やりきった。
正直に言えば、最後のトドメは結果を急ぎ過ぎた感があるのは、多分気分が、高揚していたんだろう。
そう、内心で反省しながら、管制室に向かう途中で次の出番の倫太郎と鉢合った。
「案外
「その割には、良い顔してんねぇー」
「はっ!まぁな。頼まれんたんだぜ?やるしかねぇだろ」
「はは、相変わらずだね。いや、これは“愛変わらず”かな?」
「うまいことを言ったつもりか」
互いに、軽く笑い合いながら、拳を合わせて健闘を称える。
「ナイスファイト」
「おうよ。お前も、抜きすぎるなよ」
「程々にやるよ」
じぁあ、と返して倫太郎は俺がさっきまでいたハッチまで、向かっていった。
「俺も言えた事じゃないが、テキトーにし過ずないよな」
三すくみって、言葉があるんだから不思議じゃあ無いんだが、流石にあからさまではないか?
アイツは兎も角として、俺は色々と言われそうだな。
「はぁ、後先考えずにやるもんじゃ無いな。ホント」
勝利したと言うのに俺には後悔ばかりが残っていた。
「さて、次が最後か」
「消化試合な気がしないでも無いが……」
「実際そうだろ。戦績としては倫太郎とオルコットが同じ5勝で同率だし」
「まぁ、その
「最後の試合は流しまくって、俺に負けた奴の言葉じゃねぇ」
まぁ、流石に手を抜き過ぎたかもしれないけど、俺的には面倒そうな役職に就くよりはマシ。
そして、今はもう残り一試合となった決定戦を、4人で談笑しながら過ごしていた。
最後の試合は、一夏と織斑秋十の織斑兄弟対決。
普通に考えれば、専用機の織斑秋十の方が有利だけど、一夏はオルコットに対して一矢報いている。
まぁ、俺もしたんだけどね。そんな事は、置いといて。
正直、結果は分からないけど、会場の雰囲気からは秋十が勝つと思ってるだろうし、本人も自分が勝つと思ってるだろう。
なんか、動きに裏技使った感があるし。
「もし、この試合、一夏が勝った場合どうなる?」
「イキリ野郎を煽れる」
「色んな意味で物騒だよ」
「美味い飯を食える」
「まぁまぁな、ゲスだね」
「一夏サンドバック」
「バイオレンスは、ダメ絶対」
皆んなお互いの勝手がある程度分かってきたのか、こう言う話をしていると、アホみたいな会話になってくる。
けど、もし、織斑秋十って、もう面倒だから呼び捨てでいいや。ほれで、秋十の奴が一夏を攻撃しだしたら、味方にはならないと。
「お、そろそろ始まる見たいだな」
そして、拗れに拗れた兄弟喧嘩の火蓋が切って落とされた。
「ちっ!何受け止めたんだよ!さっさと、終わっちまいな!」
「………っ!」
試合開始と同時に、手に持つブレードで何度も
今までの俺だったら、多分何もせず落とされた筈だが、何故だかそうなるのは納得がいかなかった。
「なんで、お前の攻撃が当たって、俺の攻撃が当たらないんだよ!」
そんなこと知るか。
俺とオルコットとの試合は、何が原因か分からないが、確かに俺の一撃がオルコットの装甲に対してダメージを与えた。
けど、秋十は一撃も入れられずに落とされた。それが、秋十は気にくわないのだろう。
「俺は特別なんだ!お前なんかよりも、俺の方が優れているんだ!あんな物何かの間違いだ!」
何時ものヒステリックな叫びをする秋十の攻撃を、なんとか受け止める。
允が、千冬姉から聞いていた秋十の専用機の武器には、千冬姉の専用機と同じ能力があるのは、たまたま近くにいたから知っている。
「お前なんかは、俺の下で這い蹲っていれば良いんだよ!」
そんな言葉と共に一番の衝撃を受けて後ろに吹き飛ばされる。
秋十はその隙を見逃さないように加速して、こちらに能力を使って斬りかかる。
「死ねぇ!!!!!!」
「死ぬ?」
そんな言葉で、俺の中の何かが切れたような音が聞こえた。
「死んで………たまるかぁ!!!」
「はぁ!?」
ブレードを持ち替えて、秋十のブレードを握る手に向けて、下段からの振り上げをぶつける。
当たる場所は、外れたがブレードの軌道をズラした事で攻撃は空振りとなった。
「ち、調子に乗って……」
「ああああぁぁあ!!!!」
「こ、こいつ………!」
秋十の奴が何か言ってるが、そんな事を気にせずに攻撃をし続ける。
下段からの振り上げ、それを折り返して振り下ろし、防がれたらそこから横薙ぎの回転をかけて、ブレードを弾く。
「ふざけるなぁ!!!」
「黙れぇぇ!!!!」
秋十の喋る言葉全てが、俺の中の何かを掻き立てる。
何か、エラー報告が流れるがそんな事よりも、今目の前にいる秋十を倒すために動く。
「ぐっ、がぁっ、お、お前ぇ!!!!」
「これで、トドメだぁぁ!!!!!」
ブレードをぶつけて、地面まで俺が上になった状態で落下し、下に落ちた時には、マシンガンを呼び出して秋十の腹の真ん中にゼロ距離からぶつける。
そして、ゼロ距離からの射撃で爆裂したマシンガンにより、決着がついた。
《シールドエンプティー。勝者、織斑一夏》
そこからの記憶は、俺が自室のベッドの上で目覚めるまで残っていなかった。