お気に入りが増える度に狂喜乱舞しています
追記:案の定わけのわからない文章が発見されました。
……不味い、非常に不味いこととなった
こんな事になるなんて想像していなかった。いや、想像できるはずがない。こんなものは非現実的であり、科学的根拠がないではないか。
この二十二世紀の時代では魔術的なものといったオカルトな内容は殆ど信じられていない。というのも、その殆どが現代科学の力をもってすれば解決するからである。
幽霊なんかはプラズマの集合体であり、ゴーストライダーといった壁をすり抜けるようなものは現代の科学武術で使用される量子歩法を用いれば可能という結論に至った。
だが今、現代の科学では解説、解決の出来ない事態に陥った私は鏡面台で、蝙蝠羽根に触れた瞬間膝を地につき、両手を地面に振り下ろしながら永遠とカーペットを殴っていた。
「嘘だ…こんなこと……ある筈が…オカルトなんて趣味の悪いものは何十年も前で終わった話よ…」
「あ、あの…真紅教授……?」
顔を青くしながら床を叩いている様子を生徒の1人…十五夜に見られた。
十五夜朔夜、彼女のアバターは人間ベースで作られていたためか、容姿も背丈も現実と大して変わっていない。ただ、まぁ…ちょっと髪の毛が二昔前程にいたロックバンドの1人のような染色になっていたり、服装が二十一世紀の秋葉原で流行ったメイド服の格好をしている以外はだが。
「野浦教授が『とりあえず集まって状況の整理をしよう』と、仰ってましたので声をお掛けしたのですが…大丈夫ですか?」
ああ、生徒にこんな錯乱した様子を見せてしまった…死にたい。い、いや…あくまで平静を装って返答しよう…
「あぁ。それが今一番大事でしょう…ありがとう、スグに戻るわ」
大丈夫だ、しっかり平静を装えた。顔から変な汗なんて出てないし、身体も震えていない。本人である私が言ってるのだから絶対にそうなんだ。
背後から生暖かい視線を受けながら先程までいた部屋へ戻る。戻ってみると親友である野浦千春がいた。彼女も、アバター自体は人間ベースに自分に寄せて作っていたため違和感は全くない。
椅子に座り、息切れを起こして今にも死にそうな状態でいる以外は
…あぁ、成程。テキストの設定も反映されているのか。
野浦千春は病弱な子が好きであった。
そのため、テキスト設定で『重度の喘息を患っている』などと書き込んでいた。親友が死にかけているが、若干笑いが込み上げてくる。机の上や床、紫の寝間着のような衣服も明らかに致死量の真っ赤な血で染まっている辺りが相当シュールだ
なぜ死んでいないのか、それは彼女のキャラが人間を卒業した魔女であり、賢者の石を使い、魔力を大幅に上げた上に、その魔力を生命活動と直結させているからだろう。
「千春、そんな状況で整理ってできるのかしら?」
親友だから言える皮肉を込めた疑問を投げつける。野浦は息切れを起こした状態で話す
「こふ…っ、だ…いじょうぶよ……重度でも死にはし…ゥエッフ!エッフ!……っはぁ…やっぱり無理…こんな辛いのが続くなら自害した方がマシかも……」
もうダメだ、笑いを堪えきれない
小さく笑ってもバレないだろう。
「…麗美、アナタねぇ……こほ…ゴホッ…後で覚えてなさいよ……」
おお、怖い。バレてしまったが、まあ仕方ない。喘息は状態異常無効で消えるのだろうか?
確かそんなアクセサリー装備があったはずだ…部屋にあるBOXを漁り、それっぽい指輪を千春に渡して、指に嵌めさせる。
すると、ふっ…と真顔となり、普段の仏頂面となった。これでさっきのことはチャラとなったはずだ
「それで、状況整理と聞いたけど紅珠くんと妹がいないのだけど?」
ある程度部屋を見渡しても、生徒の1人である紅珠涼翔と妹の真紅風蘭が見当たらない。
「アナタの妹ならこの姿を見るなり自室に引きこもり、紅珠くんはこの中で一番元気で、ショックも全く受けてなさそうだったから外の様子を確認してもらってるわ」
成程、彼なら元から好奇心旺盛で何事にも前向きな性格だったから、姿が変わってもショックは大きくなかったのだろう。
紅珠涼翔、彼のアバターは昔のオンラインゲームからある所謂『ネカマ』のようなもので、女性だったらこんな姿だったのだろうという顔と身体をしている。しかし、本人曰く「ゲームでも自分に似たキャラを動かすより女の姿の方が楽しいに決まってる」らしいため、ネカマのように寄ってくる男に対してはしっかりと男であると忠告した上で接している程度には弁えている様ではあった。
問題は我が妹の風蘭である。
元々、引きこもりがちだったのもあるが、こういったイレギュラーや非日常的なことに対して打たれ弱い性格だ。
これはしばらく出てこないことも覚悟した方が良さそうだ。あとでフォローしにも行こう。
……さて、数十分ほど紅珠の帰りを待ちながら、色々と試してみた。
まずは装備。これに関してはユグドラシルで使用してたようにすれば使えた。まあ基本素手と魔術で戦闘は行うが…"切り札"としてあれは使うから、いざと言う時に使えないと困る。
次に呪文やレベルの確認。これに関しても問題なし。敵のレベルや使用呪文の把握出来る道具が、どうやら自身らにも使えるようだったため、使用し、ステータスを確認したが、ユグドラシルでのステータスと何ら変わりはなかった。
最後にこのギルドハウスや我々以外のNPCら。問題ありという結論に至る。NPCとして朔夜が作り出した妖精メイド、千春の作成した下級悪魔である小悪魔らが意志を持っていた。
どうやら、テキスト説明のものがそのまま性格を作成しているようで、皆ギルドメンバーには非常に高い忠誠心を持っていた。少々我々の事を思ってと暴走をしかねないか心配である。
ギルドハウスを回り、家自体には問題がないと判断し、皆のいる室内に戻ると紅珠が帰って来ていた。
「あら、ごめんなさい。待たせてしまったわね」
「いえ、つい今戻ってきたところなので」
紅珠は爽やかな笑顔で返す。現実世界ならイケメンなハニカミだったのだが、今の現状は、どう見ても大人なおねーさんが元気そうな笑顔を見せている。デレステだったらどうやってもパッション属性じゃね?
まあそれは置いておこう。結論を言うと、異世界に転移したと言える内容だった。いつの時代のラノベの話だよ?
周りはさほど深く、迷うことはないであろう森林に、近くには霧の深い湖があり、そこを越えると村が見えるとのことで、紅珠がそこへ向かい、コミュニケーションを取りに行ったらしい。
村の名前は『カルネ村』という名で、我々の言葉が通じるという。暮らしは中世期ヨーロッパのようらしい。文明レベルは我々の時代?いや、世界というべきなのか?そこには全く手が届かないレベルのようだ。
そして、紅珠はこの世界の常識を知るため、短時間村人と話をしたらしい。
掻い摘んで話すと『人物の名前は日本とは違うため、本名を名乗ると変わった名前と思われる』『最近村では野菜果物が豊作』『ここはリ・エスティーゼ王国に属してはいるが、バハルス帝国が近いからか、そこからの攻撃が時折来る』という内容だった
なるほど、その村に関しては我々からしたら無関係を貫きたい…が、まあそれはそれだ。
しかし、名前…名前か。かっこいい偽名を名乗った方がドヤ顔できると思うんだ
とりあえず、皆に提案してみるか?
「私たちの名前を改名するわよ!!!」
紅珠(こうみ)です
追記:カルネ村について脳内でのイメージを修正しました。やはり、酔いながらはだめか