「なるほど、確かにここをこうした場合、抵抗力が低くなりますね。ですか、それだと内部の装甲が厚くなるのでは?」
「それなら、ここをこの加工法を使って耐性を高めれば……」
「ああ!これは、盲点でした!いや、しかし、直感でもしやと感じましたが、これほどとは!」
楽しげに、斎川さんと新しいマシンの談義で盛り上がる鋼刃を、背後のソファで寛ぎながら、
私のクラスは、鋼刃達のいる1組や鈴のいる2組とは違って、そんなに目立った人がいない。
4組も目立った人は、居ないと言えばいないが、専用機持ちでしかも候補生の人が居る時点で、勝ち組に近い。
「(鋼刃や倫太郎は、気付いてるだろうけど、あんまり相談しづらいなぁ……)」
私は、彼らのように強くは無いから、こういう時所であまり迷惑をかけては、こっちの罪悪感がすごい。
「しかし、これではエネルギーの効率が落ちてしまいますね」
「伝達部分の最適化は、まだまだ出来る感はあるから、多分多少なりの解決は出来ると思われ」
「成る程。では、時間もそろそろなので、私はお暇させていただきます。実に有意義な時間でした」
「それは、こっちもです」
私が悩んでいる間に、どうやら談義は終わったようで鋼刃と斎川さんは、お互いに握手して別れの言葉を告げていた。
私は、斎川さんが出て行ったのを確認してから、鋼刃に話しかける。
「久しぶりに、見たな。鋼刃のあんな顔」
「そうか?まぁ、ここに来てから周りで話せる奴は居なかったからな」
「そうね。鋼刃は、よく出来てるからね」
私としては、いつも通りに言葉を返したと思っていたが、鋼刃はこちらをジッと見つめると、真剣な表情で言葉を返してくれた。
「唯香。お前が、考えてるよりも俺たちは厄介な奴だぞ」
そう語気を強めて言うと、鋼刃は私の手を引いて椅子に座らすと、対面の椅子にどかっと座って、射抜くような視線を向けて来た。
「よし。言ってみろ。語り終えるまで、今夜は寝かさない」
その晩、悩みを喋るのを愚図るわたしは、鋼刃の宣言どおり1から10まで言い終えるまで、そのベッドの上に行くことは叶わなかった。
「な、何と言うか、鋼刃さんって良く分からない人なんですわね?」
「ふふ、まぁね。でも鋼刃は、やる時はやる人だから。セシリアも、いずれ分かるわ」
休日の昼。
私用で居ない男子組を除いた女子組で、食堂で女子会と言うか駄弁り会を開いていた。
セシリアの他に、鈴や本音の4名で集まって取り留めのない言葉で、話しを続ける。
「何というか、鋼刃さんと言うか倫太郎さんもですが、他の方々と違って、不思議な感じですわよね」
「そうね。唯香には悪いけど、鋼刃はそれなりな仲になったけど、あの胡散臭さは、拭えないわね」
「こうちんも良い人なのは、分かるけどね〜」
セシリアや鈴、本音のあんまりな言い草に普通なら、文句の1つや2つ言うのだろうけど、私も最初に鋼刃と会った時は、鋼刃の事を信用出来なかったから、気にはしない。
「鋼刃は、周りが出来る人が沢山居たから、ああいう風になったのは仕方がないと言えば、そうなんだけどね」
「確かに、倫太郎さんは何というかスゴイですもの」
「私より、語彙力あるアンタがそう言うんだから、ホントにスゴイのね」
3人の返答に対して、私の返しにセシリアが頷きながら返して来てくれた。その言葉に鈴も、苦笑いしながらそんな事を言ってくる。
「そう言えば、じょー達は今日何するって言ってたっけ〜?」
「そうですわね。私は、唯香さんから聞いたので分かりませんが………」
「私も分からないわよ?一夏に会いに行ったら、本音に会ったから着いて来ただけだもの」
「となると………」
私以外の全員が、男子組の不在の理由を知らなかった為、私に顔を向けて問いかけてくる。
「私も、詳しくは知らないわよ?その、倫太郎の家に行ってるとしか聞いてないわよ?」
ただ、私が正直に伝えたと言う訳では無いけどね。
「アレ?なんか、嬉しいそうね?」
「ん?そうか?まぁ、そうかもな……」
その日の夜。
帰って来た鋼刃から、倫太郎の家でやった特訓の内容とかを聞いていたら、何処かテンションが高く感じる鋼刃にそんな事を聞くと、カバンの中から1つのアタッシュケースを取り出した。
「斎川さんに、無理前提で頼んでみたら、借りれたんだよ。頼んでみるもんだな」
そう言って、アタッシュケースの中を開けると、1つ大きな球体の造形物が入っていた。
「色々と契約する事はあったが、使えるのなら文句は無いさ」
「ねぇ、これって……」
正直に言えば、この球体の正体は何となく気付いているけど、念のため確認する。
すると、鋼刃は何時もの胡散臭い笑顔を浮かべて私にこう返してくれた。
「ああ、お前の予想どおり“ISコア”だよ」
この日、私の夫がかなり危険な爆弾発言をここに落としてくれた。
彼は、ここでも下克上するつもりなんだろうか?