ奴がいるのは間違いないな」
ツカサはライドブッカーをソードモードにし、ハジメ達も戦いの準備をする。
「この先に私達の帰る手がかりが…あるといいけど」
「考えてるよりまずは進むぞ…この先に絶対答えに繋がるものがある!」
ハジメ達は扉を開け、広大な空間に入っていった。
――――――――――
広い空間の向こう側には次の部屋に繋がる扉が存在した。
だが…ハジメ達と扉のあいだに魔法陣が出現。
「おいおい…また召喚かよ…!」
一度目は地球からトータスへと連れてこられた時。
二度目は65層でベヒモスが召喚された時。
いずれも、ハジメ達にとってのターニングポイントに出現してきた召喚の魔法陣はベヒモス召喚の時の数倍の大きさとなっていた。
「これが…迷宮の奥に眠る…」
「まるで…神話の怪物………?」
『クルゥァァアン!!!』
6つの首を持つ龍の怪物は、まさに神話の怪物にも見えた。
「6つ首の龍…まるで『ヒュドラ』だな…!」
神話に存在する9つの首を持つ怪物を思い出したハジメが思わずそう呟くと、ヒュドラはこちらに狙いをつけた。
「まずは小手調べだ!」
ハジメと香織はドンナーとレーゲンを発砲すると、弾丸はいとも容易くヒュドラを貫く。
「どうやら、防御はあの蠍よりも低いみたいだね」
「ああ、攻撃は未知数だがこれなら十分ダメージだって与えられっ!?」
ダメージを与えられると思った矢先、6つの頭のうち白い頭が吠えるとほかの頭のダメージが回復していく。
どうやらあの白頭は回復魔法を使えるらしい。
「なら、まずはお前から!」
ツカサがライドブッカーで白頭を攻撃し、ユエも燃え盛る槍状の魔法〝緋槍〟で攻撃するも黄色い文様の入った頭が盾になって防ぐ。
さらに、さきほどハジメ達が攻撃した赤い文様の頭が極太の炎のブレスで攻撃をしてきた。
「炎を吐いてくる赤に回復担当の白、おまけに防御担当の黄色かよ…バランス良すぎて嫌になるぜ!」
ハジメは物陰に隠れ、慣れた手つきでドンナーの弾丸をリロードする。
「これなら…!」
香織は神水を入れているボトルによく似た大きいボトルを取り出すとそれを相手めがけて投げつけ、ぶつかってボトルが割れた瞬間にレーゲンの弾丸を打ち込む。
『クルゥァァア!?』
するとヒュドラの頭のうち黄色、赤、青が炎に包まれて苦しむ。
ハジメが準備していた『フラム鉱石』の変異したタールのボトルである。
「でも…また防がれた」
「イヤアアアアアァ!?」
突然の悲鳴に驚くハジメ達だったが、ユエが頭を押さえて蹲っている姿が視界に入る。
「ユエっ!」
ハジメはユエを見つめていた黒い文様の頭に対してドンナーを撃ち込み頭部を破壊。
「ハジメ!白崎!ユエのことは任せたぞ!」
「ああ!」
ツカサが陽動しているあいだにハジメと香織は震えるユエを抱え、物陰に連れて行く。
「私……私!」
震えているユエだったが、香織がユエを抱きしめるとその震えは弱くなる。
「香織……私…また一人に…」
ユエの怯えようから、香織はユエが敵によって何らかの暗示をかけられていたとすぐさま推測する。
「ユエ…大丈夫。一人になんてさせない…私も、ハジメ君もツカサ君もいるから…」
香織が呼びかけていると、ハジメは背負っていた『荷物』を降ろす。
「香織はユエのことを頼む。落ち着いてから合流してくれ」
「うん…ハジメ君。『それ』を使うんだね」
ハジメが取り出したもの。それはかつて戦った蠍の魔物との反省を生かして開発した現時点でハジメが持つ最強武器。
『対物ライフル・シュラーゲン』。ドンナーでも貫通できないほどの防御力を持つ魔物に対抗すべくハジメの作り上げたスナイパーライフルである。
材料はあの蠍魔物の体になっていた鉱石『シュタル鉱石』である。
この鉱石は魔力を込めた分耐久度が上昇する特殊な鉱石であり、限界硬度もドンナーの素材であるタウル鉱石より高い。
弾丸もドンナーやレーゲンに使われているものとは違い、これまで使っていたタウル鉱石の弾丸をシュタル鉱石でコーティングする『擬似フルメタルジャケット』にすることでシュラーゲンに対応できる弾丸にした。
「ハジメ!一気に決めるか?」
「ああ…連発は無理だから隙を作ってくれ」
ハジメはシュラーゲンに弾丸をセットし、ツカサはハジメから意識をそらすべくヒュドラに攻撃する。
「こっちだデカブツ!」
ツカサはライドブッカーをガンモードにして攻撃し、ヒュドラは火炎で攻撃。
「させない!〝蒼天〟!〝緋槍〟!」
ツカサを救ったのは、再び立ち上がったユエによる魔法攻撃。
それを厄介と判断したのか、ヒュドラの黒頭は再びユエに対して催眠をかけようと振り向くが…
「そんな目でユエを見るなっ!!」
香織の撃ったレーゲンの弾丸が黒頭の両目をピンポイントで破壊。
「香織…もひとつオマケに!」
二つの魔法が黄頭と青頭を攻撃し、ツカサは叫ぶ。
「ハジメえええ!」
3人の視線の先にいたのは、シュラーゲンの照準を白頭に合わせていたハジメだった。
「これでどうだ!」
その一言と共に、弾丸は白頭の頭部を粉砕。
ヒュドラの要とも言える回復役が撃破された。
――――――――――
「いよっし!」
ハジメの放った弾丸が白頭を破壊し、本人もガッツポーズを決める。
「ん!」
「やった!あとは他を倒せば…」
ユエと香織も喜ぶが、気持ちを切らさず警戒している。
「あとはこれで…ケリをつける!」
ツカサは短時間で決めるため、ネオディケイドライバーを装着。
ライドブッカーからディケイドのカードを取り出し変身しようとするが…
《検知…検知…識別名、『仮面ライダーディケイド』を検知》
突然どこからか女性の声が響いてくる。
「な…何だ?」
ハジメ達が驚くのも束の間、ヒュドラがまるでプラモデルのランナーのような檻に閉じ込められる。
《続いて、『キバ』及び『ジオウ』の力を検知…ディケイドとジオウの存在を確認致しましたので、当試練を変更させていただきます》
突然のことに混乱する一同だが、ヒュドラの頭上の天井が開き、そこから青とオレンジの光がゆっくりと降りてくる。
「あれって…」
「ライド…ウォッチ!?」
ハジメ達も見たことないデザインのライドウォッチが下りてくると、それは自動的に起動。
《CROSS-Z!》
起動したウォッチ…『クローズライドウォッチ』はそのまま満身創痍のヒュドラに取り込まれる。
すると、ヒュドラの体に異変が生じた。
様々な色の文様が存在した頭は全て青い炎に包まれ、同じ色の炎の翼が出現。
凄まじい熱量に加え、その体から溢れるオーラはこれまで死線をくぐり抜けてきたハジメ達でさえ恐怖を感じるレベルのものだった。
『グ………グウルウウアアァァアアア!!!』
ヒュドラ…否、青い炎を全身に纏った『クローズヒュドラ』は凄まじい咆哮をあげる。
「これが…本当の大迷宮の試練…!?」
ハジメは今の体になって久しく感じていなかった『死の恐怖』をその身で感じ…
次の瞬間、本能的に体が動いた。
「香織!ユエ!」
大口を開けて放たれるクローズヒュドラのブレス。
それから香織達を守るため、ハジメは2人を庇うように目の前に立ち…
ハジメの視界が真っ白に、そしてすぐ真っ暗になった。
次回、ありふれた職業と最強兄弟
第19話 魔王生誕2018