ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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お待たせしました、第3章の2話です!

最近知り合いのユーザーさんのオススメでガンプラ作りを始めようと決めましたが、買えるのは当分先になりそうです…

感想、評価が力となります!



第2話 プライドオブガールズ2018

『この本によれば…祝え!ライセン大迷宮攻略を!』

 

『かつて普通の高校生にして錬成師だった少年南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた…』

 

『ブルックの街を離れ、第3の迷宮に挑むべく人間族最大の都市『フューレン』へ向かう我が魔王達は、商隊の護衛任務を果たしてついにフューレンへたどり着いた』

 

「…おや?なにやらトラブル発生の模様。どうやら迷宮攻略は当分先の話になりそうですね…」

 

 

――――――――――

 

モットーとの商談が終わり、報酬とは別でいくらかの『臨時収入』を獲得したハジメ達は近くのカフェで朝食を食べていた。

 

 

「ハジメ君。さっき別れ際にモットーさんからパンフレット貰ったんだけど、宿を取るなら中央区より観光区のほうがいいみたいだよ」

 

香織はパンフレットをハジメに渡して、クロハネも覗き込む。

 

「なるほど…中央区に来るのはモットーさんみたいに商売関係の人が多いんですね」

「へえ…中央区は値が安上がりな分サービスは最低限で、観光区は少しばかり割高になるが名前の通り観光客向けサービスが揃ってると」

 

「なんていうか…観光ホテルとビジネスホテルみてえだな」

 

ツカサの言葉に地球組の二人も頷く。

 

「じゃあ折角だし観光区に宿取るか。幸い資金に関してはまだ余裕あるしな」

「なら、食い終わったらギルドで依頼完了の報告してさっさと宿探しするか。みんな、希望は?」

 

宿の条件を一同に聞くツカサだが、シアとユエが真っ先に手を挙げる。

 

「お風呂有り!勿論混浴で「却下」………」

「私は複数人で寝られる大きいベッドあり」

「やっぱり…ご飯が美味しいところですかね」

 

ツカサ達のそんな会話を聴きながら、ハジメは小さくため息をついた。

 

「…ハジメ君。大丈夫?」

「ああ…ちと眠いのもあるけど、周りがな」

 

ハジメが疲労を感じていたのは周囲からの視線。

何せハジメ達のチームに所属している女性陣は皆が皆トップクラスの美少女ばかり。

嫌でも目を引くのはブルックで慣れていたが、この街で感じるハジメへの嫉妬の視線はさらに疲労を助長させていた。

 

 

すると、その中で一番不快な視線を感じた一同が振り返ると…

 

 

 

そこにいたのはまん丸なお坊ちゃんがいた。

筋肉より明らかに脂肪が目立つ体型に脂ぎった顔、豚鼻と頭部にわずかに乗っているべっとりした金髪。

汗まみれで常にハァハァ荒い息をしていたその男は二人の武装した男を同伴してこちらに近づいてきた。

 

 

ハジメ達が思わず顔を引きつらせるも男は香織達四人に舐め回すかのような視線を向けたが、シアの首輪に気づいて嫌そうな顔になるとその視線をハジメとツカサに向けてきた。

 

「お、おい、ガキ共。ひゃ、百万ルタやる。その兎を貰う。それとそっちの3人はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

 

息切れをしながらあたかも決定事項のように言ってくるボンボンに対し…

 

 

 

「っ………」

 

「ひ、ひいいっ!?」

 

ハジメは自らの技能である『威圧』を放ち、ツカサも『破壊者の威圧』を最小限だが発動。

精神的、そして極僅かだが肉体的にボンボンはダメージを受けて尻餅をつき、ハジメ達は場所を移動しようとする。

 

 

「ま、待てこのクソガキぃ!」

 

必死に立ち上がったボンボンは後ろにいた屈強な男二人に叫ぶ。

 

「レガニド!ルース!奴らを殺せ!」

「坊ちゃん。流石に殺すのはまずいですぜ?」

「いいからやれぇ!報酬くらいいくらでも出してやる!」

 

面倒くさそうに首を鳴らしながら二人の男が歩いてくると、周囲がざわめく。

 

「おい、あいつって『黒』のレガニドとルースじゃねえか!」

「よりによって『暴風』のレガニドと『業火』のルース…なんであんな奴の護衛なんてやってるんだ?」

「金払のよさじゃないのか?二人とも『金好き』なんて影で呼ばれてるしよ」

 

 

 

(へえ…黒ってことはランクもかなり高い。だが冒険者が来てくれたのはある意味ラッキーだったな)

 

ツカサはこの状況下で冷静に状況を見極めようとしていた。

今の彼らの状況は連れの少女達を強引に連れ去ろうとしている連中に抵抗していることになり、多少の抵抗をしても被害者としての主張が成立する。

しかも冒険者をぶつけてきたということは、ハジメ、自分、香織の誰かが対処すればその時点で『冒険者同士の諍い』となって貴族としてのもみ消しなどは使うことは不可能。

 

(キャサリンが言ってたからな…冒険者ギルドは基本的にこういったトラブルでは双方の意見を聞いて公正な判断を出す。その上ギルドは地域住民や冒険者からの信頼を損ねないために特定の貴族を懇意にしたり癒着したりすることはない…)

 

仮に裏で何らかの取引を行っていたとしたら最悪…ツカサ達も切り札であるドライバーに頼るしかないが、それはあくまでも最後の手段。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハジメ…ここは私達に任せて」

 

そう言ってハジメ達の前に立ったのはユエ、香織、シア、クロハネの四人。

 

「…え?マジ?」

「うん。私達だって戦えるって示せば、変なこと考える人も減るんじゃないかな?」

 

そう言うとユエとシアがレガニドに、香織とクロハネがルースに向かい合う。

 

 

「…というわけだから、悪いけど報酬は諦めて」

「さあ、いざ勝負!ですよ!」

 

――――――――――

 

油断して剣を抜かなかったレガニドだったが、ユエが詠唱無しで放った風魔法によって頬が浅く切られたことに驚愕。

 

ルースも香織が抜いたレーゲン・ハイルメタルの弾丸(無論、対人用ゴム弾)が肩に当たり、その痛みと見切れないほどのスピードに驚きを隠せなかった。

 

「腰の剣、抜かなくていいんですか?油断してると吹っ飛ばしちゃいますよ?」

「うん。そっちも背負ってる槍を構えて。じゃないと…つまらない」

 

シアとクロハネはそれぞれの武器を握り、レガニド達は武器を構える。

 

「大きく出たね、お嬢ちゃん達!悪いが、多少痛い目見てもらうぞ!」

 

レガニドはロングソードで迫るが、シアは身体強化を使い脚力を引き上げて一気に接近。

ロングソードを振らせるより速くドリュッケンを振り抜き、ロングソードをへし折りながらレガニドを壁に吹き飛ばす。

 

「レガニド!?」

「油断大敵…!」

 

一瞬レガニドのほうに意識が向いたルースだったが、クロハネはフランメで槍を弾くとアイズの面部分でルースを殴打。

纏めて同じ場所に転がった二人の前には、ユエの重力魔法で浮き上がった椅子やテーブルが迫っており…

 

 

「やっべえ…仕事間違えたかもな、レガニド…」

「ああ…割に合わなすぎる」

 

非力な少女達と思えば、その正体はとんでもない実力者ばかり。

二人は彼女達の情報を知らなかった自分たちの無知を呪い…

 

意識が戻った時はすでに傷もなく、泊まっていた宿で目を覚ますのだった。

 

 

――――――――――

 

「まあこうなるよな…」

 

ハジメも、結果はわかりきっていた。

いくらレガニド達がランク『黒』とはいえ、人間族トップの実力者であるメルドには遠く及ばないだろうと彼らは予想していた。

メルドのステータスは平均300だったことを考えると、恐らく彼らは平均して200か、少し上程度。

戦闘技術が卓越していたメルドに比べても幾らかは格が落ちるはずと考えており、さらに香織のステータスは10000を超えている。

ユエ達もそれよりは下がるものの、間違いなくステータスだけなら四桁は到達しているはずなので単純な力でも勝てる可能性は限りなく低かったのだ。

 

二人が気絶したのを見たハジメは改めてボンボンの方へと歩いていく。

 

「ひっ!ひいぃぃ!く、来るな!私を誰だと思っている!ミン男爵家のプーム・ミンだぞ!私に逆らっ!?」

 

最後までしゃべらせることなくプームの顔面に蹴りを入れて気絶させたハジメ。

 

「知らねえよ。テメェの名前も貴族の爵位も関係ねえしな」

 

レガニド達も気絶し、元凶もノックアウトされたことで静かになったが…

 

 

 

 

 

 

 

「そこの冒険者、止まりなさい!」

 

騒ぎを聞きつけてきたギルド職員達がハジメ達を囲む。

 

「冒険者同士の争いはギルドで判断致します。大人しく従ってもらえませんか?」

 

リーダーらしきメガネをかけた青年の言葉にハジメはため息をつく。

 

 

「そうは言ってもな…先に仕掛けてきたのは向こうだぞ?人の恋人や仲間を愛人にしてやるから置いてけ…なんて一方的に言ってきたから彼女達が対応。それでも抵抗したことでやむなく気絶させた」

「何なら周囲で興味本位から見ているギャラリーに話を聞いてみてもいいですよ。彼ら全員が証言者ですから」

 

ハジメとツカサの言葉に嘘がないと判断したメガネの青年だが、公正なルールを破ることだけはしない。

 

「…証人の様子を見る限り、嘘ではないでしょう。ですが双方の言い分を聞くのは規則ですので」

 

ステータスプレートの開示を求められたハジメ達はそれぞれのプレートを渡す。

 

「…『錬成師』と『時の王者』に『治癒師』、それに『破壊者』ですか…少なくとも錬成師と治癒師は非戦闘系天職のはず…それにランク『青』?」

 

上位ランクのレガニドとルースを気絶させたのが香織達だということに一瞬驚く職員達。

 

「そちらのお三方もステータスプレートを確認してもよろしいですか?」

「え!?」

 

シアが思わず声を上げ、ユエとクロハネも焦っている。

 

「あ~…兎人族の子は最初から持ってなくてな…二人のプレートは以前樹海の探索中に失くしたんだよ。高いから再発行してなくて…」

 

ステータスプレートは量産できるとはいえアーティファクトなので発行料もばかにならないとメルドから聞いていたことを思い出し、ハジメは何とか誤魔化そうとする。

 

「でしたらギルドの方で発行手数料は立て替えます。事情聴取もギルドで行いますので」

 

どんどん状況が悪化していく中で打開策を考えるハジメだが…

 

 

 

「…ハジメ。こんな時こそ『あれ』使うべきだろ?」

「あれって………ああ!」

 

ハジメは懐から『キャサリンから渡された手紙』を取り出す。

 

(こんなことなら中身確認すべきだったな…)

「これを読んでくれないか?前の街にいたギルド職員に渡されてな…こういうトラブルに巻き込まれたとき、ギルド職員に渡してくれって」

「知り合いの職員?……………」

 

 

受け取った手紙を読み進めるうちにメガネの青年の表情がどんどん変化し…

 

「っ!?これは…支部長に連絡を入れろ!客人を迎える準備もだ!」

 

大慌てで部下達に指示をするメガネの青年に、ハジメ達も唖然とした。

 

 

 

 

「…いやマジで何者だよ、キャサリン………」

 

 

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟

第3話 依頼と支部長
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