「かぁーっ!何時間問い詰めるんだよ!」
「時間にして、ざっと4、5時間だね」
「軽い拷問だぜ?しかも、ちゃんと答えてるってのに文句言いやがって………」
「疲れた……」
あのボーデヴィッヒのISの暴走の後、バレてしまった新太郎に巻き込まれる形で
逃げようと思えば、新太郎のオーロラでその場から移動する事は出来たが、あそこまで各国の人たちが居る中、アレを使うのはリスクが大きい。
などと、並べるが実際は暴走ISモドキが、普通に強くて怠かったから、まともな思考は余り残っていなかった。
まぁ、変身を解いた一夏を見たときの織斑先生の顔は、結構面白いものだったな。
「それよりも、どうするかコレから」
「あくまで、俺たちの事は監査処分とは言え、余り良くは思われないだろうな」
「そうだね。さっき見てみたけど、かなり各国からの問い合わせがあったみたいだよ。人体実験しかり、刑罰処分しかり」
「五体満足とは言えないけど、こうやって呑気に話せるだけ、マシって事か」
新太郎の言葉に、納得してしまう。
人とは、よく分からないモノを排他しようとする生き物だから、仮面ライダーの力が、この世界の理解外のモノなら、排他しようと動くだろうな。それも、無能と見下して来た男が、変身するモノなら。
「ドライバーどうするか………」
「俺も、ゼクターの反応が無い」
「分解やらされて、壊さないで欲しいな」
「ああ、それなら、問題無いよ」
「「「は?」」」
事情聴取の際に、俺たちは自分たちが使っていたドライバーを押収された。拒否ったのだが、ヒスって煩かったので渋々オーズドライバーを渡した。
まぁ、何本かのドライバーは外す事が出来ないから、どうしようも無かったりするけど、オーズドライバーは一応外す事ができる。
そして、それに億劫になっていた俺たち3人に、倫太郎はこともなげにそう告げた。
「鋼刃が、念のためって言って俺たち以外には、崩すことも反応することも出来なくしたって、言ってたし」
「は?ちょ、ちょっと、待ってくれよ。何時だよ」
「クラス対抗戦のあの時に、やってたよ。態々時間止めてね」
「にしたって、どうやったんだよ………」
正直、鋼刃がやったと言うならそこまで不思議に思えないが、あの時の俺は、まだウィザードドライバーぐらいしか、見せていなかった筈だが………この事は、流すしか無さそうだ。
「じゃあ、一応良かったのか?」
「俺に質問しないでよ」
「唐突に、振り切るんじゃねぇよ」
ボケをするぐらいなんだから、多分大丈夫なんだろう。
それに、大丈夫じゃなくてもドライバーだけで変身は出来ないから、問題は大きく無いか。
「さてと、今日はもう解散しようか。またね」
「おう。それじゃあな」
そう言って、別れる倫太郎を見送ったあと、俺たちもそれぞれの部屋へと戻っていった。
「ここ………は?」
「目が覚めたか?」
「お前……は、確か………」
「夜束叉新太郎だ。取り敢えず、まだダルいだろうから、横になってろ」
「あ、ああ………」
目が覚めた
「今は……何時だ?」
「結構時間が経って、夕方の4時ごろだ」
「その……私はそんなに、眠っていたのか………」
「色々と張っていたモンが取れたんだろ。お前みたいな、タイプには良い薬だ。それに、新太郎で良いぜ」
そう語る男———新太郎は、こちらを見定めるでもなく聞き流すでもなく、私の言葉を聞きそれにしっかりと返すように眼を閉じていた。
「なら、私もラウラで良い」
「そうか。なら、ラウラ、気分はどうだ?」
「気分……分からない。正直、あの時の私が本当に間違っていて、今の私が正しいのか、色々と困惑していて、分からないんだ」
「そうか」
軽く頷いて、閉じていた眼を開けた新太郎は、今度はちゃんと私の眼を見て話し始めた。
「あのときの言葉を覚えているか?」
「ああ………」
覚えているとも、
だが、それでも私の中には答えは出ていない。
「じゃあ、聞くがお前は何者だ?」
「わ、私は……」
何者だ、と問われても私には分からない。新太郎のように人と人とが作り出した命じゃない、ツクリモノの命の私にはその問いに返す言葉は、無かった。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」
「っ!!?」
私が答えに悩んでいたら、突然に大きな声で名前を呼びかけられる。
私は、その声に驚き身体を跳ねさせる。
「ラウラ。お前が、何者で無いのなら都合が良い」
そう言うと、私に指を指し眼を真っ直ぐに突きつけて、新太郎は答えてくれた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒになれ」
「ラウラ……ボーデヴィッヒ…になれ……」
そう告げられた言葉が、私の胸の中にゆっくりと溶けていく。
「誰かが望んだラウラ・ボーデヴィッヒじゃ無い。織斑先生が、知ってるラウラ・ボーデヴィッヒじゃ無い。お前が思うお前にしか成れない、ラウラ・ボーデヴィッヒになれ。強くなるのは、それからだ」
「私が思う私にしか成れない……
教官じゃ無いのに、その言葉は確かに私に覚悟を決める言葉になった。
その後、新太郎はそれじゃあな、と言って病室から出て行ってしまった。その後の私の胸には、何かが抜けたように感じた。
「これは……」
何かは分からなかったから、私は初めて私の元部下の彼女に通信をして、頼った。
誰かを頼りにするのも、中々良いモノだな。
「意外と、優しいのねあなた」
「……なんだアンタ」