セイバー、今年もやはり造形的にシンプルな最強フォームがきましたね…
というかクリムゾンドラゴンを強化して使えるとかゼロツーとは別ベクトルで恐ろしいかも…
感想、評価が作者の力となります!
『この本によれば…『元』普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『フューレンのギルド支部長イルワの依頼で行方不明となった冒険者達を捜索すべく湖畔の町、ウルにたどり着いた我が魔王達は偶然にもかつてのクラスメイト達と恩師、畑山愛子との再会を果たす』
『彼らもまた行方不明になったクラスメイトの清水幸利を探しており、ともに捜索するなかで冒険者達を発見。そこで謎の黒い龍により襲撃を受けたという話を聞く』
『下山しようとした彼らはその黒い龍に襲われるが、なんとそのドラゴンは我が魔王達の探し求めていた…』
「おっと。先まで読みすぎました…」
―――――――――――
黒龍のブレスに対し、ハジメは宝物庫から『物理シールド ヴァント』を出現させて内部ギミックであるアンカーを射出。
黒龍から放たれた5色のブレスを受け止めるが、シールドで防ぎきれなかった範囲がどんどん融解していく。
「ぐっ!こいつ……!」
ヴァントに仕込んでいた『金剛』を発動させてもギリギリどころか圧されていたことに歯ぎしりしながら耐えるハジメ。
その攻撃力はかつて戦ったヒュドラを超えていると直感的に悟った。
「くうっ!シアちゃんとクロハネちゃんはハジメ君を支えて!ユエはあの龍に攻撃を!」
「りょ、了解ですぅ!」
「はい!」
「ん…!」
香織の指示に従い、シアとクロハネはそれぞれハジメを後ろから支えて耐え、香織は自身の技能でもある『電磁障壁』をヴァントに重ねがけし、ユエはミレディから授かった重力魔法を発動。
「〝禍天〟!」
超重力でユエは黒龍を押し潰し、黒龍のブレスが中断。
その隙にシアがドリュッケンを。クロハネが双剣を構えて重力魔法を付与させながら振り下ろし、地面が大爆発を上げる。
フランメ、アイズ、ドリュッケンには前回の戦い以降にハジメの手によって新しく重力魔法が追加されており、それによって破壊力の向上に成功していた。
だが…
「あの状態からシア達の攻撃を避けたのかよ…!」
驚きからハジメが声を漏らす。
まだ未熟とは言えユエの重力魔法によって押し潰された中でシアとクロハネの攻撃を避けたということは、あの超重力でも活動出来るだけのパワーをあの黒龍は持っているということ。
「あいつ…クローズヒュドラの比じゃねえぞ!」
ツカサは愛子達を守るために彼女達を戦場から引き離していたが、黒龍はツカサの後ろに居たウィル達めがけて攻撃をしてくる。
「まずい!」
応戦しようと園部が数本の投げナイフに属性魔法を付与させて投げつけ、玉井が自身の武器である斧から魔力で構成された斬撃を放つがいずれも黒龍の体に傷一つ付けることはできなかった。
「そんな…」
光輝達ほどではないものの異世界チート能力を持っており、そこらの魔物には苦戦することすらないステータスを持つクラスメイト。
だが、今回ばかりは流石に相手が悪いとしか言いようがないほど絶望的なステータスの差があった。
「っ!変身っ!」
《KAMEN RIDE…DECADE!》
黒龍の火球が迫る中、ツカサは咄嗟にネオディケイドライバーにカードを装填して仮面ライダーディケイドに変身。
変身の際に現れる20体の幻影で火球を防ぎきった。
「なっ………!?」
「嘘…ツカサ…君?」
ディケイドに変身したツカサに驚きを隠せなかった園部や親衛隊、愛子達。
その姿はかつてオルクス大迷宮で猛威を振るった『アナザーディケイド』をヒロイックにしたような姿だったからだ。
「ウィル達を狙うか…ならこいつらを守りつつ俺は………ん?」
ライドブッカーを取り出し、カードを選ぶディケイドはなにかに気がついた。
――――――――――
ドパンッ!というドンナーの発砲音が聞こえたが、直撃しても黒龍はダメージを受けた素振りも無い。
「ドンナーが直撃しても効かないって…あのサソリモドキの時より改良してんだがな!」
思わず叫ぶハジメだが、その苛立ちは誰もが理解できるだろう。
ただの魔物にしては強すぎる上、執拗にウィル達を狙うこのしつこさ。
十中八九『彼』が支配しているだろうと思ったが、幾らなんでもこのレベルの魔物を洗脳できるのだろうかとわずかな疑問がよぎるが…
「ハジメ!よく聞け!」
いつの間にか横にはツカサの変身したディケイドがいた。
「兄貴…?」
「ハジメ…この龍から『ライドウォッチ』の力が感じられる…」
その言葉にハジメ達パーティーの面々が驚愕した。
「なっ…!?おい兄貴!ライドウォッチが魔物を主に選ぶってのかよ!?」
オスカー、ユエ、シア、ミレディ、愛子…これまでのライドウォッチはいずれも『人』のもとに現れた。
だが今はあの龍にウォッチが宿っているという。
「間違いない…あの黒龍から『ウィザードウォッチ』の反応がある!」
ディケイドが取り出した仮面ライダーウィザードのカードはわずかに発光しており、それがウォッチとの共鳴であることは間違いない。
「あの龍が魔物じゃないなら、考えられる可能性は…」
「龍人族…」
ユエには心当たりがあった。
500年以上昔に滅んだとされる、古の亜人。
亜人でありながら『龍化』という固有魔法を持ち、人と魔物の狭間にいたとさえ言われた最強種族。
「だとしたら対処法は殺すでも撤退させるでもなく…」
「洗脳を解くことだな…だが、ウォッチの力を使ってるだろうあの状態に生身はきついぞ、ハジメ」
頷いたハジメはジクウドライバーを装着し、香織に叫んだ。
「香織!先生達を近づけさせるな!ここからは俺と兄貴でやる!」
「…うん!ハジメ君も気をつけて!」
ハジメはジオウライドウォッチを取り出し、起動。
《ZI-O!》
ウォッチをベルトに装填し、ロックボタンを押す。
「変身!」
《ライダータイム!仮面ライダー!ジオウ!》
走りながらジオウに変身したハジメはディケイドと共に黒龍へと挑む。
―――――――――――
「…あれが、ツカサ達…?」
園部は目の前で変身して黒龍と激闘を繰り広げるハジメとツカサの姿から目が離せなかった。
「ハジメ君…オルクスの地下であの力を手に入れたんだ」
香織は小さな声で語る。
「あの力がなんなのか、私にもまだわからない…でも、ハジメ君もツカサ君もたった一つの目標のために戦い続けてる」
地球に…帰るべき場所に戻る。
その意志のもと、彼らは戦う道を選んだのだと香織は語った…
《KAMEN RIDE…BUILD!》
《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエェェイ!》
ビルドのカードを使ったディケイドはすかさず別のカードを装填。
「ドラゴンにはドラゴンだ!」
《FORM RIDE…BUILD!KEYDRAGON!》
《封印のファンタジスタ!キードラゴン!イエェイ!》
ディケイドビルドは金色と青の姿『キードラゴンフォーム』に変身し、ジオウはキバライドウォッチを起動。
《KIVA!》
「力を封印…なら、こいつだろ」
ウォッチをドライバーに装填し、回転。
《アーマータイム!ガブッ!キバぁ!》
ドライバーから出現した『キバットバット三世』型アーマーが装着され、複眼には黄色で『キバ』と描かれたデザイン。
さらに右足に仮面ライダーキバと同様のキック力を増強するパーツ『ヘルズゲート』を模した装甲が追加された『仮面ライダージオウ・キバアーマー』へと変身。
「ハジメ!短時間で決める!」
「ああ!」
ジオウはウォッチに封じ込められた力を引き出してキバの武器の一つである『ドッガハンマー』を出現させ、ディケイドはドライバーに必殺技カードをセット。
《FINAL ATTACK RIDE…BUI BUI BUI BUILD!》
「動くなよ!」
ジオウがドッガハンマーを操り、『トゥルーアイ』を露出。その力で黒龍の動きを封じ込めた。
「はあああ!」
ディケイドビルドは鎖で黒龍を縛り付け、そこから青い龍のオーラを纏ったキックを黒龍に放つが…
『グウウウルルルァアアアアAアAAAAA!!』
雄叫びをあげた黒龍は魔法陣を出してそこから雷を発生。
その攻撃を受けてジオウとディケイドは基本形態に戻されてしまう。
「くっ…何だよこのデタラメな強さ…!」
思わず吐き捨てるように言うディケイドだが、ライドブッカーからカードを手に取ろうとして…
「ん…?これは…!」
ライダーカードのうち、『仮面ライダーウィザード』のカードが発光…ウォッチの使い手がいることを示していた。
「まさか…でも、ウォッチが魔物を選ぶか…?」
だが、間違いなくあの黒龍はライドウォッチの力を使っている。
そしてあれが魔物でないとすれば…
「そうか、あれは…ハジメ!あの龍は恐らく、『ライドウォッチを所有する竜人族』だ!!」
――――――――――
竜人族。その言葉に香織やユエ達が反応し親衛隊や愛子はその言葉の意味が伝わっていなかった。
「あの…白崎さん?竜人族って…」
「…500年くらい昔に滅ぼされたと言い伝えられている亜人です。亜人族の中で『竜化』と呼ばれる固有魔法を保有する珍しい一族で、例外的に魔法を操れるなど、魔物と人間双方の強さを持っている一族ですよ…」
香織の説明に驚く親衛隊や愛子、ウィル達。
「もしあの龍が本当に竜人族だとしたら…それを操った相手の実力は相当なものになります…その上、ウォッチによって力が底上げされてるとしたら…」
「そんな…!」
園部は今もなお激しい戦いを繰り広げるディケイドに視線を送る。
――――――――――
「竜人族がウォッチを持ってて、その上で操られたってのかよ!」
「だったら…ディケイドの力で!」
ジオウは別のウォッチを起動させ、ドライバーに装填。
《FAIZ!》
ライセンで入手した『ファイズライドウォッチ』を使い、新しい変身を行う。
《アーマータイム!complete!ファイズ!!》
ジオウの前にアーマーが出現すると、それが分解され全身を覆う。
両肩に携帯電話のような意匠が組み込まれ、メカニカルなデザインに変化した姿
『ジオウ・ファイズアーマー』へと変身し、サポートアイテムでもある『ファイズフォンX(テン)』にコードを入力。
《Ready Pointer ON》
電子音が鳴り、ジオウの足に『カメン』と描かれたメカ『ギア555』の一つ、『ポインター555』が出現。
そのまま必殺技の準備をする。
《フィニッシュタイム!ファイズ!》
ジクウドライバーを回転させ、必殺技を発動。
《エクシード!タイムブレーク!》
「デヤアッ!」
右足を突き出すとポインター555から光線が放たれ、円錐型になって黒龍を捕縛。
「決めるぞ、兄貴!」
「ああ!」
《FINAL ATTACK RIDE…DE DE DE DECADE!》
ジオウは円錐に飛び込む形で必殺キック『エクシードタイムブレーク』を放ち、ディケイドも20枚のホロカード型エネルギーを潜りながら『ディメンションキック』を放ち、黒龍の頭部に命中。
『ガアアアアアアアアァッ!?』
一撃を受け、黒龍は次の瞬間爆発。
ジオウとディケイドの死闘に決着がついた…
――――――――――
『ぐぅ…こ、ここは……?妾は一体…』
爆発の中から出てきた黒龍は金色の装飾が消えており、光の繭のようなものに包まれるとそこから黒い和服に身を包んだ二十代前半ほどの美女が出てきた。
「くっ………すまぬ。お主達に聞きたいのだが…一体何が…っ!」
先程の戦いによるダメージが抜けていないため倒れそうになる女性をツカサが咄嗟に支える。
「無理はするな。やむを得なかったとは言え全力で攻撃したからな…白崎。この人に回復魔法かけられるか?」
「う、うん!」
香織の回復魔法で傷が塞がっていく中、女性は語り始める。
「妾はティオ・クラルス…竜人族の一部族、クラルス族の一人じゃ」
ティオと名乗る女性が言うには、彼女達竜人族はこの大陸から離れた島で暮らしており、かつての戦いで多くの犠牲を払ったことからこれ以上の犠牲を避けるべく歴史の表舞台から姿を消していたとのこと。
「だが3ヶ月と少し前…突然この世界に何十人もの大きな力が現れたのを感じ、我らはその原因を調査すべく動き出した」
「それって…俺達のことか…?」
玉井は、ティオの言う『力が感知された』時期がちょうど自分達が召喚された時期と被っていたことで気が付く。
「一度人里に入り込んで情報を集めようとしたが、度重なる竜化の使用で魔力が枯渇しての…人里に下りる前に回復に努めようと眠りについてしまい、その隙に操られてしまった…」
「も、もしかして…その操った人って黒いローブを着て杖型のアーティファクトを持ってたりしませんか…?」
宮崎の問いにティオは何かを感じたのか、小さく頷く。
「奴の企みは何となくだが覚えている…あ奴は闇魔法で制御した数千という魔物を麓の町にぶつけようとしておるのじゃ」
その言葉にウィル達だけでなくハジメ達も驚愕する。
「少しずつだが思い出してきた…妾はその事実を知ったそこの冒険者達をこの山から追い払うよう指示を受けておった…」
誰もが言葉を失う中…ハジメはその言葉に『引っかかり』を覚えていた。
(ウィル達を山から追い払う………ん?いや、だけど………)
「ハジメ君…?」
思考の沼に沈みかけていたハジメを香織が声をかけることで呼び止め、ハジメは一旦この考えを停止させる。
「…まあいい。一度山を降りるぞ」
魔物の群れを相手にするにしても無視するにしても、本来の目的であるウィル達の救出は果たせた。
これ以上この山に残る理由もないと判断し、ハジメ達は下山の準備を進めることとなる…
次回、ありふれた職業と最強兄弟
君が望む未来