□月◯日
彼ーー吾妻慶次郎ーーが来ておよそ1か月。
彼はまるでずっと昔からいたみたいにボクたちと馴染んでる。
類稀なる武勇と、ボク相手に議論できるくらい回る頭があって、不思議と人を引き付ける魅力を持ってる。
ただ、書類仕事任せるとなぜか変な間違いを連発するため、書類仕事はまかせられないが。
(本人も不思議がっているのでそれも相まって怒るに怒れない。)
ああ、あと料理もやたらと上手く、ちょっと女として負けた気がするのはここだけの話。
彼についてはこんなところかしら?
次は新しく来た二人ね。
音々音ことねねと恋とも仲良く……は嘘。
素直な恋はともかく、あのことあるごとに突っかかってくるちんちくりんとはどうも馬が合わない。
洛陽で役人の経験あるからって、こっちのやり方をガン無視で押し通そうとする辺り、ちょっと困ってるし。
基本的にそこらの文官よりはよっぽど有能なのだけれど。
とかその辺りを連れてきた本人に愚痴ったら、
「素直で有能な奴を使いこなせて三流、有能なじゃじゃ馬と無能な怠け者使いこなせて二流、余計なことをやっては周囲の足引っ張る無能な働き者使いこなせて一流」
とか言ってた。
……もっと精進しないとダメかしら。
□月□日
今日は少し意外な一日だった。
馬騰のところの兵士がやってきて、援軍を求めてきたからだ。
どうやら韓遂という武将が反乱を起こしたらしい。
今までの月だったら自分たちのところを守るだけで精いっぱいといって悲しい顔で断っていたと思う。
だけど今回は――彼が動いた。
ボクが保守的に現状維持を提案し、ねねが珍しく意見を同調。
華雄と恋が援軍を提案した。
月は……いつも通り消極的だが現状維持だ。
主に華雄とねねの論戦となっていたが、途中でふと彼が何も言っていないことに気が付いたのでしれっとボクのことをけなしていたねねへのイラつきをぶつけるように問いかけると。
「――援軍を出すべきだ」
そう、静かに、だけど響き渡る声で答えた。
そこから、まるで流れに棹さすように、援軍についての詳細と、それに同行する人選などが決まっていく。
まあ、人選のところでねねが恋と離されるの嫌がったり、月と華雄が付いていきたがったりしてちょっと揉めたが。
でもまさか――ボクが選ばれるなんてね。
◆◆◆
□月●日
出立から数日。
馬騰のところに到着。
なんで兵士が少ないんだとか抜かす馬騰のところの長女に言われたが、彼がしっかりと反論をしていた。
……大まかな方向性決まった後の詳細諸々の交渉事は丸投げされたけど。
いや、アンタも交渉くらいできるでしょうが!
さてはめんどくさがったわね!!!
なら慶次郎をキリキリ働かせて、その分報酬ふんだくれるように決めてやるわよ!
□月■日
――流れ星をボクは何度か見たことがある。
慶次郎も流れ星に乗ってやってきた……はずだし。
いずれも一瞬光って、その瞬く間に星が落ちてなくなるのが普通だ。
なんで唐突にこんなことをかいているかというと、戦闘後半日もせずに終了した反乱軍鎮圧戦で、大量の流れ星を見たからである。
ただし、本物の流れ星とは違う。
何故断言できるかって?
――この「流れ星」は十数里離れたところから慶次郎が放つ矢であり、普通は纏っていない蒼い光を纏っていたからである。
ふざけてるとしか思えない出来事だった。
数十里離れたところから放った矢が、敵の砦に吸い込まれるように当たっていく光景。
本当なら恐怖したりするべきかもしれない。
だが――不思議とその感覚はわかなかった。
……もしかしたら…………。
あのとき周りにいた恋の部隊にと抜擢された兵士たちの、熱狂に等しい士気にのまれただけかもしれないが。
□月▲日
賊討伐の報酬をふんだくるだけふんだくっておいた。
今回ボクの仕事これくらいしかなかったしね、フン!!
でも……アイツが褒めてくれたし、頑張った甲斐はあったかな……。
さあ、次は表を走るんだぁ……あ、コレは3、4、5章連続表をやります。
理由は3章表の前書きに(忘れてなかったら)書きます。
またな!!
董卓ルート 順当に行けば洛陽に行くけど、そのあとどうなると思う?
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原作通り、反董卓連合で散る
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袁家の傘下に入る
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理由つけて洛陽から逃げる
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大暴れして曹操ポジを取る