とある、二階建てのコテージにて……。
「フッフッ……我は超大魔であるあこなるぞ……わらわのドラム! ―――じゃなくて闇の……えっと……」
Roseliaは今は合宿している……そこで今は寝泊まりしている。
「あこがんば~」
「闇の……闇の~……りんりん~!!」
あこは何か決め技を言いたいようだが、いつものように言えなかった。
「? どうしたのあこちゃん?」
あこの声に気づき、ヘッドホンを外す燐子。
「あこのドラムで皆をバーンッ! って言ったらいいのかわからなくて!」
「えっと……」
「バーンでいいじゃん?」
「もっとカッコよくしたいの! ねぇりんりん助けて~!」
「う~ん……」
そんな会話していると一人だけ真剣な顔をしている紗夜がいる。
「宇田川さん、今井さん、白金さん……お喋りするなら―――」
「「うぅ……」」
「紗夜、ただのMCの練習だよ」
「それも必要ですが手を動かしてください……練習の量はそのまま音ででます」
「「はい……」」
「は~い」
これもいつものRoseliaであった。
「皆さんで合わせますか?」
「友希那さんは?」
そう言って、友希那が座っているソファーに集中する。
「…………」
ソファーに座って、ヘッドホンを着けた友希那……テーブルには携帯と歌詞と御菓子、飲み物ご置いてある。
黙々とパソコンとにらめっこしているが……
「はぁ……悪いけど、まだかかりそう……」
今日の友希那はいつもとは違い、考え込んでいた…。
「オッケ~紅茶淹れ直すそうか?」
「御菓子足りなくなったらあこ買ってきます!」
「何か出来ることあれば言ってください」
ほんの少しかも知れないが友希那も皆を頼るようになった。
「……ありがとう」
「曲の土台が出来たら私もギターパートを考えますので、新曲楽しみにしてます」
紗夜も新曲ほ楽しみにしていた。
「えぇ……」
「じゃあ紅茶を淹れ直すよ(さて……どんな味にしようか)」
雇われサポートの蒼もキッチンに立っていた……五人の女の子と一つ屋根の下に…………最初は庭のテントで寝ようとしたが皆に止められた……そして時間を決めて洗濯、入浴をしていた……風呂上がりのガールズは魅力に見えたのはここだけの話……。
――――――――――――――――――
数分後……
ソファーの上で横たわる友希那と散らばっている御菓子の袋たち……友希那は曲を考えていた。
「友希那さん……」
「何か手伝えないでしょうか……」
「作曲はな~」
「蒼さんも何か考えていますか?」
「今日は友希那一人で考えたい気分みたいだ……だから今は友希那に任せた方がいいんだ」
「そうですか」
事前に言われていた。今回は友希那は一人作曲は任せていた。
「さて、コップを洗うか」
蒼がテーブルのコップをキッチンにもっていき、リサが友希那の側による。
「友希那~ちょっと聴いていい?」
「……えぇ」
ヘッドホンを着けて曲を聴くリサ。
「う~んアタシ的にはいい感じだけど思うけど」
「個人的には駄目よ……Roseliaは最高の音楽を作らなくては……」
上半身を起こしながら言う友希那にリサは発案する。
「わかった……海行こうー!!」
「え……」
「あこたちも行かない?」
「いいの!」
「いけません! 私達に遊んでいる時間など―――「気分転換だって~かき氷とか~フライドポテトとか食べようよ」―――フライドポテト!? ゴホンッ! ……そんなジャンクフードには興味ありませんが食事でしたら付き合います」
「(明らかにフライドポテトに反応した)……せっかく来たんだしいいんじゃないか。ここを貸してくれた人も海の事も勧めてくれたんだから行かないと申し訳ないと思うよ」
洗いながら言う賛成の言葉にあこは喜ぶ。
「やったー!」
「あの……私は留守番を…」
「え~行こうよりんりん~泳ごうよ~」
「ひっ……泳ぐ…」
燐子は人が多いところなのか泳ぐところなのか顔が青くなる。
「別に海なんか……」
「いい案浮かぶかも知れないし、友希那このままじゃあ~衣装のサイズ合わなくなっちゃうかも~」
「ッ!?」
友希那は自分の周囲を見渡すと食べた量を把握する。
「そんなヘマはしな―――」
リサは友希那の頬を両手で横に引っ張る。
「ほれ、プニプニ~これじゃあウエストも~」
「え、え!? ちょっと!」
「ほれほれほれほれ~」
その光景は女の子同士の仲がイイッ!シーンだった。
「やめてリサ~!」
「―――じゃあ~行こうか?」
「……横暴だわ…」
友希那は困り顔になっていた。
「まぁいいんじゃない」
「蒼さん……」
蒼は御菓子の袋を広いながら二人の光景を見てた……その事に対して紗夜は怒っていた。
「何か嬉しそうな顔をしていますね」
「いや、目が勝手に…………まさかこうなるとはな…」
不可抗力とは言え、蒼は紗夜に謝っていた……最近どうしてか怒られる事を増えながら。
――――――――――――――――――
「あれ? ポピパじちゃん! 嘘~偶然~スゴくない?」
「…………」
それから海の家に向かい、リサと紗夜の所に有紗とたえが出会っていた。
「凄い……です」
「どうも……Roseliaって遊びに来たりするんだ…」
「遊びじゃないわ、合宿よ」
「近くのコテージ借りてるんだ~」
「今井さん、行くわよ」
せっかく会ったのに紗夜は離れようとする。
「ここで食べて行こうよ~」
「……仕方ないですね」
紗夜も断る理由がなく、食べることにする。
「二人は何にする?」
「「え?」」
「お姉さんが奢ってあげよう~」
リサは指を指しながら言う…………蒼に向けて…
「最後の下りがおかしいだろ……まぁ構わないよ」
「ゲッ! 蒼さん……」
「あ……」
蒼はポピパメンバーとも会っていた。
「やぁ、久し振り、学園祭では時間がなくてな……皆もSPACEで会ったんだっけ?」
SPACEのオーナーと蒼は個人的な昔ながらの知り合い……少し前、香澄の“キラキラ星”の件で蒼は関わっていた……何でも、レンタルでギターを弾いたとか……。
「まあ……ね……」
リサにとってSPACEは少し苦い思い出がある。
「あの日は蒼さんは来れませんでしたね」
「僕も学校でも色々とね」
リサが泣いたあの日は蒼は来れなかった。
「有咲が毎日学校に行くのは最初は驚いたよ」
「はい……そう、です」
学園の繋がりで市ヶ谷有咲と知り合っていた。
「ゴジガギヅシゼグ」
「久し振りだね、たえ」
たえの突然の言葉に蒼は普通に答える。
「蒼……言葉がわかるの?」
「たえも……何て言ったの?」
リサと有咲は困惑する。二人は友人関係ってことがわかった。
「蒼さん……何故グロンギ語を?」
「クウガは思い出が深い……個人的にはティガだけどね」
紗夜は蒼も男の子である事を知った。
――――――――――――――――――
少し離れた所で友希那は日傘を指しながら海を見つめていた。
「友希那~かき氷食べる?」
「いらないわ?」
食べないかき氷をリサが食べ始める。
「たまにはいいでしょう? 皆でこういうところに来るのも?」
「よくないわ……早く、完璧なフレーズを考えないと」
「えい」
そんな友希那にリサはかき氷のカップを頬に当てた。
「リサ……」
「水分取らないと倒れるよ」
かき氷を一口食べる。
「どう?」
「甘い……」
「友希那先輩! リサ先輩!」
二人を呼ぶ香澄と沙綾が走ってきた。
「あなた―――」
「戸山香澄です! 焼きそばご馳走さまです!」
「すみません私の分まで……」
そう言う二人にリサはほんとの事を言う。
「ほんとは蒼なんだけどね~」
「えぇ!? そうだったんですか?」
「蒼先輩でしたか……」
「どうかした?」
香澄は驚き、沙綾は気まずくなる。そして蒼が来た。
「久し振りだね香澄に沙綾」
「あ、蒼さん! あの時はありがとうございました!」
「気にしないで。あの時の星の歌がよかったからだよ」
あの時の歌は胸が高まってきた蒼……こんなに高まったのは紗夜と出会ってからのことだった。
「いいメンバーだな沙綾」
「はい……」
―――とあるイベントのバイトにてちょっとしたトラブルが発生し、蒼がドラムを叩いた……その事で沙綾は申し訳なく感じ、蒼も沙綾を気にしていた。
……でも文化祭の姿を見てお互いの溝は前よりも小さくなっていた。
「それより二人はどうしたの? 何か用があったんじゃない?」
その言葉に香澄は思い出す。
「あ! そうでした……もしよかったら……」
「皆でビーチバレーしませんか?」
スランプな友希那に蒼はこれはいいと考える。
「(ビーチバレーか)……折角だからやってみたら友希那」
――――――――――――――――――
「美味しかったな~」
「美味しかった……です」
昼食をしていた皆は食べ終わっていた。
「お待たせ~」
「友希那先輩だよ~」
二人の前に友希那が現れる。
「友希那さん素敵です!」
黒のビキニを身につけた友希那が立っていた。
「ビーチバレーは水着でするものらしいから……」
「似合うでしょう!」
水着の格好に紗夜は驚く。
「湊さんするんですか!?」
「蒼が楽しいって言うから……」
……因みに蒼はビーチバレーの場所にいた。
「知らないの? ビーチバレーは砂浜のスポーツ……体力をつけるのにピッタリなんだよ」
「体力……」
体力の言葉に紗夜は考えた。
「楽器弾くのにいるよね……体力」
「…………」
「それとも紗夜だけじっとしてる?」
「ムッ……」
数分後……勝負配置につく。
「(詳しくは原作を……それよりも…)」
「紗夜、暑くないの?」
「暑くないです」
口では言うが実際はどうなのだろう……
「(何故早口……水着……見れなかったな)」
紗夜だけは水着を着ずに動きやすく腕捲りをしていた。
蒼も紗夜の水着が気になっていた……
「え~それではRoselia対Poppin'Party……」
「は、始めてください!」
そんなこんなで試合が始まるが……
ルールがあまり知らず、あこは燐子に技名を聞き出して、サーブするが綺麗にミスり、口の中に砂が入るしまつ。
「くっ! なんて過酷なスポーツなの……」
「えぇ……油断は禁物よ」
「おーい二人とも~」
「…………皆、ルールは―――!?」
あこに代わって気合いが入る燐子が交代に出る……羽織っている上着を脱ぐと水着が現れる。
「(ビキニタイプではないワンピースタイプ……露出を減らし、隠しているが“逆に魅力アップ”……何故僕が説明を?)」
「もう……なにがなんだか……」
それから始まるが……
「紗夜さん!!」
「あっ!」
紗夜のミスでRoseliaにかなりの失点……そしてサーブがミスり、顔を砂にぶつける姿……皆が紗夜を心配に寄る。
「…………」
立ち上がる紗夜
「……着替えてきます」
「えっ!?」
「…………」
この時の顔と声は生涯一度だったかもしれない……と、蒼は言っていた。
「さぁ、これで完璧です。皆さん反撃です!」
Roseliaガールズは士気が高まる。
「…………」
雇われサポートはあまりの水着に言葉を失う。
「(紗夜の髪色と同じ水色のビキニタイプ水着……普段下ろしてる髪も今はポニーテールの髪型……そして何より……)」
鋼鉄神の紗夜にしては大胆な水着……蒼は見とれた……綺麗なくびれと太ももと……
「(腰に巻いてある水色のパレオ……外すと僕の瞳が――――――何を言っているんださっきから……)」
そんな蒼でも気になるお年頃……
「普段気にしないのか違和感がなかったのか…………」
紗夜の胸を見てしまう蒼……
「(綺麗で以外に―――観戦に集中しよ)」
試合に集中していると三人のパスに友希那はサーブする局面になっていた。
「えぇ……行くわよ!」
「勝てるぞ友希那!(さっきから何か胸騒ぎするが何故だ? 別に友希那がボールで――――――思い出した)」
「はぁー!!」
友希那はボールに触れる。
「(過去に野球、サッカー、卓球、テニス、ゲートボール……全てが僕の顔に―――)」
バシッ!
「「あ…………」」
吹き飛ぶ蒼……
「(まさか―――)」
バッシャーン! ……
そして海に沈む蒼……
「「―――!!」」
皆が一斉に蒼の元へと駆け出した。
「(何か騒がしい音が聴こえるけど……意識が―――)」
蒼の耳からは赤ちゃんの泣き声と生命の故郷は海だと……蒼は感じた。
――――――――――――――――――
時刻は夕方……ビーチバレーを終えて、皆で砂浜に座って横一列に並んで眺めていた。
「どっちが勝ったの?」
「途中まで数えてたんですけど……」
真剣な試合が途中からは楽しく遊びに変わっていた。
「綺麗な夕焼けだな」
蒼も夕日を眺めていた。
「蒼さん、大丈夫ですか?」
「このくらいまだまだ軽微だよ…………花瓶は本当に注意がいるよ」
何回かボールが当たり、額のところに包帯を一巻きと右目に眼帯。頬には絆創膏を貼っていた。
「……そうですか」
これが軽傷なら重傷はどうなっているのだろう……
「どんな状態になっても明日には元通りなのよね~」
「本当に不思議よね」
幼い頃から知っている友希那とリサも同じく言う。
「確かにそうだが……友希那が言うのが不思議と感じるのは気のせいか?」
「…………気のせい……よ…」
友希那は疑問と自信のない答えで返した。
「でも今日は本当に楽しかったね~」
砂浜に横になる香澄。
「……貴女達のテンポに巻き込まれて、何だかセッションしたみたい」
友希那も同じく横になる。
「! はいっ! 楽しかったです! また皆で遊びませんか?」
「え?」
「私達Roseliaよ……完璧な演奏するために遊んでいる時間は―――「じゃあ皆でバンド!」―――はぁ!?」
「十人で……ですか?」
「そう言うバンドもあるけど……」
「知らないで言ってたの?」
「ロゼリアパーティー……略してロゼパ?」
「はぁ?」
「ロゼパいいねえ!」
「あこもあこも!」
そんなこんなで盛り上がり、友希那は何か浮かんだ……
「(少し痛い思い出が出来たが……良かったな友希那)」
……それからポピパは海の家でライブをした。
その歌は八月にとてもいい曲であった。
「(ポピパのライブは学園祭以降だったな……それよりもだな)」
沙綾の顔がとても楽しそうに歌っていた。
「(中学のが嘘みたいだな)」
拍手が鳴り響いていた。
「……行くわよ」
「え? 友希那?」
「合宿の続きよ……いいフレーズが出来そうなの」
友希那の顔を見た皆は安心する。
「私も弾きたくなったところです」
「あこも! バンバン叩きまくりたい!」
「私もいっぱい弾きたいです!」
ポピパを見て、感謝をするRoseliaであった。
「夕飯は何がいい? 僕が作れる範囲なら何でもいいよ」
「え! ほんとですか!」
「……別に朝もそうだったでしょう」
「でもなんか蒼に言われるとなんかいいよね」
「でも蒼さん……毎日疲れませんか?」
合宿中はほとんど蒼が作っている。燐子は蒼を心配する。
「大丈夫だよ燐、僕は出来ることしかしてないよ。紗夜はフライドポテトかな?」
「別に何でも…………あんなの好きじゃあありません」
お昼あれだけ食べているのに何故好みじゃないと言うのか不思議でしょうがない。
「そうか……どっちにしろ買い物だな、皆もいいかな?」
…………このあと、買い物をして蒼は夕飯作るのに集中した。
それから練習をして、コテージの帰り……
持ってきた楽器は軽トラックに積まれた。
何でも蒼のお姉さん関係の人のお願いで運んでもらっている。
「やっぱり皆可愛い! もうお義姉さんって呼んで!」
「姉さん……それよりも安全運転でね」
皆は姉さんが送ってくれる……行きは電車であったが……
「ところで姉さん……その車どうやっても皆乗れないよね」
「え? ノープログレムよ!」
普通車に乗れるのは五人……一人余る。
「紗夜ちゃんは蒼が送ればいいでしょう?」
蒼はバイクの免許……普通二輪型免許を持っていた。
「いやいや姉さん、メットは―――」
「へ~いパス!」
お姉さんは蒼に水色のヘルメットを投げた。
「後はよろくね~」
姉さんは車に乗る。皆は
すでに乗っていた。
「ちょ―――」
「紗夜ちゃ~ん! 感想聞かせてね~!」
車を発進させだんだんと遠くなっていった……蒼はため息をつぐ。
「姉さん……すまない、紗夜―――」
「(凄い……ハードボイルダーみたい)」
紗夜はずっと蒼のバイクを眺めていた。
「紗夜?」
「あ……は、早く乗りましょう。暗くなってしまいます」
紗夜は蒼が持っているヘルメットを被り、待っていた。
「(―――仕方ない)しっかり捕まっていろ紗夜」
「はい」
蒼はバイクに乗っかり、紗夜も後ろに乗る。そして蒼の背中に密着し、腕は蒼の腹に回した。
ブウゥゥゥッン!
蒼は二人乗りの為、徐々にスピードをあげていく。
――――――――――――――――――
「………………」
それからしばらく走って、蒼は後ろを気にする。
「…………」
蒼の背中には紗夜がいた……
「(今思えば、紗夜と出会っていたからこうして過ごしているんだよな)」
蒼は思い出す、公園で一人ギターを弾いている紗夜。
「(友希那とコンビを組み、目標へと目指した……それでも色々とあったな)」
メンバー集め、初ライブと“衝突”……FUTURE WORLD FES.……
「(短い期間で色々あったな……少し前の出来事だけど……)」
今思うとガールズメンバーとは一度会った蒼…………
「(紗夜は“妹”と向き合った……僕も――――――向き合う)」
蒼はバイクを止めた……
――――――――――――――――――
「(蒼さん……バイクに乗れたんですね……行くときの話で初めて知りました)」
蒼さんがバイクに乗れることを知ったのは合宿の行く手段の話でした。
「(それでも私……蒼さんに何かできたのかしら)」
あの日は公園で一人ギターを弾いていました……そして蒼さんと出会いました。
「(最初は正直、なんなのこの人はと思いましたが……ギターを聴いて変わりました)」
ギターを弾いた時、この人は凄い……“天才”と言ってもおかしくはない弾き方をしていた。
「(あの日から蒼さんのギターを教わって、湊さんと出会い、皆さんと出会いました……蒼さんと出会わなかったら、きっと一人でいたのかもしれません……今でも“仲間”と過ごせています)」
…………ですが今だからわかります……
……蒼さんは“ギターから逃げている”のだと……
「(上手い……でも何かから逃げている音だったと今だからわかります)」
ギターだけ違和感を出しながら弾いていた……他の楽器は違和感がなく、ギターだけは違和感が出ていた。
「(湊さんと今井さん……何かを知っている…………でも私は知らない)」
私が聞けばいいのですが……正直聞けません……私では役に立てないのかも知れませんが――――――蒼さん……私は……?
「(バイクを止めた?)蒼さん? どうかしましたか?」
「…………」
エンジンを切って、ヘルメットを外して私を見る。
「少し星空を見ないか?」
「……はい」
ヘルメットを外して、私は蒼さんと星を見ることにする。
――――――――――――――――――
バイクを端に止める。すぐ側の歩道から二人は立っていた。
「綺麗な三日月です」
「そうだな」
蒼と紗夜は星空を見て、三日月を見ていた。
オリオン座がよく見えて、紗夜が「赤い星が見える」と言うと、蒼は「確かに赤いな……いつか死滅する星かな」と言う……暗い話になるが「それでも星のひとつ……命があることだと、僕は感じるよ」と、蒼は言った。
「(あの時の蒼さん……自分に言い聞かせていました。やっぱり蒼さんも何かある……私も日菜の事で悩みました)」
「紗夜……妹とは上手くなったのかな
「え……日菜ですか? 七夕の日から少しずつではありますが、昔みたいに戻っています」
「そうか……よかったな」
七夕の日から二人は仲良くなっている……蒼も上手くいった事に安心する。
「いえ……蒼さんのお陰でもあるのですよ」
「僕は何もしてない。ただ話を―――「蒼さんは本当にいい人です」……紗夜?」
「どんな時も話を聞いて、一緒に悩んで考えてくれます。最近も私達にも頼ってくれて、嬉しいです」
「……ありがとう紗夜」
夏が過ぎてからか、蒼は皆を頼っている。一人でやって来たことだがそれでも皆は蒼の負担を減らしたかった。
「蒼さん、あの―――「僕の話を聞いてくれるか」―――はい」
蒼は紗夜を見て返事をもらい、視線を海の方に向けた。
「この前手伝いの時に見た楽器ケース……覚えているかな」
「あの楽器ケースには蒼さんのギターが入っているのですか」
「……姉さんから聞いたのかな」
蒼は驚くが表情を戻す。少し前の時に姉と会ったのだから。
「全部ではありません……今だからわかりますが蒼さん…………どうしてギターから逃げているのですか」
「…………」
蒼は目線をそらした……そらして海の方を見つめる。
「逃げている……確かにそうだな。紗夜、昔話をしていいかな?」
「……はい」
海を見つめて、何かを決意して空を見ながら言った。
「実は…………僕には妹がいたんだ」
「…………」
妹いたんだ……過去形……それだけでわかった。
「高校に上がる前に事故で亡くなったんだ」
中学三年の頃、蒼のギターの弦は正直無理をしていた。
「兄さん、ちゃんとギターは修理に出しましたか?」
桜色の髪をした妹―――響鬼さくらは怒りながら腕を組んでいた。
「大丈夫だよさくら。修理は出したしすぐに直るよ」
「友達からも前から言われていたはずです。修理しないと音も変ですし、妹的にはギターが可哀想です」
怒っている顔から悲しい顔になる。
「僕が悪かったよ。友達とギターに失礼なことをした……だからそんな悲しい顔はしないでくれさくら」
「別に悲しい顔なんてしていません……」
今度はツーンとした顔になった。
「(いつもの妹に戻ったな)……それよりもさくら、またラブレター貰ったんだって? 凄いけど どうして断っているんだ?」
さくらは驚いたがすぐに表情を戻す。
「別に……学生は勉強が第一です。妹的には兄さんも同じじゃないですか? 妹は心配です」
「僕は別に……今はいいかな?」
さくらはため息を出す。
「妹的には兄さんは男好きではないか心配です」
「えっ!? ないない、僕は普通だよ!」
さくらの一言に蒼は当然驚く。
「友希那ちゃんやリサちゃんがいるのに兄さんが全く反応しないので妹的にはおかしいと思います」
「反応って……さくらの将来が心配だよ」
「……シスコン兄さん」
「シスコンって……僕は別に―――」
「…………」
蒼の前では言わないけど、さくらは“ブラコン”だった。
さくらは複雑になる。いつか蒼に素敵な人がいつ現れるのかと…………
……そして修理が終わる“この日”だった。
「ギターは僕が取りに行くよ。だから―――」
「兄さんだって今日は忙しいでしょう? ギターぐらい取りに行けます!」
この日はギターが取りに行く日であるが蒼はこの日は忙しかった。
「でも……」
「兄さんのギターは妹には預けられない事ですか……妹的には悲しいです」
「う……」
さくらの悲しい呟きは蒼には効果抜群である。
「わかった……でもさくら、ギターも重たいしナンパには気を付けてね」
「わかりました。ギターと一緒に恋人も連れてきましょうか?」
「こ、恋人……いるの?」
蒼はオロオロしていた。
「兄さんの友達。妹的には素敵な人」
「えっ!?」
蒼は驚く、蒼の良き友人は少ない方だから予想がつく。
「……嘘です。そろそろ行かないと遅れますよ」
「そうだった! 帰ってきたらいい演奏をきかせるよ!」
蒼は鞄を持って、走っていく。
「……楽しみにしてます、兄さん」
さくらは呟いた……
…………この会話が二人の最後の会話だった…。
「――――――ギターを受け取ったさくらは家に向かう途中、事故にあったんだ」
「!?」
紗夜は驚いたが黙っていた……話を聞いていた。
「さくらを取りに行かせたのが僕の後悔だった…………でも……」
「……でも?」
「現場にいた人からは“ギターは大丈夫ですか”と言っていたらしい」
「ギターは大丈夫だった……と言うことですか?」
蒼は頷く。
「ギターだけは無傷だった……ケースには傷がついたがギターだけは――――――ギターなんか壊れてもいいのに僕は……さくらが無事でいてほしかった」
「蒼さん……」
蒼がギターを弾かなくなった理由は大切な妹が失ってしまったこと……自分せいだと言い聞かせて……
葬儀でも人前では泣かず、一人になった時に泣いていた蒼……お姉さんが言っていたのはこの事だった。
「さくらさんの事はわかりました。私も悲しいです……ですが蒼さんはどうして私のギターで弾こうと思ったのですか?」
「…………さくらの音に聴こえたんだ」
「え……」
さくらの音……それは公園で二人が出会ったあの日であった。
「僕はギターが好きでギターを弾いた。さくらもギターを始めた……ツインギターもいいど、当時の僕はベースに変えて、ギターとベースのを始めようとしたんだ」
「そうだったのですか……」
最初の楽器がギター……蒼はギターから音楽を弾き始めた。
「全部ではないけどさくらの音が紗夜の音が時々聴こえて気になったんだ……今さらの話だけどね」
蒼は笑っていた。笑っていたけど悲しい顔でいた。
「蒼さん、ギターを私に聴かせてくれませんか?」
「僕は―――「蒼さんがギターを弾かないとさくらさんはずっと悲しいままです! きっとさくらさんも蒼さんがギターを弾いてくれるのをずっと待っています!」……紗夜…」
紗夜は叫んだ。蒼を叱っているように見えるが慰めていた。
「さくらさんは蒼さんがギターを弾くのをずっと待っています。そうしないと……ギターとさくらさんはずっと怒ったままですよ」
「…………紗夜」
「なんですか?」
蒼は紗夜を見る。
「…………どうして紗夜が泣いているんだ? どうして……」
紗夜は涙を流しながらもため息を出して、蒼に微笑みをかける。
「―――――蒼さんが泣いているからですよ」
「え……」
蒼は気がつかずに泣いていた……自分の手を目の下に触れると涙が手についた。
「(そうか……ずっと弾かずにいたからか……それはさくらもギターも怒るよな……なら―――)紗夜、僕のギターを聴いてくれるかな?」
「勿論ですよ……楽しみにしてます」
「ブランクがあるから下手だよ」
「その時は私が注意します……だから出来上がったら、家族の方にも聴かせてください」
「わかった……そろそろ乗ろうか。あんまり遅れると皆が心配する」
「はい……行きましょう」
二人はヘルメットを被り、座席に着く。
「紗夜……黙っていたんでが僕の免許では二人乗りはまだ違反なんだ」
「…………そうでしたか」
紗夜は驚いたが蒼の背中にしがみつくように腕を回す。
「安全運転でお願いします」
「……ありがとう紗夜」
蒼はバイクを発進させた…………夏の思い出に二人は違反を起こした……。
「(良い子は二人乗りのルールは守るようにね)」
数日後……
夏休みが終わる頃……響鬼蒼は自分の高校を訪れていた。
「(部活に入っていないから学校に来ることはないと思っていたな)」
蒼は部活に入っていない……体験はしたが入部はしなかった。
「(バイトもしたかったしな―――この部屋は正直、夏休み中は入らないと思ったが……)」
蒼は扉の前に立ち止まり、ノックをする。
「どうぞ」
学校にある部屋、生徒会室―――蒼は生徒会長に呼ばれていた。
「(まさか会長閣下の直々の連絡とは……)失礼します」
扉を開けて部屋に入ると窓際で黒眼鏡を手入れしてる生徒会長が立っていた。
「急な呼び出しですまないね雇われ君。まずは席へ」
「わかりました会長閣下」
背が高く、清潔間のある黒髪と身だしなみ……この学園の生徒会長。眼鏡をかけてソファで腰かける。
「(絶対ここは生徒会室じゃないよな)会長閣下、本日のご用件は?」
会長閣下……これを呼ぶのは響鬼蒼だけ。
「そう固くしないでくれ雇われ君。実は私でも少々困り事が発生したんだよ」
雇われ君と呼ぶのも生徒会長だけ。
「困り事……学園関係の事ですか?」
閣下からの困り事はだいたい学園関係の事……それは蒼も難解でもある。
「だが今回のは特別でな……一番簡単な問題でもある」
「……と言いますと?」
「…………」
会長閣下の目が真剣になる。
「…………」
蒼も真剣になる。
「…………君を花咲川女子学園に編入してもらう」
「・・・
……はい?」
あまりの真剣にとんでもない言葉を言われた蒼は反応が遅れた。
「簡単な話だが夏休み後からは君は花咲川女子学園に通ってもらう」
「あの……」
「勉学は君の事だから問題ないだろう」
「いや……」
「制服は男性用のをあちらから支給されるものを使ってほしいとのことだ……無償でな」
「だから……」
「男子は君一人……体育は頑張ってくれ」
「ちょっと……」
「ちなみに保健体育のは授業は―――「待ってください会長閣下!」……何か質問かな雇われ君?」
話が進みすぎて困惑してきた蒼……会長閣下は落ち着いていた。
「……女子高ですよね」
「勿論……よく本にある共学に向けてのテスト候補生と思ってくれればいいと言っていたな」
そんな夢物語があるのかと蒼は思った。
「色々と話が進んでいますけど……」
「この件は極少数の話でしか進められていなかったからね……嬉しくないかね雇われ君?」
「いや……花咲川側の女子達は納得していないのでは……」
閣下は特に問題はない顔をしていた。
「 七―――鰐部会長は承諾済みだ。役員は勿論、生徒の方もほとんどが解決へと向かっている」
「(解決?)…… 鰐部さんもなんて…… 」
蒼は打つ手がなくなっていた。
「そんな顔をしないでくれ……考えみたら牛込ゆりにも会えるのではないか? そう考えれば―――「 鰐部さんに言いつけますよ 」……さすがにこれは彼女達には失礼だな」
「…………」
蒼にはもう花咲川に通うしかなかった。
「花咲川、羽丘、我が校も共に立ち上げた結ばれた学校……絆が深いと思わんかね」
「絆……ですか」
なんでも立ち上げた理事長同士は“お友達”関係らしい。
「因みに理事長同士は面白そうとも言っていた」
「…………」
色々と考えるのが阿呆らしくなってきた蒼。
「嫌なら羽丘へ編入も―――「わかりました、会長閣下。夏休み後は花咲川女子学園に通います」……話が早くて助かるよ雇われ君……さすが以前に私の跡継ぎをお願いした生徒でもある」
「…………」
会長閣下は三年生……来年にはいない可能性がある。蒼も生徒会長の道があったが辞退した。
「君にも事情がある……次期会長も何とかなるだろう……期待してるよ雇われ君」
「わかりました会長閣下(花咲川か……紗夜は知っているのかな)」
この時の蒼の顔に会長閣下は首を傾けた。
「おや? 雇われ君には珍しい表情だな……」
閣下は不思議な顔をしてる……蒼は答えた。
「えっと……知り合いが花咲川にいるので……」
「ふむ……」
片手を顎に当てて、何かを言う。
「そう言えば羽丘もそうだが花咲もなかなかの―――」
「閣下そんなこと言っていると―――」
♪―――♪―――♪―――♪
「「…………」」
部屋に携帯音が鳴る……閣下の胸ポケットからだった。
「では編入の手続きは連絡でお願いします。失礼しました」
「……よろしく頼むよ雇われ君」
蒼は早足に部屋を出た。着信音で相手がわかったから……
「(会長閣下も大変だな)」
蒼は窓から見える外の光景を眺めた。
「まさか、こうなるとはな……」
玄関へと歩き出した……
「―――彼は承諾してくれた、問題はない…………わかった………………私が悪かったよ七菜」
電話を切り、胸ポケットにしまった。
「ふむ……」
会長閣下は立ち上がって、窓際に立つ。外を見ると蒼が校門を出る姿が見えた。
「雇われ君と風紀員は知り合い……彼にギターを持たせたことに感謝したいな」
会長閣下は笑っていた……
……このあと、鰐部七菜に怒られたのは言うまでもない……。
この時期にあわない話だなと感じました…………あっさりと終わらせた方がいいかなと思いました。
この状態で終わらせたのは自分の中でコラボな話が出来ましたのでそれに合わせた設定なので少しお待ちを……