Roseliaと雇われサポート   作:ニックネームは忍者

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第十三章 ぺりかんダーツ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぺりかんダーツ』……建物の一階の8割はお店。残りの二割は蒼が貰っているガレージ……特に使っていないスペース。

 

 

二階の半分は事務所的なスペースで残りは宿泊部屋みたいな形……

 

 

…………第一話で蒼が居た建物です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はすまない、僕の都合で手伝わせてしまって……」

「気にしないで下さい私も手伝いたかったのですから」

 

この日は蒼のフロアのちょっとした整理を紗夜の二人でしていた。

 

「今井さんもバイトで練習もない日ですから問題ありませんよ」

「でも、自宅練習とかしなくて大丈夫? 以前の紗夜なら練習してからさ」

 

リサはバイト、燐子とあこはゲーム、友希那は『カフェに行く』と言っていた。

 

「……今日は日菜が家に居るので…」

「そうか……ごめん」

「気にしないで下さい」

 

日菜とは“まだ”な模様……蒼もそこには干渉はしないと決めていた。

 

「蒼さんはここで何をしているのですか? 家ではないですよね」

「家はここじゃないよ。ここは借家かな……ただここで寝泊まりしてるんだ」

「そうでしたか……」

 

家はここではない……訳ありでここに暮らしていた。

 

蒼は少し離れた楽器ケースを持ち運ぼうとしていた。

 

「(気になっていたけどあれってギターケース?) 蒼さん、それは―――ッ!」

「紗夜ッ!?」

 

蒼が振り向くと紗夜は何かに引っ掛かって前に倒れる姿にはなった。蒼はケースを床に落とし、紗夜の手を掴む。

 

「ッ!」

「え―――」

 

だが蒼の方に何かが引っ掛かり、蒼は紗夜を押し倒すように倒れてしまう。

 

「―――!」

 

蒼は反射神経を活かし、床にぶつける背中を自分に変えた。

 

「痛たた……」

「あ、蒼さん……大丈夫、ですか?」

「だ、大丈夫……だよ…紗夜…」

 

二人は時折言葉がつまる……何故なら二人の顔はかなり密着していた。

 

「蒼さん……」

 

紗夜の顔が赤くなる……蒼もだんだんと赤くなってきた。

 

「紗夜(紗夜の顔が近い。でもなんだろう……この気持ちは……確かフェスの時も―――)」

 

蒼が不思議な気持ちになっていくと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ……

 

 

 

 

 

「で、どんな子だったのよ」

「顔は見ていないよお母さん……電話だと髪の色が水色で長く、目の色が黄緑色で――――――」

 

フロアに入ってくる二人の女性……そして目の前の光景を見て、足が止まる。

 

「あ……ぁ……」

 

紗夜はフリーズ状態……

 

「そうよ……この子よお母さん」

 

紗夜を興味津々に見つめる金髪で長い髪を首元にあるリボンで縛って下に足らした外国人女性。

 

「まぁ……話を聞くと真面目でおとなしい風紀を守る子に思えたけど―――見かけによらず大胆な子ね!」

 

片手を口に当てて、嬉しそうに言う、セミロングの桜色をした“お母さんと”と呼ばれる女性……

 

「姉さんと母さん……」

 

そう呟いたのは蒼……

 

「(金髪のお姉さんと桜色のお母さん……)は、初めまして、氷川紗夜……です…」

「紗夜……せめて起き上がって自己紹介しないと……」

 

状況を冷静に受け止める蒼。

 

「今日は帰ろうかお母さん」

「そうね……ゆっくりしてね!」

 

帰ろうとする二人……

 

「ま、待ってください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……こんな形であったが紗夜は蒼のお母さんとお姉さん(?)初対面であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれこれあって数分後……

 

「―――初めまして、蒼の母です」

「それと蒼の姉です。よろしくね~紗夜ちゃん!」

 

色々あって、フロアのソファーに座って、向かい合う三人。

 

「蒼さんのお母さんと……お姉さんでしたか……(こんな形で会ってしまうなんて……)」

 

思い出すと顔を赤くする紗夜。

 

「えっ! お義母さん!?」

「エッ! お義姉さんッ!?」

「ち、違―――すみません、なんて失礼な……」

 

親姉はお互い口に当てて見つめあい、紗夜は困ってしまう。

 

「何があったのかわからないけど二人して紗夜を困らせないでくれ……」

 

蒼は二人を二人を睨み付ける。両手にはカップが4つあり、器用に置いていく。

 

「やあね~お母さんは嬉しいあまりにwelcome状態なだけよ~」

「どんな状態ですかそれは……」

 

「姉として私は嬉しいわ~友希那ちゃんやリサちゃんもいるのにこ~んな綺麗な子がいたなんて……お姉ちゃん弟に嫉妬しちゃうわ~」

「はぁ……それよりも二人はどんな用件で?」

 

「…………」

 

紗夜から見れば初めてな光景だが、蒼の家族会話こんな感じなのかと感じてしまう。

 

「用件って……大事な一人息子が帰ってこないから心配で……」

「昨日電話していますが……」

 

帰っていないのは本当だが、ちょくちょく電話はしている蒼。

 

「お姉ちゃんは大切な弟が心配で……」

「……少し前の電話で紗夜が気になって来たんじゃあありませんか?」

 

少し前の相談相手を求めたのは姉であった……

 

 

「「…………テヘッ!」」

 

その光景は親子……母親が若く見えるからか、お友だち関係に見えた。

 

「それにしても夏はあついわ~それよりもコップ洗うわね、蒼~洗い場教えて~」

「場所はわかるでしょう……紗夜も空っぽなら下げるね」

「(さっきの熱で一気に飲んでしまったわ)は、はい……」

 

四人分のカップをお盆に乗せ、蒼と母はフロアから離れていく……

 

「紗夜ちゃん……」

「は、はい……」

 

残されたのは蒼の姉と紗夜だけになる……それと一枚の紙を渡される。

 

「ワタシの連絡先ね! 気軽にお義姉さんって呼んでね!」

「え……そ、それは……」

「ごめんごめん~お姉さんでいいから」

「は、はい……」

 

紙を受け取り、紗夜は頷く。目の前には外国人のお姉さん……でも一つの疑問が生まれる。

 

「ワタシね……見るとわかると思うけど蒼とは血が繋がっていないの」

「そう……なんですか…」

 

蒼は日本人……ハーフと言えば騙せなくもないが、日本人……蒼の母も……ならば何故目の前の女性はどう言った経緯で蒼の家族になったのか……

 

「ワタシの親は事故で亡くなったの……」

「――――――」

 

紗夜は言葉を失う。何て言えばいいのかわからなかった。

 

「別に今は幸せだから気にしないで! 悲しい話だけど聞いて欲しいのよ」

「は、はい……」

 

お姉さんは深呼吸して、語りだす。

 

「母国に帰る手もあったけど……蒼のお母さんがワタシと暮らさない? って言われてね……」

「……」

「元々蒼のお母さんとワタシの親は昔からの付き合いで親友って言うのかな……日本も好きで、ワタシも知っている人でもあって、暮らすことにしたんだけど……」

「蒼さん……ですか?」

 

お姉さんは頷く。

 

「最初は緊張もあったけど弟が出来る嬉しさがあったの……だけど蒼は普通とは違う子でね」

「それは……わかります」

 

初めて会った時もそうだが、蒼は何処か違う。もしかしたら日菜と同じ存在だと紗夜は感じていた。

 

「それで時間はかかったけど、今みたいに仲良くなって、ワタシの事も家族として迎えられて幸せになったの」

「そうだったんですか……」

 

悲しい話だけど今が幸せだと言うことがわかった。

 

「それと紗夜ちゃん……ギター弾けるんだよね」

「はい……弾けますけど…」

 

お姉さんは何やら言いづらい顔になる。

 

「蒼がギター弾いてるとこ見たことある?」

「……私のギターで弾いたことはありますけど…」

「エッ!? ギター弾いたの!」

「は、はい!」

 

紗夜は大きな声で返事をしてしまう。その前にお姉さんがあまりにも驚いた。

 

「紗夜ちゃんの前では弾いたんだ……」

「あの……あそこにあるケース……蒼さんってギターが入っているんですか?」

「…………そうね……たぶん入ってるんじゃないかな」

 

少し離れた所に置いてあるギターケースを見ながらお姉さんは悲しい顔になる。

 

「あの―――「紗夜ちゃん」……はい」

 

ギターの事を聞こうしたが姉に止められる。

 

「蒼はね…………あることに悩んでいるの……今でもずっとね……だけど紗夜ちゃんなら蒼をその悩みから解決できると思うの」

「その……悩みとは?」

「それは……ワタシの口からは言えない……ただあの時は何もできなかった……人前では泣かなかったあの子が一人になった時…………泣いていた」

「…………」

 

初めて会った時とは違い、本当に悲しそうにしてる姉の姿に紗夜は答えることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない待たせた―――何かあった?」

 

蒼が戻ってくると、空気を感じたのか不思議な感覚になる。

 

「いえ……なにも…」

「なんでもないわよ蒼。紗夜ちゃんはいい子だなと思っただけよ」

 

「さてと……今日はもう帰りましょう。私達がここにいては邪魔なだけよ」

 

蒼の次に来たお母さんは帰ろうと荷物を取る。

 

「まだいても―――」

「今日は父さんが帰ってくるから夕飯の買い出ししないといけないから帰るわよ」

 

父さんの言葉に蒼は頭をかいた。

 

「父さん元気?」

「元気よ……あなたみたいにね」

「ワタシもパパに会えるのは楽しみなの! じゃあまたね蒼! 紗夜ちゃんも今度はゆっくり買い物しましょうね!」

「はい……気をつけて」

「またね、母さん、姉さん」

 

突然現れた二人は突然のように帰っていった……。

 

「なんかごめんね……あんな二人で…」

「いえ……仲がいい親子でした」

 

姉に言われた最後の言葉が一番の印象だった。

 

「紗夜……何があったのか? 姉さんと何か話してたみたいだけど……」

「あ、いえ……お姉さんが家族話をして……」

 

咄嗟に昔話の事話した。蒼もその言葉で納得をする。

 

「――――――そうか……暗い空気にしてごめんね」

「いえ! …………今が幸せだと言っていましたよ」

 

紗夜言った言葉に蒼は安心する。

 

「そうか……片付けも済んだし、ありがとう紗夜。送っていくよ」

「ありがとうございます蒼さん……ですがもう少し……合宿の打ち合わせしませんか?」

 

手伝いは済んだが夏休みの合宿の事を蒼に言う。話では蒼がスケジュールをたてる話になったが……

 

「スケジュールなら僕が―――わかった、一緒に考えようか」

「はい」

 

ほんの少しだけ、お互いを支え合うパートナ……蒼の手伝いに、突然現れた母と姉に紗夜は苦戦どころか歓迎された(?)……色々な事が起きたが今日も楽しく感じた二人であった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に着いて、ギターでも弾こうとすると紗夜は思い出す。

 

「(あ……お姉さんに連絡先送らないと……)」

 

送って、数秒後には返事が来た。

 

「…………」

 

内容は『今度、海のある所で合宿するんでしょう? だったら一緒に水着選びに行こうね!』

 

「…………幸せそうですね」

 

紗夜は困りながらも少し嬉しそうに返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……少し前…蒼から電話が“女の子の相談”には驚いたわね…でも―――」

 

必死な気持ちに姉として何だか胸がワクワクしていた自分がいた。

 

「紗夜ちゃんなら蒼を…助けられる……ワタシでは出来なかったから……」

 

蒼がギターを弾かない理由…………それは合宿の時に明かされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……親と姉の名前は思いつかないからです、ごめんなさい……合宿の時に明かされるはそんなに暗くなく、あっさりと終わりますのでお待ちを……。

 

 

 

 

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