ゼロワン、今月から撮影が再開されたようでもうすぐ最新話の放送が楽しみです!
感想、評価が作者の力となります!
第1話 騎士とウサギ2006
『この本によれば、『元』普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『オルクス大迷宮で仮面ライダージオウとして覚醒し、仮面ライダービルド、キバ、クローズのウォッチを継承した我が魔王達は準備を終えオルクス大迷宮を後にする』
『その先で出会うのは、『最速のライダー』を継承せし兎人の少女と…』
「失礼、先まで読みすぎました…」
――――――――――
魔法陣の光が弱まり、ハジメたちを迎えたものは…
外の光ではなく、洞窟の中だった。
「なんだよ畜生!まだ洞窟続くのかよ!」
「いや…隠し通路なんだからいきなり外には出ねえよ…」
ツカサの尤もなツッコミに咳払いして誤魔化したハジメ。
「こういう時のためにオルクスの宝物庫がいるんじゃないかな…?」
香織の言葉に従い、ハジメは自分が使っていた『オスカー・オルクスの文様が入った宝物庫』をかざすと周囲に仕掛けられていただろうトラップが自動的に解除された。
それと同時に、目の前にあった模様に指輪をかざすと模様が光り、音を立てて岩が扉のように開く。
その先から溢れる光に、ハジメ達はこみ上げるものを感じていた。
青い空に浮かぶ白い雲。
目が痛くなりそうなほどの澄み渡った青空を見て、ハジメ達はようやく自覚した。
「俺達…戻ってきたんだな」
「ああ…青空だ」
「私達にとっては3ヶ月ぶり…ユエは…300年?」
「ん…懐かしい」
そして、ハジメ達はお互い手を取り合って喜んだ。
「よっしゃああああ!!俺達地上に帰ってきたぞおお!!」
「よおっし!」
「やったあああ!!」
「んー!!」
今までにないレベルで喜び合うハジメ達だが、無理もない。
何せ地上の光なんて長いこと浴びていなかったのだ。この光を見ただけで自分達が大きな一歩を踏み出せたのだとわかる。
しかし、そんな彼らの喜びを壊すかのように周囲を鬼のような魔物の群れが囲んできた。
「ったく…もうちょい余韻に浸らせてくれや…」
ハジメがそう言うと、4人はすぐさま戦闘態勢に入る。
「さて、ハジメ作の武器を試せそうだな」
ツカサはディメンションを鞘から引き抜き、香織もレーゲン・ハイルメタルにマガジンを装填。
ユエは左手にネブラを持ちつつ、ハジメは新たなドンナーに加え対となる同性能の拳銃『シュラーク』を出現させた。
「っと…妙だな。ディメンションの刀身変形に使う魔力が多い…いや、これは…」
ツカサ達は自分の武器を使うときの違和感に気づいた。
「多分、ここはライセン大峡谷だ。放出した魔力を分解する作用が働いてて、魔法が使えない…いや、使いづらい土地だったな」
以前王国の図書館で集めていた資料の中にあった七大迷宮の情報を思い出したハジメ。
その時の情報とオスカーの屋敷に眠っていたトータスの様々な情報を照らし合わせ、自分達がいた場所のアタリをつけた。
「だったら…ここは俺とハジメでやる。ユエと香織はサポートを頼む」
「銃撃に慣れた香織はともかく、ユエのネブラはあくまでも護身用だ。魔法が主力な以上ここじゃ…」
「ううん。力づくでやればいける…」
ユエの手に火球が出現したところから、どうやら分解されるより多くの魔力をつぎ込めば魔法を使えるようだ。
「魔力の効率は十倍くらい…でも、どこまでやれるか一度限界点を試してみたいから」
「そうか…なら、倒れたら香織に頼んで運んでもらえ」
「ユエ…無理しないでね?」
香織もレーゲン・ハイルメタルを準備しユエと並ぶ。
迫り来る魔物に対し、ハジメの放ったドンナーの弾丸が魔物の頭部を吹き飛ばし絶命させる。
「ふっ!」
ツカサはディケイドの時のように刀身を軽く撫で(ハジメ作のアーティファクトグローブにより、撫でた刀身に自動的な錬成が発動し切れ味をキープしてくれる)、魔物の足を切断。続けざまに首を切り落とした。
香織はレーゲン・ハイルメタルによる射撃で魔物を近づけず、ユエは通常より魔力を込めて様々な魔法を試していた。
氷の槍、電撃、火球…多種多様な魔法と弾丸、斬撃が飛び交う大峡谷。
ハジメはオスカーの屋敷で練習していた空中リロードによりドンナーとシュラークの薬莢を排出、宝物庫から弾丸を丁度ピッタリの位置に転送し手首のスナップを効かせることで中折れ式リボルバーの二挺拳銃は再び弾丸の込められた状態に戻る。
二挺拳銃という戦闘スタイルの都合上、弱点だったリロード問題を解決したのは宝物庫の存在とハジメが取得した天歩の最終派生技能『瞬光』。
脳のリミッターを一時的に解除し、天歩の限界以上のスピードに五感が付いてこれるようになるこの能力を応用することでハジメは装填の瞬間集中力を研ぎ澄ませてリロードを行っていたのだ。
尤も、瞬光は脳に負担がかかるため発動はリロードの一瞬に限るのだが…
ほどなくして、魔物達は一方的に蹂躙された。
「なんか…奈落ほど手応えなかったな」
思ったよりもあっさり魔物を倒せてしまい、拍子抜けした気分のハジメ。
「そりゃそうだろ…ここの魔物が凶悪だとしても、オスカーの残した資料を見れば奈落の魔物のほうが強いってわかるだろうに」
ハジメ達はオスカーの屋敷に留まっていた間、彼の残した日記や研究書、さらに迷宮のコンセプトについての詳細が描かれた資料を手にしていたのだがそこによると本来オルクス大迷宮は七大迷宮の中で最難関に指定されているはずの場所だったという。
他の迷宮は所謂精神的な攻撃をする仕掛けが多いのに対し、オルクス大迷宮はそういった仕掛けを極力廃して強い魔物を配置することでこれまで得た力を確かめるための最終試験のようなものだったらしい。
「なるほど…チャン○オン○ードを先に攻略しちまったから他が弱く感じる…みたいなもんか」
某世界的有名モンスター育成ゲームを例えに出しながらハジメはホルスターにドンナーとシュラークをしまう。
「さて、どうするハジメ君?」
「そうだな…とりあえず東方面に向かおう。準備なしで砂漠超えるのはしんどいし、それに東の方向ならばまだ町があるかもしれない」
ハジメはバイク型アーティファクト『シュタイフ』を出現させ、ツカサもオーロラカーテンを使いディケイドの専用バイク『マシンディケイダー』を出現。
「そういやここ以外にも東の樹海に迷宮があるはずだったな…まずは樹海の方にも立ち寄らねえか?」
「あー…だな。今すぐ挑戦するかはともかく、立ち寄るくらいはしてみようぜ」
ハジメとツカサはそれぞれのバイクに魔力を注ぎ込み、起動させる。
そして、ハジメの前にユエが。後ろに香織が乗って準備が整う。
「さて、走るか」
――――――――――
峡谷を走る2台のバイク。
デコボコ道でもハジメが搭載したギミック『整地錬成』が発動し、道を平らに整地するため快適な運転ができるようになっていた。
「2人とも、乗り心地はどうだ?」
「ん…快適」
「凄いよねこのバイク!流石はハジメ君お手製アーティファクト!」
2人からの高評価にハジメはつい頬が緩む。
しかし、そんなやりとりをする中でふと前方の人影に気がついた。
「なんだあれ…?」
「あれって…兎人族、だよね?」
香織はいち早くその特徴的な部分…ウサギの耳に気がついた。
兎人族。ウサギの特徴を持った亜人で危機察知能力や瞬発力に長けているものの、本人達の戦闘力はほぼゼロであり、亜人の中でも最弱種族として有名。
高確率で美男美女として生まれることが多いため、一部の貴族や王族は愛玩奴隷として兎人族を購入することが多いのだとか。
「兎人族って…谷底が住処?」
「ううん。確か亜人族はほとんどがこの先のハルツィナ樹海で暮らしてるか、人間に捕まって奴隷として生活してるはず…」
「仮に理由があって放浪…いや、旅をしているとしても戦闘力のない兎人族がこんなところに来るはず…ああ?」
ツカサは兎人族の少女を見て、思わず変な声が出た。
「なあハジメ…俺の見間違いじゃ…」
「ねえよ…あの兎人族だけじゃねえ。後ろに人間もいやがる!」
ハジメ達が見たのは、恐竜型の巨大な魔物に追われていた兎人族の少女と『香織のような長い黒髪を靡かせた美少女』が必死に魔物から逃げている姿だった。
さらに驚きは続けざまにハジメ達に降り掛かる。
「あぁっ!?」
「ってこれ!?」
突如、ツカサのライドブッカーが開くと1枚のカードがツカサの手に収まり、さらにはハジメが右腕につけていた『ライドウォッチホルダー』にセットしていたはずのジオウライドウォッチが何かに共鳴するかのように輝く。
「カードが…ってことはまさか!」
ツカサとハジメは咄嗟にブレーキをかけ、ドンナーとドンナージェミニを抜いた。
「やっとみつけましたああああ!!助けてくださいお願いですうううううう!!」
必死に泣き叫びながら助けを求める兎人族の少女の言葉に引っ掛かりを覚えるツカサだったが、すぐさま放たれた弾丸は魔物の頭部を破壊。
魔物が倒れた衝撃で2人の少女がこちらに飛ばされるが、ハジメが2人の首根っこを掴んで助け出した。
――――――――――
「そ、その…助けてくださってありがとうございます!私、クロハネと呼ばれています!」
黒髪の少女…クロハネは丁寧なお辞儀をする。
あの後、ハジメは兎人族の少女『シア・ハウリア』とクロハネからこの場所に来ていた経緯を説明させた。
「なるほど…お前らがなんでこの峡谷にいたのか大体わかった」
どうやら彼女達ハウリア族はこのシアを匿っていたことで住処である樹海を追放されてしまったらしい。
その理由は…
「普通の亜人族は魔法が使えないのですが…私はどういうわけか生まれながらにして魔力の直接操作…そして固有魔法として『未来視』を持っています」
「固有魔法…未来視だと?」
魔力操作が使えるということは、すなわち魔物同様の力を…そしてユエや魔物の肉を食したハジメや香織、ツカサと同等の力を備えているということになる。
それだけはなく、ハジメはシアの『未来視』という単語に引っ掛かりを覚え、自身のステータスプレートを取り出していた。
(まさか…この技能は)
奈落の魔物を食らっても、ジオウに変身しても未だ目覚めない二つの技能。
そのうちの一つは『未■視』とあった。
「私達は北の樹海を目指し旅に出たのですが…そこでヘルシャー帝国の兵士に襲われ、多くの仲間達が連れて行かれました。それでこの峡谷に避難しやり過ごすつもりでしたが…」
「魔物に襲われた…」
ユエの言葉に頷いたシア。
「その上…帝国兵達はシア達が峡谷から出てくるまで離れないつもりです。今も峡谷の入口でキャンプを張って待ち構えています」
クロハネの言葉にハジメは「執念深いにもほどがあんだろ…」と思わず愚痴る。
「お願いです…私達の家族を助けてください!」
「わかった。ただいくつかの条件があるが…構わないか?」
意外にも答えたのはハジメだった。
「ハジメ…お前」
「兄貴。別にこいつらに同情したからじゃねえ。俺達の帰還には少なからずこいつらの力も必要だと判断しただけだ」
ハジメはツカサから出てきたカードを借りて、シアとクロハネに見せる。
「2人に聞きたい…これに似ている道具、お前ら持ってないか?ついでに、このマークが描かれているようなやつをな」
ハジメが見せたのはジオウライドウォッチと、ライダーカード。
「は、はい!私もクロハネさんも持ってます!」
シアが取り出したのは、どちらかというとビルドやキバと同じタイプのライドウォッチ。
銀色をベースにし、赤いウェイクベゼルになっていた『それ』にはツカサのカードと同じマーク、そして『2006』の数字が刻まれていた。
「やっぱり…カブトライドウォッチ」
ハジメの探していたウォッチが目の前にあり、思わず4人は目を合わせる。
「あとあと!クロハネさんも似たようなもの持っているんですよ!」
シアがそう言うと、クロハネはおどおどとウォッチを取り出す。
「は、はい…といっても、起動しないんですけどね…」
彼女がウォッチを見せて…ハジメは二度見してしまった。
「…これって…!」
デザインはこれまで見たことがないが、描かれたライダーの顔は『仮面ライダージオウ』。
「ジオウウォッチ…なのか?」
だが、ウォッチは一向に反応を示すことはなかった。
「そのウォッチ…私にも使い方がさっぱりで。シアのように起動させることもできませんから…」
ひとまず、このウォッチのことは思考の隅に追いやったハジメ達。
「さて、話は逸れたが続きだ………俺達はお前達が自由に行動できるよう出来る限りのことはする。その対価は…お前の持つウォッチと樹海への案内だ」
亜人であるハウリアを味方につければ、ハルツィナ樹海への案内が確保できるとハジメは狙っていた。
かつて見た情報によると、樹海内部は濃霧に覆われて亜人以外ではまともに進むことも難しいという。
そのためにハジメはシアを味方に付ける方を選んだ。
「…信じていいんですよね?」
クロハネの言葉にハジメは頷く。
「ああ。お前たちを雇う以上、約束を違えるつもりはねえ」
ハジメはシュタイフにサイドカーのパーツを取り付け、言った。
「生き残ってるハウリア達のもとに案内してくれ。話はそれからだ…!」
次回、ありふれた職業と最強兄弟
第2話 殺す覚悟と黒髪天使