ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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たいっへん長らくお待たせしました!ついにこのエピソードにたどり着けました…!

まもなくオルクス編も終了が近づいております。

ゴールデンウィークも外出自粛が続く中、少しでも楽しんでいただけたらと考えております。

感想、評価をいつでもお待ちしています!


第19話 魔王生誕2018

激しい光と、一瞬遅れて聞こえた爆音。

 

香織とユエが目撃したのは、全身から煙を出して倒れるハジメの姿だった。

 

「ハジメ君!」

 

咄嗟にハジメを抱える香織だったが、ハジメの容態が想像をはるかに越える酷い状態だったことに思わず息を飲む。

 

体の左半身はハジメが盾にしたシュラーゲンのおかげかダメージが少ないものの、シュラーゲンは完全に融解して原型を留めないレベルに。

右半身が大火傷を負っていて、右目は熱によって潰れており神水や香織の治癒魔法でも恐らく治すことは不可能であることはすぐにわかった。

 

 

 

「うああああああ!!変身っ!!」

《KAMEN RIDE…DECADE!》

 

ツカサはディケイドに変身し、クローズヒュドラに攻撃を加える。

 

「白崎!ユエ!俺が時間を稼ぐからハジメを頼む!」

 

ディケイドはライドブッカーをガンモードに切り替え、射撃でクローズヒュドラの意識を逸らす。

 

「よくも俺の弟に手ぇ出しやがったな…覚悟しろ!」

 

――――――――――

 

ハジメを柱の陰に隠し、香織はハジメに回復魔法を使い、ユエは神水をハジメに飲ませる。

 

しかしハジメの傷は一向に癒えず、香織の焦りは募っていくばかり。

 

「どうして…どうして傷が塞がらないの!?」

 

後に判明したのだが、ヒュドラには特殊な毒の含んだ光弾を放つ力が存在していた。

それがクローズヒュドラとなったことで火炎にも同じ能力が付与され、ハジメはその火炎を受けてしまったことで深刻なダメージを負っていた。

幸いにも毒のまわるスピードより神水と香織の回復魔法の効力がまわる方が早いためか、ゆっくりではあるが傷は塞がりつつある。

 

 

 

「…香織。私、戦ってくる」

 

そう言うとユエは自分の持っていた力…キバライドウォッチを持って、柱の陰から出る。

 

「ユエ!だめ、貴女じゃ!」

 

香織が止めるが、ユエは自らに身体強化の魔法をかけて戦いの場に向かう。

 

 

(お願い!聞こえてるでしょ!)

 

クローズヒュドラと戦うディケイドの姿を視界に捉え、ユエはウォッチに祈る。

 

 

「ツカサと同じ力なら…それを持ってる私でも使える…違う!?」

 

 

 

不死身の体を持ち、孤独だったユエにとってずっと傍にあったキバの力。

言葉はなくとも、そこから暖かい誰かの感情を感じることができた。

 

 

「助けたい…ハジメも、香織も、ツカサも…」

 

真っ暗な世界を照らしてくれた大切な人達を守りたい。そう強く願ったユエ。

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え………?」

 

眩い光がキバウォッチから放たれ、ウォッチのデザインが大きく変化する。

 

「………」

 

導かれるようにユエはウォッチのウェイクベゼルを回転させ、ボタンを押した。

 

 

 

《Emperor Form!》

 

通常とは異なる音声が流れ、キバのウォッチはユエの手から離れると二つの光に分離。

ウォッチは小型のドラゴンとコウモリのような生物に変化した。

 

 

 

「よっしゃー!この世界でも久しぶりの復活だぜー!」

「ビュンビュンビューン!キバットさん、私達復活できましたよ~!」

 

ハイテンションなドラゴンとコウモリはユエを見ると声をかけてきた。

 

「お!お嬢ちゃんがキバの力を継承したのか?」

「う、うん…私はユエ…貴方達は?」

 

ユエの問いかけにコウモリ達は自慢げに返す。

 

「俺様はキバットバット三世!由緒正しきキバット族の生まれで、キバの力をコントロールできる!そいでこいつは…」

「ビュンビューン!私はタツロットと言いまして、キバットさんと共にキバの力をコントロールできます!…というか、私まで復活できたということは…?」

 

キバットはユエを見つめ、驚きの声が出る。

 

「おいおいマジかよ…このお嬢ちゃん、生まれ持っての力が強すぎる…!多分、タッちゃんが揃わないとキバの力が返ってこの子を抑制しかねない…」

「でもでも!力も扱ったことがないのにいきなり黄金のキバを使うなんて無理ですよ~!長時間使えば、それこそこの子が死にかねません!」

 

 

何やら焦っているキバットとタツロットだが、ユエはクローズヒュドラと戦っているディケイドの姿を見て焦りを募らせる。

 

「…お願い!なんでもいい…ハジメ達を助けられるなら…」

 

ユエの鬼気迫る表情にキバット達は顔を見合わせ…

 

 

 

「わかった。だがこれだけは聞いてくれ」

 

キバットはユエに説明する。

 

「ユエちゃんの持ってる力は強すぎる。その影響なのか俺単独で変身させてもかえってユエちゃんの負担になっちまう」

「でも僕が一緒になるとそれはキバの全力を解放しちゃうんです…そうなると貴女の力に適応できますが、何分こちらの力も強大ですからね…今のユエさんだと変身できても1分が限界かと思われます…」

 

 

1分しか変身できない代わりに、使うことのできる力は全力…

ユエは己の力が足枷になっていることに悔しさを覚えたが、決意を固めた。

 

 

 

「………お願い…」

 

全ては、ハジメ達を助けるため…

 

 

「力を貸して…キバット!タツロット!」

 

吸血鬼の王の力を使うべく、吸血姫の少女は叫んだ。

 

 

 

「よっしゃー!その覚悟しかと受け取った!俺達もキバって、フォローするぜ!」

「ビュンビューン!ユエさんの力になるべく、ドラマチックにいきましょう!!」

 

ユエが突き出した左手にキバットは噛み付く。

 

「ガブッ!」

 

すると、ユエの腰に赤い鎖が幾重にも巻きついて宿り木のようなベルト『キバットベルト』に変化。

 

「…変身」

 

 

ユエがそう言うと、キバットをベルトにセット。

ベルトから波紋が広がり、ユエはかつてツカサが変身した『仮面ライダーキバ』の姿に変身。

 

しかし変身はそこで終わりではない。

 

 

 

 

キバの周囲を飛来していたタツロットがキバの肩と右足に巻き付かれていた鎖を破壊し、黄金のコウモリ型エネルギーがあふれて再びキバの体に集結するとその体を大きく変化させる。

 

 

クリムゾンレッドと銀色だった体は黄金の目立つ威圧感と美しさの両立したデザインに。

 

ユエはキバの最強形態『仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム』に変身を果たした!!

 

 

 

「…これが、キバの力!」

「おう!ただし制限時間は60秒だ!それを過ぎたらダメージが残らないように俺達が変身を解除する!」

 

「…ん!」

 

強く頷いたキバはディケイドを助けるべく、クローズヒュドラに強烈なキックを叩き込む。

 

「ユエ…!?」

「ツカサ…私も一緒に!」

 

キバの登場に驚いたディケイドだったが、彼女の一歩も引かない覚悟を感じたのか頷くだけにした。

 

 

 

「「はあああ!!」」

 

 

―――――――――――

 

 

「………ここは…?」

 

ハジメは気が付くと辺りが真っ白な空間にいた。

 

 

 

 

「ここは、現実と君の意識の狭間…みたいなところかな?」

 

後ろから声をかけられ、ハジメは振り向く。

そこにいたのはハジメとさほど歳の変わらない青年。

茶髪にあどけない笑顔が似合いそうな青年だったが、どこか得体の知れない雰囲気をハジメは本能的に感じ取っていた。

 

 

「…あんたは?」

「俺?俺のことについては最後に教えるけど…それより、あれを見なよ」

 

謎の青年が指差す方向を見ると、そこではキバとディケイドがクローズヒュドラと戦っている光景が映し出されていた。

 

 

「兄貴………それに、もしかしてユエ…なのか?」

「そうだよ。二人は今も戦っている…君を守るためにね」

 

時折苦しげな声を上げるキバの姿に、ハジメは思わず走り出しそうになるが青年がそれを制止する。

 

「さて、一つ聞きたいんだけど…君は理解しているはずだよ。その手に宿る、『王の力』にね」

 

青年がハジメの右手を指差すと、ハジメはいつの間にか握っていた『ジオウライドウォッチ』に気が付く。

 

 

「それは『ジオウ』の力…全ての仮面ライダーを凌駕し、世界どころか時間すらも自由にできる最強の力。でもね…それだけに使い手は限られる」

 

 

「それだけの力を手に入れることができれば、君は何だってできる。だから聞きたいのさ…」

 

 

 

 

 

 

「君はその力で何を成し遂げたいんだ?」

 

 

青年は静かに、だが誤魔化しは許さないと言わんばかりの威圧感を放ってハジメに問いかける。

 

 

 

「何を…か。そんなの、今の体になってから一回もブレたことなんざねえ」

 

 

 

 

「俺が成し遂げたいのはただ一つ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球への帰還だ」

 

それこそ、ハジメ達が戦うと決意した理由。

宿命も、神から授けられた使命よりも優先すべきこと。

 

 

「地球で待つ家族の元に帰りたい。ただそれだけが俺達の希望なんだよ。そのために必要ってなら………王の力だろうが、遠慮なく使ってやる!」

 

 

ハジメの言葉に青年は目を丸くして…

 

 

 

 

 

 

「…いいね君!流石は俺の力を使えるだけはあるよ!」

 

嬉しそうにハジメの肩をバンバン叩く。

 

 

「って!お前何なんだよ急に!」

「あ…ごめんごめん!でも…これで決心がついた」

 

青年は納得したような表情を見せると、どこからか『真ん中に画面があるベルト』を取り出しハジメの腰に当てる。

するとベルトはハジメの腰に固定された。

 

 

「あとの使い方はウォズが向こうで教えてくれるはず。もう俺にできることはないね…」

 

すると、ハジメの体が光に包まれて消えていく。

 

 

 

「これは…」

「安心して。君の意識は向こうに戻る…もう二度とここには来ないだろうから…最後に、俺の名前を教えておくね」

 

 

 

 

青年は息を吸うと、自らの名前を名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はソウゴ。常磐ソウゴ…元仮面ライダージオウで…将来の目標は最高最善の王様!!」

「ソウゴ…か。俺はハジメ!南雲ハジメだ!礼を言うぜ、ソウゴ!!」

 

そう言うと、ハジメは完全に姿を消した。

 

「向こうは任せたよ…ハジメ」

 

 

――――――――――

 

「ぐ………」

「ハジメ君!」

 

目を覚ましたハジメは、横に香織がいることに気づくと今もヒュドラと戦うディケイドとキバの姿を視界に捉えた。

 

 

「これで…決める!」

 

キバはタツロットの角を倒し、背のルーレット部分を回転させる。

現れた絵柄はキバのマークになり、タツロットが能力の名前を叫ぶ。

 

『ウェイクアップ・フィーバー!!』

 

キバの両足に紋章を模したエネルギーが纏わり、飛び上がったキバは両足でキックをクローズヒュドラに打ち込む。

 

「ハアアアアア!!」

 

足に出現した赤いエネルギーがクローズヒュドラの体をズタズタに引き裂き、7つに増えていた首が余波で全て千切れ飛んだ。

 

 

「くっ!?うう…」

 

必殺のキック『エンペラームーンブレイク』を決めて着地したキバだったが、制限時間が来たのかキバットとタツロットが離れたことによってユエの姿に戻る。

 

 

「ユエさ~ん!時間ギリギリでしたよ~!」

「ん…ありがとうタツロット…でも、これで…」

 

 

「いや、まだだ!」

 

キバットが慌てて叫ぶと、クローズヒュドラの体が再生していく。

 

「そんな…!」

 

確かに、これが普通の試練なら間違いなくクリアしていた。

だが、この試練は普通と何かが違うのだとユエは理解してしまった。

 

「くっそ!ならこれで…」

《ATTACK RIDE…SLASH!》

 

ディケイドは攻撃技『ディケイドスラッシュ』で無数の斬撃を叩き込むとその傷跡だけはクローズヒュドラでも回復出来ていなかった。

 

「ディケイドならいける…のか?」

 

自分の攻撃ならクローズヒュドラにダメージを与えられると気づいたディケイドだったが、すでにハジメ達を守るための時間稼ぎを行っていたためか疲労や蓄積ダメージが大きく、体が重く感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

「ハジメ君…無理だよ、その体じゃ…」

「…かもな。でもな香織…さっきまで寝ていたとき、決めたんだ…」

 

出血の止まったハジメを止めようとする香織だったが、ハジメはそれでも立ち上がる。

 

「こんなところでくたばりたくねえ…必ず4人で帰るって決めたんだ…だから…!」

 

香織の肩を借りながらも、南雲ハジメは再び立ち上がる。

 

「いつまでも寝ていられねえよ!俺たちの希望が、すぐ目の前まであるんだからな!」

 

するとハジメの心に反応するようにソウゴから渡されたベルト…『ジクウドライバー』が装着される。

 

「これって…ベルト?」

「夢に出てたベルト…どうして?」

 

 

 

「いやはや。ついに覚醒の時が訪れたようですね…『我が魔王』」

 

突然声が聞こえると、黒い服の男が現れる。

 

「あんたは…確かウォズ!」

 

奈落に落ちる前日、ハジメにライドウォッチを渡してくれたウォズが現れたことに困惑するハジメ。

 

「覚えていてくれて光栄だよ、我が魔王。今日は君の門出を祝うためと…そのベルトの使い方をレクチャーしようと思ってね」

 

どうして彼がここにいるのか、聞こうとしたが聞きそびれてしまったハジメ達。

だが、ウォズは丁寧にベルトの能力などを解説しそれを聞いたハジメはすぐに使い方を覚える。

 

 

「…サンキュ。おかげで助かったよ」

 

ウォズがペコリと頭を下げると、ハジメは香織達の前に立つ。

 

 

 

「俺も…これで兄貴に並べる…」

 

ハジメはジオウライドウォッチのウェイクベゼルを回転させ、起動。

 

《ZI-O!》

 

電子音声が流れ、ハジメはジオウウォッチを右手側のスロット『D'9スロット』に装填。

ドライバーから待機音声が流れ、ドライバーのロックボタンを押すと本体が傾き、ハジメの背後に巨大な時計型のエフェクトが発生。

弧を描くように右手を握り、顔の前に持ってくると…

 

 

 

「変身っ!!」

 

D'9スロット側を叩くように押し、ドライバーが360度回転。

 

《ライダータイム!》

 

音声が鳴り、背後の時計エフェクトが10時10分を指し示すと時計の文字盤に『ライダー』の文字が出現。

 

直後、ハジメの体を無数の金属製腕時計のバンドのようなエフェクトが回転し強化スーツとして彼の体を包んでいく。

そして最後に文字盤に表記された『ライダー』の文字が飛び出し、ハジメに装着されたマスクと一体化。

 

《仮面ライダー!ジオウ!!》

 

この瞬間、最高最善の魔王がトータスに君臨した。

 

それを喜ぶかのようにウォズは高らかに叫び声を上げる。

 

 

 

「祝え!!時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者!その名も仮面ライダージオウ!まさに生誕の瞬間である!」

 

「この先の運命は…俺達が決めるものだ!!」

 

ジオウは専用武器の『ジカンギレード』を出現させ、クローズヒュドラに対して走り始めた…

 

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟

第20話 継承・ラブ&ピースの戦士
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