ありふれた職業と最強兄弟   作:狼牙竜

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お待たせいたしました、第7話です!
今回はベヒモス戦ですね。もうすぐプロローグの内容に到達します。


今回の仮面ライダーゼロワン、ついに5人の仮面ライダーが集結しました…
高岩さんの演じる仮面ライダー滅、圧倒的強さとカッコよさ…


感想、評価が力になるのでいつでもお待ちしています!!



第7話 魔獣決戦3865

『この本によれば…普通の高校生南雲ハジメ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた』

 

『クラスメイトの檜山による不注意で彼らはオルクス大迷宮の65層に転移させられてしまい、そこに待ち受けていたのは強力な魔物ベヒモス』

 

『彼らを救うために今、我が魔王達が立ち上がりますが…』

 

「おっと。ここから先はあなた方の目でご確認ください…では」

 

――――――――――

 

咆哮する魔獣、ベヒモスに生徒達は怯える。

しかし、逃げようにも脱出するための上層に続く道は骸骨の魔物『トラウムソルジャー』の群れが塞いでおり、逃げるのは容易ではなかった。

 

「アラン!生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベインは障壁を最大出力で!何としてもベヒモスを食い止めるぞ!光輝!お前は生徒達を引き連れて早く階段へいけ!」

メルドはすぐに指揮を執るが、光輝が反論する。

 

「待ってください、メルドさん!俺達も手伝いますよ!あの恐竜みたいなやつを倒せば…」

「バカ野郎!やつは恐らくベヒモス…65階層の魔物で、かつて最強と呼ばれた冒険者でさえ勝つことができなかった化物だ!さっさと行け!私はお前達を誰一人として死なせるわけにはいかないんだ!」

メルドの言葉に怯むが、見捨ててはおけないと意地でも離れようとしない光輝。

彼の強すぎる正義感が悪い方向に働いてしまった瞬間だった。

 

 

光輝を説得しようとするメルドだったが、ベヒモスはそんな悠長な時間を与えてはくれない。

咆哮を上げながら突進してきたベヒモスを抑えるべく、騎士団は障壁の準備に入る。

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対のまもりを、ここは聖域なりて、神敵を通さず―――『聖絶』!!」」」

 

紙製の魔法陣と四節の詠唱によって発動した防御魔法。効果は短いものの、その守りは絶対的でベヒモスの突進を何とか防ぎ切った。

 

しかし、その衝撃によって石造りのはずの橋が大きく揺れて撤退していた生徒達のうち何人かが転倒。ますますパニックは増長していく。

 

 

 

その中で後ろから来た生徒と激突し転倒したのは、以前ツカサとともに鍛錬をしていた園部優花。

痛みに呻きながら顔を上げると、1体のトラウムソルジャーが園部に対して剣を振り上げていた。

 

「っ!?」

咄嗟に目を逸らす園部だったが…

 

 

 

 

 

 

 

「ハアアッ!」

トラウムソルジャーの剣を、別の剣が受け止める。

剣の主はツカサだった。

 

「ふっ!ハジメ、やれ!」

「うん!」

ツカサはトラウムソルジャーの剣を弾くと、上段回し蹴りでトラウムソルジャーの頭蓋骨を粉砕。

すぐさまハジメは地面を錬成してトラウムソルジャーの足元に穴を開け、5、6体のトラウムソルジャーを橋から落とす。

 

 

「園部!まずは落ち着け。お前達のステータスならこいつらにも勝てる!冷静に対処していけ!」

「う、うん!ありがとう!」

園部が持ち直したのを見届けたツカサは、ハジメに聞く。

 

「ハジメ。奴らの攻略法か何かあるか?」

「一応。トラウムソルジャーは数こそ厄介だけど、防御力は紙だから力で押せばどうにかなるはず。魔法陣を破壊すれば、増殖は止まる!」

ハジメの持つ武器のうち、『消散グレネード』の粉を浴びれば魔力で動くトラウムソルジャーは動きが鈍る可能性もある。

 

 

「まずは皆の脱出路を開かなきゃ…なら!」

ハジメとツカサは光輝達が戦っているベヒモスの方へと走っていく。

 

――――――――――

 

ベヒモス相手に苦戦を強いられているメルド達騎士団と光輝、龍太郎、雫、香織。

 

しかし、メルドが加わって強固になったはずの結界も限界が近づいていた。

「くそ、もうもたんぞ!光輝!早くお前達は撤退しろ!」

「嫌です!メルドさん達を置いていけるはずがないでしょ!みんなで帰るためにも!」

「この…馬鹿者…!」

狭い橋の上では回避が難しく、理想的な脱出方法は障壁を張って押し出されるような形で撤退するのが一番。

 

しかし、それはあくまでもメルドのように長年の経験を積んだベテランだからこそできるわけでまだルーキーの光輝達にそれを求めるのは無理だった。

 

 

 

 

すると、突然ベヒモスの顔面に何かがぶつかって爆発。その途端ベヒモスの顔面が炎に包まれ、苦しげな悲鳴が響く。

 

「これは…?」

すると、ハジメとツカサが光輝達の元に駆けつけた。

 

「天之河君!」

「ハジメ!?お前、どうして…」

「ハジメ君!?」

 

突然現れた二人に驚く光輝達。

「向こうが混乱してる!天之河君が先頭に立って皆を撤退させて!」

「いきなりなんだ?それより、君達がどうしてここに来たんだ!ここは二人が来ていい場所じゃ…」

「そんなこと言ってる場合かよ!」

ハジメの剣幕に、光輝だけでなくその場の全員が目を丸くする。

普段は穏やかなハジメが強い口調で怒鳴り返したのだ。

 

 

 

「バカ勇者。お前の正義感は大したもんだけどな…後ろで混乱してる奴らのこともちゃんと見てやれ!皆を戦いに引き込んだのはお前なんだ!だったら、あいつらの命を何より優先しろ!」

「一撃で切り抜ける力が必要なんだ!皆を縛る恐怖を吹き飛ばせるだけの力が!それを持ってるのはリーダーの天之河君だけでしょ!前だけじゃなく後ろのこともちゃんと見てよ!」

ツカサとハジメの言葉に冷静さを取り戻した光輝。

 

 

「あ、ああ。わかった!メルドさん、俺達は撤退します!」

「おう!ならば時間稼ぎは―――」

メルドの言葉は長く続かなかった。

 

次の瞬間、ハジメの投げた焼夷グレネードのダメージから復活したベヒモスの衝撃波でメルド達は吹き飛ばされてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちぃっ!こうなったらやるしかねえか!天之河!手短に説明する!」

ツカサはこの状況を脱するための計画を説明することを決める。

 

 

 

 

 

 

「あのベヒモスとかいう魔物は俺とハジメで仕留める!お前はクラスの奴らが脱出できるように退路を開くことを優先しろ!」

だが、それはあまりにも危険な賭けに聞こえた。

 

――――――――――

 

トラウムソルジャーの群れに苦戦していた生徒達だったが、突如一部の群れが消し飛ぶ。

 

「みんな、待たせた!」

「光輝!」

光輝の登場にクラスメイト達の目に光が戻る。

 

「ここを切り抜ける!俺の話を聞いてくれ!」

大声でクラスメイト達に呼びかける光輝。

 

「出口を確保する!まずは前衛組でトラウムソルジャーを蹴散らし、魔法陣を破壊!魔法組はメルド団長の指示に従え!」

 

「ベヒモスはハジメとツカサが相手をする!撃破できなかった場合は全員の脱出まで二人が足止めに専念する手筈だ!」

クラスの中でも扱いの悪いハジメ達の足止めに何人かが不安そうな表情を浮かべたが、そんな不安を龍太郎が吹き飛ばす。

 

 

 

「ボーッとしてんじゃねえ!あいつらがやるって言ったんだから、お前らも信じろ!」

龍太郎と雫は、ハジメから受け取った消散グレネードを取り出しトラウムソルジャーの群れに投げつける。

 

 

数分前、ハジメは龍太郎と雫に持っていた消散グレネードと破片グレネードをそれぞれ1個ずつ渡していた。

『消散グレネードなら奴らの動きを鈍らせられるし、破片グレネードは念のための武器だよ』

『だけど、これはお前の武器じゃ…』

 

龍太郎としては少しでもハジメの武器を減らすわけには行かないと受け取りを拒否しようとしたが、ハジメは首を振る。

 

 

『消散グレネードはベヒモスよりトラウムソルジャーの方が効果あるだろうし、生き物の形してる向こうには焼いた方が多分通用する。だから、これは坂上君達が持ってたほうがいいんだ』

ハジメに押し切られる形でグレネードを受け取った龍太郎達。

二人の投げたグレネードによって、トラウムソルジャー達の動きが鈍る。

 

「光輝!奴らが鈍ってる今のうちに!」

「わかった!」

光輝は聖剣を構え、最大の一撃を放つべく動く。

 

「神意よ!全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ!神の息吹よ!全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ!神の慈悲よ!この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!―――――『神威』!!」

今まで以上に長い詠唱によって放たれた、『天翔閃』の上位技とも言える光輝の最強技『神威』。

 

光輝の一撃によってトラウムソルジャーだけでなく魔法陣ごと橋の一部を抉ったことでトラウムソルジャーの増援は止まり、全員が離脱できる隙間ができた。

 

(ハジメ君…ツカサ君…)

香織と雫は、ハジメ達とベヒモスの戦っている方向を見ながら撤退した。

 

――――――――――

 

メルドのアシストによって隙を作ってもらい、ハジメはベヒモスを足止めすべく唯一の魔法を放つ。

 

「錬成!」

両手を地面に当てて、錬成でベヒモスの両手両足を橋に埋めて拘束。

本来なら、これを繰り返して足止めをするつもりだったがツカサの計画には続きがあった。

 

 

「狙いは…ここ!」

思うように身動きがとれないベヒモス。ツカサが狙ったのはその『首筋』だった。

 

「セヤアッ!」

ツカサの剣がベヒモスの首を切り裂き、ハジメは錬成でベヒモスの足元を砂に変化させる。

 

「ハジメ!『カートリッジK』を!」

ツカサの呼びかけに対し、ハジメはポーチの中から『K』のラベルが貼ってある大きめの瓶を取り出しツカサに渡す。

受け取ったツカサはこれまでずっと背負っていた長物に巻いていた白い布を取り払う。

 

 

それは、一言で現せば『杭』。鋼鉄製の杭だが、中身が空洞になっており杭の後ろには蓋が付いていた。

さらに目立つのは、先端に繋がっている長いワイヤー。

「しっかり抑えてろよ、ハジメ!」

「ああ!」

ハジメはツカサから受け取っていたぶんの魔力回復薬を飲み、ありったけの魔力を込めて錬成でベヒモスを拘束し続ける。

 

 

「くっそ………おとなしく、しろ!!」

激しく抵抗するベヒモスに対し、ハジメは閃光グレネードを投げつける。

 

『グギャアアアアアア!』

強力な光に怯んだベヒモスが叫ぶが、それが命運を分けることとなった。

「兄さん!今だ!」

ハジメの言葉に応えるように、ツカサは瓶の中身を注ぎ込んだ杭を持ちながら全力でジャンプ。

ベヒモスの首筋めがけて杭を投擲し、さらに空中で飛び蹴りの体制を放つ。

 

「こいつで…仕留めるっ!」

ベヒモスの首筋に杭が浅く突き刺さるが、続けざまにツカサのキックが命中して深々と突き刺さる。

 

「フィニッシュはお前が決めろ、ハジメ!!」

ハジメは立ち上がり、杭に繋がっていたワイヤーをしっかりと握る。

 

 

 

「錬成っ!!」

ワイヤー伝いに錬成を放ち、杭の先端が崩壊。

すると、ベヒモスの様子がおかしくなった。

 

『ぐ…ギュギュ…』

突然苦しみだし、突き刺さった場所から煙が出ている。

やがて、ベヒモスの目から光が消え…絶命した。

 

――――――――――

 

 

「やった…のか?」

メルドは疑問に思い、ベヒモスの様子を見る。

が、間違いなくベヒモスは絶命している。

 

「ハジメ!ツカサ!無事か!?」

龍太郎達が駆け寄って聞くが、2人とも頷く。

「今の…何があったの?」

雫が聞くと、ツカサが説明する。

 

「今使った武器は『ケミカルバンカー』。ハジメが錬成で作り出した切り札だよ」

ケミカルバンカー。ハジメと香織が協力して作り出した薬物、劇物とハジメの持つ男のロマンによって完成した一発限りの切り札。

内部を空洞にした杭を相手に打ち込み、ハジメがワイヤー伝いに錬成をかけて先端を崩すとあらかじめ充填していた薬品が対象の体内に注がれるという仕組み。

だが、その性質上使い捨てな上大きいためいくつも運ぶことができないという欠点も抱えている。しかも内部に注ぐにはハジメの錬成が必要というのも弱点と言えるだろう。

 

 

「本当はパイルバンカーみたいに作りたかったんだけどね…流石に杭打ち機まではまだ開発できなかったし」

((いや、『まだ』ってことは諦めてねえのか(ないのね)……))

ハジメの目標に乾いた笑いしか出なかった雫と龍太郎。

 

 

「因みに、さっき内部に注いだのは王水だな。首の傷から直接神経を王水で破壊したってわけさ」

王水。金属をも溶かし、酸化力が強い極めて有害な劇物として地球では知られている物質である。

これをツカサとハジメはベヒモスの首の傷口に流し、神経を全て溶かしたのだ。

 

「だが、これでとりあえず危機は免れたと考えていいのか…?」

「ああ。さっさと上に戻って―――」

 

ツカサの言葉の途中で、突如ベヒモスの前に銀色のオーロラが出現する。

 

 

「オーロラ…?」

光輝が警戒していると、そこから出てきたのは紫色の衣服を纏った壮年の男。

 

「どうやら、ようやくこの世界でも動けるようになったらしいな」

不敵な笑みを浮かべた男に、光輝が聖剣を向ける。

「貴様、一体何者だ!?」

光輝の睨みに臆する様子もない男は、光輝を鼻で笑う。

 

「何がおかしい!?」

「いや…ただ思っただけさ。

 

力の差も理解できない愚か者だなと!

次の瞬間、衝撃波でハジメとツカサを除く全員が他のクラスメイト達のいた場所まで吹き飛ばされる。

 

「ぐああっ!?」

「きゃあっ!?」

「白崎さん!みんな!」

ハジメが駆け寄ろうとしたが、突然全員の体がピタリとも動かなくなる。

まるで『時間が止まったように』。

 

「丁度いい…この世界のオーマジオウよ。今ここで死んでもらおうか!」

男…『スウォルツ』は紫色の懐中時計のようなアイテムを取り出す。

 

 

「ライド…ウォッチ?」

それは、ハジメが昨晩渡されたライドウォッチに酷似していた。

 

スウォルツは『アナザーディケイドウォッチ』のボタンを押し、起動。

 

《ディケイドォ…!》

禍々しい電子音声が鳴り、スウォルツはウォッチを自らの体に埋め込むとその体が変異。

 

禍々しい悪魔のような風貌の、マゼンタカラーの化物。

その名は『アナザーディケイド』。

 

 

「ディケイド…?」

「そう…我が名はディケイド!この世界を破壊するのは俺の役割だ!」

 

新たな敵、アナザーディケイド。

ハジメ達の運命は、今大きく動き出していた…

 

 

 

 




次回、ありふれた職業と最強兄弟

第8話 奈落の底へと
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