ゼロワン、ついにライダー3人が出ましたがOPに登場していた謎のライダー達の行方も気になります…
感想、評価が力となるのでいつでも待ってます!
『この本によれば…普通の高校生、南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っていた』
『兄、南雲ツカサと平和に暮らしていたハジメだったが、突如謎の魔法陣によってクラスメイト共々異世界へと連れ去られてしまった』
『異世界トータスで語られたのはこの世界の現状。そして戦争を有利に進めるための救世主として迎え入れられ…』
「おっと。先まで読みすぎました」
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閃光が収まった時、ハジメ達は見知らぬ空間にいた。
その中で目に入ったのは巨大な壁画。
長い金髪をなびかせた中性的な顔の人物が微笑む壁画で、一見するとその美しさに目を惹かれる…が、ハジメやツカサはその笑顔から何か空恐ろしいものを感じ、すぐさま目線を外す。
周囲を見回したツカサはその場にいたのが魔法陣の開いた瞬間教室にいた生徒と、4限の授業を行っていた畑山愛子先生だと分かり、推測する。
(どうやら、あの時教室にいた全員が連れてこられたらしいな…)
現在、彼らがいるのは巨大な広間。光沢を放つ石造りの建造物はいくつもの柱に支えられたドーム状になっている。
そのデザインからツカサはここが教会などに近い施設と推測した。
そして視線を下に向けると、自分たちが立っていた台座を囲むように白い法衣らしきものを着た30人ほどの人間たちがこちらに跪いていた。
やがてその中から一番豪華な法衣を纏い、30センチはありそうな長さの烏帽子を被った70代ほどの老人が前に出た。
と言っても、老人と表現するには纏っている覇気がすごく、顔の皺や老熟した目がなければもっと若く見えたかもしれない。
老人は数枚の円盤が吊り下げられた錫杖を鳴らしながら、深みのある落ち着いた声でツカサ達に話しかけてきた。
「ようこそトータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎いたします。私は聖教教会にて教皇の地位についております、イシュタル・ランゴバルドと申します。以後、よろしくお願い致しますぞ」
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それからイシュタル達の導きで連れてこられたのは10メートルはあるテーブルが並んだ大広間。
そこでツカサ達はこの世界の現状を知ることができた。
この世界はトータスと呼ばれる、地球とは異なる異世界。
トータスには大きく分けて三つの種族が存在し、一つはツカサ達と同じ人間族。二つ目は魔法の才能に優れた魔人族。三つ目は様々な獣の特性を持った亜人族。
人間族はトータスの北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の広大な樹海を拠点としてひっそりと暮らしているらしい。
そして、現在人間族と魔人族は何百年もの時間戦争を繰り返していた。
魔人族は人間族に比べ種族としての数が少ないが、その分個人個人の能力が高く、人間族はこれまで数の多さで何とか渡り合ってきた。
しかし、それは『魔人族による魔物の使役』という事態によって崩れつつある。
魔力を持って変異した野生動物である魔物はそれぞれが『固有魔法』と呼ばれる能力を持ち、この世界で凶悪な害獣として認定されている。
魔人族は数の不利を魔物によって埋めたことで、人間族はアドバンテージを失い危機に陥っていた。
「あなた方を召喚したのは我らが神、『エヒト』様です。聖教教会の唯一神にして至高の神。エヒト様は恐らく悟られたのでしょう。このままでは我々は滅びを待つばかりと」
だからこそ自分達が呼ばれた。地球はどうやらトータスより上位にあたる世界であり、この世界に訪れることでツカサ達は例外なく強大な力を発動できるとのこと。
「エヒト様から神託があったのです。あなた方という『救い』をこの世界に送ると。あなた方には是非ともその強大な力を発揮し、エヒト様の御意志の下、魔人族を打倒して我々人間族を救っていただきたい」
その後語られた話によると、人間族の九割以上がエヒトを崇める教会の信徒らしく、神託を聞けた人物はほぼ全員教会の高位の役職へと就けるらしい。
(………神の意思…ねぇ)
少し…いや、かなり引くような恍惚とした表情でエヒトへの信仰心を語るイシュタルを尻目にツカサはこれまでの情報を脳内で整理していく。
すると勢いよく立ち上がり、愛子先生が抗議を始めた。
「ふざけないでください!結局はこの子達を戦争に巻き込ませるつもりでしょう!そんなの許しません!私は絶対に許しませんよ!!それにいきなり私たちを連れてくるなんて、貴方達のしていることは誘拐です!」
大声で抗議する愛子先生。
しかし悲しきかな、25歳という割に身長はわずか150センチほどで童顔、ボブカットの髪を跳ねさせての講義は威厳があるとお世辞にも言い切れず、微笑ましいと言わんばかりの雰囲気が辺りからにじみ出てしまう。
だが、イシュタルの言葉でそんな雰囲気も消し飛んでしまった。
「お気持ちはお察しします…ですが、あなた方の帰還は現状では不可能です」
ある程度予想は出来ていたツカサ以外、誰もが『何を言われたのかわからない』といった表情をしている。
「ふ、不可能って…どういうことですか!?召喚できたのならその逆もできるはずでしょう!?」
「先ほど申し上げたとおり、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々では異世界に干渉できるような魔法は使えませんので、あなた方が帰還できるのかどうかもエヒト様の御意志しだい。ということになります」
愛子先生が脱力したように椅子に座り込み、周りに居た生徒達も口々に騒ぎ始めた。
「う、嘘だろ?帰れないってどういうことだよ!?」
「いや!もう何でもいいから帰して!」
「戦争に巻き込まれるなんて冗談じゃねえよ!」
「なんで…どうして…?」
伝染するかのようにパニックが広がる生徒達。
その中でも比較的落ち着いていられたのがハジメとツカサ。
「ハジメ…大丈夫か?」
「うん…正直、普段からこの手のラノベとか読んでたから、まだ何とか思考が追いついてる…兄さんこそ大丈夫?」
「ああ…だが、幸いなのは俺たちの扱いが奴隷ではなく殆ど上客扱いというところだな…」
小声で会話をする中、ハジメはイシュタルの様子を観察する。
その目には僅かながら侮蔑の感情が込められている気がした。
(大方、自分の崇拝する神に選ばれておきながらどうして喜ばないのか。なんて思ってるのかな…?)
未だにパニックが収まらない中、テーブルを強く叩く音が聞こえて全員がそちらに注目する。
テーブルを叩き、注目を集めたのは光輝だった。
「みんな、ここでイシュタルさんに文句を言っても仕方がないんだ…だから、俺は戦おうと思う」
光輝の言葉に騒然となる生徒達。
「この世界の人々が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って放っておくなんて、俺にはできない!それに、人間族を救うために召喚されたのなら、戦争が終わりさえすれば神様も俺達を帰してくれるかも知れない…イシュタルさん、どうです?」
光輝の問い掛けにイシュタルが答える。
「そうですな…エヒト様も救世主の願いを無為にするようなことは恐らくないかと…」
「俺達には大きな力があると言っていましたね?ここに来てから妙に力が漲っている感覚がします」
「ええ。あなた方はこの世界の人間と比べるとざっと数倍から数十倍の力があると考えてもいいでしょうな」
それを聞いた光輝は強く頷いた。
「うん、なら大丈夫だ!俺は戦う。人々を救い、皆が無事に帰れるように!俺が世界もクラスメイト達も全員救ってみせる!!」
クラスのカリスマ的存在の光輝の言葉は、多くの生徒たちの心を動かした。
そう。いい意味でも悪い意味でも…
多くの生徒達が光輝に賛同し、愛子先生の制止も聞かず戦争への参加を決める生徒が増えていく。
「悪いが…俺はこの戦争に参加するのは反対だな。大体、俺達はあくまでも連れ去られた存在だ。それなのに、何故命をかけてまで殺し合いに首を突っ込む必要がある?」
そんな空気を凍りつかせたのは、尊大な態度で椅子に座っていたツカサだった。
「ツカサ…君は彼らの命を救うことに不満があるというのか!?」
「天之河…本来この世界の戦争はここに生きる人間達の問題だ。戦いを始めたのは彼らの責任…なら、ケジメは自分でつけるべきだろう」
ツカサの言葉に光輝はヒートアップする。
「だけど僕達は選ばれたんだぞ!この世界の人たちのかけがえのない命を、ツカサは見捨てるというのか!」
「だったら聞こうか…お前も、ここにいるみんなも分かっているのか?戦争に行って戦うということは…『魔人族という別の種族の人間を殺す』ことだと。お前達は強い力を持ったところで、人間を殺せるか?」
その言葉に生徒達は自分のやろうとしていたことに気がつき、顔を青ざめさせた。
「でも…俺達には力がある!強い力があるなら、それは彼らを助けるために使うべきじゃないか!」
「力がある…か。だが、力ってのは使いようだ。どんな一流の道具も使い手がド素人じゃその価値を示せないのと同じようにな」
ツカサは滅多に見せない冷たい目をしながら光輝を見つめる。
「流されるままに力を使えば、それが身近な誰かを傷つけて今に大事なものを失う」
「そ、そんなことない!仮にそうなったとしても、俺達ならそれを乗り越えられる!!」
ここまで言っても考えを変えない光輝に疲れたのか、ツカサはため息をつく。
それを肯定と思った光輝は拳を握り、叫んだ。
「みんな!俺達は力に溺れたりなんかしない。そうなったら隣には皆がいる!大丈夫だ!俺達ならやり遂げられる!!」
その後、光輝による長い演説にほとんどの生徒が賛同してしまい、結果的にハジメ達はこの戦争に参加することとなってしまった…
次回、ありふれた職業と最強兄弟
第3話 『ステータス1310』