原作と違い、ハジメの味方となる人物が増えていきます。
一部キャラ崩壊しているかもしれませんが、そこはご了承ください…
感想、評価が投稿ペースにつながるかもしれません!
『普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『ステータスプレートで自身の能力を把握した我が魔王だが、常識はずれの強さを持った同級生と比べ平凡極まりない能力に内心落ち込んでしまう』
『しかし、ここで折れるほど彼は脆くありません。己の才を限界以上まで伸ばすための努力を重ね、本来の歴史よりも早く新たな技能を会得し…』
「おっと。先まで読みすぎました…」
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ステータスプレートの登録の後、戦闘訓練を終えたハジメはあてがわれた部屋で項垂れていた。
「はあ…結局能力も微妙だったな…」
その後わかったのだが、ハジメには魔法の才能もなく他のメンバーと比べて著しく劣っていたということが判明。
そのため早くも心がボロボロになりかけていたのだが…
「あ痛っ!何すんのさ兄さん…」
落ち込んでいたハジメにツカサがデコピンをする。
「ハジメ。こんなところで腐ってないでお前はお前にできる技をひたすら磨け」
ツカサはハジメのためにと準備された『錬成の魔法陣が刻まれた手袋』を投げる。
「そんなこと言っても…この世界では錬成師なんてありふれてるわけだし…」
すっかり自信喪失していたハジメだが、ツカサは部屋に備え付けられた紅茶を淹れる。
「だったら、お前にしかない武器を使えばいい。王宮の錬成師達に無くて、この世界でお前という錬成師にしかない武器をな」
「僕にしか…ない?」
ツカサは一冊のノートを取り出し、ハジメに渡す。
「知識だ。地球の武器に関する知識をイメージしながら錬成の腕を磨け。幸いにもお前の能力を磨くためという理由を説明さえすれば、あの団長はOKしてくれるだろうしな。俺からのアドバイスはこのくらいだ」
ツカサは武器として渡された細身の片手剣を持ちながら部屋を出て、ハジメはノートを拾う。
「………僕の持つ知識…か」
武器を作ることしかできないならひたすら作ればいい。
アイデアが溢れる限り作り、その度に錬成のスキルを磨き続ける。
「…よし!」
また兄に助けられたことに若干負い目があったが、ならばこの技術を磨いていつかは兄の助けになればいい。
ハジメの目に光が灯り、彼はノートにペンを走らせた。
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それからおよそ二週間。
ハジメはメルドに説明をして訓練の時間を短縮してもらい、残りの時間を『錬成』のための技術を徹底的に磨くために確保してもらっていた。
因みにそのことを話した時、団長はというと…
「ああ、任せとけ!戦う力がなくとも己を磨き続けようとするその強い意志は素晴らしい!古い部屋だが、一応錬成の訓練ができる場所を確保しておこう!」
少し感動のあまり目に光るものが見えたが、ものの十分でハジメの訓練施設を準備してくれた。
因みにツカサは元々習っていたテコンドーのおかげか、ステータスはそれなりに向上しており数値こそまだ低いが技術に関しては雫達にも引けを取らないレベルになっていた。
彼らの現在のステータスは…
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南雲ツカサ 17歳 男 レベル:3
天職:破壊者
筋力:31
体力:31
耐性:31
敏捷:31
魔力:31
魔耐:131
技能:特性無効・■■■■・特■点・言語理解
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2
天職:錬成師 ■の■者
筋力:13
体力:13
耐性:13
敏捷:13
魔力:13
魔耐:13
技能:錬成[+鉱物鑑定]・言語理解・■■■■・■■■
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クラスメイト達の中ではまだ香織と雫、ツカサしか知らなかったがハジメは訓練から一週間で錬成の派生技能『鉱物鑑定』を手に入れていた。
本来なら鑑定系の魔法は大きな術式を書く必要があるのだが、この技能は鉱石に触れていれば簡単な詠唱と魔法陣だけであらゆる鉱物を鑑定することができるらしく、錬成師の中でも上位の者だけが数年かけて手に入れる技能。
この技能を手に入れたことでハジメは新たなアイデアが思い浮かび、自信をつけることとなる。
――――――――――
訓練の時間、いつもどおり騎士の1人に稽古をつけてもらうはずだったが生憎予定が空いてなかったらしく、ツカサはサンドバッグを用意しながら自身の特異な蹴り技の練習を黙々と行っていた。
「あれ、南雲?」
ふと後ろから声をかけられると、そこには比較的ツカサ達と交流のある方だった女子生徒『園部優花』がいた。
「園部…訓練の相手でもしてくれんのか?」
「ええ…私も相手がいないからね」
園部の天職は『投術師』で、基本的には様々な投擲武器に属性を付与させることが可能らしい。
そのため訓練内容は園部が準備したいくつかの石に属性を付与させ、それをツカサが打ち落とすというものになった。
…しかし、一方で大変なことになっている人物がいたことにツカサは気が付くのが遅れてしまう。
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「はあっ!」
「ふっ!テヤァッ!」
氷、炎、雷…様々な属性を宿した石をツカサは剣やグローブを付けた拳、蹴りで全て破壊していく。
園部の訓練の目的は精密なコントロールをつけることと属性を自在に使いこなすことで、ツカサの目的は動く相手を捉えるための訓練。
やがて、園部が投げた四つの小石をツカサは右手の剣、左手の拳、右足、左足の順で攻撃を繰り出して破壊。
「…あんた、これでもステータスが下とか嘘でしょ?絶対ステータスプレートがバグってるって…」
ツカサのステータスは確かに向上しているが、それでも元から高かったクラスメイト達と比べてまだ低い。
そのうえ技能も殆ど作用していないのにこの実力であった。
「さあな?だがあくまでも数値は数値だ。天之河もかなり強くなってるのにメルドに勝てないように、数値だけで見るのは早計ってやつさ」
「いや、メルドさんの強さは単純に経験値だろうけど………ん?」
そんな中、園部は周囲の様子がおかしいことに気づく。
何やら訓練場の奥の方を避けているらしく、ツカサがそちらを見ると殆どが目を合わせない。
気になったツカサは訓練を中止し、そちらの方に歩いていくと…
檜山達のグループがよってたかってハジメを暴行していた。
「あん?無能の兄貴じゃねえか」
檜山が不快な笑みを浮かべながら剣を持つ。
「お前ら…何してんだ?」
「何って決まってんじゃん。この無能な南雲のために俺達の貴重な時間を使って訓練してやってんの。こいつ全然訓練場来ないでサボってるから、俺達が特別にな!」
「無能のために稽古付けてやるくらい優しいっしょ俺ら?何なら一緒に参加するか?勿論受ける側で!」
既にうずくまっているハジメはあちこちがボロボロになり、かなり痛めつけられたのがわかる。
檜山達は強い力を得たことで舞い上がり、気がつかなかったのだろう。ツカサの目がより鋭く、檜山達を人として見ていないことに。
「なら…俺に訓練をつけてくれよ」
ツカサは片手剣を抜き、グローブを付けた左手で刀身を軽く撫でる。
「何だよ…なら遠慮なく!」
檜山が剣を鞘に納めたまま攻撃してくるが、ツカサは抜き身のままで防ぎ、裏拳で檜山の顔面を殴る。
「ぐうっ!?」
「おいおい、それじゃ訓練にならねえだろ………殺す気で来いよ」
不敵な笑みを浮かべたツカサに他の生徒が青ざめるが、無能と見下していた内の一人であるツカサに怒りを抱いた。
「くらえ!『ここに風撃を望む、風球』!」
檜山の取り巻きである中野新治が風魔法で攻撃してくるが、ツカサはそれを剣で迎え撃ち、逆に一撃で風球を破壊。
「なっ!?」
魔法があっさりと破壊されて驚く中野に対し、ツカサはハイキックで顎を蹴り脳震盪を起こさせて気絶させる。
「てめえ!『ここに焼―』」
「遅いんだよ」
取り巻きである斎藤良樹が魔法を唱える前にツカサは剣で斎藤の掌を軽く斬り、斎藤は手を斬られたことで軽いパニックになり魔法が中断。動転している隙に剣の柄で右の頬を殴り、戦闘不能にする。
続いて槍術師の近藤礼一がアーティファクトの槍で攻撃してくるが、ツカサは槍を掴むと奪い取る。
「はあっ!」
奪い取った槍の柄で近藤の局部を突き、近藤は泡を吹いて気絶。
あっという間に3人の取り巻きが倒れ、檜山は怯えた表情で後ずさる。
「ひ、ひいっ!」
剣を鞘から抜くが、ツカサは最初と同じく剣の刃を手で撫でながら接近。
「ハアアアアッ!」
ツカサの振るった剣はハイリヒ王国に残っていた剣の中でも頑丈だったはずの檜山の剣を一撃でへし折り、ツカサの拳は檜山の来ていた鎧の防御力を無視して体内に響くほどのダメージを与えた。
「が………!?」
何故防御を貫通してダメージを与えられたのか。それはこの時点でツカサも知らないことだったが、彼の持っていた数少ない技能『特性無効』によるものだった。
特性無効は相手の持つ武器や鎧などの特殊能力を無力化した状態で攻撃ができる型破りな技能だが、発動に必要なのは使い手の感情が昂っていなければ使えないという弱点がある。
だが、今の一撃で檜山は内臓の一部を傷つけたのか血を吐いて蹲る。
「立てよ…お前がハジメにやってきた稽古とやらと俺がやってきたことに…なんら変わりなんてないはずだろ?」
ツカサの目がより鋭くなり………
「落ち着きなさい、ツカサ!」
剣を握っていた手を雫が掴んだ。
「八重樫…お前…」
「話は優花から聞いたわ。でも、これくらいで止めておいたほうがいい」
雫に止められ、冷静になったツカサは剣を鞘に戻して雫に渡す。
これ以上剣を握っていたらまた攻撃しかねないと考えたのだろう。雫もツカサの考えを理解し、剣を預かった。
「ハジメ君!」
香織はその間にハジメに駆け寄り、治癒魔法をかけている。
あちこちに裂傷や火傷の跡があり、全て檜山達の魔法による傷であろうことは容易に想像できた。
「一体これはなにが…?」
「おいおい、なんかやべえことになってねえか?」
遅れて到着した龍太郎と光輝が見たのは治療を受けているハジメと雫に剣を預けたツカサ、そして周囲に倒れている檜山達だった。
「これは何があったんだよ…?」
「こいつら、ハジメを稽古だのと理由つけて痛めつけてたんだ。白崎の治癒魔法が必要なレベルでやってたから俺が相手してやった。まあ簡単な回復魔法かければ傷も数分で治るくらいには止めてやったよ」
あっけらかんと言ったツカサだが、龍太郎はそれなりに多い出血をしていたハジメを見てツカサの言葉が嘘ではないと理解する。
だが…
「ふざけるなツカサ!ここまでやる必要はないじゃないか。それに、本当に単なる稽古だったんじゃないのか?」
光輝はツカサを激しく糾弾する。
「それに香織から聞いたぞ。ハジメは初日以来訓練の時間を短縮してずっと図書館や工房とやらに篭っているそうじゃないか。もしかしたら檜山達も善意でハジメに力をつけてもらおうと動いたかもしれない!」
基本的に性善説を100%信じようとする光輝は檜山がハジメを目の敵にしていたとは微塵も思っておらず、むしろハジメが不真面目だったのでは?と解釈していた。
「…やっぱお前とは永遠に分かり合えそうにないな。お前がそう妄想してるんならずっとそうしてろ」
どうやら光輝はハジメの天職や技能が最前線で戦うものではないとすっかり頭から抜け落ちており、自分と同じように戦闘訓練をしっかりこなすべきだと考えているらしい。
ツカサは諦めたのかため息をついて踵を返す。
「ツカサ…ごめんね、光輝は悪気はないんだけど」
「八重樫…お前はまたそうやってフォローを………あ」
光輝達に一番振り回されているだろう雫を見て、ツカサは何かを思いついたような顔をする。
「悪いが八重樫…少しばかり頼みがある」
「え…?」
―――――――――――
その夜。夜の自主トレを終えた龍太郎は雫に呼び止められ、一緒にある場所に向かっていた。
その道中で偶然にも一緒にいた友人の『谷口鈴』も同行することになり、三人は宿舎から少し離れた建物へと向かっていた。
「こんな夜にどうしたんだよ。見てもらいたいもんがあるって言ってたけど」
「そうだよシズシズ!てっきり龍太郎君を誘ってそのままヤバめの展開にでも持っていくのかと一瞬思ってたし。これがホントの美女と―」
鈴の下世話な言葉を脳内からシャットアウトした雫は、そのままある建物に案内した。
「ここって…王宮の武器職人とかの工房だよな?」
「そうよ。龍太郎なら話は通じるかもってツカサが言ってたから、ここに連れてきたの」
ツカサからの案内だと知ってますます訳がわからないといった表情になる二人だが、やがて一つの部屋の前にたどりつく。
その中の光景は…
「ふう…この組み合わせなら成功するかな?」
「大丈夫だよ。もう燃焼石と緑光石の武器は作れたんだし、鉱石だけじゃなくて薬品の鑑定もできるんでしょ?」
「うん…でも、薬品の鑑定はまだ専用の魔法陣が無いと無理だけどね…」
工房で何かを制作しているハジメと、横でノートに何かを記している香織の姿。
「あいつら…何してんだ?」
「武器制作だよ」
龍太郎の疑問の言葉に答えたのは、どこからか現れたツカサ。
「武器製作…?」
「ああ。ハジメはここに来てすぐ、自分の武器である錬成の腕を磨くという方向に振り切って努力を続けていた。その甲斐あってあいつは上位の派生技能である『鉱物鑑定』の技能を身につけたんだ。その結果…あいつは自分の知識と錬成をフルに活用して新しい武器の開発をここ毎日行ってる」
最初の数日はひたすらに錬成を使って武器の形を変化させるというトレーニング。それも自分のイメージした形になるように何度も繰り返し続けた。
当然ながら失敗続き。それでも着実に錬成のスキルは磨かれ、ハジメはひたすらに時間の許す限り錬成に全てを費やしてきた。香織が様子を見に来なければ飲まず食わずで作業していたことは間違いないだろう。
その結果、ハジメは鉱物鑑定の技能を発動させたことで師事を受けていた国お抱えの錬成師から驚かれ、保管されていた鉱石などをある程度自由に使える許可を得た。
「鑑定技能を得てから、あいつはそれぞれの鉱石の特徴を調べながら自分の武器である『地球の知識』を使い、誰でも扱える武器の開発に日夜力を入れてるってわけだ」
「ねえ…ハジメ君って、今はどれくらいあの作業してるの?」
鈴がふと疑問に思ったことを聞く。
「そうだな…白崎を先に帰らせて…大体二時半から三時辺りか」
ツカサの言葉を信じれば、ハジメは睡眠時間も削ってひたすらに錬成の技術を磨いていることになる。
「あいつ…こっち来てからずっと…」
「そうだ。あいつの努力は多分俺達より遥かに上だろうよ…ハジメは皆と違ってチート能力なんざ無いし、技能も一つしかない。だから…皆の足を引っ張らないためにああやって自分にしかない技を極めようとしているのさ」
その言葉を一番重く受け止めたのは、龍太郎だった。
彼は日本にいたころ、ハジメを『やる気のない不真面目なやつ』と見下しており、幼馴染の香織に迷惑をかけているのではと内心気に入らないという感情があった。
だが、こちらに来てからはどうだろうか?強い力を手に入れて気持ちが舞い上がり、訓練こそしているが少なからず自分の得た力に溺れていたのかもしれない。
「…ハジメは、力が無いから溺れなかったのか?」
「さあな。お前達と違う分類でハジメは力を手に入れたから、あいつは力に呑まれてないんだろうよ」
力ではない。龍太郎はハジメの中に彼だけの『強さ』が垣間見えた気がした。
すると、周囲が止めるより先に龍太郎は工房の部屋に入ってきてハジメに頭を下げたのだ。
「さ、坂上君!?」
「ハジメ…すまねえ!今までお前のことを、俺は…!」
「え、ええ!?どういうこと白崎さん!?」
「わ、私もわかんないよ!とりあえず龍太郎君、顔を上げて!」
「…なーにやってんだあの筋肉バカ…」
「「同感」」
突然の突入に思わず出たツカサの呆れ声に雫も鈴も頷いた…
――――――――――
しばらくして龍太郎が落ち着き、彼の言いたかったことがようやくわかったハジメ。
「えっと…もしかしてずっと気にしてたの?」
「ああ…俺は自分の理解ができない努力を認めねえで…でもこうやってひたすら頑張ってるお前を見たらさ…何ていうか、俺が信じてた努力とか根性とかって、こういう形もあるんだよなって思えて…」
体を鍛えるのではなく、己の頭脳を武器とする。
一見すると弱そうと捉える者もいるが、案外肉体派よりもハードだったりするのだ。
我武者羅に体を鍛えて弱音を吐かない心を手に入れる以外にも、知識や知恵を磨き、どれほど先が見えなくとも諦めることなく目指す目標へと進み続ける。
自分とは対比するかのような努力の形を見たことで龍太郎の人間性も大きく成長していたのかもしれない。
「今までお前を蔑ろにしていたこと、恨んでもらっても構わねえ…」
「坂上君………」
少し思慮が浅い龍太郎だが、その本質は嘘が付けないまっすぐな男だ。
だからこそ、ハジメは首を振った。
「恨んでないよ。実際、僕だって最初は不貞腐れてね…兄さんからのアドバイスが無かったら、ここまで至らなかったかもしれない。だから、坂上君が悪いと思うことなんて無いよ」
それでも…とハジメは言葉を続ける。
「悪いって思ってるなら、もっと僕達、互いのことをよく知るべきだと思うんだ。そうすれば僕達…友達になれるかもしれないし」
「ハジメ…お前ってやつはああああ!」
友達という単語に反応したのか、号泣した龍太郎がハジメの肩を掴んで揺さぶる。
「ええ!?ちょ、兄さん、白崎さん助けて…八重樫さんも谷口さんも見てないで止めてええぇ!?」
南雲ハジメ。この日高校生で初めて『友達』と呼べる相手ができた瞬間だった。
――――――――――
その後、龍太郎だけでなく鈴とも一応友人関係になったハジメだが龍太郎はハジメの作っていたものに注目する。
「そういえば、お前何作ってたんだ?」
「え?えっとね………」
ハジメはこれまで作った『作品』が入った箱を持ってきて開く。
そこには…
安全ピンらしきものが付いた黒いパイナップル状の物体。
「これまで鑑定した鉱石からヒントを得て作った手榴弾シリーズだよ!これは燃焼石を起爆剤にして頑丈な魔物の鱗を爆発と同時に撒き散らす『破片手榴弾』で、こっちはフラム鉱石ってレアな石を使って作った『焼夷手榴弾』。で、魔力を僅かながら散らせる静因石を使った魔力結合を阻害する『消散手榴弾』。そして最後はオルクス大迷宮にある緑光石を使って作り出した『閃光手榴弾』!」
急に饒舌になりながら物騒極まりない爆発物の数々を笑顔で説明するハジメに少し…いや、かなり引いてしまう龍太郎達。その中で香織はハジメを愛おしそうに見つめるが、誰もその異様な雰囲気に気が付けなかった。
「で、今仕上げようとしてたのがこの『王水』と『青酸カリ』の製造なんだけど…これを使うための武器ももうすぐ…」
「ハジメ…お前は…お前は!」
よほどこれまでのことがストレスだったのか、喜々として危険物の説明をするハジメを見ていられなかった龍太郎。
「ねえシズシズ…鈴、これからはもう少し南雲君に優しく接しようと思う」
「そうね…光輝達を止められなかった私にも責任の一端があるかもしれないし」
新しい友情は作られたが…彼らとしてはハジメにもう少し優しくしようと意見が一致した瞬間だった。
次回、ありふれた職業と最強兄弟
大迷宮0065