細切れですまんね。
とりあえず投下!
城に「御遣い?」を連れ帰ったあと、兵士に4交代で部屋の前の見張りを頼んでおく。
善政と給金をしっかり意識してるせいか、兵士たちの表情も真面目。
その姿に安心しつつ、ボクたちは廊下で別れ、それぞれの部屋に戻る。
――外出したから湯浴みしたいけど、贅沢できないので我慢我慢。
そう自分に言い聞かせつつ服を寝間着に着替え、床に就く。
――月が暴走しないように、早めに起きて……おか……な…………。
睡魔に誘われ、遠くなる意識の中、ハッとして記憶に大切なことを刻もうとしたが、出来ずに、ボクは夢の中に落ちていった……。
◆◆◆
窓から差し込む朝日がボクを眠りから起こした。
昨日遅かったせいか、気持ち緩慢な動きで服を着替え、食堂にて月たちと合流する。
「おふぁよう、詠ちゃん」
珍しく半分寝てるようなとろんとした表情で先に朝食食べていた月。
「詠、遅かったな」
そしていつもと変わらない華雄。
ーーいや、アンタはブレなさすぎじゃないかしら?
口に出かけた言葉を飲み込んで、月たちとご飯を食べる。
長閑な時間。
ありきたりだけど、ボクは嫌いじゃない。
今日もこの時間が流れていくんだ。
ーーそう思っていた時期がボクにもあった。
「董卓様! 例の男、起きました!」
その言葉と共に、半分寝てそうな(というか寝てたと思わしき)目がパッと開かれ、食べかけのご飯を置いて、そのまま駆け出した。
「ちょ、月!?」
ボクは月を追いかける。
「あ、う……ええい!」
後方からなにか躊躇う華雄の声が聞こえたかと思うとガチャンという音がして、すぐに駆け出す音が聞こえてくる。
ーー食欲と月を止める忠義で揺らいでたわね……。
昨日の華雄で上がっていた華雄に対する評価を元に戻しつつあの男がいる部屋まで駆けていった……。
◆◆◆
あのあと、部屋の前まで来たは良いが、普段走るなんてほとんどしない月とボクは部屋の前で息絶え絶えになり、呼吸を整えるために時間を費やす。
華雄?武将で普段から鍛えてるやつがへばってたらおかしいでしょ。
呼吸と気を整えて部屋に入る。
そこにはなかなか見かけない独特な色気と渋さを持つ男の人がいた。
光に紅く反射する黒い髪と獣性が見えかくれする瞳、少し痩せてるのか細めの輪郭、稀に見かける独特な気配。
ちょっと年上な気がするのが残念だけど、美形だと思う。
あとひとつ付け加えるなら……。
ーー思わずドキッとした。
改めて見た御遣い?に対する感想はそれだった。
「えっと……おはなしして良いですか?」
小首を傾げながら問いかける月。
それに対して彼は静かに頷いて先を促す。
「はじめまして、私は姓を董、名を卓、字を仲穎と言います。まず……あなたは御遣い様ですか?」
「……んん??」
月の言葉に耳を傾けていた彼は眉を寄せて首をかしげる。
「あ、違い、ましたか?」
少しがっかりした様子でそう月が言うと困ったように頭をかきはじめる。
「あー……悪い。 そもそも御遣いってなんだ?」
「は?」
「え?」
「む?」
ボク、月、華雄は彼の想定してなかった言葉に面食らう。
「そもそも、目を覚ましたら見たことのない場所で寝かされていることに驚いている。……ここってどこだ?」
「え? 涼州東部にある安定郡ですが……」
月の答えを聞くと彼はまた首をかしげる。
「…………国名といまの君主は?」
「アンタこっちがした質問に答えてからーー」
一方的な質問にムッとして文句言おうとしたら華雄に阻まれる。
「華雄! どういうつもり!」
「詠、気持ちはわかるがどうやらこの男も困惑している。連れてきたのがこちらな以上、質問に答えてやっても問題ないだろう」
「……すまないな」
居心地悪そうにそう言われるとボクが悪者みたいだったので、諦める。
「わかったわよ、答えられるだけ答えるわよ。代わりに、満足したらこっちの質問、答えてよね」
「ああ、約束しよう」
真剣な表情でそう返してきたのを確認したあと、ボクは先程の質問の回答をそらんじる。
「この国は漢。正確に言うと皇族劉秀が建国した漢だから、歴史研究してる人は後漢っていまの国を呼んでるわね」
「後漢……涼州……董卓……」
なにやらぶつぶつ言っている彼。
少しすると顔をあげて問いかけてきた。
「いまの大将軍は何進か?」
「つい最近そうなったって聞くけど……」
「…………そうか」
頭を振る彼。
「名前を聞き損ねたが……って、名前を聞く前に名乗るべきだな。名前は吾妻慶次郎。元の世界では風の行くまま気の行くまま旅をしてた男だ」
「旅……」
感心というか、興味を示す月
「所謂風来坊ってやつね。っと、ボクは賈駆、字は文和」
「私は華雄だ」
ボクたちの自己紹介聞いて複雑そうな顔をする彼。
「なんか気に障った?」
「いや、いまいる環境が荒唐無稽過ぎて……あるいは胡蝶の夢かと思っただけだ」
「どう言うことよ?」
好奇心半分に問いかけると彼は少し悩むそぶり見せたあと、こう告げてきた。
「君たち風に言えば、『目を覚ましたら項羽と劉邦がいる時代にいた』状態だったと言えば分かりやすいかな?」
「なっ!? 項羽と劉邦といえば歴史に名を残した英雄ではないか! ーー私は名を残す英雄になるのか……」
華雄の言葉に指摘を入れる。
「いや、そうじゃなくて、「目が覚めたら過去の人間であるはずの人物がいた時代にいた」ってことでしょ?そんなのあり得ない」
「まあ、誰だっていきなりそう言われたらそう返すよな……」
彼が肩を落としていると月がなにかを閃いたのか、手をポンと叩く。
「もしかしたら天の国って、未来の世界なのでしょうか?」
「……俺のいたところが天だとしても、こことは過去と未来の関係ではないだろうな」
せっかく月が肯定してたのにばっさり切り捨てたのに少しカチンと来た。
「どうしてそういえるのよ」
「一つ、俺の歴史で「董卓」は大柄の男という文献が多数残っていること。華雄、賈駆についても男だ。ついでに当時に諱の文化はなかった。華雄が賈駆呼ぶときに別の名前で呼んでたの、あれ諱というやつだろ?」
「こちらでは真名と呼ばれている、親しきものにしか呼ばせぬ大切な名だな。」
「気安く呼ばせないって意味なら同じだな。とにかく、俺の知ってる限りそういう文化はなかった。 だから、似て非なる世界と思うことにする。」
それを聞いたあと、確認をとる。
「ふーん? まあ、とりあえず、しばらくここにいるってことでいいわね? 真偽ははっきりしないけど、御遣いの噂を利用したいから。どうせ行く宛ないだろうし」
「その通りだな。役に立つか知らないが上手く使うといい。 改めてよろしく」
頭がキレるのか、ボクの考えてることを推測したようで、それを含めて不適な笑みでそう答えた。
「……詠で良いわ」
「え?」
「!」
「ほう……?」
自然とこぼれた言葉に彼がきょとんとし、月が驚き、華雄が興味深そうに、ボクを見る。
「……なによ」
「えっと、詠ちゃんが真名を最初に教えるって思ってなかったから……」
「月と同じく」
「初対面なのに気安く呼ばせて大丈夫なのか……?」
ボクの問いかけに三者三様に答える月たち。
「呼ばせてもいいと思ったから預けただけ。預ける基準は人それぞれだしいいでしょ?」
「……そうだな」
「そ、そうだね」
なぜか苦笑いしてる二人。
その理由をそのときのボクはしるよしもなかった……。
次でたぶん裏終わる!
というか、裏ながすぎぃ!
裏面についてだけど……(締め切り11月20日まで)
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遅くなっていいから表となるべく交互に
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表終わったらで良い
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うるせぇ!とにかく書け!
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R-18の方書けばいいのよ?
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ランナーの御心のままに