本日からゼロツードライバーユニット発売となりましたね。はたしてあの仮面ライダーゼロツーはいつテレビに出てくれるのか…
あと、今回は一部少しだけグロ表現がありますのでご注意ください。
感想、評価をお待ちしております!
『この本によれば、『元』普通の高校生にして錬成師南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『3ヶ月ぶりに地上に出た我が魔王達を待っていたのは仮面ライダーカブトの力を継承した兎人族の少女シア・ハウリアと黒髪の謎に満ちた少女クロハネの2人』
「おや?クロハネの持つこのウォッチは…何故彼女がこのライドウォッチを持っているのか。これは我が魔王が覇道を歩むために必要な…」
「おっと。今回は全く関係ないところで大事なことを明かしそうになりました…」
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ライセン大峡谷を走っているのは魔力駆動二輪シュタイフとマシンディケイダー。
ハジメは腕の中にユエ、背中に香織を乗せてサイドカーにシアを搭乗させシュタイフを走らせ、ツカサは背にクロハネを乗せながら移動を続けていた。
「そういえば聞きたかったんだけど…クロハネちゃんってどうしてハウリアの人達と一緒に行動してたの?」
香織はマシンディケイダーに乗っていたクロハネに聞くと、彼女は苦笑いを浮かべる。
「それが~…私もよく知らないんですよね。ハウリアのみなさんに助けられる前の記憶が無くて…」
「それって…記憶喪失ってやつか?」
ハジメの言葉に頷くクロハネ。
何でも、気が付いたら樹海の前で倒れておりどうしてそうなったかはおろか、過去に自分がどんなことをしていたのかすら満足に覚えていないらしい。
「ただ…声を聞いたような気がしまして」
「声…?」
「はい…『時の王者を探せ』と…多分、その王様を見つけてこの力を託す。それが私の使命なのかもしれません…」
クロハネはジオウウォッチに酷似した謎のウォッチをみつめ、呟く。
「あと、シアを助けるときに気づいたんですけど私も固有魔法があるみたいなんですよ…」
「ん…クロハネも固有魔法を?」
「はい…真っ白な翼を出現させて飛ぶ『聖天使の翼』って魔法みたいですけど…」
そう言いながらクロハネは一瞬だけ真っ白な翼を出現させるとすぐに戻す。
「驚いたな…まさかこんなところにも規格外な奴がいたとはな…」
サイドミラーでクロハネの翼を見たツカサが思わず口にする。
ハジメ達も喋りはしなかったものの同じように驚いているようだ。
(しかしクロハネの言葉………『時の王者』。確かウォズもそう言ってたな。ハジメが…ジオウが時の王者だとしたら、何故あのライドウォッチはハジメに反応しない?まだあいつがジオウとして覚醒して間もないからか…?)
ツカサはクロハネの言葉に密かな疑問を持ちながらバイクを走らせるのだった…
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しばらく移動をしているとシアが叫ぶ。
「いました!あそこに父さま達がいます!」
見ると、無数の魔物…地球の伝承に伝わる小型の竜ワイバーンに酷似した魔物『ハイベリア』に兎人族が襲われていたのだ。
「チィッ!香織、頼むぞ!」
「うん!」
ハジメの右手に装着された宝物庫が輝くと彼の手によって改造を施された『シュラーゲン』が現れ、香織はサイドカーとバイクの後部座席を上手く使い足場にし、三脚スタンドで固定。
「シアちゃん!音が大きいから耳塞いでて!」
「は、はいですう!」
シアが慌ててウサ耳を塞ぎ、香織は纏雷によって最大威力に高められたシュラーゲンのトリガーを引くと電磁加速された弾丸がハイベリアを撃墜。
直撃せずとも、衝撃波だけでほとんどのハイベリアが撃ち落とされていった。
「ハジメ!あとは俺がやる!」
ツカサもドンナー・ジェミニを取り出し残ったハイベリアを正確に撃墜。
ハジメ達がバイクのブレーキを踏む時には、ハイベリアは一匹たりとも生存していなかった。
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「いやはや、この度はありがとうございます…!」
あれから数分。現在ハジメ達に頭を下げていたのはシアの父親であるカム・ハウリアだ。
兎人族共通の特徴であるウサ耳にハジメは一瞬だが(オッサンのウサ耳とか誰得だよ…)とちょっとばかり失礼なことを考えていたがすぐに頭から追いやる。
「まあ、シアとの契約だ。今後樹海内部でのハウリア族の居住地を確保する代わりに樹海内部を案内、そしてシアの持つ『カブトウォッチ』を提供するというな…念の為に聞くが、族長であるお前もその条件をのめるか?」
その言葉にカムは優しく頷く。
「構いませんよ。シアとクロハネが信じている相手です…我々が信じないで、誰が信じるというのですか」
その言葉にハジメは呆れ半分、関心半分だった。
何せこの峡谷に追いやられたのは帝国兵…すなわち人間族によるせいだ。にも関わらず娘が信じたという理由だけで人間族であるハジメ達を信じようというのだ。
お人好しにも程があると思ったが、だからこそシアのように普通ならありえない形で生まれた存在を守るべく一族総出で助け合えるのかもしれない。
良くも悪くもこの兎人族というのは徹底した平和主義な種族なのだろう。
「大丈夫ですよ父さま。ハジメさんは見た目こそかなり怖いですし結構危なそうですけど、話をすればきちんとわかってくれる人です!」
「シア、それ半分くらい褒めてないよ…ほら、ハジメさん落ち込んでる」
クロハネの指摘通り、ハジメは少しばかり顔を引きつらせ落ち込んでいたのを香織が頭を撫で慰めている。
「と、ともかくここにいちゃまたすぐに魔物に囲まれる。まずは俺達が先頭に立って峡谷を抜け出そう」
ツカサの指示に従い、ハジメ達が先頭に立つとシア達ハウリア族がついてきた。
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峡谷の出口に近づくなか、シアはハジメに対してある疑問をぶつけた。
「あの…ハジメさん」
「ん?どうかしたのか?」
「いや…その…本当にいいんですか?」
突然の言葉に疑問符を浮かべるハジメだったが、シアは不安げな表情で質問する。
「恐らくまだ帝国兵はいるかもしれません…そしたら、ハジメさん達は帝国兵と…同族である人間と戦うのですか?」
これからハジメ達が対峙するのは魔物ではなく帝国兵…人間だ。すでに魔物を殺すことに躊躇いはない。しかしこの世界を出ると決めたときからハジメとツカサは覚悟を決めていた。
例え人間を殺そうとも、必ず自分達の望みを叶えてみせると。
「俺達は叶えたい望みがある。そしてそのためにはお前達ハウリアの協力が必要不可欠なんだよ…だから邪魔する奴は魔物だろうが人間だろうが関係ない。『敵』ならば殺すって俺はもう3ヶ月も前に決めてるんだ」
何でもないように語るハジメ。
だがこの時、ハジメは気付かなかった。
その言葉を聞いて表情を歪めていた『ある人物』に…
案の定、峡谷の出入り口とも言えた階段を上りきった先には大型の馬車が数台に野営の跡、そして30人ほどの軍服で統一されていた屈強な男達…帝国兵の姿があった。
「おいおいマジかよ。兎人族の連中生き残ってたとはな…隊長の命令で仕方なく残ってたが、こいつぁいい土産になりそうだ」
指揮官らしき兵が驚いたような口調で語ると、先頭に立つ南雲兄弟に目をつける。
「なんだあのガキ共…兎人族と同行してるってことは…ああ!」
納得したような顔をする指揮官。
「お前ら、奴隷商人か。わざわざ峡谷からご苦労なこったな。まあいい、そいつら全部帝国で引き取るからここに置いてけ」
「断る」
帝国兵のさも当然のことを言っているかのような言葉にハジメは即答。
「…今、なんつった?」
「断るって言ったんだよ。この兎人族達と俺は契約しててな。あんたらに渡す奴は誰1人いない。こんなところで野宿してないでさっさと帰国することをオススメする」
「…ガキが。口の利き方に気をつけろ。俺達が帝国兵だとわからないほどバカなのか?」
「いや。これでもあんたらより頭はいいと思ってるぜ?上の命令に従って何一つ改善しようとしないバカよりはな?」
とことん煽りに煽るハジメに、ツカサは内心ため息をつく。
(お前煽りすぎだろ…)と。
「へぇ~、なるほどな…お前さん達が世間知らずのお坊ちゃんだってのはよ~くわかった。ちょいと大人が世の中の厳しさを教えてやる」
指揮官はハジメの肩に鞘から抜いた剣を向ける。
「まずはてめえを動けなくして、連れの女3人をボロボロに犯して反省させてやるよ」
帝国兵達の下卑た視線が香織とユエ、クロハネに移動した瞬間、ハジメとツカサの中で『スイッチが入る』。
「そしたらこの兎人族と一緒に奴隷商人に売っ―――――」
帝国兵が最後まで言い切ることはなく、その頭は弾け胴体から真っ二つにされた。
「―――え?」
香織だけでなく、その場の全員が突然起きた惨劇に唖然としたのだ。
「…なるほど。お前らは『敵』として確定した」
「もういい…全部終わらせてやるよ。死にたい奴からかかってきな」
そう言い切ったハジメとツカサの『眼』を見て、シア達は息を呑む。
ハジメの眼は彼の魔力光が溢れたかのように薄らだが紅く発光しており、ツカサの眼も同じように紅く変化していた。
「な…なにg―」
帝国兵のうち何人かが混乱しているなか、ハジメはドンナーの引き金を引いて次々と帝国兵を射殺。
ツカサはディメンションの刃を鞭のように細長くしなる形に変化させ、首を切断していく。
「え、詠唱を発動させろ!奴らを殺すんだ!」
兵士達のうち何人かが呪文を詠唱し、残りが剣で攻撃してくるがハジメは攻撃を左腕の義手で防ぎ、〝豪脚〟で兵士の一人を粉砕。
すぐさま錬成のイメージを行うため両手を合わせ、他の兵士の腹に手を当てると〝人体構成物質錬成〟を発動。
「な…がはっ!?」
兵士の腹を突き破るかのように黒い塊…人体を構成している炭素が生えて腹に穴を開け、さらに体を構成する物質を弄られたことにより兵士は死亡。
「チッ。ちょいえぐいなこの技能…」
ハジメは顔の血を拭い、すぐさまブリッツとドンナーを手に持つとブリッツで兵士を切断。
ツカサと共に振るわれる二つの刃があっという間に周囲を真っ赤な血で染め上げた。
「やっぱ人間相手なら纏雷の電磁加速はいらないか…」
気が付くと、残された帝国兵は一人だけになっていた。
「おい。既にお前達が捉えていた兎人族はどうした?」
「こ…答えたら助けてくれるのか!?」
その言葉にハジメはドンナーを向ける。
「バカか。お前は条件をつけられる立場じゃないんだよ。別に今すぐ欲しい情報ってわけでもない。今すぐ死にたくなかったらさっさと答えな」
「わ、わかった!もう帝国に移送済みだ…人数は絞ったから、もう…」
人数を絞った。それはすなわち老人などを殺して愛玩奴隷として売れそうな者だけ連れて行ったということだろう。
「そうか…なら、その情報だけで十分だ」
ハジメはドンナーの撃鉄に指をかけ、帝国兵に狙いを定める。
「た、頼む!何でも情報を話すから!だから殺さないd―――」
それを言い切る前に、ツカサのディメンションが帝国兵の首を切断した。
「………兄貴。どうしてだ?」
血を流し倒れる帝国兵の死体を横目に、ハジメはドンナーとブリッツをホルスターと鞘にしまいながら聞く。
「…お前達の精神状態を考えた結果だよ。せめて香織達に話しかけるなら、返り血くらい拭いとけ」
ツカサはディメンションを短剣に戻して鞘に納めると、ハジメにハンカチを投げ渡す。
「…サンキュ。兄貴」
顔の返り血を拭うと、シアが恐る恐る話しかけてきた。
「あの…最後の人は見逃しても良かったのでは…?」
「…は?」
振り返ったハジメの冷たい眼に一瞬竦むシアとクロハネ。
「向こうは俺達を殺すつもりで来たんだ。相手が強かったからといって見逃してもらおうなんざ、虫が良すぎるってもんだ」
冷酷とも言えるその言葉に恐怖の色が瞳に浮かんだハウリア達だったが、ユエと香織がハジメの手を掴む。
「…守られていただけで、助けを請うだけの貴方達がハジメとツカサにそんな目を向けないで。これで恐れたり逃げたくなったのなら、契約もここで終わり…一族仲良く滅びようが、あとは関係ない」
ユエの言葉にカム達は俯き、香織は先程までドンナーを握っていたハジメの右手にしがみつく。
「香織…?」
「ハジメ君…ちゃんと、『ハジメ君の腕』…だよね?」
香織の口から出た言葉に疑問を抱いたハジメ。
この時、ハジメはまだ気が付いていなかった。
香織の抱いていたその感情が何なのか…
「いや…申し訳ございません。我々を守ってくれた恩人に向けるような目ではありませんでしたな」
カムとシアを筆頭に一族は全員が頭を下げた。
「別に気にしてねえさ。元々争いが苦手な兎人族がこんな光景を見たら誰だって怖くなる…それより、この馬車使って樹海に向かうぞ」
シア達の謝罪に対し、ハジメとツカサは気にするなと手をヒラヒラ振るだけだった…
次回、ありふれた職業と最強兄弟
第3話 樹海の世界2018