「…………そうですか、それは何よりです……いえ、自分は出来ることしかしてません。どうかお幸せに」
一つの小さいフロアのテーブル座る一人の少年。
固定電話を置いて、一息をつく。
「ふぅ……一人の学生に結婚の仲介させるのはどうかと思うよ」
一組のカップルがいるのだが、親が代々犬猿の仲で結ばれなかった。
そして駆け落ちする所まで来て、依頼が来た。まだ学生なのにそれを止めたのもこの少年であり、親の犬猿の仲を止めた。
「いや、勝手に仲直りだが……一件落着だからよしとするか」
少年は立ち上がり、窓際に立つ。
「困っている人を助ける……それだけで充分さ」
空を見ると青い空が広がっていた。
「さてと――」
―――♪―――♪―――♪~♪~♪~♪~♪
固定電話の隣に置いてある青い携帯から音が鳴る。
「携帯から?」
少年はテーブルに近付いて携帯を手に取る。そして着信相手を見る。
「…………」
少し、画面と見つめて、タップして携帯を耳に当てる。
「もしもし……久しぶり、かな」
少年――
――――――――――――――――――
「ふぅ……ここはそんなに変わっていないな」
時刻は夕方、蒼は一人歩いていた。
「やっぱりここは――? ギターの音?」
何処からか、ギターの音が聴こえる。蒼は立ち止まり、音を聴く。
「――――――とても明確に弾いているギター……かなりの練習だな…だけど――」
下手ではない。上手な音……だがどうしてか気持ちのいい気分にはならない。蒼はそう感じた。
「(何かが欠けている。そんな音だな)……少し気になるな」
蒼は音の方向に歩き始めた。
・・・
「ふぅ……今日はこんな感じかしら」
私、氷川沙夜は誰も居ない公園で一人、ギターを弾いている。
本当はライブハウスか家で練習をしていますが、たまに公園で練習をしている。
「…………」
私は自分のギターを見つめた。
私にはギターしかない……だからこれだけは――
「…………もう一度――――拍手の音?」
もう一度練習しようとしたら、何処からか拍手が聞こえてきた。足音も聞こえて私はその方向を見た。
「ずいぶん練習している音だ。それもかなりの……でもどうしてか寂しく感じました」
銀髪の男の人が近付いてきた。黒いズボン、上は白いシャツに青い上着を着ていた。チャライより真面目そうな格好で私よりも年上か同じ年に見えた。
「…………」
私は警戒していた。しらない男性にナンパしか見えなかった。
「失礼、僕は響鬼蒼、高校二年。ただの通り過がりの人だ」
「そうですか……私に何か用ですか」
私は冷たく言った。早く何処かへ行って欲しかった。
「とてもいい手と音だが、弾き手が一方的になってる」
「なっ!? 何を言って――」
「ギターが泣いている……ギターが可哀想だ」
私はその言葉に腹がたった。私はそんなふうに演奏をしていなかった。
「あ、あなた――」
「僕が弾いてやる。音はここに来るまでにだいたい頭に入っている……ギターを貸してくれるかな?」
この人は……1回聴いただけで私の音は負けない。
「えぇ……構わないわ」
私のギターを他人に貸すのは嫌だが私の音はそんな音では無いのだから。
・・・
「…………君と同じ調整でこの音はどうだった」
彼女は驚いている。自信のある自分の演奏がどうやら僕の演奏に自信を無くしたと見るな。
「そんな…………同じ状態なのに、どうして……」
予想よりもショックだな。そんなにだったのか……
「練習も大事だが気持ちも大事だ。君はどうやら真面目だが力が入りすぎだ……もう少し肩の力を減らして、落ち着けば君の音はより一層良くなる筈だ」
「…………」
彼女はギターを見つめて黙っている。
「僕も素人だが君はもっと成長する……失礼した」
僕は彼女から離れる。僕の言い方はきついかも知れないが真面目彼女ならきっとすぐに立ち直ると判断した。
「…………?」
左手……いや、僕の左腕の服を彼女が掴んでいた。
「―――て下さい」
彼女の顔は俯いていた。
「すまない聞こえなかった」
最初の方が聞こえなかった。
「教えて下さい」
彼女は顔をあげて答えた。
緑……いや、水色の髪に瞳は黄緑の彼女が俺を見つめた。
「僕は素人だ。真面目な君なら自分ですれば出来る筈さ」
僕は彼女の腕を払おうとしたが先に彼女が動いた。
「私に……貴方のギターを教えてくださいッ!!」
――――――その時の彼女の気持ちがわからなかった。
「……わかった…連絡教えるよ。え~と――」
「紗夜……氷川紗夜です。響鬼さん」
彼女――氷川紗夜は安心した顔になった。
「こちらこそよろしくお願いします、氷川さん」
まさか、こうなるとは思わなかったな……
……………………これが僕、響鬼蒼と氷川紗夜の出会いだった。