ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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お待たせしました、今回からライセン大峡谷編となります!


仮面ライダーセイバー、ついにスタートしましたね。
ここまで徹底したファンタジー路線のライダーも久しぶりなので、楽しみです。


感想、評価をいつでもお待ちしています!


第10話 探索、死の峡谷

『この本によれば…『元』普通の錬成師南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』

 

『シア・ハウリアとクロハネという新たな仲間を加えた我が魔王一行はブルックの町で一休みし、準備を固める』

 

「では…ついにライセン大峡谷の攻略、始まりです」

 

 

 

――――――――――

 

 

「一・撃・必・殺…ですぅ!」

 

シアの振り抜いたドリュッケンが魔物を叩き潰す。

 

「ふっ…セヤアッ!」

 

クロハネの振るうセイバーモードのフランメとアイズが魔物たちを細切れにしていく。

 

「ユエ!後ろお願い!」

「ん…任せて!」

 

レーゲン・ハイルメタルを撃つ香織と、ネブラで確実に魔物を撃ち抜くユエ。

 

「弾け飛べ!」

「これで…終わり!」

 

ドンナーを発砲するハジメと、ディメンションで相手を切断するツカサ。

 

ブルックで準備を固め、丸二日休憩したハジメ達は準備を整え、大迷宮のあるライセン大峡谷に舞い戻ってきた。

 

その間、魔物に何度も襲われるものの今のハジメ達では相手にすらならず、このように一方的に蹂躙され続けていた。

 

 

「ったく…やっぱり峡谷のどこかってだけじゃ情報が足りねえな…」

 

夕暮れになり、ハジメが愚痴りながらもドンナーをホルスターにしまう。

 

「このまま発見できなかったら先に大火山の方に行くか?そっちのほうがまだ情報ありそうだし」

 

ツカサの言葉に計画を練り直すべきか迷うハジメ。

だが、周囲も暗くなってきたので今から動くのは危険だと考えた。

 

 

「しゃーない。とりあえず明日もう一回探して、みつからなかったら火山のほうに移動だ」

 

 

――――――――――

 

夜になり、ハジメ達は野営の準備をしていた。

 

ちなみに今回の野営道具、ブルックで購入したものをハジメが生成魔法と錬成を使いバージョンアップしたアーティファクトに改造されている。

 

テントは全て火属性魔法と水属性魔法を付与させた『暖房石』と『冷房石』をつけることによりテント内を適温に保ち、さらにはオスカーの屋敷で最初に作った冷房石から現代文明の発明品『冷蔵庫』と『冷凍庫』まで完備。

さらにテントの骨組みには気配遮断などの力を付与させているため、魔物にも気づかれにくいという特徴がある。

 

調理器具も魔力を流すことで炎を調整できるフライパンや風爪を付与させた包丁、さらにはスチームクリーナーやオーブントースターまである。

 

全てハジメが生成魔法の練習過程で作り上げたもので、今では一行の旅のお供に欠かせなくなっている。

 

ちなみに今日の料理当番はシアとツカサで、シアは『ククルー鳥のトマト煮』、ツカサはチーズやトマトなどを挟んだホットサンドを作って全員に振舞っていた。

 

 

食糧問題においてもハジメ達を越える逸材だったシアのお陰で野営にも関わらず食事のクオリティが上がり、大満足の夕飯を終えたあと交代交代で見張りをすることになったハジメ達。

 

 

そして全員が寝静まり、ハジメがツカサから見張りを交代して少し経った頃…

 

 

 

「…ん?どうしたシア」

「えっと…ちょっとお花を摘みに…」

 

その一言で察したハジメは手を振り、シアはいそいそとテントを離れる。

 

 

 

シアが離れ、ハジメは見張りの間これまで集めたライドウォッチを並べていた。

 

 

(オスカー・オルクスが持っていたビルドとクローズ…ユエが持っていたキバ…シアが持っていたカブト…クロハネの持っていた謎のウォッチ…そして、俺の持つジオウ…)

 

オスカーのメッセージだと必要なライドウォッチはツカサが持つライダーカードと同じもの。すなわち、クローズとクロハネの持っていたウォッチはカウントされないということになる。

 

(…残るウォッチは16個…いや、兄貴のディケイドからウォッチを受け取れば残り15個か。未入手で居場所がわかっているのは兄貴のディケイドと、樹海の響鬼ウォッチ)

 

仮に残る迷宮でウォッチを入手したとしても、この世界のどこかにあるというライドウォッチはあと9個。

本当にウォッチが見つかるのか、疑問に思ったハジメだったが…

 

 

 

「は、ハジメさ~ん!!」

 

岩陰に行ったはずのシアが走ってきた。

 

「何だよ、そんな慌てて」

「た、大変ですぅ!皆さんを連れてきてください!」

 

 

そんなやり取りが聞こえたのか、クロハネが起きてくる。

 

「むぅ…どうしたの、シア…?」

 

「見つけたんですよ、大迷宮の入り口!!」

 

「「……………え?」」

 

 

――――――――――

 

ハジメ達は眠っていたツカサ、香織、ユエを起こしてテントなどを宝物庫に収納すると、シアが見つけたという岩陰に到着。

そこには…

 

 

 

 

『おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮♪』

 

岩壁に直接彫られており、少女のような丸っこい文字でそう書かれている。

 

 

「………なあ、これって本物?」

 

ツカサが確認するが、全員が疑問を抱く。

無理もない。本当に大迷宮だとしたら余りにも似つかわしくない看板だからだ。

 

 

「ん…多分本物。名前がその証明」

 

ユエが注目したのは、『ミレディ・ライセン』の名前。

 

ライセン大峡谷の名こそ知られているが、ミレディ・ライセンの名前を知る者は地上にはいないはずだ。

解放者ミレディの名前も、ハジメ達はオスカーの屋敷の地下で初めて知った名前である。

 

 

「だとしたらまた癖のありそうな迷宮だな…」

「オルクスとは別の意味で大変そうだよね、ここ」

 

香織達も苦笑いするが、シアはあちこちをペタペタと触って迷宮の入口を探し出す。

 

「ちょっとシア…あまり触ると「キャッ!?」………」

 

クロハネが注意するが、シアは突然回転扉のようになっていた壁のなかに消えてしまう…

 

 

 

 

「あんの馬鹿!!」

 

無防備にも迷宮に消えたシアを見て、ハジメ達も慌てて迷宮に入り込んでしまった…

 

 

――――――――――

 

 

「おーい、大丈夫かー?」

 

ハジメはシアに声をかけるが、風切り音と共に一本の矢が飛んでくる。

 

「っと。こりゃ間違いなく大迷宮だな…」

 

この悪質トラップはオルクスと似たような雰囲気だったため、間違いなくここが探していた『ライセン大迷宮』だと判断するハジメ一行。

 

「…あれ?シアはどこですか?」

 

クロハネが周囲を確認すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うう………ここです~…」

 

後ろの壁に無数の矢によって磔にされたシアの姿があった。

しかも、足元には小さな水たまりまで…

 

 

(あ、そういえばこいつがテントから出た理由って…)

 

 

「…香織。俺と兄貴は他にトラップが無いか確認してるから」

「う、うん…ハジメ君も気をつけて…?」

 

 

 

 

なんとか着替えを終えたシアだったが、一行は通路の先にあった石版を見つける。

そこには入口と同じ丸っこい文字でこう書かれていた。

 

 

『ビビった?ねえビビった?もしかしてチビっちゃったり…ニヤニヤ♪』

『もしかしてスタートで誰か怪我した?それとも死んじゃった?…ププッ!』

 

 

ウザかった。ひたすらウザかった。

ここまで相手を煽ってくる文章にハジメだけでなくツカサやその場にいた全員が大なり小なりここの主であるミレディ・ライセンに怒りを覚える。

 

「ふんぬー!!」

 

シアは怒りのあまりドリュッケンで粉砕するが、石版のあった床に新しく文字が浮かんだ。

 

『ざんねーん。この石版は時間が経つと自動修復されるよ~!無駄な頑張りお疲れ様~!プークスクス!』

 

「おらあああああ!ですうううう!!」

 

入口時点で既にキレたシア。

 

「…やっぱここも面倒な場所だな」

「だね…」

 

 

 

――――――――――

 

洞窟の内部を探検するハジメ達は、迷宮内部でのルールを確認しながら進んだ。

まず、この迷宮内部の壁が淡く発光しているので明かりなどもいらない。

ハジメが鉱物鑑定をしてみると『リン鉱石』と出て、どうやら空気と触れることで光を放つ性質があるらしい。

 

次に魔力の分解作用が峡谷よりも強くなっている。

 

ユエいわく『消費量が10倍』だったのが、ここだとさらに強くなっているようでまともに魔法が使えない。せいぜい初級から中級魔法が十数秒程度しか発動せず、それだけでチートクラスのユエや香織が魔力をごっそり持っていかれるほど。

 

その上でこの迷宮は魔力に関するトラップがなく、回転ノコギリや壁から放たれる矢、鉄球などの物理トラップが不意に飛んでくるのだ。

これではハジメがフェアスコープを参考にしていた義眼も反応せず、直感で避けるしかない。

 

これだけ聞くと圧倒的に不利に聞こえるが、攻略の鍵となる存在もいる。

 

あくまでも分解作用が働くのは外部に魔力を放出するときだけであり、体内に魔力を循環させる身体強化系統の魔法は分解の対象外となる。

 

 

「つまり、この迷宮で一番上手く立ち回れるのは身体強化を主に扱うお前ら二人ってことになる」

 

ハジメは歩きながらシアとクロハネに声をかけた。

 

 

「でも…本当に私達の力で…」

 

クロハネもシアも迷うが、香織とユエが肩を掴む。

 

「大丈夫。いざという時は私達がフォローするから」

「ん…もっと自信持つべき。私達が育てたんだから…」

 

師とも言える存在からの励ましに顔を上げた二人。

 

その瞳には決意の色が浮かんだ…

 

 

 

――――――――――

 

 

が…

 

 

「こんのアホウサギ!気をつけろと言ったそばからドジ踏みやがってええ!」

「ごめんなさ~い!!」

 

シアがうっかりトラップを作動させてしまい、足元に滑る液体が溢れると通路が傾き、一同は落ちそうになる。

 

(やべえ、スリップと分解作用のせいで錬成がうまくできねえ…!)

 

「シアぁ!ドリュッケンを床に叩き込め!」

「もう間に合いません!!」

 

後ろの方に道が見えており、このままでは落下すると考えたハジメとツカサはそれぞれ香織とシア、クロハネとユエを抱き寄せたまま通路から空中に投げ出される。

 

「っ!!アンカーだ!」

 

飛び出してきた広い空間の床には無数のトゲが並び、ハジメは機械鎧に仕込んでいたアンカーギミックを作動。

ツカサもブレスレット型のハジメ作アーティファクト『ロケットアンカー』に触れると、スイッチを押してアンカーを飛ばし向こう岸の壁に打ち込んだ。

 

「「届けええええええ!!」」

 

アンカーの勢いで向こう岸に飛ぶハジメとツカサ。

そのまま回転しながら着き、アンカーをしまう二人。

 

 

「い、生きてますね…今のは流石に死ぬかと思いました…」

 

クロハネが冷や汗をかいて座り込む。

 

「だな…俺も焦ったわ」

 

少し休憩しようと座ろうとしたハジメだが、目の前にはあの石版があった。

 

 

『焦ってやんの、ダッサ~い!』

『このくらいで疲れるようじゃ、先が思いやられるね、ププー!』

 

 

「このやろう…!!」

 

義手がミシミシ言うほど拳を強く握るハジメ。

 

「は、ハジメ君…?落ち着こう、ね?」

 

香織がなだめ、ハジメは深呼吸をして落ち着ける。

 

 

「そ、そうだな…こんなのいちいち気にしてたら負ける」

 

一度気持ちを落ち着けるため、ハジメ達は休憩を取って改めて攻略を再開することにした…

 

 

――――――――――

 

歩みを進めるハジメ達が出たのは、全員が横並びで歩いても余裕のありそうな通路。

 

「かなり広いね…」

「ですね…こういうところだといかにもトラップとかありそうで…」

 

そういうと、突然どこからか『カチリ』という音が聞こえる。

 

 

「…今の私関係ありませんからね!?」

 

フラグを建てたと思われたのか、シアが必死に叫ぶ。

というか、もはやスイッチ関係なく自動的に作動しているのではとすら思ったハジメ達。

 

 

すると、後ろから巨大な岩が転がりながらこちらに迫って来る。

 

 

「やっぱ定番のトラップかよ!」

 

ツカサ達が一目散に逃げるが、ハジメは足を止めると何と岩に対して拳を握る。

 

 

「ハジメ君!?」

「いつまでも…逃げるのは性に合わないんだよ!!」

 

 

ハジメは手合わせ錬成を行い、機械鎧をメリケンサックに錬成。

続いて身体強化系の技能である『豪腕』を発動。

さらに機械鎧のギミックを作動させ…

 

 

 

「オラアアア!!」

 

大岩に対して拳を打ち込み、豪腕とメリケンサック、そしてギミックである『振動破砕』を使うことで、ついに大岩を粉砕した。

 

「やったぁ!」

「ん!」

 

香織とユエが一緒に喜び、シア達も後ろで喜ぶ。

 

ハジメも『スッキリした!』と言わんばかりになるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドンッ!』という音とともに二つ目の岩が降ってきたのだ。

 

 

 

「……………は?」

 

 

―――――――――――

 

 

その後、必死に逃げてなんとかやり過ごせたハジメ達は次の部屋に避難し、大岩の攻撃から逃げることに成功。

 

 

「畜生…性格悪すぎだろこれ…」

 

すると、自動的に扉が閉まる。

 

「あれ、扉が…」

「ほっとけ…もう二度と通りたくねえ」

 

クロハネの言葉にグッタリした顔で返すハジメ。

しかし、香織はこの部屋を見て嫌な予感がした。

 

 

「………ねえ、この部屋って…見覚えない?」

「…ある。あの石版」

 

ユエも気づいたらしい。

それが『最初に見た石版に似ている』ことに。

 

すると、石版に文字が浮かぶ。

 

『ねえねえ、今どんな気持ち?』

 

『お察しのとおり、ここはスタート地点でーす!苦労して進んだらふりだしに戻ったけど、今どんな気持ち?』

 

『ちなみに来た道を戻ろうとしても無駄だよ!ここの迷宮は一定時間ごとに変化してるから、マッピングも無意味でーす!』

 

『ねえねえ今どん』

 

最後まで見る前にシアが石版を蹴飛ばし、グリグリと踏みつける。

 

 

「…フ、フフ…フヒッ」

 

 

この時、ハジメ達の中で意見がまとまる。

 

 

『ミレディ・ライセンは解放者云々関係なく共通の敵として抹殺対象に加えてもいいか』と…

 

 

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟

第11話 烈火探索2017
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