「それじゃあ、やろうか」
「ああ。そうだな」
鋼刃たちが居なくなった後、
「一夏。最後の確認だよ。君は、負けない覚悟はできてるかい?」
負けない覚悟。それは、倫太郎に負けない覚悟じゃない。
力を制御出来ず、そのまま本当の化け物と化さない覚悟が出来ているのかと言う事だ。
「ああ、だから、俺は今ここに残ってるのだから」
「そうか。どうやら、杞憂だったみたいだね」
「いくぞ」
スペードの1。
カテゴリーエースのカードを、ブレイバックルに差し込み腰に構える。
そして、倫太郎は腰に現れたカリスラウザーに、ハートのカテゴリーエースのカードを取り出す。
そして、お互いを見据えて、叫ぶ。
「「変身!!!」」
『TURN UP』
『CHANGE』
仮面ライダー
「俺は、もう逃げない。運命に立ち向かう!」
「そのいきさ!上げてくよ!」
「来い!」
そう答える俺に応えるように、俺を弾いた倫太郎は、デッキからカードを取り出す。
『CHOP』
『TORNADO』
『SPINNING WAVE』
「はあぁ!」
通した2枚のラウズカードの力を受けて、放ったその拳の振り下ろしには軽い竜巻が巻き起こっていた。
それを呆然と見ている訳もなく、俺もブレイラウザーのデッキを広げて、カードを2枚取り出し読み込む。
『METAL』
『BEAT』
『METAL PUNCH』
「ウェアァ!」
硬質化された拳をそのまま、倫太郎の拳にぶつける。
「くっ!」
「アアァ!!」
硬い俺の拳が、倫太郎の拳を打ち破り、そのまま直撃する。その衝撃で、後方へと飛ばされるが、倫太郎は直ぐに立ち上がり今度は3枚のカードを取り出す。
『DRILL』
『CHOP』
『REFLECT』
『COUNTER STRIKE』
「ゼェアァ!!」
3枚のカードから得た力をカリスアローに込め、こちらに放つ。
俺も、カードを使おうかと思ったが、あの矢の速さではまともに通す事は出来ないので、避けるのに専念して、しっかりとカードを取り出す。
『THUNDER』
『MACH』
『LIGHTNING SPRINT』
「っくぅ!!」
走力が上がりそうなコンボにしたが、思いの外上がりすぎて、制御が難しいが、それは向こうからしても、予測が出来ていないようで狙いが定まって居ない。
そして、ガラ空きの隙目掛けて、ブレイラウザーを振るう。
「はあぁ!」
「っ!なんの!」
「受け止めるか………」
受け止められるのは、正直分かっていたから驚きはしない。けど、このままでは圧倒的な経験不足から、こっちの不利なので次の手を使う。
倫太郎を、弾き左腕に装着されたラウズアブゾーバーに、取り出したアブゾーブクイーンをセットする。
そして、フュージョンジャックをスライドし読み込む。
『FUSION JACK』
「なるほど、だったら!」
『FLOAT』
ジャックファームとなりオリハルコンウィングが生成された事で、飛行能力を得た俺に対抗するように倫太郎はフロートのカードを読み込み、空中に浮遊する。
「「はあぁ!!」」
空中で、お互いの武器をぶつけ合いながら、多様な攻撃を交わしていく。
だが、やはり、空中戦でも経験の差は出るようで、どんどんと押されていく。
だったら!
「決められる前に決めてやる!」
「上等!」
空中に居ながら、2人ともカードを取り出し必殺技を決める。
『THUNDER』
『KICK』
『LIGHTNING BLUST』
「いくぞ!」
『DRILL』
『TORNADO』
『SPINNING ATTACK』
「来い!」
俺は上から落下の加速を加えた蹴りを。倫太郎は、下からその身体を浮き上がらせるほどの力を持った蹴りを。それぞれが、繰り出し丁度真ん中辺りで激突する。
「ぐはっ!」
「はぁ、はぁ、俺の方がまだまだ上だな」
競り負けた俺は、そのまま地面に落下する。
たしかに、倫太郎との差は感じていたが、まさかここまでの差があるなんて思っても居なかった。
鋼刃とも戦ったが、やっぱりこの2人は強い。
そう、考えながら俺は一枚のカードを取り出す。
「………来い」
それを見た倫太郎が、前に手をかざすとそこに1枚のカードが飛んでくる。
それは、俺が取り出したカードと同じカテゴリー
そして、俺はそのKのカードをラウズアブゾーバーに、倫太郎はカリスラウザーに通す。
『『EVOLUTION』』
同じように発せられた音声と共に、お互いのデッキから13枚全てのカードが飛び出し、それぞれの装甲として変化していく。
本来なら、一体のみの融合であった筈が、高い融合係数により、13体のアンデッドとの融合となった想定外の強化フォーム。
それが、このブレイドキングフォームである。
「いく、ぞ………っ!」
「必ず、戻って来い。一夏」
そして、進化を遂げた俺の意識は、突如として暗転した。