「とうとう、明日に迫った訳だが、近況はどうだ?」
当て馬にされたクラス代表決定戦の前日になった今日。
正直に言えば、話し合ったところで、どうにかなる訳では無いのだが、なんかした方が良いんじゃ無いかと思ってしまうのは、前世からの性な気がする。
「何にも」
「まぁ、訓練機とか簡単に借りれる訳じゃ無いからね」
「別に勝たなくて良いんだから、どう負けるかで、良いんじゃね?」
「そっすね」
いや、まぁ、みんなのおっしゃる通りではあるんだが、やっぱり戦うってなると、気持ち的に落ち着かないのは、分からないのだろうか。
「俺たちは、巻き込まれた形だし大体の女子連中は、俺たち男の事を舐めきってるから、負けても態度は変わらんだろ」
「多分、そうはならないと思うんだが……」
鋼刃は、だいぶ楽観的な事を言ってるけど、正直無様な負け方をしたら多分、余計舐められて面倒な事になると逆に俺は思う。
まぁ、勝ってもそうならないとは限らないけど。
「てか、一夏は?」
「さぁ?一応、誘いに行ったが、簪はまだ戻って来て無いって言ってたな」
「んー、なんか、嫌な予感がするなあ……」
そう呟く倫太郎の言葉に、俺たちは何となく納得してしまった。
「なに、図に乗ってんだよ!お前は、ずっと影に居ておけば良いんだよ!」
ガスガスと、横に倒れた
ここは、学園から少し離れた場所だし、結構辛くなって来ている。
最初から人気の無い場所なので、この時間帯にはもう誰かが来る心配は無い。
「何で、お前みたいな無能の周りに人が居るんだよ!何で、俺には声をかけない!お前なんかよりも、俺の方が優れているんだ!」
そう罵倒を受けながら、俺は自分の身を守るのに努めた。
こんな事は、今に始まった事じゃない。
織斑千冬という有能な人の弟というだけで、変な期待を受けていた。
双子の兄である秋十は確かに、千冬姉に近しい才能を発揮して、小さい頃から人気だった。
対して俺は、何をやっても凡人どまり。何か優れた事などは無く。強いて挙げれる料理も趣味の範囲を出ない。
だから、周りの人たちは俺のことを見下しバカにし、罵って来た。
そして、秋十もまたその1人だった。
千冬姉が居る時は、何もして来ないが、アルバイトなどで居ない時はこんな風にストレスの捌け口とされて来た。
正直、そんな事を俺に言わないでほしい。
鋼刃たちは、明らかに変わり者だ。俺の雰囲気を見て、もやしでも育てるかなんて、アホみたいな事を言うんだからな。
「ちっ、反応もしないとか舐めてんのかよ!」
最後に一般、腹に一撃を入れて秋十は清々したのか何処かに行っていった。
「………っ!!」
何本かいっただろうか。
身体を動かそうにも、痛みが全身に走りマトモには動けない。
「………」
こんな姿見られたら面倒だ。
俺が正直に話しても、秋十のことだ有る事無い事言って、切り抜けてその後におんなじ事をする。
少ししたら、また動けるようにはなるだろうから、ちょっとだけ休憩しよう。
そう思った時だった。
「全く。気にくわない奴だとは思ってたけど、まさかここまでとはね」
そこには、1人の女子生徒が立っていた。
その手には、救急箱がある辺りさっきのアレを見られたのだろう。
男だったら、何で助けてくれなかったのかと、文句の1つぐらい言いたくなるが、女ならどうでも良い。
「ああ、喋らなくても良いよ。ちょっと手当てするから待ってて」
ネクタイの色から、俺と同じ一年だろうが他の女どもとは違うオーラを感じる。
「うん。これで良いわね」
そう言うと彼女は、立ち上がり寮の方へと向かって、途中で振り向き話しかけて来た。
「私の名前は、真白唯華。鋼刃の許嫁よ。それから、1つだけ注告、自分の無能さを呪ってばかりじゃ、咲くものも咲かないわよ」
それじゃあね。と真白は、去って行った。
夫婦揃って、胡散臭い。
そろそろ、起き上がるかと思い身体を起こすと、全く痛みが無くそれに加えて、
「何でだ?」
その俺の疑問に答えてくれる者は誰も居なかった。
そして、クラス代表決定戦当日の朝が来た。
この話の一夏は、色々な理由でネガティブな感じですが、根は原作一夏に近い物があります。