Roseliaと雇われサポート   作:ニックネームは忍者

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11月……公式は何を発表するのやら……





お気に入りと感想ありがとうございます……どうぞ。








第十一章 再び狂い咲け

 

 

 

 

 

 

 

 

「湊さんならもう帰ったすよ」

「あ、そっか……ありがと麻弥~」

 

次の日の放課後、リサは友希那に会いに行ったが既に帰っていた。

 

「いえいえ蒼さんによろしくです」

「わかったよ~(蒼って顔が広いわね……)」

 

『違う、たまたま知り合うんだよ……』

 

世界一不運な男の映画みたいな顔をしていた蒼……けどリサの顔は真剣になる。

 

「それよりも――――――ちゃんと向き合うって決めたけど…なかなか上手くいかないな」

 

事前は気合い充分だがいざ始まると怖じ気つくリサであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? リサ! 放課後残ってるの久しぶりじゃない? バンドは?」

 

帰ろうとしたらリサの友達が二人きた。

 

「あーうん。なんていうか……」

 

「てか今日楽器持ってないじゃん? もしかしてバンド辞めちゃったとか?」

「ありえる! 急に学校に楽器持って来てさ~なんかリサらしくないって思ってたんだよね」

「だよね~」

 

「あははは……そっか…アタシらしくないか」

 

時に何気ない言葉でも人の心を傷つける時があるので気をつけたい。

 

「そっだよっリサはおしゃれなんだし!」

「ねっバンドがないならネイルいこーよ!」

「え……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「りんりんからオフ会議くれたの初めてだね?」

「うん……家にいても落ち着かなくて…」

 

二人はファミレスでお茶をしていた。昨日からライブハウスには行っていない。

 

「あこもなんかどうしたらいいかわからない………だからりんりんに会えてほっとしているんだ」

 

あこは笑顔で言うが暗くなる。

 

「……ねぇりんりん……あこ、みんなに余計なこと言っちゃったのかな……あこがあんなこと―――「それは違うよ」……りんりん」

 

震えている拳を燐子が支える。

 

「…友希那さんが……本当にRoseliaを辞めるなら……いつかわかってたことだと思う……」

「じゃあ……このままRoseliaなくなっちゃうの…?」

「それは……」

「……りんりんこれを見て」

 

あこは携帯から動画を見せた。それはRoselia5人の練習動画……5人はとても楽しく笑っていた。

 

「この動画……もしかして―――」

 

燐子は気づき、あこは頷く。

 

 

「うん……蒼さんが撮ってたんだ……」

 

動画には蒼が映っていない……だから撮影者は蒼だった。

 

「あの日の夜、蒼さんが送ってきたの……あこ、あの日はカッとなって飛び出しちゃったけど……また、こうやって集まりたい……でもこうやって集まったら前みたいにバラバラになっちゃうかもって……なんかわかんないけど……こわい…」

 

動画のお陰でもう一度集まりたいけど、またバラバラになるのも嫌でどうすればいいのかがわからなかった。

 

「そうなるかもしれない……でもわたしは……わたしを変えてくれたこの人達ともっと……もっと――――――もっと音楽がしたい!」

「!」

 

音楽がしたい言葉に二人はどうするか考える。

 

「だからわたし達でもできることを……一緒に考えてほしい」

「……うん…………うん! 言葉だけじゃ伝わらないかもしれないって、前にりんりんが言ってくれたよね。だから例えば……」

 

少し前のメッセージを思い出す。

 

「「『音で伝える』!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……っ!」

 

紗夜は自宅で一人練習していた。

 

「(ダメ……こんなレベルじゃ……弾いても弾いても苦しいだけ……でも私にはこれしかない……たとえRoseliaがなくなっても…)」

 

一瞬、蒼の顔が頭に出てきた。

 

「(蒼さん……私は――――――)」

 

あれから連絡もなく、会っていない……考えていると廊下から足音がする。

 

「あれ? 止めちゃうの?」

 

「……日菜、勝手に入って来ないでって言ってるでしょ」

 

部屋の入り口から妹の日菜が顔だけ出してきた。

 

「入ってないよ。ほら、ドア空いてたから……なんかおねーちゃんのギターの音……おねーちゃんっぽくなった気がする」

「? あなたの説明はいつもわかりにくいの」

 

姉妹だけど違う二人……会話も上手く伝わらなかった。

 

「あ! 教科書! 前は『教科書』だった!」

「教科書?」

「だけど今は『おねーちゃん!』って聴こえる!」

「なによそれ……」

「それにね! …………おねーちゃんの弾き方すっごく、るんってしてる!」

「え……」

 

日菜は笑顔で言う。

 

「(弾き方……蒼さんの……)」

 

自分の手を見て、紗夜はすこし笑った。

 

「はやく出て行って、忙しいんの今はから」

「ん? ……うん」

 

日菜は部屋から出ていく。

 

「(なんかおねーちゃん……ちょっと優しい? でもおねーちゃんに教えた人はどんな人なんだろう)」

 

 

日菜が出ていった同時に紗夜の携帯が鳴る。

 

「(?……宇田川さんから動画メール?)―――!?」

 

前に撮った練習中の動画を再生して、紗夜は驚く。

 

「(私……いつからこんな風に笑って演奏を……)」

 

皆もそうだがなりより自分も笑っていた。

 

「(……Roseliaがなくなったら……私は―――)?」

 

動画を見ていると気づく。

 

「蒼さんがいない……」

 

動画には蒼が映っていない……この動画を撮影したのは蒼で送ったのも蒼だとわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサー? なにぼーっとしてんの?」

「ネ・イ・ル! いこーよ!」

アタシは……?」

 

この日もリサの友達からネイルの誘いが来る。

 

 

誘いをどう断ろうか考えていると、リサの携帯から音が鳴る。

 

「(あこから動画?)」

 

メールの内容は動画だけで再生した。

 

「…………!」

 

蒼が録った動画を見て、リサは気づく。

 

「リサー?」

「……ごめんっ! やっぱりアタシネイル出来ないや!」

「リサ……」

 

リサは自分が何に真剣なのかがわかった。

 

「こんなでもさ! バンドに真剣なんだっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…………」

 

友希那も動画を見ていた。

 

「…………」

 

動画が終わった後はメール画面を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……!」

「友希那さんから……メッセージ」

 

メンバー伝えたい気持ちがあると、CiRCLEに来るようにと伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「揃ったかしら」

 

「「…………」」

 

メンバーは揃ったがぎこちない空気で紗夜は横を向き、腕を組んで、目を合わせていなかった。

 

「……(皆不安がっているな、紗夜だけは別だが…………さて、どうする友希那)」

 

蒼も入り口の側に立っていた。勿論友希那からメールが届いた。最初の話では外で待っていることにしたが、友希那から一緒にと言われた。

 

口答えすると『雇われサポートなら言う事を聞いて』……何も言い返せなくなった。

 

「まず……この前は悪かったわ。1バンドメンバーとして不適切な態度だった」

「それは……どういう意味の謝罪ですか?」

 

やっと目を合わせた紗夜だが疑いの目だった。

 

「自分の気持ちを自分で理解できていなかった。あなた達との関係性を認識しきれていなかった……そのことに対しての謝罪よ」

 

「えっと……つまり?」

「スカウトは断ったわ」

「「!!?」」

 

紗夜だけは驚いていない。

 

「……そうだとしても私達『バンドメンバー』ではなく『コンテスト要員』として集めた真実は変わりないのよね?」

「紗夜! なにもそんな言い方!」

「やめてリサ」

 

冷たい言い方だが立場的にはそうなっていた。

 

「確かにそうだったんだから責められても当然だと思ってる」

「だ、だったらアタシにも責任あるよ!アタシはずっとそんな友希那をただ見てるだけで……それなのに今回のスカウトのことに関して何もできなくて……」

 

「…………」

 

会話を聞いている蒼も複雑な気持ちになるが蒼は別に口出しはしない……それよりも聞きたいことがあった。

 

「……湊さんの意思がわからないわ」

「紗夜の言うとおり私はFUTURE WORLD FES.に出場するため、すべてはそれだけの為に音楽をやってきたわ…」

 

FUTURE WORLD FES.……この言葉が二人が組むきっかけになった事だった。

 

「FUTURE WORLD FES.は確かに頂点……私もそれを目指していた……でも湊さん…………すべてが『フェス出場』の為だと言うのなら失礼だけどあなたには―――」

 

「―――『フェスに出て』それからどうするかその先のビジョンが何もない、ということになる」

 

「……じゃああこ達は―――」

「そう、私達は使い捨て……そういうことよ」

「紗夜それは―――」

 

「皆ストップ!」

 

ずっと黙っている蒼はとうとう喋る……部屋の中を静かにして、真ん中に立つ。

 

「口出しはしない話だが、さすがに黙っているのも限界だ」

 

注目される中、蒼は友希那を見る。

 

「友希那の気持ちが知りたい」

「…………」

 

真剣に見つめるが目線をそらす友希那。蒼は珍しくため息を出す。

 

「…………動画を観ただろ?」

「…………」

 

頷く友希那。

 

「だったら……話せるよな」

「えぇ……そうよね」

 

友希那は蒼を見る。目で蒼は理解し、壁際に戻る。そして友希那は話す。

 

「メンバーを探していたときは……そうだった……でも……紗夜を見つけて……みんなが集まって……蒼も手伝ってくれて…………」

 

剃らしていた紗夜も友希那を見る。

 

「(友希那……)」

「いつのまにか私……お父さんのことより……」

「「……『お父さん』?」」

 

お父さんの言葉に三人は声を出す。

 

「友希那……」

「(話すんだな)」

 

リサは驚き、蒼は目を閉じた。

 

「……本当の私はただ…私情のために音楽を利用してきた人間よ」

「…『私情』……」

 

私情の言葉に紗夜も反応する。

 

「少し……長い話になるわ。昔…一人のバンドマンがいたの―――」

 

 

それから友希那は話した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話を聞いて、紗夜は口を開いた。

 

「私もそのバンド……雑誌で見たことあるわ。インディーズ時代のものは特に名盤だって……湊さんのお父さんがそうだったの……」

 

驚きの気持ちと悲しい気持ちが混じってた。

 

「私はRoseliaを立ち上げ私情を隠し、自分のためだけにあなた達だました……この前は上手く言葉にできなかったけど…私にも責任がある」

 

「まった友希那」

「わかっているわ蒼……でも言わせて」

「…………わかった」

 

とりあえず話を聞く蒼。

 

「私はRoseliaから抜けるべきだと思う」

 

「友希那…っ」

「でもっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……この5人で音楽がしたい……! この5人じゃなきゃだめなの!」

「「…………!!」」

 

友希那は大声で私情を言う。それは友希那の紛れもない本当の気持ちだった。

 

「私はRoseliaを続けたい…っ! でもみんなの意見はわからない…………こんなことをしておいて都合が良すぎるのもわかってる…………」

「あなたが私に言ったのよ……私情は持ち込まないって」

「…………」

 

紗夜の言う通り私情は持ち込まない……だけど―――

 

「でも……あなたの気持ちもわかるわ」

 

―――紗夜は優しい顔をしていた。

 

「音楽を続ける動機はともかく……始める動機なんてみんな……私的なものなんじゃないかしら」

「そ、そーだよっ! あこだっておねーちゃんみたいになりたかったからだもん!」

「わたしも……どこかで……こんな自分を変えたいって…」

「アタシは友希那と……って言うまでもないか♪」

 

「雇われサポートは継続中……かな?」

 

どんな理由があろうと、メンバーの気持ちは一つに……

 

「本当にいいメンバーだな友希那」

「…………」

 

蒼は友希那に言うが黙る。

 

「抱えているものはそれぞれにあっていい……どうしても手放せないから抱えているんでしょう?」

 

……紗夜は手を前に差し出す。

 

「だったらそのまま進むしかない……そうじゃない?」

「……紗夜…」

「それに……私も『また』この6人で音楽したい」

 

これでまた皆でやれる……あこは口を開く。

 

「ん? これはもしや……Roselia再結成フラグ!?」

「「解散してない」」

 

あこの再結成の言葉に友希那と紗夜は否定する。

 

「「……!」」

 

二人は口を左手で押さえた。

 

 

「意外なところはハモるな」

「こほんっ……RoseliaとしてFUTURE WORLD FES.のコンテストにエントリーする……みんなそれでいいかしら」

 

「「もちろん!!」」

 

蒼は友希那の隣に立つ。

 

「友希那もそれでいいか」

「蒼……みんな…」

 

友希那は微笑んだ。

 

「さて、エントリーの方は僕が何とかする。皆は調整急いで」

「でも蒼、練習予約が―――」

「大丈夫だ友希那、まりなさんには話を通してある。今からでも可能にした……」

 

“穴埋めは確実に”……全ては計画通りに、練習時間を確保してある。

 

「蒼さん……凄いです」

「これでも遅れているんだ……こっちも調整が色々とある」

「凄いです蒼さん! まるで黒いノートで書くあの人みたい!」

「あこ、それって悪い人じゃない?」

 

あこは蒼の事を新世界を目指した誰かの事を言うが誉め言葉にはならなかった。

 

「まさかこうなるとはな……」

「ですが蒼さん……私も手伝いますよ」

「紗夜……なるべくお願いしないようにするが、よろしくお願いします」

 

こうしてRoseliaはまた大きく、羽ばたこうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

そして日が流れ、コンテスト前日まで来た。

 

 

 

「ふ……ふおお……すっごいカッコイイ!」

 

ライブハウスCiRCLEにてあこは燐子お手製のRoseliaの衣装を身に付けていた。

 

「まさに黒の騎士団…闇の破壊者! 明日のコンテストもこれならいける!」

 

気合いが入るあこともう一人、紗夜も衣装を眺めていた。

 

「ねっ紗夜さ……」

「そう……これが白金さんの作った衣装…………余った衣装の材料を見たときは凄いと思っていたけど……」

 

紗夜は衣装を手に取る。

 

「一人一人にサブコンセプトがあって、デザインを少しずつ変えているのね……アートワークの才能がありそうだわ」

「(これって……りんりんのこと褒めてるんだよね……?)」

 

紗夜は着替え初めて、あこは少しそわそわしている。

 

「(早く他のみんな来ないかなぁ……二人っきりだともしかしてまた……)」

 

二度もトラブルを起こしてしまい、あこも不安になっていた。

 

「どうしたの? いつも騒がしいあなたが黙っているなんて……私の感想でも不満でも?」

「うぇっ!? ち、ちがいますっ」

 

お見通しなのか紗夜も棘のある言葉を出してきた。

 

「ならどうしたの? バンド内の意思疏通は大切なことよ。意見があるなら言ってもらわないと困るわ」

「うっ……」

 

確かにそうだがこれ以上トラブルも起こしたくはなかったが、あこは考えて喋り出す。

 

「あ……あこはただ……また変なこと言っちゃって……紗夜さんを、

怒らせちゃうんじゃないかって…………」

「…………」

 

紗夜もあの時は自分にも負があったのを思いだし、反省はしていた。

 

「あのね……私はこれでも喜んでいるつもりなんだけれど」

「そ、そうなのかなって思ったけど……わかりにくいんですよっ! …………はっ」

「……どういう意味?」

 

あこははっとするが出遅れ……でも紗夜の表情はいつも笑わない無表情が多すぎた。

 

「だって……ふつう嬉しかったらニコニコするかなって……」

「嬉しいし今後のライブに期待しているわ。白金さんに対してもありがたいと思ってる…………それが顔に出るかどうかは個人差でしょう? 無理に笑わなければ私の感謝は通じないの?」

「そんなつもりじゃ……」

「私なりに感情をだしているわ……蒼さんのお陰で……宇田川さんもそうでしょ?」

「……はい」

 

蒼のお陰でメンバーに入り、問題を解決してくれた。だからあこも素直に言う。

 

「あこはただ……みんなで同じ衣装着て……こういうのって仲間みたいだなって…嬉しくて…」

「…………」

「馴れ合いはなしって、友希那さんや紗夜さんはよく言うけど……!」

「……宇田川さん、あなた勉強にはあまり接極的じゃないそうね」

「うっ! い……いきなりなぜその話をっ!?」

 

勉学の話をするとあこは焦りだした。図星なのかはあこにしか知らない……。

 

「あなたはBANDという言葉の語源は知っているの? 確か……世界で二番目に上手いドラマーなのよね?」

「うぐっ! し、知らないです…」

 

知らないあこに紗夜は説明する。

 

「BANDという言葉の本来の意味は『束』や『集団』……音楽という意味は入っていないの」

「そうなんですか……」

「私は仲間という言葉は嫌いよ。同じものごとをする集団……それだけで仲間という意味になる」

「…………」

「ただ音楽をやって楽しんで満足しては意味がない……それはわかるわよね」

 

紗夜はチラリとあこを見る。

 

「は、はい!」

「私達はもっと上を目指している……」

「上……ですか?」

 

イヤリングをつけ終えた紗夜は髪飾りを手にする。

 

「常にお互いを高め合い、妥協を許さず戒め合い、目的を達成するためのチームでありたいの……それはつまり相手の才能を認め合い、信頼し、お互いの全てを賭けられる程の価値があるもの同士ということよ」

 

髪飾りもつけ、紗夜は着替え終わる。

 

「そんな重要なものをあなたは『仲間』なんて単純な言葉でくくるの?」

「紗夜さん……」

 

あまりの言葉にあこは嬉し涙が出る。

 

「曲がりなりにもあなたは私と湊さん……そして蒼さんも認めたRoseliaのドラマーよ。だから私達Roseliaの間には何もないような言い方されるのは心外だわ」

「!! わっ、わかりました!! あこはこれからもせいいっぱいドラムします! ダチョウせずイミシミあいます!」

 

……紗夜は右手を頭に当てた。

 

「……勉強の方も忘れずにがんばるのよ?」

「ラジャですよっ」

 

 

 

 

 

 

 

「やっほーおまたっせ~って……衣装すごっ!」

「あっリサ姉~!」

 

無難な挨拶から即効に驚くリサ。

 

「すごいすごい超良い感じじゃん! 紗夜もあこも超似合ってるよっ!」

 

二人は黙っているが照れていた。

 

「燐子マジで何者なの!?」

「でしょーっ! りんりんはほんっとにすごいんだよっ!」

 

 

「そ、そんなこと……ないよ」

 

扉から燐子がひょっこりと顔を出してきた。

 

「あなた達も早く着替えたら?」

「ん! そだねっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わあっ! リサ姉もりんりんもすっごーく似合ってるっ!」

 

二人も着替え終えてあこは声を上げていた。

 

「いやあ…アタシがまさかこういう…ヒラヒラっていうかリリカルな服をねっ」

「き……気に入らなかったでしょう……か? やっぱり…今井さんの好みじゃ…」

「あっいやいや! 違う違う!」

 

リサはあまり着ないため照れているのだが燐子はショックを受けて、リサは慌てて否定をする。

 

「こういうのは友希那の方が合うって……無意識に避けてたんだよね。Roseliaの音楽そのものでしょ? こういう服って……だからっでアタシなんかが真正面から向き合っちゃいけないんだ……友希那の方が全身真剣なんだからって……」

「今井さん……」

「でもこうやって燐子が勇気出してピアノが弾けるってRoseliaに入ってくれて、一人で作った服をみんなにも作ってくれて……アタシも避けてばっかりじゃダメだなって思った」

 

暗いことを話すリサに燐子も自分の事を言う。

 

「そんな……今井さんはいつも……わたしと違って積極的で…………臆病で―――」

「臆病なのはアタシも一緒!」

 

リサは言った。

 

「だから燐子に衣装貰って勇気出たんだっ! これからは自分の好きなものに……大切にしたい人にもっと素直に向き合おうって」

「…………」

 

臆病な燐子でも誰かの為に力になって支えていた。

 

ガチャ

 

「衣装できたのね」

「友希那さん!」

 

友希那も来て、あこから衣装を貰う。

 

「はいこれっ友希那さんの分ですよっ」

「ありがとう、私も今から着替えるわ」

 

 

 

「今井さん……」

「ん?」

「…大切な人と…もっと……仲良くなれるといいですね」

 

燐子の笑顔の言葉にリサは顔を赤くする。

 

「うん!!」

 

それでも笑顔で返した。

 

「……何の話?」

「なんでもないっ明日のコンテスト頑張ろーってこと!」

「……えぇ、そうね」

 

……ほんの少しだけ友希那の顔は笑顔だった。

 

「あれ? 蒼さんは?」

「蒼ならカウンターの方いるわ。私達に気を使わせているわね」

 

女の子達が着替えているためカウンターで待っていた。

 

「そう言えば友希那、蒼は大丈夫だった?」

「別に……いつも通りよ」

「何かあったのですか?」

 

リサと友希那の会話に紗夜は気になった。

 

「氷川さんは見ていないんですね」

「ねぇりんりん、蒼さんがどうしたの?」

「え…と……女性と話をして…困っていました」

「…………どうしてそうなったのかしら」

 

紗夜は黒いオーラを出しながら言う。

 

「蒼が一人カウンターで飲んでいると声をかけられることがあるのよね~」

「勧誘や色々とあるみたいよ」

 

幼馴染み二人はよくあることのように言う。

 

「皆さん、少し見てきます。着替え終わったら通路で待っていてください」

「別に紗夜が行くまでも―――」

「勧誘なら連れてこないといけません。Roseliaの雇われサポートですから」

 

紗夜は部屋から出ていく。

 

「「………………」」

 

「どうしようか」

「……私は着替えるわ」

 

とりあえず着替え始める友希那であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、友人が待っていますので」

「近くの喫茶でも構いませんので」

 

蒼は綺麗な女性から声をかけられていた。蒼は打ち合わせがあるから断っているが女性は引かなかった。

 

「大丈夫です、話ならすぐに―――「すみません」……ちょっと今は―――!?」

 

女性は振り向くと、無表情に見つめる紗夜が立っていた。

 

「…………」

 

女性は黙っていた。

 

「蒼さん、皆さんが待っていますので向かいますか」

「うん、わかった(紗夜が恐ろしく感じるのは気のせいだろうか)」

 

蒼は立ち上がり、紗夜と一緒に部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない紗夜、お陰で助かったよ」

「……いえ、別に」

「?」

 

廊下を歩いていると蒼は紗夜にお礼を言う。紗夜は少し冷たく答えていた。

 

「そう言えば紗夜」

「なんですか、明日は大事な日なので急ぎましょう」

「そうなんだが……」

「どうしたのですか、言わないと伝わりませんよ」

 

あまりに冷たく感じてきて、蒼は言いづらくなるが言うことにした。

 

「綺麗だよ―――」

「なっ!?」

 

突然爆弾発言されて真っ赤になる。

 

「い、いきなり何を言うのですか!」

「髪飾りとイヤリングに衣装がとても綺麗に見えたから」

「…………そうですか」

 

今度は一気に鎮火された。

 

「紗夜?」

「なんでもありません、急ぎましょう」

「そうか……でも紗夜、皆なら角から見ているよ」

「え?」

 

振り返ると、角に四人の顔が見えた。そして四人は出てきた。

 

「……紗夜の声が廊下から聞こえたから」

「い、いや~声をかけるタイミングがね~……」

「あ、あの……ごめんなさい」

「ところでどうしたんですか、紗夜さん蒼さん」

 

色々と言いたいがため息を出す紗夜。

 

「皆の衣装凄いね、早く部屋に戻って最終調整に入ろうか」

 

蒼がそう言うと皆、部屋へと向かった。

 

「…………」

 

紗夜は一人残された。

 

 

『綺麗だよ―――』

 

 

紗夜の顔が赤くなった。

 

「紗夜?」

「あ、蒼さん! どうして―――」

「紗夜がいないから始められないから……行こうか」

「……はい」

 

二人は少し早足で歩いていった。

 

 

 

 

 

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