興味がありましたのでセイバーの装動を集め始めましたが…思った以上にクオリティが高い…
感想、評価が作者の力となります!
『この本によれば…『元』普通の錬成師南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『第二の迷宮、ライセン大峡谷を突破した我が魔王はこれまでの戦いによって仮面ライダーカブト、ファイズ、ゲンムのライドウォッチを入手。残るライドウォッチはあと15個…』
「おや?どうやら今回は我が魔王達ではなく、『希望の魔法使い』となった竜神が物語の主役になるようで…」
――――――――――
それは、今から500年以上前のこと。
かつて美しかったある都を燃え盛る業火が飲み込み、尋常ではない数の命の炎が潰えた世界。
天空に浮かぶ巨大という言葉すら霞むような魔法陣を見上げていた一人の少女がいた。
「このようなことが…あってなるものか…」
美しい黒髪と黄金の瞳を持つ少女は、眼前で崩壊していく故郷を黙って見ているしかなかった。
彼女の名はティオ・クラルス。
当時世界最強と言われた亜人『竜人族』の王の一人娘である。
最強と呼ばれていた竜人族はこのトータスの守護者であり、あらゆる種族を受け入れ、平和に暮らしていた。
しかし、今その平和の象徴は終わりを迎えようとしている。
「姫様!早く避難を!」
呼びかけてきたのはティオの侍女であるヴェンリ。
「…嫌じゃ。父上が、母上が、同胞達が今も戦っておる…ならば、妾もここで…!」
「なりません、姫様!」
ヴェンリが抑え付けるが、ティオはその外見からは想像もできないほどの力で強引に戦場へと向かおうとする。
「わかっておるのじゃ!妾が向かったところでなんの力にもならんと!だが…!」
未熟だというのは自分が一番よくわかっている。
それでも、何かをせずにはいられなかったのだ。
だがそんな彼女達を『肩や腕、足に刃のついた赤い体躯の怪物』が襲いかかってきた。
「なっ………ファントム!?」
ヴェンリがティオを守るように立ち、護衛の竜人達が武器を手に取るが赤い怪物…『ファントムのバハムート』はティオに狙いを定めた。
「竜人族の姫か…その魔力、新たなファントムを誕生させるための贄となれ!」
次々と攻撃してくる竜人族達に対し、バハムートは慌てることなく冷静に対処。一撃もくらうことなく逆に相手を圧倒した。
「姫様、お逃げください!」
ヴェンリが炎の魔法を使ってバハムートを攻撃するが、かすり傷一つ与えることができなかった。
「邪魔だな…ふっ!」
バハムートのパンチを受け、ヴェンリは血を吐いて倒れてしまった。
「ヴェンリ!!」
ティオが駆け寄るが、ヴェンリは蹲っていたまま動かない。
ゆっくりと近づくバハムートに怯えるティオだったが…
《フレイム!シューティングストライク!ボーボーボー!》
空から聞こえてきた音声と共に、バハムートの背中が小さな爆発を起こした。
「ティオ!」
現れたのはティオの父であり竜人族の王、ハルガ・クラルス。
右手にはこの時代に似つかわしくない『銀色の銃』が握られ、腰には『手形のついた銀色のベルト』が装備されていた。
「来たか…竜人の王にして魔法使い!」
「ああ…ファントム。貴様達を倒し…子供達は私が守ろう」
バックル左右についたレバーを操作し、ベルトから軽快な音声が流れ出す。
《シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!》
音声が流れる中でハルガは左手の中指に赤い宝石のついた『フレイムウィザードリング』をはめ、リングについたカバーを下ろす。
「変身!」
《フレイム!プリーズ!》
リングをベルトにかざし、左手を真横に伸ばす。
《ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!》
左手から出現した魔法陣がハルガの体を覆い、『魔法使い』へと変身させる。
赤い宝石のようなマスクに黒いローブを思わせる外見。
その名も『仮面ライダーウィザード』。
「さあ…ショータイムだ!」
――――――――――
バハムートとウィザードとの戦いは互角。
ウィザードの銃撃をバハムートは素手で掴んで無効化し、バハムートのパンチやキックは全てウィザードの武器などで受け流される。
「ふっ!」
バハムートに対してハイキックを打ち込むウィザードは右手の指輪を交換し、ドライバーにかざす。
《ルパッチマジックタッチゴー!エキサイト!プリーズ!》
身体強化の魔法を使ったウィザードはタックルをし、バハムートを吹き飛ばす。
「時間はかけられん…この場で倒す!」
ウィザードは左手のリングを交換し、ドライバーにかざした。
《ハリケーン!ドラゴン!》
左手を真上に掲げると緑色の電撃を纏った魔法陣が現れ、ウィザードはその内部を通り抜ける。
《ビュー!ビュー!ビュービュービュビュー!》
全体が緑色に変化し、マスクも豪華な装飾が施された緑色のデザインに変化。
ウィザードの力の源である『ウィザードラゴン』の力を引き出した上位形態の一つ『ハリケーンドラゴン』はすぐさま右手に緑色のリングをはめた。
《チョーイイネ!サンダー!サイコー!》
突風とともに魔法陣がバハムートの足元に現れ、雷がバハムートを襲う。
「ぐううう!?」
怯んだバハムートに畳み掛けるべく、ウィザードはフレイムリングに似たリングを使う。
《フレイム!ドラゴン!ボー!ボー!ボーボーボー!》
変身したのは、フレイムスタイルの赤と黒が反転したような姿。
基本形態の上位型でもある『フレイムドラゴン』に変身したウィザードは赤いリングを右手に装着。
《チョーイイネ!スペシャル!サイコー!》
赤い炎の龍がウィザードの周囲を飛び回るとウィザードと一体化し、胸にドラゴンの顔『ドラゴスカル』が実体化。
「くらえ!!」
ウィザードはバハムートに掴みかかり、ドラゴスカルがバハムートに噛み付く。
「ぐっ!?こいつ………」
「父上!?」
ティオはウィザードの捨て身とも言える行動に驚くが、最初にハルガが降り立った場所を見て血の気が引く。
そこには既に血溜まりができており、その出血量からしてハルガの命は既に限界が近いことがわかった。
「ティオ!よく聞け!」
ウィザードは己の命を削りながらティオに呼びかける。
「お前はヴェンリ達と共に祖父アドゥルのもとへ行け!次代の竜人族の長として…何より、私と私の妻、オルナの『最後の希望』として生きろ!」
次の瞬間、ドラゴスカルから膨大な炎が吐き出され、バハムートを飲み込むと大爆発を起こした。
「………っ!」
爆風の中から出てきたのは満身創痍になったハルガ。
ハルガはティオに自らの力でもあった『ウィザードライドウォッチ』と、『ジクウドライバー同様のスロットパーツが付いたライドウォッチ』を手渡す。
「ティオ…よく聞きなさい。我ら竜人族の本当の敵はこの世界の神…『エヒト』だ」
ティオは二つのウォッチを握りながら聞く。
「真の敵は兄弟で策略を巡らせる強敵。だが勝てないわけではない。この力を含む『20人の戦士』の力が集まれば、チャンスは必ず訪れる。そして…」
ハルガはスロットの付いたウォッチを指差す。
「それは、我ら竜人の伝説に残っている戦士…『破壊者』の力を受け止められる唯一の器…この世界を支配する不条理を、理不尽を…みなを悲しませる悪夢を破壊するための力を掴むもの。破壊者…『ディケイド』の継承者が現れたとき、それを渡すのだ…!」
そう言うと、ハルガは背中に翼を出現させる。
「父上は…どうするつもりじゃ?」
「まだオルナが…お前の母が向こうにいる。あいつ一人だけ…置いては行かん」
ハルガは飛び立ち、ティオに最後の言葉を伝えた。
「忘れるなティオ!その力は我ら竜人族の…いや、みなにとっての『最後の希望』だ!」
――――――――――
あれから500年以上の時が経過した。
幼かったティオも大人の女性になり、竜人族の姫としてトータスの最果てと言える土地で仲間達と共に世界を監視していた。
そんな中、ティオは祖父アドゥルに話をする。
「爺様…先ほど、大陸の方で何か妙な力を感じ取った」
「うむ…監視者であるカルトゥスが数十人の異様な存在を感知した。どうやら教会…神が行動を起こしたらしい。その中でも一際異様な力を持つ存在が一人いる」
「そうか…なら、動く時が来た。ということじゃな」
「うむ。今から現地に同胞を送る。誰か適任がいれば…」
アドゥルの言葉をティオは遮った。
「爺様…ここは妾が行こう」
「…ティオ。ハルガの言葉を忘れたのか?神を討つ時までお前は…」
「今がその時じゃよ…500年沈黙していた『これ』が動き出している」
ティオが取り出したのはスロット付きのウォッチ。
通常のブランクウォッチ同様の色だが、なにかに反応するように時折色が変化する。
「恐らく神が呼び出したものの中に…『ディケイド』がいる。だとしたら、今この瞬間から動かねば、神を討つことなどできはしない…」
それから数十分後。
ティオは同胞達に見送られながら大陸へと向かうために行動を起こす。
《WIZARD!》
ウィザードウォッチを起動させて固有魔法『龍化』を行うと、ティオの外見が漆黒のドラゴンに変化。
さらに頭部の角が金色に変化し、一部が装甲を纏う姿に変化。
ウィザードウォッチとの親和性の高さが引き起こした『ドラゴライズモード』へと変身したティオは空高く飛び上がる。
「皆の者!妾はこれより、神殺しの旅に出る!」
「ティオ様!お気をつけて!」
「貴女が、最後の希望です!」
多くの同胞達が手を振る中、ティオは力強く飛び立つ。
(500年…妾達の悲願、今こそ果たす!!)
次回、ありふれた職業と最強兄弟
幕間2 救世主伝説2068