2羽の巨鳥は、神聖ミリシアル帝国の戦闘機によってエスコートされる。
「しかし、一体どうやってカルトアルパスに近づくつもりだ?あんな化け物を着陸できる飛行場なんて、ミリシアルにはないぞ」
ウィンダーは率直な疑問を口にする。
《彼らには何か方法があるのでしょう。…何かは分かりませんが》
パイロットらは、ただ見守ることしか出来なかった。
一方その巨鳥の内部、臨時本部となった政府専用機内の大会議場は、交渉に向けた最終調整を行っていた。
「この資料はペーパーか!?取り敢えず100部くらいは刷っておいた方がいいかな」
「使う映像資料は全部データベースに突っ込んでおくとしよう」
「プロジェクターは…多分あちらさんにはないだろう。ディスプレイを持って行こうか」
各々が自分の仕事を果たすために奔走する。
椅子に座って小型有人機に乗り込むのを待っていた朝田は、隣に座っていた別の外交官と雑談する。
「…しかし、無線が使えないとは。難儀でしたね」
「えぇ。まさか無人機の指向マイクを使って相手の呼びかけに応じるとは考えつきませんでしたよ。あの機長の咄嗟の機転が功を奏しましたね」
そもそも、無人機を繰り出す事は予定に無かった。だが、機長は異世界側の通信がこちらの知る原理のものでない可能性を予見して、集音装置を装備させた無人機を射出したのだった。
「ああいう機転は、人工知能には出来ない芸当でしょうね」
「でも、次は出来ますよ。今回のケースを記憶しましたから」
2人は談笑する。
『射出準備が完了しました。順に第1搭乗ゲートからご搭乗ください。繰り返します。射出準備が…』
「よし、それじゃあ行くとしますか」
小型有人機に、次々と担当外交官が乗り込んでいく。
『こちら日本国航空自衛隊、只今より港湾へ2機入港する。双方とも機体の全長は31.2メートル、全幅35.8メートル』
「了解した。我々が先導する」
《あの化け物には子機があるんでしょうか。しかし入港…水上機なんですかね?》
隊員の一人が声を漏らす。
「さあな。こちらはもう何が来ても驚かんぞ」
そう言っている間に、巨鳥からそれぞれ一つずつ小鳥が産み落とされた。
小鳥はハヤブサのように水面近くへと降り、かと思えばトビウオの如く、表面効果を受けながら水面上を、時速400kmという鈍足で爆走する。
「エルペシオ3よりかは少し遅いな。だが、あれを小型船舶として見るなら異常に速い」
やがて小鳥は着水フロートを機体からせり出し、着水した。それでも100ノット近い俊足を彼らに見せる。
《あれは着水…しているんでしょうか?あの機体は良く分からないですね》
『こちら日本国航空自衛隊シーガル1、港湾へ進む2機のうち前方にある機だ。誘導を求む』
「了解した。貴機から見て10時方向へ進路を調整せよ。港湾へ接近次第、魔導船が誘導を担当する。もう1機も同様に進んでくれ」
『こちらシーガル1、誘導に感謝する』
魔信から手を離す。
「…これで完了か?」
《こちらミリシアル帝国カルトアルパス航空管制、作戦完了だ。第5制空団は帰投せよ》
「了解」
エルペシオ3の群れはその緊張を解かぬまま、基地へと帰っていった。
ミリシアルの魔導船に導かれて、2機の方舟は港湾に接岸する。港湾の担当者は桟橋を接続しようとしたが、何処に繋げてよいか分からなかった。そうしている内に、機体からタラップが伸び、岸へと接続する。
この日、日本国の外交官は初めて、異世界の地を踏みしめる。
…一月も投稿にかかった挙句これだけ?いやほんとすみません許してください。忙しくてあまりこちらに手をつけられてないです。
こんな駄文を楽しみにして下さっておられる方はおそらくいらっしゃられないでしょうが…いたら嬉しいな…(消える霊圧)
…文章はここで途切れている ▶︎▶︎