ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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連日のゴールデンウィーク更新となります、第20話です!

今回、ついにオルクスのボス、クローズヒュドラとの決着となります。

感想、評価をいつでもお待ちしています!


第20話 継承・ラブ&ピースの戦士

『この本によれば…『元』普通の高校生にして錬成師の南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』

 

『オルクス大迷宮の最深部に到達した我が魔王達は最後の敵、ヒュドラと交戦。優位に進んでいたがライダーの力を感知したことによって『クローズヒュドラ』に進化。我が魔王は瀕死の重傷を負ってしまう』

 

『しかし夢と現実の狭間というべき世界でオリジナルの仮面ライダージオウ、常磐ソウゴと出会ったことによって我が魔王はついに王としての力を手に入れ、仮面ライダーへの変身を果たした』

 

『だが…クローズヒュドラを倒すにはそれだけでは足りない。創造を司るあの戦士の力を継承することで…』

 

「おっと失礼。先まで読みすぎました…」

 

――――――――――

 

 

「祝え!時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者!その名も仮面ライダージオウ!まさに生誕の瞬間である!」

 

ウォズによる祝福の言葉が響く中、ハジメ…否、仮面ライダージオウは自らの変化にようやく気が付く。

 

「これが俺の姿…って、左腕の感覚が戻ってる…?」

 

ジオウはかつて爪熊に切断されたはずの左腕が戻っており、感覚も切断前と変わらないことに困惑する。

 

「我が魔王!ジオウに変身している間は五体満足の状態に戻ります!思う存分その力を振るってください!」

 

ウォズからのアドバイスでジオウは納得し、専用武器の『ジカンギレード』をガンモードにして攻撃。

 

「よし、効いてる…これでどうだ!」

《タイムチャージ!》

 

ジオウはジカンギレードのボタンを押し、エネルギーをチャージする。

 

《5!4!3!2!1!ゼロタイム!》

 

カウントダウンが終了し、ジオウはエネルギー弾をクローズヒュドラに放つ。

 

《スレスレ撃ち!》

 

通常より強い光弾がクローズヒュドラに命中し、続けざまにジオウはジカンギレードを剣の状態にするとベルトのジオウウォッチをジカンギレードに装填。

 

《ケン!》

《フィニッシュタイム!》

 

ジオウは腰を落とし、ジカンギレードを構えると…

 

「はあっ!」

《ジオウ!ギリギリスラッシュ!》

 

すれ違いざまにクローズヒュドラの首を落とし、着地した。

 

 

「さて…これで倒せた………」

 

ジオウが振り返ると…

 

 

 

『グギャアアアアアア!!』

 

おぞましい叫び声を上げるクローズヒュドラがすぐさま再生した。

 

「…なわけねえか。…ん?」

 

倒せないことに多少落胆したジオウだったが、その中であるものを見つける。

 

「兄貴のつけた傷だけ…回復してない?」

 

―――――――――――

 

ハジメがジオウになって戦う中、香織は力尽きたユエを連れて柱の影から戦況を見ていた。

 

 

「やっぱり、ツカサ君の攻撃でしか倒せない…?」

 

香織は今も必死に戦況をどうにかすべくクローズヒュドラの弱点を探っていた。

 

「ツカサ君…ディケイド……あの力なら…ディケイドの力?」

 

攻略法を探すなか、香織はかつてツカサに教えられた情報を思い出した。

 

 

『ディケイドの力は規格外。それこそ、あらゆるルールを無視して戦うことができる』

 

「ディケイドはルールを無視して相手を攻撃できる…つまり、ツカサ君の攻撃が通じるのは、やつを倒す『ルール』を無視できるから…?」

 

この試練を攻略する術があるとしたら、それは間違いなくこの迷宮のどこかにある。

 

『この迷宮の先にはビルドの力が眠っているらしい』

 

ビルド…この迷宮に眠っている可能性のある仮面ライダーの力。

 

「まさか………」

 

香織は一つの仮説に辿り着く。

 

 

それは、この迷宮に眠る力ならばあのクローズヒュドラに有効打を与えられるかもしれないということ。

 

「ハジメ君!ここのどこかに『仮面ライダービルド』の力があるかもしれない!それがもしこの部屋にあるなら、それでこの怪物を!」

 

香織がジオウに叫び、ジオウは一気に動く。

 

「そうか!だったら兄貴!ビルドのカードを俺に!」

 

ジオウに対し、ディケイドはライドブッカーからビルドのカードを取り出すと手裏剣のように投げ渡す。

 

「ハジメ、受け取れ!」

 

ディケイドからビルドのカードを受け取ったジオウは、クローズヒュドラの攻撃を避けながらカードの反応を確かめる。

 

(どこだ…どこにある…?)

 

場所によって光の強さが変化し、ジオウはその光が強くなる瞬間を狙い…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クローズヒュドラの頭上をジャンプして超えた瞬間、ビルドのライダーカードが一際強い光を放った。

 

 

「光が!ってことは…」

 

 

ジオウが見上げたのは天井。あのクローズライドウォッチが飛来した場所に狙いを定め…

 

「そこだ!!」

 

ジカンギレードを投擲し、天井が砕かれる。

砕かれた天井から光が漏れて…

 

 

 

 

「これが…ビルドの力!」

 

ジオウは落ちてきたビルドライドウォッチを掴み取ることに成功した。

 

 

――――――――――

 

ウォッチを掴んだ瞬間、ハジメはまたしてもジオウの力を手に入れたあの空間に意識が移っていた。

 

「ここって…」

 

周囲を見回すと、ハジメの前にブラウンのトレンチコートを着た青年が現れる。

 

「お前が…ビルドの力を受け継いでくれたんだな」

「あんたは…」

 

現れた青年の顔を見た瞬間、ハジメの脳裏に彼の名前が浮かぶ。

 

「桐生…戦兎…」

「そう………てぇんさい!物理学者にして仮面ライダービルドの、桐生戦兎だ。で早速だけど…一つ俺から頼みというか…忘れて欲しくないことがある」

 

自己紹介でテンションが振り切れていたのか妙なイントネーションになった戦兎だが、すぐに真面目な表情になる。

 

 

「ライダーの力はどんな世界でも強大で危険な力だ。平和な世界に争いをもたらすし、強い心を持てなければその力にどこまでも溺れてしまう…だからさ…」

 

 

「その力を手に入れたからには、間違っても人間を手にかけるために使うのだけはしないでほしい。ライダーシステムは人間を殺すためのものじゃなく…人間を守るためのものだって俺の信念が込められてるからさ…」

 

 

戦兎の言葉を聞きながら、ハジメはビルドウォッチを見つめる。

 

「…あんたは」

「ん?」

 

「あんたは…どうして戦おうと思ったんだ?他の誰かに任せるんじゃなく…自分自身で戦う道をどうして選んだ…?」

 

ハジメの質問に、戦兎は笑いながら言う。

 

 

 

 

「クシャっとするからだよ。俺の力で誰かの笑顔を守れたりするとさ…心の底から嬉しくなってクシャっとするんだよ、俺の顔…ま、いつも変身してるからマスクで見えねえけど」

 

戦兎はなんてことない。と言った表情で語る。

 

「俺はかつて昔の記憶を失った…そして、過去を知ったときはショックを受けたよ。俺が多くの人を苦しめたんじゃないかって…でもよ」

 

ハジメと戦兎の周囲に、戦兎の戦いの記録が映し出される。

 

青いライダー…クローズは愛した人の残してくれた力を手に、沢山の人々を守る力をものにする。

 

「偶然か必然か…出会うことの出来た相棒が俺に大事なことを思い出させてくれた」

 

黄金のライダー…グリスは大事な仲間をもう一度葬るために命の炎を燃やし尽くす覚悟を決める。

 

「命をかけて戦う覚悟を教えてくれた奴がいた」

 

紫のライダー…ローグは最強の敵を相手に死を覚悟しながらボロボロになってもくらいつく。

 

「自分の罪と真っ向からぶつかって、最期の瞬間まで戦い、最後の希望を繋いだ人がいた…」

 

最後に映し出されたのは、2人のビルド。

片方は黄金と白銀のボディ。

もう片方はビルドとクローズが一体化したようなボディ。

 

「みんなが桐生戦兎を…仮面ライダービルドを創ってくれたんだよ。だから俺は…俺の信じる正義のヒーローとして戦えた」

 

「そして貫けた…俺の信念…ラブ&ピースをな」

 

ハジメは、戦兎の記憶を垣間見たことで理解した。

彼の強さを…いや、ビルドの強さと曲げることのない想いを…

 

「ラブ&ピース…ね。悪いが俺にはさっぱりだ…でも」

 

彼の想いも力も受け継ぐのなら、それを今すぐ納得することはできなくても理解することはできる。

 

「きっといつか…お前もわかるよ。じゃあな!」

 

ハジメの意識は再び戦場に戻っていく。

それを戦兎はただ見つめるのだった…

 

「さて。万丈達のいる場所に戻りますか」

 

――――――――――

 

 

「今のは…?」

 

気が付くとウォッチを掴んだ瞬間から1秒も経過していない。

だがジオウは先ほどの光景は幻ではないとすぐにわかった。

 

「我が魔王!今こそビルドの力を継承する時です!」

「ああ!」

 

ウォズの言葉に従い、ジオウはビルドウォッチのウェイクベゼルを回転させ、起動させる。

 

 

《BUILD!》

 

起動したビルドウォッチをジクウドライバーのもう片方のスロットである『D'3スロット』に装填し、再びドライバーのロックを外す。

 

「ハアッ!」

 

勢いよくドライバーを回転させ…

 

《ライダータイム!仮面ライダー!ジオウ!》

《アーマータイム!》

 

ジオウの変身音に続き、新たな音声が鳴ると同時に眼前に『鎧』が出現。

 

ビルドのポーズを決めた鎧は自動的に分解されると、ジオウの体に装着されていく。

 

《ベストマッチ!ビルド!!》

 

全身に装着された装甲に、ビルドの基本形態『ラビットタンクフォーム』を思わせるカラーリング。

右肩には赤、左肩には青のボトル状のパーツが追加され、右手には専用武器『ドリルクラッシャークラッシャー』が装備。

マスクの文字も『ライダー』から『ビルド』に変化している。

 

その様子を見たウォズは嬉しそうに本を取りながら叫ぶ。

 

「ふっふっふ…本日二度目となる…祝え!時空を超え過去と未来をしろしめす時の王者!その名も『仮面ライダージオウ・ビルドアーマー』!まず一つ、ラブ&ピースのライダーの力を継承した瞬間である…!」

 

ウォズによる祝福の声をバックに、ジオウは左手で角をなぞるように宣言する。

 

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

――――――――――

 

クローズヒュドラの攻撃を前にジオウはドリルクラッシャークラッシャー(以降、ドリルクラッシャーC)で相殺し、ジャンプして頭上に来ると高速回転させたドリルクラッシャーCを使いクローズヒュドラの頭の一つを破壊。

 

悲鳴を上げるクローズヒュドラだが、なんとこれまでと違い再生能力が発動しない。

 

「やっぱり、この力ならこいつに効くのか!」

 

再びジカンギレードを出し、左右に異なる武器を握ったジオウは高いジャンプ力と強烈な蹴り、そしてそれぞれの武器でクローズヒュドラに的を絞らせない。

 

「これで!」

《フィニッシュタイム!》

 

ジオウはビルドウォッチをジカンギレードに装填し、必殺技を使う。

 

《ビルド!ギリギリスラッシュ!》

 

ジカンギレードを振り抜くと、サメを模したエネルギー体とビルドのバイク『マシンビルダー』を模したエネルギー体が現れ、クローズヒュドラの装甲を次々と破壊する。

 

 

「ハジメ君!ツカサ君!今だよ!」

「ハジメ…!ツカサ…!」

 

香織とユエの言葉にジオウが頷くと、いつの間にか横にディケイドが立っている。

 

「弟にばっかいいカッコさせてられねえよな…」

 

ディケイドはジオウからビルドのカードを受け取ると、開いたネオディケイドライバーにカードを装填。

 

《KAMEN RIDE…BUILD!》

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエエエエイ!!》

 

ディケイドは仮面ライダービルドと同じ姿の『ディケイドビルド』に変身し、すぐに必殺技カードを取り出す。

 

「決めるぞ…ハジメ」

「おう…兄貴!」

 

《フィニッシュタイム!ビルド!》

《FINAL ATTACK RIDE…》

 

ジオウはベルトのジオウウォッチとビルドウォッチのボタンを押し、ドライバーを回転できるようにする。

ディケイドはカードをドライバーに装填し…

 

 

《ボルテック!タイムブレーク!》

《BUI・BUI・BUI・BUILD!》

 

ジクウドライバーは回転し、ネオディケイドライバーが閉じると2人の必殺技が発動。

 

「「ハアッ!!」」

 

ジオウとディケイドビルドが飛び上がり、周囲に無数の数式が出現。

 

それぞれの足元に数学の二次関数のグラフが出現し、二人はそれに沿うように走るとジオウはドリルクラッシャーCを突き出し、ディケイドビルドはキックの体勢を取る。

 

 

「ハアアアアア!!」

 

ディケイドビルドの『ボルテックフィニッシュ』が炸裂し…

 

「テヤアアアア!!」

 

ジオウの『ボルテックタイムブレーク』がついにクローズヒュドラの体を貫いた。

 

 

『グ…ギュル…グギャアアアアアア!!』

 

何度もハジメ達を苦戦させた強敵、クローズヒュドラ。

その肉体はついに崩壊し、その体から一筋の光が飛び出す。

 

 

「これで…終わった…のか……?」

 

消滅していくクローズヒュドラを見つめるジオウ達。

 

やがて勝手に変身が解け、ハジメの意識は闇の中へと沈んでいった…

 

 

 

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟
第21話 世界の真実0020
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