紅魔のオーバーロード   作:レクレア

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こちらは前回投稿したものに、新たに書き足して上げ直したものです。


やべーと思う


主と主と

「やあ、随分と騒がしくしてくれるじゃないか」

 

「…あぁ、それはすまなか……っ!?」

 

くくく、私がこうして目の前に現れたことに随分と驚いている様子ね。こんなのを見るとからかってしまいたくなる。

 

「いやいや、お初にお目にかかるよ。この度冒険者となったバートリーという者よ?その反応は…まるでどこかで出会った様な驚き方だったね。はて…?何処かでおあいしたかな?もしかしたら名前を聞けば思い出すかもしれないが…」

 

「あ、あぁ…モモンだ。なに、かつての知り合いに似ていたものでな。バートリー嬢、君とは初対面だ」

 

なんだ、つまらない。もう少し面白い反応が見られると思ったが、感情抑制のスキルだろうか。すぐに平静になってしまった。からかいがいが無くなってしまったな。

 

「くつくつくつ…いやすまない。もう少し面白い反応が見れると思ったのだが、あまりにもからかいがいが無さすぎて逆に笑えて来てしまったよ」

 

おっと、モモンガのそばに居るナザリックNPCが睨んでくる。コワイなー

 

「改めまして、バートリーなんて偽名は捨て置いて…私の現在の名前はレミリア。レミリア・スカーレット…アナタも名前を変えたなんて、驚いたわ?」

 

「……どうやら自身の目が間違っていなくて安心した。久しぶりだな、レミリア。またこうして話せる事、嬉しく思うぞ」

 

「心にも無いことを言っちゃって、かつての私たちの関係を忘れたのかしら?」

 

「いや、忘れてなどない。だが昔は昔だ。私にとってはもう過ぎた話でしか無いのさ」

 

なんだ、モモンガからしたらあのPvP戦はもう過ぎた話なのか。私はノリノリで喧嘩を売るつもりだと言うのに

 

「おっと、失礼した。そちらの相棒様への挨拶はまだだったね。レミリアと呼んで頂戴」

 

「…黙れ、気安くアインズ様と私にに話し掛けるな。この藪蚊が……」

 

ボソリと呟くが、私の耳を持ってすれば簡単に聞こえる。だが、記憶してる限りこいつのレベルは犬と戯れる程度には差が付いてるはずだ。いやぁ、可愛い遠吠えだな。

 

「やれやれ、嫌われてしまった様だ。失礼、モモンとはつい最近会ったと聞いているが、私の付き人をしてくれている咲夜だ」

 

一歩後ろに下がっている咲夜を前へやり、紹介する。ぺこりと綺麗なお辞儀をすると咲夜は喋り出した。

 

「ご無沙汰しております。私レミリアお嬢様の付き人をしております十六夜と申します。以後お見知り置きを」

 

さて、適当にこの場の挨拶も済ませたことだ。さっさと寝る事にしよう。

 

そうだな…少し、モモンガには挑発をしておいてやるか。

 

「では、私たちはこれで。この身体を見ればわかるだろう?酷く眠くてね」

 

そう言ってモモンガの横へすれ違う時にボソリと一言話す

 

「私は、あの時の決着を望んでいる」

 

モモンガは私の方へ振り返るが、気にせずに宿部屋へ向かう。さて、モモンガもこれで意識をしてくれただろう。近いうちに、アイツの本拠地にでも遊びに行くとするか

 

 

一室でワインを揺らし、ゆっくりと香りと味を楽しむ。そしてこの地特有である肴を1口。

非常に美味だ。現実世界ではこれ程まで味の濃いものは存在しなかった。現実世界に戻りたいとはいえ、食事に関してはここの世界は絶品である。

 

夜空を見上げ、それを肴にゆっくりと酒を楽しむ…まだ何か行動を起こすには早い。何かきっかけとなるものがあるといいが…

 

不意に頭痛が起こる。グラスを床に落とし、割ってしまう。頭を抱えて苦しみもがいた。

そして、不意に流れ込む情景。モモンガと女性が戦いを繰り広げている。

 

…そうだな。これがきっかけになる。きっと近いうちにこの出来事は起こるだろう。

しかし、この頭痛は何とかならないだろうか

せっかくの美味い酒が台無しとなった。

割れたグラスの破片を拾い集める。ああ、最高にカッコ悪い光景だ。

 

そんなこんなで、夜は更けていった

 

 

 

 

──────────

 

翌朝、近いうちに起こる戦いに参加するため、しばらくモモンガの近くに居座ることとした。咲夜と共に朝食を取りながらモモンガの行動を確認する。彼は現在、クエストの貼ってある看板を見ている様子だ。

 

あいつは字が読めるのか?と疑問に思っていると、おもむろに紙を1枚ひったくるように取り、カウンターの受付嬢に話し始める…よく聞いてみると、冒険者の中でもランク付けがされており、入りたての新人は最下位からスタート。そのランク付けを利用してクエストの難易度も変わってくるらしい。

 

一度はモモンガは「俺の実力に合った仕事がしたい」とか言っていたが、ルールはルールという事で食い下がった。その後しばらくして、受付嬢がクエストボードまで歩いていく。あいつ、文字読めないから受付嬢にクエストを見繕うように言ったな?

 

咲夜が食後の紅茶を入れてくれ、食後のティータイムを楽しんでいるとモモンガに話しかけてくる冒険者が1組。どうやらクエストの誘いだ。

 

このまま眺めていると私らは置いてけぼりにされる。咲夜に目配せをして、ティーカップを机に置いてモモンガの元へ歩いていく。

 

「クエストのお誘い、私らも参加してよろしいかしら?」

 

モモンガに話していたチームに私が話し掛ける。モモンガはというと、多少気まずい様子をしていたが私には関係ない。

 

「ええ、歓迎しますよ。人数が多いに越したことはないクエストですので」

 

チームのリーダー格らしき男が快諾してくれ、とりあえずという形で酒場にある個室を利用し、自己紹介やクエストの内容を話す事となった。

 

どうやら彼らは『漆黒の剣』と言うらしく、階級は銀等級とそこそこの活躍をしている冒険者たちのようだ。

リーダーであるペテルを始めとして、レンジャーのルクルット、ドルイドのダイン、スペルキャスターのニニャの4人でクエストを受けているという。

 

途中、チーム内で決めている二つ名をペテルが話していた。なるほど、冒険者となると二つ名を名乗る…まぁそんなわけないか。若干3名は恥ずかしそうにしている。

 

さて、自己紹介の番が回ってきたか。

 

「今度は私の番ね。私はバートー・エルジェーベト、二つ名は『永遠に紅い幼き月』もしくは『紅い悪魔』とでも呼んでもらおうかしら?」

 

くすくすと笑いながら話す。モモンガ含め、周りは二つ名を聞いて呆然としているが…なんだ、ジョークひとつもまともに理解出来ないのか?

次いで咲夜が話す。

 

「え、えぇ…バートリーお嬢様の給仕長を務めていますジャック・ブランドーです。どうぞよろしくお願いします」

 

ぺこりと、苦笑いを浮かべながら一礼する。なんだ、咲夜も私の二つ名を微妙だとか思っているのか?

 

「よろしくお願いします。それで、バートリーさんとジャックさんの主な戦い方はなんでしょうか?」

 

そうだったそうだった。肝心な職業を言っていなかったな。咲夜はまあ、いいとして私の職業はなんと言うべきか…適当に見繕うとするか

 

「彼女はナイフを主に扱い、敵の懐に入って切り付けることを主にした、言わばアサシンでしょうか?」

 

「アサシンですか?確か、我々よりも遥かに上位に位置するチームにそういった人たちがいたような…」

 

「その方たちと比べ物になるかは分かりませんが、ワタクシも助力出来るように努めますので」

 

「それで、私の戦法は……ありませんね。軽い身体強化魔法をかけれたり、遠くの敵を発見することは出来ます。言わばサポートでしょうか?近接戦も出来ますが、あまり期待はしないでください」

 

一応槍兵ではあるが、それはあくまで自身の武器を装備した際のみであり、その装備もこの世界の神具に近しいものだ。ならばと思い、私は爪武器を装備して普段戦っていると話した。

 

因みにモモンとナーベの自己紹介後、ナーベに向けてルクルットがナンパをしてきたが、ナーベはゴミムシ呼ばわりし、一蹴していた。

 

 

 

 

 

 

クエストの内容は至極単純で、ゴブリンを狩る作業だった。クエストに参加し、酒場の一階へ戻る。しかし少年のひとりが我々の元へ駆け寄り話し始める。そして、その言葉で酒場の連中を集めてしまうのだった。

 

「モモンさん!どうか僕のクエストの依頼をうけてください!」




曖昧な意識の中で書いたので誤字報告とか待ってます

誤字を修正しました。やはり終盤がお粗末すぎる文章になってました。
そういえば、この作品に評価をしてくれた方にお礼を申し上げます。

若干評価人数が少ないため、バーにはまだ白が残っております。しかしここまでの反響を貰えると思いながら書いておりませんでした。重ね重ね、お礼を申し上げます
また、お気に入り登録者もこの10話で3桁を超えました。
これからも精進致しますので、応援の程をよろしくお願い致します

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