この作品、まっとうなシンフォギアではないですよ。
本作を構成する要素はXD、新西暦サーガ、エスコン他多数です。
もしもなんかちがうなと思ったら、これは平行世界と三回唱えてください。
そして全部ギャラルホルンのせいにしてください。
グレ響のマフラー見た時からあの人に似てるなーと思っていたんですよ。
切れたらやけっぱちになる点もgoodな要素ですよね。
1
北国の冬景色とはこのようなものか。
電車の中から薄々感じてはいたが都心の標準的な冬服から刺す隙間風は寒いを通り越して痛々しい。
深夜の駅前道路は除雪車が通った後なのか薄い雪の膜が張り付いている。
深々と降る雪は街灯の明かりで反射するものの周囲の明かりは乏しく、私はどこか物寂しい、いや恐ろしいものを感じ取る。
まるで駅から出た瞬間を誰かに見られているようだった。
恐る恐る一歩踏み出すと軽く積もった雪の上をすんなり通り過ぎ、そのまま体勢を崩す。
雪の膜はどうやら除雪車に取り残されただけでなく押しつぶされて氷のようになっているらしかった。
心を落ち着かせ特機装束を展開する。
足に踏ん張りが効くようにし、ついでとばかりに周囲からの温度の調節もする。
人気があるならばこの薄着も目を引き、悪目立ちするだろうが。
深夜の駅前にそんなものはない。
この時間ではどこの店も開いていないだろう。
翌日は服装から整えるかと予定を立て、近隣のホテルに足を運んだ。
事前に電車内で予約をした私はカウンターで客室のカギを受けとる。
家出か何かかと思われないよう学校の受験に行ってきたが夜も遅くなりそうなので部屋を借りたいと言っておいたので特に何事もなく通される。
ちなみのその受験は都内で本日、いや日付も変わって昨日には終了済みである。
嘘は言っていない。
客室に入りまずは間取りを確認する。
狭い部屋にベッド、机、テレビ、ランプ。
隣接した部屋は狭い浴槽と洗面台、トイレが一体となった浴室。
暖房を付け、ベッドの上に服を脱ぎ捨てた私は狭い浴室でシャワーを浴び、汗を流す。
充分に体を洗ったら浴槽に栓をし、湯がたまるようにする。
たまるまでの間は浴槽内で体育座り。
空気に触れている部分は寒いものの、撥ねるお湯の温かさが心地よい。
いや、やっぱり寒いので特機装束を再度展開し温度を適切にする。
やがて浴槽内のお湯がたまると膝の上に頭を乗せる。
長旅の疲れは落ちるようには感じないが体が温まって筋肉が弛緩する感じはある。
一度体勢を変え腕をクロスするように伸ばす。
今度は背伸び。
充分に温まったら浴槽から上がり体を拭く。
寝室に戻ると暖気が迎え入れてくれる。
そのままベッドへ寝ころび再度明日の予定を立てておく。
とりあえずは防寒着が必要だろう。
朝食は朝早い時間にホテルが出してくれる。
小日向家はこの駅から何駅か離れているので移動に電車を使い、徒歩で向かうだろう。
家に着いたら未来のお母さんに挨拶して、未来の話を聞こう。
そのあとは適宜足取りを追っていく。
そうしているうちにうつらうつらとなっていき、長旅の疲れがあったせいかそのまま意識を落としていった。
2
小日向家を訪れた私を未来のお母さんが出迎えてくれた。
彼女は一人娘の失踪のせいなのか目に隈が出来ており明らかに憔悴していることが見て取れる。
私が訪ねたことに驚いた様子の彼女は私が未来の作ったマフラーを付けている様子を見るとどこかほっとした様子を見せるが、私が未来について何の情報も持っていないことを知ると落胆の表情を露わにした。
一応今朝方、実家に連絡を入れて未来とすれ違いになっていないかを確認していたが、やはりそんなことはない。
私は未来の部屋まで上げてもらい、失礼かと思うが部屋を探索させてもらう。
きれいに整った部屋はなんだかいい匂いがしてだらけてしまいそうになるが心をしっかりと持ち家探しする。
きちんと畳まれた服、下着類。
学校の教科書。
趣味の本。
ピアノに関する本が多いのは将来は楽器に関係する仕事に就きたいのだろうか。
それとも演奏家になりたいのか。
かつての未来は陸上部だったが今も続けているのだろうか。
手紙にはそのあたりは書いていなかった。
本棚に目星をつけ、俯瞰して見ていると大きめのノートが棚の上に置いてある。
椅子の上に立ち、その場でノートを広げるとどうやらスクラップ帳のようであった。
どうやらテーマに沿ったもののようだ。
内容はあのライブについて、そしてその後。
丁寧に切り貼りされた新聞はしわもなく伸ばされ読みやすくはあった。
しかしところどころ未来の字で日付が書き込みがされている。
どうしてこんなものを。
私はそう思った。
明らかに未来の趣味ではなさそうだ。
未来はこのスクラップ帳をどんな気持ちで作っていたのだろうか。
少し脇道に逸れたと思うのでスクラップ帳は元の位置に戻す。
次に引き出しの中を探し始めた私はきれいにファイリングされた学校のプリントが仕舞っているのを確認する。
これもまた丁寧に種別ごとにまとめてある。
学級連絡、委員会案内、クラス新聞。
パラパラとめくっているとクラス新聞に気になる記載を見つけた。
日付は去年の夏、どうもある学校の失踪していた生徒が北海道の千歳で発見されたらしい。
近年の日本では老若男女問わず失踪事件が増えており、学校の仲間が見つかるのは大変喜ばしいと書かれている。
日付を進め、似たような件がないかと確認するといくつか同じような内容があった。
但し、失踪した学生が見つかった場所は先ほどとは異なり、長崎の対馬、長野の松代にて発見されている。
筆者の名前を確認し、ファイルを鞄にしまう。
そして私は未来の制服を貸してもらえないか頼んでみた。
3
夕暮れ時、変わらず深々と雪の降る中、私は未来の通っている学校にいた。
背丈が似通っているからか、胸元がきついものの丈があっている未来の制服と学校指定のコートを身にまとい件の新聞記事を書いた学生と歓談する。
私がクラスメイトが失踪したので行方を追っているのでこの記事を書いたときのことを教えてほしいと言うと彼女は快く答えてくれた。
どうも彼女は県の新聞からネタを見つけてきているようだ。
場合によっては記者本人に突撃し新聞には載っていない情報も聞き出している。
「これは外には出回っていないことなのですが」
彼女がそう前置きして私の耳元で囁く。
「どうもこの見つかった生徒は全員何らかの薬物を使用されていたそうなのです。既存の医療薬や違法薬物には該当しないらしく、未知の薬物なのではないかと言われています。生徒についても失踪当時の記憶はなく、人によっては現在も心身喪失、身体機能の不全で病院に入院しているとか。首筋に複数の注射痕があることから吸血鬼の仕業ではないかという噂もありました」
恐ろしいことです。
そう言って彼女は体をぶるりと震わせる。
「私は校内の失踪者しか調べていませんが、私が取材した記者は全国の失踪者についても調べていました。駅近くにある県立図書館ならば全国紙もありますので、調べてみる価値はあるのかもしれません」
部室の外から彼女を呼ぶ声がする。
二人で顔を向けるとどうやら同じ新聞部の部員のようだ。
彼女が遅いので様子を見に来たのだろう。
手招きをして誘っている。
お友達、見つかるといいですね。
そう言って彼女は席を立った。
4
翌日、私は小日向家に泊めてもらい早朝から図書館を訪れていた。
使わせてもらった未来のベッドはやはりいい匂いがして何となしにゴロゴロと転げまわる。
食事の用意ができたとノックをされたときは思わず体が跳ねたが何食わぬ顔で遠慮をした表情をし、ご相伴に預かったことを思い出す。
金銭面に不安がある以上何日も外食、ホテル暮らしはできない。
帰郷の為の旅費もいることだし、節約できるところはしないと。
そう考え、未来の制服を借りたみたいに防寒着も借りればよかったじゃないかと思い至る。
思わず頭を抱えそうになるも、気を取り直して受付から指定した年月日の新聞のバックナンバーを閲覧させてもらう。
事前に連絡をしていたからか取り置きされた新聞がすぐに差し出される。
電子新聞の記事は会員登録し少なくない金銭の支払いが必要となるため、未来の作ったスクラップ帳のように必要な個所のみコピーをお願いした方が安上がりになる。
もちろん物である以上場所は取るが。
私手製のスクラップ帳。
未来を参考に事件についてまとめる。
警察の公表されている失踪者リストとコピーしてもらった全国紙の発見例を並べ、メモ書きの内容を清書する。
発見例は文面に心身喪失、重症、身体機能に不全、そして薬剤と彼女から教わった単語が含まれている記事をピックアップしている。
そうして作り上げてみるとやはり千歳、対馬、松代になんとなく多いようにも感じられる。
もちろん絶対数が少ないため誤差の範囲だと思うが。
統計を取るにはそれこそ本腰をいれて何日も作業をしなければいけないだろう。
今後はどうしようかと思い悩む。
これらに向かうのか。
北から南へ。
一か所、一か所を現地で調べながら。
そう考えていたところでふと共通点が見つけられた。
失踪した場所と近い土地で見つかっている。
あたりまえのこと。
しかし未来の通っていた学校での失踪者が三か所で見つかったことが目を曇らせていた。
学校がこの近辺にあっても、失踪した時にいた場所は発見された場所に近かったのだ。
警察の失踪リストに書かれた時期を考えるに夏休み、お盆や旅行中だろう。
そう考えれば未来はこの近辺でいなくなったのでまず行くべきは千歳。
その周辺で情報を集めるべきなのか。
当たりを付けたその時だ。
私の前には誰もいなかったはずなのに金髪の女性が座っていた。
すらりとした顔立ちは美しく、ゆったりとうなじにかかるウェーブのかかった髪は男性ならば感じ入るものがあるのだろう。
そんなことを思うのだがなんだかやぼったい眼鏡をかけており、それがむしろ親しみやすさを出している。
正直私もクラっとする位きれいな人だ。
彼女は私の方に顔を近づけニコニコしながら誰かを探しているのでしょうかと問いかけてくる。
私は自身の警戒がほどけていく感覚になっていき、彼女に親友がいなくなったので探していると答えると、彼女は写真はありますでしょうかと答えた。
私が未来の写真を見せると千歳の方で見ましたよ、と何気なしに答えられる。
私が思わずあなたはどちら様でしょうかと素性を聞くと彼女は微笑みながら自己紹介をする。
「私はディン。今はドイツで車や飛行機の開発をしているの」
私も自分の名前を答え、すぐに未来について質問する。
彼女はこの辺りで見かけたわ、と携帯の写真を見せてくる。
写真には大きなロッジと看板に雪の動物広場と写っている。
携帯で地図を確認すると駅からやや離れた山奥にある牧場内の施設らしい。
冬季には積もった雪で動物の雪像を作り園内に展示しているようだ。
いろいろ写真を見せてもらうと何枚か牧場に似つかわしくない写真があった。
内部が分からないよう隠された大きなガラス瓶。
コンクリートで固められ、窓のない広場。
かなり大きい石油化学工場にでもありそうな発電施設。
彼女は写真を見せるだけで何も言わない。
私の方からこの写真の場所はどこかと質問する。
彼女は地図を出しこの付近よと指し示す。
携帯に写し出された地図上には小さな小屋と一面の雪しかない。
こんなに大きな施設を隠せるような面積はない。
はっと気づく。
表に出ないのならば。
私が気付いたのを感じ取ったのか彼女は席を立とうとする。
思わず手を掴むと困ったような表情となる。
私がいくつかの質問を投げかけようとするとまるで私の考えたことが分かったかのように私の口に指を当てる。
一つだけよ。
そういって指を離した彼女に私は質問する。
貴方の目的はなんだと。
「あの施設には欲しいものがあるんです」
ほしいものとはいったい何だろうか。
私が再度質問をしようとした時だ。
私の手はいつの間にか彼女を掴んではおらず、拳を握るだけであった。
するりと立ち去る彼女を追いかける。
しかしその姿は曲がり角で見失った瞬間に消失していた。
床には粉々になったガラス片と湿ったフローリングのみが残されていた。
一期が始まる前からいろいろな組織が暗躍しているため世界中のあちこちで火種が燻っています。
聖遺物は本来あるべき場所にないかもしれません。
欠片も沢山見つかっています。
神秘の研究という点では原作より活発になっている事でしょう。
ほら、おじいさんがすごいいい笑顔をしていそうではありませんか。