黒幕はフィーネ   作:雨宮417

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響の街中探索パートをテンポが悪いという理由でカット。
その結果話の流れ自体がおかしくなる。
悩む、悩む、悩んで六日目。
ふと予定されている登場人物を確認。

まったく予定していなかったカリおっさんの出番が生えました。


錬金術師出張中

1

「どーしてこーなった」

「狩野さんッ、口を動かしている暇があったら足を動かして!!」

銃弾飛び交う通路を男性と女性が駆ける。

女性は少女を抱き、青年は手にした拳銃時折背後に放ちながら叫ぶ。

目の前には階段。

下に向かって飛び下りる。

軽やかに着地。

 

階段の先には厳重な扉。

多数の電子ロックが掛けられ、戦車砲すら自前の装甲で防ぐ錬金術の英知で構成された鋼板。

実際に戦車砲を撃たれたとしてもおそらく傷一つもつかないだろう。

試作物を回収したのはカエルの人形を持った同僚であったが試験には局長を含め4人で立ち会った。

その際最終的には局長のバカ火力で件の鋼板は消滅したのだが。

それまでの実験で十分にその堅牢性を証明した鋼板は結社の飛行戦艦や空母に利用されることが決定している。

つまり女性にとってその鋼板は既知の物であり、弱点についても良く知っていたということ。

「せーのッ!!」

一気に扉まで距離を詰めた女性は少女を抱えながら左膝を曲げその一本で体のバランスを取る。

充分に捻りを加えられた右足は勢いよく地面を離れ扉に横蹴りを食らわせる。

爆音。

ロックも扉も関係ないと言わんばかりに躊躇なく放たれた。

結果、後に残るは扉と共に壁を構成していたコンクリートがその根元から根こそぎ引きちぎられている光景。

跳んでいった扉には確かに傷一つもついてはいない。

しかし他の部材は別だ。

いかに鋼板が堅牢であっても継ぎ目のない構造物などありえない。

後ろから追いついた男性は表情こそ唖然としているものの、その歩みは止まらない。

素早く室内を確認すると今度は自身が先導するように前を行く。

「ほんと、どーしてこーなった」

思わず口から愚痴が飛び出て、顔を歪ませながらも男性の後を追っていった。

 

 

カリオストロはパヴァリア光明結社に所属する錬金術師である。

同僚の二人と共にいけ好かない局長の命に従いながら世界に革命をもたらすべく活動中。

一応は幹部として名を連ねているが舞い込む仕事はほとんど外回り。

これでもそこそこの錬金術を修めてはいるものの、やはり他の研究狂いや執念で錬金術をやっている奴らと比べたらどうしても見劣りしてしまう。

別に今の仕事が嫌いなわけでもなく。

出来る奴が出来る事をするだけ。

結構体を使うのは好きなので。

実力はあっても動きたがらない、他が忙しすぎて手が回らない同僚達の手助けになれたならと思っている。

 

小さな同僚(プレラーティ)は研究室で開発三昧。

最近は結社が資金提供をしていたスポンサーから新型ノイズについて成果が上がったので精査中。

男装な同僚(サンジェルマン)は研究統括に資金繰り、そして組織運営。

別に一人でやっているわけもなく、それぞれプロジェクトチームによって運営されている。

それでも管理職の常か。

最近は部屋に帰っても寝るだけの生活になっていると聞く。

そうして今日も今日とて指令が舞い込む。

だが珍しい事に、今日の局長室にはその忙しいはずの同僚達の姿があった。

 

「調査をしてもらいたい。何を措いても、最優先に」

アダム・ヴァイスハウプト。

パヴァリア光明結社のトップ。

統制局長の地位にあり、正直こいつの下で仕事をするのはどうかと思っている。

普段は表情に胡散臭さを隠しきれていないのだが今回は目つきが鋭く表情も硬い。

局長室に集まった面々も普段見ない局長の表情にイヤそうな顔をしている。

「どう考えても厄介事というワケダ」

隣に立つ同僚が小声で愚痴る。

(あーし)もそう思う。

もう一人もそう思っているだろう。

聞こえているであろう愚痴には反応せず局長は話を進める。

「兵器開発が行われている。錬金術を用いられて。

系統は大陸系、欧州ドイツ系列の融合。

聖遺物の利用も確認されたとのことだ。

現地の工作員からの情報ではね。

聖遺物の兵器利用、ファウストローブの生成。

研究している。その程度ならどこであっても」

「つまりそれ以外であったということですか」

「その通り。調べてほしい。君たちを急遽招集してでもね。」

目の下に隈を付けた同僚が発言する。

それに併せて資料が渡される。

 

「聖遺物の名前はオリハルコン。分類は完全聖遺物。

銅光沢を持ち形状は1mmの真球で、複数個存在だとッ!!」

「そう、複数。まったく同一の性能、外見を持った完全聖遺物。

本来聖遺物は完全な状態で見つかることはほとんどない。

そして完全聖遺物として存在したのなら他にその名前を持つものはない。

伝説に記される有名な剣が二本ともない様に。

だが資料にある通りオリハルコンは複数存在する。

完全聖遺物だ。そのすべてが」

完全聖遺物は起動状態にあればその特異機能を誰であっても発揮できる。

装備をするのに条件があったり使うのに資格が必要なんて話はない。

だから各国、そして私たちのような秘密組織は求めるのだ。

「しかし局長。資料によればこの聖遺物は起動しても扱えていないと記載されています」

慌てて資料に目を通す。

確かに。

資料には聖遺物を使用した人員の経歴、能力が記載されているがその誰もが体を破裂させて死亡している。

目を走らせていくとこの聖遺物の能力についての考察がされている。

曰く高次元の無色、純粋なエネルギーを生成するのがこの聖遺物の機能なのではないか。

そして起動には必ず人間、意志を強く持った生命体の存在が必須であり、起動できたとしてもエネルギーに身体が耐えられないではないか。

犬、猫、猿等の動物では起動状態であっても使用できず、人間であっても死亡した人以外の実験体は操作すらできていない為、完全聖遺物であっても適性が必要ではないかとレポートの一部が抜粋されている。

「神の力――」

私の言葉にハッとする同僚達。

「気付いたようだね。君たちも」

局長の表情に笑みが浮き出ている。

同僚たちは目をぎらつかせ他人には見せられない表情になっている。

月遺跡の管理権限の取得。

そのための神の力。

しかし現在その力を得るための研究は遅々として進んでおらず。

中間点である賢者の石の生成にも手間取っている始末。

そこに来てこの情報だ。

「では局長、私たちの任務はこの聖遺物の奪取と言うことでよろしいでしょうか」

「いや、神の力を付与した兵器の開発。

場合によっては出てくるだろう。

試作型とはいえディバインウェポンが。

その場合は撤退を許可する。

安心すると良い。今回は僕も支援を惜しまない」

そのままブリーフィングへと移る。

聖遺物の特徴もあってその保管場所、研究所は日本でも複数個所、そのため各エリアごとに調査区画を分担する。

プレラーティは九州、サンジェルマンは本州、そして私は北海道に。

最後に現地への移動経路。

テレポートジェムは座標に注意が必要なので普段使いはできない。

そういう時は公共の交通機関を使う。

この任務の移動時間ぐらいは彼女たちに睡眠が取れることを願う。

 

「ああ、テレポートジェムを用意しておいた。現地のセーフティハウスに対応するね。

支援は惜しまないと言っただろう。存分に使ってくれ」

 

 

 

2

探索振(ソナー)を利用し部屋の一つ一つを丁寧に潰していく。

なるべく他者には見つからないように物影になる位置に職員を並べる。

制圧は順調なのだが疑問が湧く。

やけに人が少ない。

これまでにいくつもの部屋を周ってきたが広さの割にほとんど出会わなかった。

次の部屋に移動しよう扉を開け廊下に戻ろうとしたときだった。

分厚い壁の向こう側から音を探知した。

 

「――了解。C1、C2、C3班はBF2にて逃走した被検体の確保を行います」

位置からしてすぐ隣の部屋。

とはいえ地図には載っていない。

隠し部屋だろう。

ドアノブに掛けた手を放し臨戦態勢を取る。

「聞いた通りだ。

本日新たに搬入した被検体が地下2階の職員を振り切り逃走中。

我々C班は下の奴らのお手伝いだ。

人数は3。別の待機所にいるD班は地下1階と地下2階を繋ぐ昇降口につく。

手間取る様なら射殺しても良いとのことだ。

各員行動開始」

慌ただしい音を聞きながら考えを巡らせる。

なるほど、職員は最低限を残して下か。

警戒態勢もこの階とは比較にならないだろう。

逆に考えて下さえどうにかすれば、後にはどうにでもなる。

未来を奪還後は適当に写真を撮って警察に送ればいい。

無音。

どうやら離れたようだ。

廊下に出る。

彼らの声がした位置には扉が無い。

少し見渡してカードキーが入りそうな差込口が見つかったので入れてみる。

滑らかな動作で壁が下がる。

室内を覗いてみるとここも休憩室のようだ。

但し壁には監視室で見た自動小銃、ロッカー内には特殊部隊が着ていそうな防弾衣。

部屋端の段ボールにはカップ麺と通信機の予備が入っている。

机の上に散らかったトランプと食べかけの冷凍ピザがつい先ほどまで彼らがこの部屋にいたことを物語っている。

監視カメラの映像を映していそうなモニターは無い。

 

躊躇は一瞬。

すぐに服を脱ぎ予備の防弾衣に着替える。

ヘルメット、靴も備え付けのものに新調する。

奥にシャワー室があったので鏡で確認。

マフラーは、見えないように首に巻く。

ダブついているがそれっぽいなりにはなった。

銃を取り出し着替えをリュックに入れる。

――しまった。

切り取った地図がはみ出している。

取り出し、広げ、写真を撮る。

最初からこうすればよかった。

走っている最中も風の影響を受けていたようだし。

残った地図と被っていたヘルメットを砕いて段ボールに投げ込む。

どこからどう見ても特殊部隊員。

地下で事が起こっている以上、明らかな侵入者姿よりは見咎められることはないだろう。

 

 

 

3

戦車、戦闘機、装甲車。

カードルには砲弾やミサイルが積まれ、木箱には複数種類の携行火器。

貯蔵庫には大型、小型を問わずに武器兵器が鎮座していた。

デスクに乗ったパソコンによるとすぐにでも使えるようになっていることが分かる。

しかし中には明らかに使えなさそうな物もちらほら見受けられる。

例えば明らかに人間には持ち上げられそうにないサイズで作られた試作火砲。

強化した身体能力でも持ち上げるのには苦労しどう考えても設計ミスではないかと思う。

かつての大戦中、戦艦や巡洋艦に載せていた砲身に取っ手と砲弾の取入口を付けただけのこれは普通に考えて人に持たせようとはしない。

何歩か譲っても戦車、あるいは車輪を付けて運用するべきだろう。

 

隣接する研究室の方を覗いてみると今度は時代錯誤な刀剣類、そして鎧。

刀に直刀。

弓に槍。

和、洋を問わず様々な種類の原始的な武器が長方形のガラス容器に藁屑と共に入れられて保存されている。

中には破損状態が激しい物もあり破片のみのものもある。

こちらは単なる資料のようだ。

村正、国光、光包。

名前のいくつかはネットで検索すればすぐに画像がヒットするもの。

重要な文化財にも指定されている宝物。

容器を見て回る。

貼り付けられた名札には番号のみで記されたものもあれば、開発コードなのか、名称と併記して記載されているものもある。

特に目を引くものはこれだ。

護国挺身刀・群蜘蛛―複製7式。

なんと読むのだろうか。

ルビ等は一切降っていないのでわからない。

基本は日本刀のようだがなんだか色々な種類があるぞ。

群蜘蛛―改造2式。

群蜘蛛―特殊9式。

群蜘蛛―復元1式。

短刀から槍まで、この名前がついているものが棚どころか一区画を占めている。

察するにこれが近接戦闘用の基本武装なのか。

番号が後半になるにつれ刀身の様相も鉄の鈍い色から赤、黄色などカラフルになっていく。

適当な一つ、全長40cm程度の短刀型の群蜘蛛を取り出してみる。

楕円柱の握り、わずかに抜いた刀身は直刀、全体の配色は黒。

刀身に触ってみるとほんのりと冷たい。

かなり頑丈なのか全力で握ってみても少し軋む程度。

刀身は曲がりもしない。

これは使えるのではと思い名札を確認。

護国挺身刀・群蜘蛛―緋型試作。

――やはり固有名称の部分がわからない。

 

分からないことは置いておいて鞘から抜いてみる。

深い黒色。

星月の無い夜空のようで吸い込まれそう。

軽く振ってみるとかなり使いやすい。

この大きさならベルトの隙間に挟んでいても気取られないかと思った時、短刀が淡く赤色に発光。

全身に衝撃が加わる。

巨大な手のひらに上下左右を挟まれ、握り潰される。

筋肉の筋が1本1本全力で引っ張られ、千切れ、そして細かく刻まれる。

頭蓋をノミで叩き割られ、そのまま、脳をかき混ぜられるような激痛。

併せて全身に駆け巡るエネルギー。

思わず膝から崩れ落ちる。

肘が地面に着き、手はヘルメットで届かない頭を掻きむしろうと爪を立てる。

 

覚えがある。

初めてグングニールを全力で起動したときに似ている。

しかし私から体力も精神力も奪わない。

ただただ与えられる激痛と膨大なエネルギー。

いや膨大なエネルギーに身体が耐えられていない。

その結果が激痛。

すでに起動済みである特機装束の身体機能の向上に、とっさに与えられるエネルギーを流用し最大限発揮、まず間違いなく過去最高の発現率で機能が展開されてなお耐え切れない。

この痛みに覚えがなければすぐにでも発狂していただろう。

 

短刀は発光を続けている。

手は固く握りしめられ私の出す手を開くという命令を受け付けない。

握っていない手で強引に開こうとしても無意味。

 

ならば。

私は短刀からもたらされるエネルギーを通じて制御を試みる。

口内に血の味が広がる。

短刀を握っていない手は爪が立てられ雫が零れ落ちる。

激痛に耐えながら呼吸を整える。

深く深呼吸し何度も何度も失敗しながら短刀を制御下に置く。

光はある点でふと消え去った。

同時に私を苛む激痛も消え去った。

私の粗い呼吸音がヘルメット内に響く。

手に持つ短刀からはわずかにエネルギーを感じる。

 

なんだこれは。

ここの奴らはいったい何を作っている。

私が手にしたのはただの短刀、金属の塊のはず。

なのにどうして聖遺物が励起した時のような反応をする。

どうして特機装束が起動した時のような反応がする。

どうして――。

混乱する私は棚にあるガラスケースを片っ端から叩き割る。

中に納められたそれら一つ一つを確かめるように手に取る。

1つ、反応無し。

2つ、反応無し。

3つ、反応無し――。

いくつもいくつも手に取る。

そうして何十個目を手に取った時。

反応有。

激痛、そして力の奔流。

覚悟していた私はすぐに力を抑え込む。

いやブレーカーを落とすイメージ。

力の流れ、進行方向をずらし、結果として私自身には一切の影響がなくなるようにイメージする。

新たに手にした刀剣もやはり輝いていたが基底状態に移ったのか光を失う。

一か百か。

エネルギーはまさにその言葉が当てはまった。

加減や調節は一切聞かず、例を挙げればダムの水門が閉じているか全開しているか。

当然水門が全開になればダムに溜められた水は鉄砲水となり下流を蹂躙する。

 

何か資料はないか。

パソコンにはロックが掛かっている。

しかし不用心にもキャビネットの引き出しからメモ書きが見つかる。

そのパスワードさえも初期設定のまま。

起動してみるとオフライン状態。

そして一切の外部通信はできないようになっている。

だから油断したのか。

外部から遮断されたパソコン。

隔離された研究所。

 

研究内容は人造聖遺物の開発。




誰か筆者の脳内にある他の二次創作を書いて。
グレ響の浸食が速くて未来さんを突っぱねるすれ違い小説やグレンラガンの世界に光響が転移して螺旋力に覚醒する小説を書いて。

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