ありふれアニメ、終わってしまいましたがまだ二期があるのでとりあえずまだまだ頑張れます。
当然、冬のライダー劇場版も今から楽しみです!
感想、評価をいつでもお待ちしています!
『この本によれば、普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』
『オルクス大迷宮で実戦訓練を行う我が魔王達だが、その中で1人の生徒による軽率な行動が起き、それが彼らの運命を大きく左右することとなる』
『もうすぐ、我が魔王達の覇道に繋がる物語が始まります…』
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朝。ハジメ達はオルクス大迷宮の正面入口がある広場に集まっていた。
以外にも入口は受付があるなどしっかりしており、所謂洞窟というイメージからはかけ離れていた。
どうやらこの受付でステータスプレートを見せてから入ることで誰が入り、誰が帰ってきたのかまでを詳しく記録しているらしい。戦争を控えている今、多大な犠牲者を出さないための措置なのだろう。
入口までの通りで様々な露天が並び、さながら祭りのような雰囲気もある。
「ずいぶんと賑やかなんだね…」
「まあ、大迷宮で採れる魔石だの素材だのは人気だからな…ここは絶好の稼ぎ場所なんだろうよ」
そんな会話をしているのは後列を歩くハジメとツカサ。
互いに動きやすいコートなどを着ており、ハジメの腰には彼お手製のポーチが付けられている。
さらに目立つのが、ツカサの背負っている長い物体。
白い布に覆われて全貌がわからないが、これもまたハジメの開発した武器の一種である。
「ねえ兄さん…今日は20層まで潜るのに、わざわざ『バンカー』を持ってくる必要無かったんじゃない?言っちゃあれだけど、かなりめんどくさい武器だよ?それ」
ハジメはツカサの持つ長物に目をやる。
「いいじゃねえか。使えそうだから持ってきたんだし、万が一ヤバい魔物にでも遭遇したら、活躍するかもしれないんだぞ?それに…ちゃんとお前も『中身』持ってきてんだし」
そんな会話を続けていると、香織と雫がこちらに来る。
「おはよう、ハジメ君!」
「おはよう、ツカサ」
2人に挨拶を交わされ、ハジメ達も挨拶をする。
「あ、白崎さんそのブローチ…」
「うん!ちょうどピッタリかと思って、帽子のところにつけてみたんだけど…」
香織の帽子にはハジメが昨晩贈ったブローチが付けられている。
どうやら、相当気に入ったようだ。
「ハジメ君も、その腰のカバンって手作り?」
「う、うん。今まで貰った材料から作れたんだよね…」
ハジメが作ったポーチは、水棲の魔物の皮や魔物の毛皮などを材料にしている。
内部に水棲の魔物の皮を使っているため防水性に優れており、水濡れを避けるべきである道具などを運ぶのに重宝している。
そんなたわいもない話をしていると、ハジメは一瞬だが寒気を感じる。
(…気のせい、かな?)
だが、ハジメは昨晩現れた謎の男、ウォズの言葉が頭をよぎった。
『君を妬む少年には気をつけたほうがいい』
だが、自分を妬む人間なんてたくさんいる。香織との関わりによって周囲から疎まれていたため、視線の主を見つけることはできなかった…
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外の喧騒とは異なる迷宮の中で、クラスメイト達は戦いを続けていた。
灰色の体躯に赤黒い目が光るネズミの怪物『ラットマン』が飛びかかるが、前衛の光輝、龍太郎、雫の3人が迎撃。
その間に香織と鈴、鈴の親友であるメガネっ娘の中村恵理が魔法の詠唱を開始。
光輝は王国から与えられたアーティファクトの一つであるバスターソード『聖剣』を振るってラットマンを数体纏めて撃破する。
この聖剣、光属性の力を宿しており光源に入る敵のステータスを下げて自分の身体能力を自動で強化するという、『聖剣』と呼ぶにはいささか嫌らしい性能を持つ。
龍太郎の天職は拳士で、武装は籠手と脛当ての二つ。
これもアーティファクトであり、衝撃波を放てる他、決して壊れないという話しだ。
本人の格闘センスも相まってその姿は一種の要塞にも見えるほどである。
雫はイメージ通りというか、天職は剣士。武装は刀とシャムシールの中間のようなデザインの剣で、彼女は抜刀術の要領で相手を次々と切り裂く。
前衛組の戦いにハジメは感心し、ツカサは小さく拍手していると詠唱が響いた。
「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ――『螺炎』!」」」
3人が同時に放った炎の魔法がラットマン達を燃やし尽くし、1体残らず灰塵にした。
気が付けばこの6人だけで1層の魔物は全滅してしまった。
「ああ~、うん!よくやった…次はお前達にもやってもらうからな!気を引き締めるように!」
スペックが高すぎる彼らに苦笑いをするメルド団長。
「それと…今回は訓練だからいいが、魔石の回収も忘れるなよ?明らかにオーバーキルで、これじゃあ魔石ごと消し飛んじまうからな」
それからは特に問題もなく進み、順番に前衛や後衛が交代を繰り返しながら進み続けた。
「よし、次は南雲ハジメ!そして南雲ツカサ!」
やがて、ハジメとツカサの番が回ってくる。
「ハジメ。お前は手はず通りやってみろ。まずは一匹、確実にな」
「うん。兄さんも気をつけて」
そこそこ強くなっていたツカサと違い、錬成師のハジメに騎士たちもさほど期待していなかった。
しかし…
「これだけ弱ってるんじゃ実質倒してるようなもんじゃ…まあ念の為に…『錬成』」
ハジメは錬成を使い魔物を地面に固定した状態で動きを封じ、持っていた短剣で魔物を突き刺す。
その戦いを見て騎士達は内心関心をしていた。
彼らにとって錬成師とは戦いの場に出ないものという認識があったが、ハジメの場合その錬成を使っての戦法をメインにしていたからだ。
「そしてもう一回…『錬成』!」
ハジメは魔物に剣を突き刺した状態でもう一度錬成を行い、騎士達も何をするのかと目を向ける。
すると、突然魔物が苦しみ出してやがて事切れる。
ハジメが剣を引き抜くと、その形は波打った刃の『フランベルジェ』と呼ばれるような形の剣に変化していた。
(なるほど…錬成で相手の動きを封じ確実にトドメを刺す。が、それだけでなく突き刺した武器を錬成させることで相手の体内にさらなる傷を負わせるとは…錬成師に実践向けの力はないと考えていたがこれは…)
メルド団長も興味深いと言わんばかりの視線を送るが、その視線はハジメだけでなくツカサにまで向いた。
「ふっ!」
狼型の魔物が迫るが、ツカサは足払いで転けさせてから首に剣を突き立てる。
他の生徒と比べると地味だが、魔法を使わず己の剣技と体術のみで魔物を軽々と仕留めているその姿には余裕すら感じられた。
(南雲ツカサ…やはり、どこか妙な男だ。それにあの天職といい…)
ツカサの天職である『破壊者』。それはかつて神代の頃に人の身を捨て魔物になった20人の戦士の1人と共通していた。
それとなく騎士たちを使って監視していたが、彼はその天職以外は害など無さそうな人間だったが…
「よし、下がっていいぞ。ちゃんと魔力回復薬を飲むようにな」
ハジメ達の出番も終わり、ハジメはポーチから魔力回復薬の入った小瓶を取り出し飲む。
小休止に入り、ハジメはポーチの中身を確認する。
(薬の類はあんまり消費してない…一応『爆弾』は破片と焼夷が3個ずつ、閃光と消散が2個…一応予備をそれぞれ一つずつコートに持ってるし…あとは『カートリッジ』がそれぞれ一個ずつに点火セット。うん、問題なしと)
ジッパーを閉めたハジメはふと香織と目が合い、香織がこちらに向かって小さく手を振る。
「香織、何ハジメ君に手を振ってるのよ?迷宮の中でラブコメ展開なんて随分余裕じゃない?」
雫のからかうような口調に恥ずかしくなったのか香織は怒ったような声で反論する。
「な、何言ってるの!私はただハジメ君が心配なだけで…それに雫ちゃんも時々ツカサ君のほうをチラチラ見てたの知ってるんだからね!」
まさかのカウンターに目をそらした雫。
その姿にハジメも苦笑し………突然またしても朝に感じた不快な視線を感じ取った。
(またか…だけど、見てくるだけってのが何か嫌だな…ウォズさんの警告通り、一応警戒しておこう)
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やがて、一行は本日の目的地である20階層までたどり着いた。
(確かここから下の21階層の階段まで行けば、今日の訓練は終わりだっけ…)
尤も、神代に存在した転移魔法など無いため帰りもまた歩く事になるが。
そんなことを考えていると、どうやら周囲に魔物がいるらしくメルド団長達が足を止める。
「擬態しているぞ!周りに注意しておけ!」
その直後、壁と同化していたゴリラのような魔物『ロックマウント』が襲いかかる。
「しゃらくせえ!」
龍太郎がロックマウントの攻撃を弾き返し、すぐさま光輝達が反撃に出ようとするが20階層の鍾乳洞的な地形のせいで上手く立ち回れない。
龍太郎の防御を突き破れないと判断したのかロックマウントは後ろに下がり、仰け反りながら息を吸う。
「っ!坂上君!ロックマウントが固有魔法を使う!」
「何!?」
ハジメは以前調べていた迷宮の魔物のデータからロックマウントの固有魔法を思い出した。
『威圧の咆哮』。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる魔法である。
殺傷能力はゼロだが、豪腕を誇るロックマウントの前で動きが数秒でも取れなくなるのがどれほど危険なのかは語るまでもないだろう。
「グゥガガガアアアアアアアア!!」
だが、すでに威圧の咆哮は放たれてしまい、光輝達前衛は身動きがとれなくなってしまう。
ロックマウントはその隙に傍らの岩を持ち上げ、香織達後衛に投げつける。
香織は防御の魔法を展開するが、その瞬間信じられない光景を目撃する。
なんと、投げられた岩もまた擬態したロックマウントだったのだ。
擬態を解きながら見事なル〇ンダイブを決め、やたら血走った目と荒い鼻息で迫る姿に思わず香織達は魔法の詠唱が途切れてしまった。
「白崎さん!伏せて!」
だが、下がっていたハジメは咄嗟にポーチとは別にすぐ使えるようにとコートの裏にしこんでいた『破片手榴弾』を取り出し、ロックマウントに投げる。
すると手榴弾は見事ロックマウントに直撃し、硬い魔物の鱗がロックマウントの顔面を強襲。
「デヤアッ!」
すぐさまツカサがロックマウントの首を剣で切り落とし、ロックマウントは絶命。
「大丈夫だった?」
「う、うん…」
頷くものの、よほど気持ち悪かったのか顔が若干青ざめている。
そんな様子を見てキレたのが光輝。
正義感と思い込みを擬人化したような彼は聖剣を握る手に力を加える。
「貴様…よくも香織を…許さん!」
気持ち悪さで青ざめていたのを死の恐怖と勘違いした光輝は、場所など無視して必殺の一撃を放たんと動き出す。
「万翔羽ばたき、天へと至れ―――『天翔閃』!!」
「あ、馬鹿者!!」
メルド団長が止めようとするが時すでに遅し。
光輝は大上段に振りかぶった聖剣を勢いよく振り下ろすと、聖剣が纏っていた巨大な光が斬撃へと変化して周囲の壁ごとロックマウント達を殲滅していく。
「………あんのバカ勇者」
思わずツカサが口にしたが、横に居た龍太郎も頭を抑えていた。
パラパラと部屋の壁から破片が落ち、光輝は爽やかな笑顔で『もう大丈夫だ!』と声を掛けようとしたが、メルド団長のゲンコツをくらう。
「いっづ!」
「この馬鹿者が。気持ちはわからんでもないが、こんな狭い洞窟で使う技じゃないだろう!崩落でもしたらどうするつもりだ!」
「す、すいません…」
バツが悪そうに謝罪する光輝。
だが、香織は崩れた壁の中から出てきた『青い鉱石』に興味を示す。
「あれって…確か『グランツ鉱石』でしたよね?それに結構大きい…」
「ほう、よく知っているな」
グランツ鉱石。これまでハジメが加工してきた鉱石とは違う純粋な宝石と言える代物である。
特に効能があるわけではないが涼やかで煌びやかな輝きが貴族の婦人や令嬢に人気であり、加工して指輪などのアクセサリーにすると喜ばれることが多い。求婚の際に選ばれる宝石としても人気なのだという。
「綺麗…」
香織はメルドの説明を聞いてグランツ鉱石を見つめる。
そして、チラチラとハジメの方を見ていた。
(おいハジメ。こういう時こそ錬成師の本領発揮じゃねえのか?あれ採取して白崎の喜ぶようなアクセサリーに加工するくらい、今のお前なら片手間でできんだろ…)
ヒソヒソとツカサがハジメの耳元で囁く。
(いやまあそうだけど…流石に片手間でアクセサリー作ったりしないよ)
だが、実際この中であのグランツ鉱石を綺麗に加工できるのは恐らくハジメだけであろう。
「だったら、俺等で回収しようぜ!」
そう言って動いたのは檜山だった。
檜山はグランツ鉱石に向けて崩れた壁を登っていく。
メルドの警告も聞こえないふりをして鉱石に触れたが…
触れた途端、赤黒い魔力が電流のように走ったのを見てメルドは察する。
「いかん、トラップだ!」
すると、ハジメ達の足元にこの世界に連れてこられた時のものと似た『転移の魔法陣』が現れる。
「くっ!撤退だ!早くこの部屋から出ろ!」
メルドの言葉に生徒達は急いで脱出しようとしたが…一足遅かった。
強い光で咄嗟に目を覆ったハジメ達は、気が付くと先程までいた空間とは違う場所に来たことに気づく。
「ここは…橋の上か」
ツカサが口にしたとおり、転移した場所は巨大な石造りの橋だった。
長さはざっと百メートルはありそうで天井も二十メートルは高さがある広い空間。
橋の下は真っ暗で、何も見えない。まさに奈落の底といった空間が広がっていた。
橋の横幅はそれなりに広いものの、手すりや縁石すら無いためバランスを崩したりすれば奈落の底へと落ちていくことは容易に想像できた。
(前方には次の層へと降りる階段…後ろには上の階層に続く階段がある…なら、無理をせずさっさと上の階層から脱出したほうがいいかも知れない…)
冷静になったツカサはすぐに自分達のとるべき行動を考えるが…
上層に繋がる階段の前に現れた魔法陣から、大量の髑髏の魔物が出現。
さらに下層に繋がる先にも一際巨大な魔物が1体出現し、メルドはその姿を見て警戒心を限界まで高めた。
「あれは………ベヒモス…なのか?」
次回、ありふれた職業と最強兄弟
第7話 魔獣決戦3865