IS.輝きを纏いて〜仮面のヒーロー〜   作:TENC

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「「いえーい」」

 

帰って来た新太郎とハイタッチする允の2人を他所に、(一夏)は、瞑想を終える。

ただ戦うのなら、いつも通りだが、次の俺の相手はアイツだ。

 

「何も心配は要らないさ」

 

「倫太郎……」

 

俺が、止まっている事に気付いた倫太郎が、横からそんな事を言ってくれた。

 

「俺たちは、君の過去を知らない。でも、君の今なら知ってる。秋十が相手なんて関係ない。気負う事なんて、何もないさ」

 

俺の心境を読んでか、そんな風に語る倫太郎に背中を押される形で、俺も允や新太郎の2人と手を合わせてから、フィールドへと進んでいった。

今の俺なら、少しは自分に自信を持てる気がする。

 

 

 

 

 

「戻った」

 

「遅かったわね?何か、あったの?」

 

「いや、ちょっと、迷っただけさ」

 

「ふぅん?」

 

用事を済ませた(鋼刃)は、唯香に何をやっていたのか怪しまれながらも、観客席で個人的に一番気になる対戦へと、意識を変える。

一夏から、最初に頼まれていた事もそろそろ告げなければ、抱えているこっちとしてもキツイものがあるのだ。

 

「いっちー勝てるかな……?」

 

「勝てるさ。アイツは、前の織斑一夏じゃない」

 

もう、一夏は己が、周りが思う織斑一夏だと信じ込み、前に進む脚を止めていたアイツじゃない。

それに、他人を舐め腐ってる秋十のクソ野郎なんかに、ライダーの力が劣ってたまるか。

 

「そろそろね」

 

「だが、俺らには見守る事しか出来ねぇよ」

 

「今後の一夏自身の事は、本当に一夏の手の中にあるんだものね」

 

「ああ」

 

勝てよ、一夏。俺らは、お前の力を信じてるんだからな。

 

第四試合

  織斑一夏

   VS

  織斑秋十

 

 

 

 

 

 

フィールドに出てきた(一夏)な事を睨みつけながら、秋十は今にも斬りかかって来そうな雰囲気を崩さない。

それ程までに、俺が注目される事が気に入らないのだろう。

正直、なんでそうまでして、俺を目の敵にするのか俺には理解出来ないが、一つだけ言えるのは学園に来る前の俺のように、何もかもを受け入れる必要は無いのだと言う事。

 

『どうやら、覚悟は決まったようだな』

 

「………ああ、だから」

 

俺の影から飛び出したソレの名は、キバットバット2世。俺は、コウモリもどきや2世とも呼ぶ。

俺とあの日、一つの契約の元俺を助けてくれた恩人?であり、もっとも力を頼りたく無い人物?だ。

だが、そんな事でくだらない事を考えるのは、もうやめたんだ。

 

突然現れたコウモリもどきに驚く秋十や観客たちを尻目に、俺は手を前に差し出す。

 

『小僧。ありがたく思え。絶滅タイムだ。ガブリっ!』

 

「………変身」

 

重く無い代償として激痛が、全身に走るが俺にはそんなのは慣れている。

そして、手に握る2世を腰に現れた止まり木に付ける。変身が完了すると共に、呼び出されたザンバットソードを握る。

 

『で、では!試合開始!』

 

「死ねぇえええ!!!」

 

俺の変身の後、試合開始となりすぐ様秋十は、何時ものように突撃して斬りかかってくるが、それをザンバットソードで軽々と受け止める。

 

「なに、澄ましたように現れてるんだよ!お前らなんて、ただの化け物だろ!死んじまえよ!」

 

「化け物、か。構わない。今の俺には、それでも認めてくれる友がある。お前とは違う道がある!」

 

「仲良しごっこしたいんだったら、地獄でしやがれぇ!!!」

 

「殺せるモノなら、殺ってみろ!」

 

力を込めて押し込もうとする秋十を、全力を持って跳ね除ける。

そして、その崩れた体勢の上からザンバットソードの袈裟斬りをぶつける。

 

「ぐあぁ!!ふ、ふざけんじゃねぇ!!なんで、俺がお前に、お前なんかに下に見られるんだ!」

 

「それが、お前と俺との差だぁ!」

 

口煩いのは今に始まった事じゃ無い。

そして、手を抜けばそれはそれで、後で面倒な事になるのも分かっている。

だから、最初から手段を問わずに全力を振るう。

 

「零落白夜!」

 

「はあぁ!!」

 

単一能力(ワンオフアビリティ)だったか、千冬姉と同じそれの力は、出力の上昇だと思ってる奴も多いらしいが、アレはISのシールドエネルギーを無効化しているだけで、別に威力はそこまで変わらない。

だが、秋十はそんな事を知らないのか、自信気に振るう。

俺は、紋章を展開してそれを受け止める。

 

もちろん、シールドエネルギーでも無ければ、単純に硬い紋章を切り裂ける筈もなく呆気なく受け止められる。

 

「なんでだよ!?これは、千冬姉の力だぞ!?」

 

「世界最強が何だ。俺は、最強だ」

 

『ウェイク・アップ・1』

 

ホイッスルを吹く2世に合わせるように、辺りが赤黒い霧に包まれる。

そして、困惑している秋十の隙を見て、紋章を展開して磔のように秋十を拘束する。

 

「ぐっ、くっ、は、はな、離せよ!」

 

「………」

 

『ふん。哀れだな』

 

ゆっくりと俺が距離を縮めていく中、文句を言う秋十に対して2世か、目の前で飛びながら、そんな事を言う。

もちろん、秋十はそれにキレて斬りかかろうとするが、紋章の拘束から抜け出せる筈もなく反動で更にダメージを受ける。

 

『己が優れていると勘違いし、別の方向に研鑽したお前とあの男とでは、人としての価値が違う』

 

「なん、だと……ッ!?」

 

『私からしてみれば、人間など絶滅しようが構わないが、面白い人間が居るのも事実。だが、貴様はそんなモノでは無い。他者を見下し己の汚点を決して認めようとしない。そのような存在、見ているだけで気に食わない』

 

2世は、基本的に自分が上位存在だと確信しているいるし、実際そうだ。それで、他種族を見下す事はあるが、認めるべきところはしっかりと認められるそんな人格者な所もある。

そんな2世からしてみれば、自分の保身しか見えていない秋十は見るに堪えないのだろう。

 

「これで、決める」

 

すっかり赤黒いオーラを纏った右拳を構えて、目の前に磔されている秋十目掛けて、一撃を振り抜く。

 

ドゴンッ!!!!

 

大きな衝撃音と共に、真ん中程に居た秋十は一瞬にしてフィールドの端の壁の方まで吹き飛ばされる。

ぶつかった衝撃で、アリーナの壁に亀裂が走るが、秋十はまだ意識はあるし、試合終了の報告はなっていない。

 

『ふん。封印されているとは言え、中々に硬いな』

 

「さっさと終わらすぞ」

 

『分かってるでは無いか』

 

俺の言葉に愉悦を感じるように、2世は止まり木へと戻り、俺はザンバットソードを構える。

そして、エネルギーを剣先に集めるようにイメージして、上段から振り下ろす。

 

「ぐっ、があああぁぁあああ!!!!!!」

 

赤黒いエネルギーが、その振り下ろしと共に放たれ、壁際の秋十をあっという間に呑み込んでいった。

 

『試合終了!勝者!織斑一夏!』

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

『まぁまぁだったぞ』

 

「うるせぇぞ。コウモリもどき」

 

そんな言葉を残して、2世はまた俺の影の中へと戻っていった。

 

 

 

 

 

「一夏………」

 

(千冬)は、何のために戦っていたのだろうか。

2人が、協力しているのは見た事無かったが、それが秋十のイジメなどと分から無かった。

 

「なにが、家族だ……ッ」

 

私自身を責め立てるその言葉に返す者は、1人のこの場所には居なかった。

 




作者の独り言

個人的に2世は、本気ギルみたいな感じがする。


この後、数話書いてやっとギンベル編です!
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