ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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今回は二日続けての投稿となります!

仮面ライダーゼロワン、ついに堂々完結…寂しいものがあります。

ですがまだ映画がありますからね、それが楽しみです。

新作、仮面ライダーセイバーも来週から始まるので楽しみにしています。


感想、評価をいつでもお待ちしています!


第9話 ブルックの町

『この本によれば、『元』普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』

 

『ハルツィナ樹海の大迷宮を攻略するにはまだ条件を満たしておらず、我が魔王達は先に残る迷宮を攻略するべく樹海を後にする』

 

『おや?どうやら新たな旅の仲間が増えたようですね…強大な力を持つ兎人族の少女、シア・ハウリアと…過去を持たない天使の翼を出現させる少女、クロハネ…』

 

 

「さて…これからどうなるのやら」

 

 

――――――――――

 

 

ハルツィナ樹海を抜けてそれなりに時間が過ぎた頃、バイクを運転していたハジメ達の視界に町が見えてきた。

周囲を塀と柵で囲まれた小規模な町で、街道に面した場所に木製の門と詰所らしき小屋が見える。

 

「あ、そうだ。ハジメ、白崎!お前らステータスプレートの表示隠しとけよ?」

「え?…あ、そうだな」

「いけない!忘れてた…!」

 

ハジメは一度シュタイフを停めて、香織共々ステータスプレートを取り出す。

ステータスプレートはステータスの数値と技能を持ち主以外に見えなくする隠蔽機能が備わっている。

冒険者や傭兵にとって自身の能力の情報漏洩は命取りになりかねないからだ。

 

その上、ハジメ達の数値はこれまで魔物を食ってきたことで全数値が一万を超えているなど、見られたら色々面倒なことになる。

 

 

改めて数値を隠蔽し門の前に着く(シュタイフとディケイダーは少し離れた場所で宝物庫にしまった)と、門番が声をかけてきた。

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

 

ハジメ達3人はプレートを手渡すとハジメが答える。

 

「食料の補給がメインで、あと素材の換金もしたい」

「なら冒険者ギルドに行くといい。あそこの受付が町の簡単な地図を書いてくれるはずだ」

 

そう言いながらプレートを確認する門番は少し驚いた顔をする。

 

「ふむ…錬成師に…治癒師!?それにこの時の王者と破壊者って…何だこの天職は?」

 

あ…と顔を合わせる三人。

今更ながら思い出したが、香織の天職である治癒師はかなり珍しい天職で、異世界チートな元クラスメイト同様数千や数万人に1人クラスだったことを思い出す。

それに時の王者や破壊者など、これまで一度たりとも見たことのない天職に混乱する門番。

 

「あ~…俺の場合、時計修理に関して特化してたから『時の王者』なんてご大層な名前ついちまったみたいなんだよな…」

 

慌てて誤魔化すハジメは、すぐにツカサの天職について語る。

 

「兄貴のほうも、戦闘に関してかなり強くてさ!うっかり魔石までぶっ壊すことが多いから『破壊者』なんて言われてんだ…」

「そ、そういうものか?」

 

少し迷っているが、どうにか誤魔化したハジメ。

最後にステータスプレートを持っていないユエ、シア、クロハネに視線が行くがハジメは『この二人(ユエとクロハネ)は魔物との戦いでステータスプレートを紛失した』と説明し、シアに至ってはカモフラージュ用につけた首輪のお陰でさほどしつこく聞かれることもなかった。

 

「あと、冒険者ギルドはこの先をまっすぐ行ったところにある。ようこそ、ブルックの町へ」

 

 

――――――――――

 

町に入ったハジメ達は、少しだけ気分が高揚するのを感じながら街を歩く。

 

「中々活気があるな…王都よりは小さいが、俺としちゃこういう町の方が好きだ」

「そうだね…ここなら『神の使徒』とか関連で見られることも無いし」

 

香織は奈落に落ちる前、光輝達のグループにいたからか王都で顔が知られており、少しばかり窮屈だったりする。

 

「……………」

「で、いつまでむくれてんだ?シア」

 

小さくため息をついたハジメが振り返ると、クロハネに頭を撫でられながら半泣きになっているシアがいた。

 

「だって…ハジメさんこれはないでしょ!!」

 

シアが指さしたのは首輪。一応奴隷の首輪ではなくカモフラージュ品であるため、彼女を拘束する力はない。

だが、そうわかっていてもシアには首輪をつけられたのがショックだったのだ。

 

「これのせいで奴隷だと思われたじゃないですか!私達仲間じゃなかったんですか!?クロハネは普通に受け入れられてるのに…あんまりですよ!!」

 

抗議するシアをクロハネが「どうどう」となだめ、代わりにツカサが説明する。

 

 

「…いいか、シア。ハジメだって別に奴隷扱いしたくて着けたんじゃないって。奴隷でもない亜人が普通に町を歩けば、すぐに人さらいとかに狙われるって考えたから余計なトラブル防止のために準備してるんだ」

 

まだ納得いかないのか唸るシアに、ハジメは説明する。

 

「大体、お前は愛玩奴隷としての需要が高い兎人族な上外見のレベルも高いんだ。そんな奴が首輪を着けずに歩いてたら…っておい」

 

ハジメが見ると、シアが嬉しそうにもじもじしている。

 

「も、もう何言い出すんですか!世界一可愛くて魅力的だなんて…」

 

都合よく脚色したシアを無視し、ハジメ達はギルドへと歩く。

 

「えっと…ごめんなさい。シアはいつもああいうのだから」

「ああ…慣れるしかねえだろうな」

 

クロハネがフォローするが、ハジメ達は小さなため息をついた。

 

 

――――――――――

 

冒険者ギルドにたどり着いたハジメ達を迎えたのは、意外にもアットホームな雰囲気。

荒くれ者の集まりそうな場所とイメージしていたが、内部は清潔感が保たれている。入口正面にカウンターがあり、左手は飲食店となっているようだ。

 

「酒を誰も頼んでないのは意外だったな…ギルドと酒場は一体になってるってイメージがあっただけに…」

「多分、お酒飲みたいなら別のお店があるのかも」

 

ツカサの疑問に香織が何となくだが答えた。

 

ハジメ達が入ったことでギルドの冒険者たちがこぞって注目する。最初こそささやかな注意を引いただけだったが、ハジメたちの後ろにいた香織、ユエ、シア、クロハネの4人に視線が向くと瞳の奥の好奇心が増した。

 

この手のテンプレよろしく誰かがちょっかいをかけてくるのかと少しばかり警戒したハジメとツカサだったが、誰1人暴走することなく一同はカウンターまでたどり着く。

 

カウンターにいたのは大変魅力的な………笑顔のおばちゃんがいた。

恰幅がよく、横幅がユエの二倍はあるおばちゃんである。

ギルドの受付は美人のお姉さんというハジメの脳内イメージは一瞬にして崩壊し、何となく考えを読んだユエがハジメのコートの裾を引っ張り、香織が後ろからハジメの両頬を軽く引っ張る。

 

「両手に花を持っているのにまだ足りなかったのかい?残念だったね、美人の受け付けじゃなくて」

 

心を読まれたことに焦るハジメ。

そんな彼の心情を察したツカサがため息をつく。

 

「いや…すいません、こいつ昔っから…」

「いやいや、この子に『あまりよそ見するな』って言ってあげなよ?こんないい娘達に愛想尽かされないようにね?」

「…ああ。そうさせてもらう」

 

ハジメの苦虫を噛み潰したような返答に「あらやだ、年取るとつい説教臭くなっちゃって」と申し訳なさそうに謝るおばちゃん。周囲を見ると冒険者達までも「ああ…あいつもおばちゃんに説教されたか」みたいな表情になっている。

どうやらここの冒険者達が大人しいのはこのおばちゃんのおかげらしい…

 

 

「さて…じゃあ改めて、冒険者ギルド、ブルック支部へとようこそ。ご要件は?」

「ああ、素材の買い取りを頼みたくてな…」

 

ハジメはここに来る直前に宝物庫から取り出していた素材の袋を取り出すと、カウンターに置く。

 

「じゃあ、ステータスプレートを出してくれるかい?」

「ん?ステータスプレートって買い取りに必要なのか?」

 

地球だとよくゲームとかの買い取りで身分証が必要なのはあったな…と思ったハジメだが、異世界でも同じなのかと疑問を持つ。

 

「おや、あんた冒険者じゃなかったのかい?買い取りにステータスプレートはいらないんだけどね。冒険者と確認できれば買取額が1割増えるんだよ」

「あ、そういうシステムがあったのか…」

 

確かに、生活に必要な魔石や薬の素材などは冒険者が取ってくることが多い。街の外に出ると魔物に襲われる可能性もある以上、素人が自分で素材を採取することなど滅多にない。

生活の基盤となるものを集めてくる以上、危険に見合った手当がつくのは当然と言えるだろう。

 

「他にもギルドと提携している宿や店は大体1割から2割くらい利用料を割引してくれるし、ある程度高ランクだと移動馬車が無料で使えたりと特典もつくけど…登録していくかい?登録料は千ルタだよ」

 

ここで解説すると、ルタとはこのトータスにおける通貨の単位である。

ザカルタ鉱石という特殊な性質を持つ鉱石にほかの好物を合成することで異なった色に変化し、それに独自の技術で刻印したものが使われている。

青、赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金といった種類が存在し、それぞれの額は左から一、五、十、五十、百、五百、千、五千、一万ルタとなっている。

ちなみに、貨幣価値はなんと日本と同じになっていたためこの世界に来たときハジメ達はすんなりルタについて慣れることができた。

 

「じゃあ、登録料は買取額から差し引いてくれないか?あと、後ろの二人の分も」

「可愛い子を4人も連れてて文無しなんてなにやってんだい。特別に買取分は上乗せしといてあげるから、不自由させんじゃないよ?」

 

おばちゃん、マジありがとう!と内心同じ事を考える南雲兄弟。

やがて戻ってきたステータスプレートを開くハジメ、ツカサ、香織は自分の天職欄の横に新たに『職業欄』ができたことを確認し、そこには『冒険者』の職業が表記され、横にはランクを示す青色の点が付いていた。

 

冒険者ランクは通貨の価値と同じになっており、遠まわしに『駆け出しはまだ1ルタの価値しかない』と言っているのと同じになっているのだ。

この制度を作った人物の性根の悪さがにじみ出ている…

 

「男なら頑張って黒を目指しなさいよ?非戦闘系で上り詰められるのは黒までだけど、十分すぎる称号なんだから」

「ああ、そうするよ…で、あとはこいつを頼む」

 

おばちゃんはハジメが置いていた袋の中身を開けると…

 

「これは…樹海の魔物からとったものだね?」

「ああ…ちょいと樹海で滞在する用事があってな。やっぱ珍しいか?」

「そりゃあね。樹海なんて並の冒険者じゃ命がいくらあっても足りないさ」

 

流石に奈落の魔物から取った素材は売らないほうがいいと判断したハジメ達。

魔石の質も比べ物にならないが、間違いなくそれを出したら騒ぎになると考え、まだ珍しいもののいくらか現実的な樹海の魔物の素材を売ったのだ。

 

 

やがて査定が終わり、おばちゃんは金額を提示する。

その額、58万3千ルタと6人で使うには十分な額となった。

 

「ところで、門番の人からこの町の簡易的な地図をここで受け取れると聞いたんだが…」

「ああ、ちょっと待っといで…」

 

おばちゃんはカウンターの下から1枚の地図を渡してくる。

 

「ほら、これだよ。おすすめの宿や店も書いてるから参考にしときなさい」

 

手渡された地図はなかなかに精工で有力な情報が丁寧にまとめられている地図だった。正直、そこそこお金を払って購入したほうがいいんじゃないかと言えるレベルである。

 

「え、いいんですか?こんな立派なガイドマップをタダでなんて…」

「構わないよ。アタシが趣味で作ってるだけだしね。書士の天職を持ってるから、アタシにとっちゃそれくらい落書きみたいなもんだよ」

 

(このおばちゃん、ハイスペックすぎじゃね!?)と内心叫ぶハジメ。なんでこんなすごい人が辺境のギルドで受け付けやってるんだろうか?と少し気になったハジメ達だがあえて触れないでいた。

 

「それより、いい宿に泊まりなよ。そんな可愛い子達をみて暴走する連中もいるかもしれないからね!」

 

「ああ、肝に銘じとくよ」

 

――――――――――

 

ハジメ達が決めた宿は、おばちゃんのおすすめとガイドマップに書いてあった『マサカの宿』という宿屋。

 

紹介文によると料理のレベルが高く防犯もしっかりしており、何より風呂付きだという、ハジメ達の希望にピッタリ合う宿だった。その分少し高いが、素材換金で十分な資金があったのでハジメ達は迷うことなくマサカの宿を選ぶ。

 

 

「いらっしゃいませ!ようこそ、〝マサカの宿〟へ!本日はお泊りですか?それともお食事だけですか?」

 

カウンターにいたのは15歳ほどの幼げな少女。

 

「宿泊だ。このガイドマップをみて来たんだが、記載されているとおりでいいのか?」

「キャサリンさんの紹介ですね!はい、ここに記載してあるとおりです!何泊のご予定ですか?」

 

おばちゃんの本名が『キャサリン』だということに少し驚いたハジメだが顔には出さず、二泊と告げる。

 

「あと、食事と風呂もつけてくれ」

「はい、お風呂は15分百ルタになります。あと、この時間が空いておりますが…何分ほどにします?」

 

空いている時間帯を見せてもらい、ハジメとツカサは少し話し合うと「二時間で」と頼む。

男女それぞれ一時間で割り振ってもいいだろうと考えたのだが、それを聞いた少女が何かを想像したのか顔を真っ赤にして慌てだした。

 

「え、え~っと…では、お部屋はどうなされますか?今のところ二人部屋3つか、三人部屋2つなどができますが…」

「あ、じゃあ3人部屋2つで」

 

ツカサの言葉に周囲の男性客達がざわめき立つ。

 

「ん…私とハジメと香織で1部屋。ツカサとシア、クロハネで1部屋」

「ちょっとユエさん!何勝手に決めてるんですか!」

 

勝手に部屋割りを決められ抗議するシア。

だがユエは断固として譲らず言い争いが勃発してしまう。

 

「大体ユエさんと香織さんだけズルいです!私だってハジメさんとこのまま大人の階段を―――」

「ちょい黙ってろ二人とも!」

 

ハジメが軽くユエの頭を小突き、シアのうさ耳を引っ張る。

 

「シア…発情期はもう少しコントロールしてね?」

「うう…最近クロハネが冷たいです…」

 

穏やかな口調で厳しいことを言われ、シアはがっくりと肩を落とすのだった…

 

 

――――――――――

 

「さて…俺はこれからやるべきことがあるからな。香織はどうする?」

「じゃあ、私は手伝うよ。構想を練るか生成魔法でなら多少手伝えるし」

 

ハジメの足元には以前樹海での訓練でシアが使っていたハンマーと、クロハネが使っていた2本の大剣が置いてある。

 

「ん…じゃあ私はシアとクロハネとツカサで出かけてくる…」

「私、新しい服が欲しいです!」

「じゃあ…私も今の服ちょっとボロボロだから買い揃えたいですね」

「なら、ユエ達3人で行ってきな。俺は旅の食材とか買ってくるからよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、筋肉質なオカマという濃ゆい店長『クリスタベル』の服屋でシアとクロハネは装いを新たにする。

 

シアは水着のようなデザインだった兎人族の民族衣装から一転し、露出度はほぼ変わってないものの青を基調としたミニスカートにお揃いの上着、サンダルが白いロングブーツになり、エンジ色の外套をハジメや香織のコートみたいに羽織った姿に。

 

クロハネの服装は奈落に落ちる前の香織が着ていたプリーステスの衣装にどこか似ており、違いは色が白と海をイメージさせる青、さらに防具の類が無くなっておりロングスカートに変更されている点だろう。

 

新しい服装に着替えてご満悦のシアとクロハネ。

 

一方ツカサはというと…

 

 

「お…こっちの世界でも塩コショウがあったか…」

 

食材や調味料を買い揃えるツカサはこれまでないほど楽しそうに買い物を楽しんでいた。

 

「……………」

 

ふと、ツカサは自分の首にかけていたカメラを見る。

 

「…早いとこ、あいつに会わないとな」

 

奈落に落ちてから既に3ヶ月以上経過しているが、この町でも結局王都にいる『神の使徒』達の情報は無かった。

その中でもツカサが気にかけていたのは、自分と同じようにハジメと香織の仲を後押ししてくれた少女。

 

 

「…なあ。お前はまだ俺達が生きてると信じてくれてるのか…………雫…?」

 

親友までもが消えたことで彼女の心がまだ無事なのかどうか。

こうして落ち着いた町に着いたことでツカサは少しばかり不安になっていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにこの後ユエ達3人にアタックを仕掛けた男達が彼女達の手によって『男の象徴』を攻撃され、新たな生命体『漢女』へと生まれ変わる事件が起きたのだが…今回の話とは無関係なので省略しよう。

 

 

――――――――――

 

 

それから数時間後。途中外で何やらたくさんの男の悲鳴が聞こえてきたが気にせず作業しているハジメと香織。

 

やがて『それ』が完成するとユエ、シア、クロハネ、ツカサの4人が帰ってきた。

 

「ただいま戻りましたですよ~!どうです、この新しい服!」

ユエとクロハネが自慢するように見せてくる。

 

「クロハネのは…昔の香織に似てるな。てかシア…お前冒険用の服装なのに露出度変わってねえじゃん」

「だって他の服装だと動きが鈍るんですよ~。これなら動きやすいですし!」

 

ご機嫌なシアとクロハネに対し、ハジメは完成させた新しい武器を渡す。

 

「ほらよ。これをお前達に渡しておく」

 

シアが受け取ったのは機械的な円柱状の物体で、側面には取手のようなものがついていた。

 

クロハネが受け取ったのは2本のロングソードで、それぞれ赤と青の鞘に収められている。

 

「シアに渡したのは戦鎚型アーティファクト『ドリュッケン』で、クロハネに渡したのが炎と氷を司る双剣アーティファクト『フランメ』と『アイズ』だ」

 

「これが…って、私のなんか持ち手が小さくないですか?それに重い…」

「重いのはその分威力が増すからな。あと、二人とも武器に魔力を流してみろ」

 

ハジメの言うとおり武器に魔力を流し込むと、ドリュッケンの持ち手が伸びてハンマーとして使うのにちょうどいい長さになる。

さらにフランメとアイズも炎と氷のエフェクトを発生させながら2本のバスターソードに変形。

 

「さっきのドリュッケンは砲撃モード兼待機形態で、フランメとアイズは切れ味と取り回しやすさに優れたセイバーモード。で、今のドリュッケンが近接戦に特化したハンマーモードになって、フランメとアイズは破壊力と魔力コーティングによる属性魔法攻撃に優れたバスターモードだ」

 

ドリュッケンは戦鎚として使う他、砲撃モードだとスラッグ弾などの遠距離物理攻撃も可能となる。

また、フランメとアイズはシンプルなロングソード型のセイバーモードとして使えば破壊力に劣る変わり斬撃能力と取り回しやすさに優れ、大剣型のバスターモードにすれば一撃の破壊力が上昇し、さらに魔法攻撃をブーストしてくれるのだという。

 

「そして、こいつは試作品だが持っておけ」

「これって…神結晶?」

 

クロハネとシアが受け取ったのは宝石のような形に加工された神結晶がそれぞれ3つ。

 

「いざという時のために搭載してある『ファイナルモード』の起動キーとなる神結晶だ。それを武器の柄の部分にセットすれば、貯めてある魔力が武器に宿り、一撃限りだが破壊力を5倍にしてくれる」

「ご、5倍!?」

 

ファイナルモード。それはドリュッケン達に試験的に搭載された必殺ギミック。

弱点としては武器自体にかかる負担が大きいことと、内部の魔力が一度使えば枯渇してしまうこと。

 

今の段階だとファイナルモードはメンテナンスをせずに連続使用すれば恐らく3回までしか耐えられないと判断し、あえてキーとなる神結晶を3つだけ渡したのだ。

 

 

「とりあえず俺達の今の技術じゃこれくらいしか作れなかったが…腕が上がれば必要なギミックも取り入れていく予定だ。二人ともユエや香織から手ほどきを受けたとは言えまだまだ未熟…これはお前達の力を引き出せるように作ったんだ。きちんと使いこなせよな?」

 

 

シアはドリュッケンを待機状態に変化させ、強く頷く。

 

「はいです!」

 

クロハネもフランメとアイズを待機形態にすると、鞘をクロスさせるように背負い、剣を背中の鞘に収める。

 

「はい…絶対、使いこなしてみせます!」

 

 

新しい武器を持ったシアとクロハネ。

そしてハジメ達は持っていた武器をテーブルの上に並べると、ハジメ、ツカサ、香織、ユエは手を重ねる。

 

「おい、お前達も一緒にやるんだよ」

 

ハジメに促され、シアとクロハネも一緒に手を重ねる。

 

「いいか…また一歩俺達は進んだ。明日まで休息を取って、次はライセン大峡谷を攻略するぞ!」

 

「俺たちで、世界を越える!」

 

 

「「「「「「おおー!!!!」」」」」」

 

新しいメンバーを加えて、次なる迷宮の攻略がスタートする…!

 

 

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟

第10話 探索、死の峡谷
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