恋をしたありふれた職業は世界最強 作:見た目は子供、素顔は厨二
日刊に載ってる…だと?
しかも18位…高くない?(綺麗なハジメくんがコアな作品だと思ってた人)
これは書かねばなるまい! と奮起した結果、八千字です。
ま、是非もナイヨネ!(長いのか短いのか判断が付かない)
急ごしらえなので雑だったりかもですが、許して誤字報告ください。
あと原作に【不屈】ってスキルありましたっけ?
感想欄見たら「勇者(笑)が持ってた」とか何とか…。
あるなら何処にあったのか教えてほしいです。
あったなら、名前変えるつもりです。
…何にしようか?
ーー雫side
八重樫雫は激怒した。必ず、かの天然ジゴロに一口文句を言ってやらねばならぬと決意した。雫には恋がわからぬ。雫は、元々剣道家である。剣を振り、技を磨いて暮らして来た。けれども他人の恋愛に対しては、人一倍に敏感であった。
「南雲くん! 理由は言えないし、申し訳ないとも思うけれど…一発殴らせてもらっていいかしら!? いいえ、殴るわ!」
「なんでさ!?」
朝食が終わって早々、一人自分の部屋で雑なご飯を食べていたハジメの胸ぐらを引っ掴みながら雫は右腕をハジメに叩きつけようとしていた。
だがハジメもただではやられない。そもそも理由も分からないのに、殴られるのは流石に勘弁してほしいところ。
そんな訳でハジメの匠の技が光る。
「“錬成”っ!」
「へ? ーーきゃっ!?」
雫の右足の床だけが隆起する。当然足元がそんなことになると思っていなかった雫はバランスを僅かに崩した。多少で済んでいるのは流石のチートスペックと元からの体幹の良さ故だが、それだけではない。
ハジメは過去体育で習った柔道の足払いを会心の出来で再現した。それはもう、武術を習う雫を倒すレベルでの再現だ。
ただ倒す先はハジメのベッド。ただの床だと危ないし、ベッドならばマット代わりになって良いだろう、という判断に基づくものであった。
雫は訳が分からないのかベッドに寝転がったまま動かない。ハジメはそこが好機とばかりに雫の頭のすぐ側に掌を叩きつけ、逃げられないようにする。
そうしてハジメは雫に問いかけた。
「八重樫さん…何で僕を殴ろうとーー」
「あ、あの、南雲くん! ちょっと恥ずかしいのだけど…」
「へ?」
問いかけようとして、赤面した乙女な雫に呆気に取られた。
ここで現在のハジメと雫の構図を整理してみよう。
・雫が仰向けになって寝転んでいる。
・ハジメがそんな雫に床ドン(故意では無い)状態。
・しかも場所はハジメのベッドの上である。
間違いなく『そういう』構図である。
それにようやく気が付き、ハジメは硬直した。同時に最近何やかんやこういうことが多いような気もしたが、気のせいにしておく。
兎も角ハジメにとって、最優先はーー。
「八重樫さん」
「あの…南雲くん。とりあえずこの体勢をーー」
「とりあえず殴るのは五発までにして貰えないかな? それ以上だと流石に死んじゃうと思うから」
「それよりももっと優先することがあるでしょう!?」
罰の譲歩の懇願であった。香織と『死なない』という約束をした手前、死ぬわけには行かないとハジメは最優先で雫に頼み込む。
なおハジメに罰をあやふやにするという思考はない。男たる者、それ相応の罰は喰らわねばならないと頑固たる決意を己の胸に刻み込んでいた。
ハジメは混乱している!
ならば頼みの綱は雫である。雫は常に冷静沈着。この非常にヤバイ状況もきっと解決に導くーー
「あの、あの、南雲くん!? ちょっと…だ、ダメよ…」
ダメだった。乙女化していた。
日頃の凛とした姿は何処へやら。顔から煙が出るかと言うほど顔が沸騰している。視線もあっちやこっちやらで、百面相。思考も呂律も全く回っていない。
雫は混乱している!
「そんな! なら…それならせめて回復薬を使わせて! そうじゃないと僕、耐え切れないよ!」
「た、耐え切れないだなんて…だ、ダメよ! 絶対ダメ!」
「…どうしても駄目かな。しばらく八重樫さんの言うこと何でも聞くから!」
「な、何でも!? ええっと…ってダメよ!」
「くぅ…、どうしよう」
話が一切合切噛み合っていない。互いの歯車が全力で空回りしていた。ハジメは段々と死地を覚悟する真剣な眼に。雫は段々とふにゃふにゃのふわふわになっていく。
まさしく永久機関。ハジメが話す度に雫が勝手に焦り、雫が話すほどハジメが誤解を深める。下手を撃てば二人は何時間も同様の事を繰り返すだろう。
だからこそ、こういった場面で水を刺す外野というのはとても大切である。
「…何をやっておるのだ、貴様ら」
「「あっ」」
そしてどういう訳かハジメの部屋に訪れたメルドの呆れた様なジト目が雫とハジメを見つめていた。それはもうジーーーっと。
ハジメはそこらのラブコメ主人公とは違い、冷静な判断が出来る男だ。なのですぐ様雫から離れると、メルドに両手を差し出した。まるで『僕が犯人です。自首します』と言っているかのようだ。
雫はそこらのラブコメの無責任ヒロインと違い、冷静な判断が出来る子である。なのでハジメからそっと離れ、すっとメルドに両手を差し出した。まるで『私が犯人です。自首します』と言っているかのようだ。
こうなると困るのはメルドだ。
状況も分からず、それなのに事の本人たちはそれぞれ自分が悪いんだと主張。両方共に反省している様子も伺えるので、怒るにも怒りづらい。
しかもハジメはハジメでマジで覚悟が決まっていた。メルドに「早く手錠を掛けてください」と悟った目で言った。
雫は雫で冷静になっており、頭から煙をぷすぷす。「シズク、オヘヤカエリタイ」と全力で幼児の精神に退行している。
「…とりあえず、何故こうなったのか聞かせろ」
さてここで問題は何故雫が最初にハジメを殴ろうとしたのか、である。理由を説明するため、話はハジメと香織が指切りを終わらせた後に遡る。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
本日の深夜2時頃、八重樫雫の意識は朦朧としていた。
ここ最近の夜はずっとこうだ。迷宮に行く前の夜もそうだったが、帰ってきてからの
「それでね! それでね、雫ちゃん! ハジメくんと指切りげんまんしたんだよ! ハジメくんってね、見た目はちょっと光輝くんとか龍太郎くんよりかは細いんだけど、指の形とか手の形ってやっぱり男の子のなんだよ! 小指を結んでくれたんだけどその時の力が思ってたよりも強くてちょっと驚いちゃったんだ〜。えへへ。ね! ハジメくんすごいでしょ! ね!」
「…うん、そうね。…分かったわよ」
「それで指切りげんまんしたんだけど、途中で歌詞忘れちゃってね! ついつい途中で歌うのやめて、ハジメくんに聞いたの。今思い出したけど、そういえば「針千本飲ます」だったね! でもハジメくんってば「でも白崎さんが望んでくれるなら、僕は死なないよ」っっって!! あの時のハジメくん、とっっってもカッコよくてね! 結局指切りげんまん歌い切らなかったけど、途中まで歌ったから多分約束にもなってるし、大丈夫だよね。…ねぇねぇ、雫ちゃん聞いてる?」
「…うん、そうね。.分かったわよ」
「うん! それでねそれからねーーー」
「…うん、そうね。分かったわよ」
「ーーー」
「…うん、そうね。分かったわよ」
そう、香織が見事に暴走していた。夜ご飯を食べ終わり、香織と雫が二人部屋に帰った8時頃からずっっっっっっっと、これである。香織が雫に一方的にハジメの情報を叩きつける『ハジメくん報告会』はこれにて通算20回となった。おめでたいようだが、雫的には寝不足の日の回数であるので良い思い出ではない。
また香織から情報が恐ろしいぐらいに入ってくるので雫自身、ハジメについて詳しくなってしまっている。ハジメの好みの漫画、アニメのジャンルやら、好きなキャラの造形やら、スマホの種類とか、ext…。いつハジメのスマホの種類なんて情報を活用できるのか。雫は当時、訝しんだ。
なおハジメがダントツで好きなキャラは黒髪の聖女であったとのこと。
まあ、その話によってハジメの事を気に掛けるようになり、ハジメが強い人間であると雫が気付いたきっかけではある。ただ感謝するにはこの会が始まると必ず雫が寝不足となるなど、被害があまりにも大きい。
そんな訳で雫は絶賛夢の世界に半身浴していた。現実世界では壊れたオーディオと化しているが、その辺りは大体香織のせいである。
ちなみにこの会議はその一時間後に見回りのメイドが二人の部屋を確認した際に終了した。その際、雫は寝ぼけている頭でそのメイドに感謝を口にした。なお、そのメイドが後日『お姉さまファンクラブ』に入る事となるのだが、それは少し先のお話。
さて、こうして何とか睡眠時間を得られた雫であったが、それでも多少ストレスはある。恨みに関しては香織:ハジメで8:2といった塩梅か。悪いのは突撃娘な香織である事は重々承知なのだが、ハジメに関しても「何、香織をこんなに興奮させてるのよー!!」とはなる訳である。
まあ、それでも二人の進展具合を見るのは嫌いではない。むしろ好きである。「とっととくっつけよ」と思わない事はないが、それでもあの二人を見ていると何だか微笑ましい気分になりはする。
それがこの世界での数少ない清涼剤とも言えた。幼馴染の光輝は絶賛暴走中だし、クラスメイトも中々面倒が多い。元々問題のあった檜山もここ最近は増長しており、ますます悪化を辿っている。更には頭痛を訴えるクラスメイトが少なくない数出てきて部屋に引きこもっていたり、あともしかしたらだけど遠藤がいない可能性も出てきている。
改めて整理すると「うわっ、私の悩み多すぎ?」となる様な状態であるわけで、ますますハジメと香織の清涼剤としての役割が雫の中で重要になりつつある。
それに香織と絡めなくても、ハジメ個人と話をするのもそれなりにストレス解消となっている。ハジメは話せば合わせてくれるのも上手いし、愚痴を聞いてくれる数少ない希少な人間だ。それに他と違って案外面倒を押し付けてこない。雫の周りがトラブルメーカーばかりな為、余計そのありがたみが雫の中では際立っている。
閑話休題
まあ、それでもストレスが溜まりはしているので今日は久しぶりにのんびりと一人で豪華に食事でもしようかしら…などとまるで子供から解放されたお母さんみたいな事を思いながら食堂へと向かっていた。幸い、香織は“治癒”の練習にいち早く出掛けており、光輝や龍太郎も各々の理由でいない。『お姉さまファンクラブ』が構ってこようとするが、やんわりと断ればそれも無くなった。
メニューは一番高い物を選んだ。貯蓄はある。そもそも雫は多忙な多忙を重ねており、休みなど取れていない。なので金は余る一方なのだ。
注文で出て来たのは悪い油の少ない牛肉と採れたてのサラダだ。魚料理でも良かったが、今日はガッツリ食べてストレスを紛らわせたい気分なのだ。
純日本人たる雫的にはご飯も欲しいところなのだが、保存方法が塩漬けと氷漬けしかなく、輸送に時間が非常に掛かるこの世界なので王都にはご飯もどきも届きはしないので無念である。教会関係者が必死に取り寄せようともしているが、難しいものは難しい。環境が複雑なこの世界では尚更だ。
幸い利用者は自分以外いない。何処を選んでも雫独占だ。
これは有難いと雫はすぐ近くの席に座り、王宮の筆頭錬成師が作り上げた箸で肉を器用に分けて食べ始めた。なおこの箸は木製であり、別に錬成師が作らなくても良かったことを追記しておく。
舌の上で肉が溶けて、上品な甘味が脳を刺激する。脂はしつこくもなく、さっぱりとしており、これぞ一級の肉であると頷かざるを得ない。
雫は変え難い至福の時を噛みしめ、何度も頷きながら咀嚼する。これぞ正しくリラックスタイム。今こそはストレスも悩みも忘れてただ目の前の料理を喰らい尽くすのみーー
「えっと…八重樫、さん?」
「……………」
目の前にいたのは園部優花。何故か雫の様子を伺っているようにも見える。
それもそのはず。雫は今現在、とてつもなく緩んだ笑みを浮かべていた。日頃の雫しか見ていないならば、そのギャップに目を剥くのは仕方がない。
公衆の面前ではまずお目にかかれない雫の様子が優花に見られたのは、寝不足が原因か。それともここ最近の物凄いストレスが原因か、単に油断していたのか、はたまたそれら全てなのか…。
兎も角、雫は顔をうつ伏せにして呟いた。
「………何でいるのよ」
「…その、ゴメン」
二人の間に微妙な空気が流れた。
「それで…一緒に食べて良い?」
「え、ええ。構わないわ」
いたたまれない空気も時間が何とか和らげてくれ、雫は何とか精神を立て直した。それを確認したのだろう。優花は向き合うようにして席に座った。
優花のご飯は雫とは違って軽いものだった。コッペパン5つと牛乳瓶がトレーの上に置かれており、「いただきます」と掌を合わせるとすぐにパンを黙々と食べ始めた。
ただ朝飯にしては量が非常に多い。しかもコッペパンは地球のものと違い、一つ当たりのカロリーが高く、腹にきやすい。だというのにこの量は…。
「…腹が減ってたのよ。朝から特訓してたから」
「へぇ、真面目ね。昼からも訓練なんて嫌って言うほどあるのに」
「一回死にかけたからね。つっても八重樫さんもほぼ毎日朝からやってるじゃない。今日は居なかったけど」
「…色々あったのよ」
まさか親友の話で寝不足になっているなんて愚痴、他人には言えなかった。
ただまあ、苦労人オーラは全力で滲み出ていた。優花は「あ、うん。ゴメンね」とだけ言うと、話題を強引に切換にかかる。
「そう言えば今度、天之河と一緒に帝国行くんだっけ?」
「…ええ、私達のパーティーだけね。恐らく【勇者】の光輝と【聖女】の香織を見るのがメインでしょうけど…。光輝がまた増長しないか不安ね。先に菓子折持って行こうかしら」
「なんていうか…ご愁傷様ね」
雫は頰付きしながら溜息を吐いた。
『ヘルシャー帝国』は軍事力などの面で言えば他国を遥かに凌駕する帝国である。その風潮は『弱肉強食』。力を持つものが上に上がり、無き者は廃れる。完膚無きまでの実力主義である。そして唯一『奴隷制』を認めている国でもある。
ハイヒリ王国では『ただ』排他されるだけの獣人族や魔人族、吸血鬼族、龍人族がそこにいる。…ただし他でもない奴隷として。
雫にはどう考えてもそれを光輝が見逃すことが
更に王国は他種族を『汚れた者』として見ている。とても王国の助けを得られるとは思えない。
だからこそ長期的な意識改革が現在考えられる最良の手段なのだが…光輝はそれも考えられないだろう。きっと皇帝相手に綺麗事のみで説得しに掛かる。それで成功することはないだろうし、むしろ相手の印象を悪くするだけだ。
せめて長期的に見れないものか…と雫は頭を痛める。優花も光輝のご都合解釈に関しては、異世界に来てよく分かってきたので雫の懸念に納得せざるを得ない。とりあえず比較的高い方のジュースを食堂で買い、雫にそっと渡す。
「…有り難く頂くわ。お代は?」
「要らないわよ。こうして改めて考えると八重樫さんって苦労してるし…これぐらいはただで受け取って、ね?」
「…なんだか悪いわね。愚痴聞いてもらった上に、奢って貰っちゃって」
「八重樫さんはもう少し頼り慣れたら?」
「そう言われてもね…」
光輝は頼りにはとても出来ないし、龍太郎は脳筋なので無駄。恵里とは最近、雰囲気が悪いし、鈴は頭痛によりそもそも相談できるとは思えない。
やっぱり相談するとすれば長年共にしてきた香織か何となく心安らぐハジメかーー
(ーーって何考えてるのよ!?)
ハジメは親友の想い人である。それなのに自分が彼の善意に漬け込むのは違う。そもそも彼も自分と同等かそれ以上に悪辣な環境の中にいる。それを思うととても相談などしてられない。
雫は雑念を振り払うように頭を横に振る。ポニーテールが荒ぶり、雫の頬をペチペチする。優花がその光景にぎょっとしているのには気がついていない。
「ええっと…まあ、慣れない内は私に話してくれれば良いわよ。一応接客業の娘として聞き上手な自信はあるしね」
「え、ええ。頼らせて貰うわ」
ただまあ、結果オーライというべきか。雫は希少な相談相手を手に入れたこととなった。本当に某鬼殺し漫画の一話が載っているジャ○プ並にレアなので助かる。
すると優花が思い出したようにある事を話題にする。
「そういや、一昨日南雲この前戻ってきたらボロボロだったけど大丈夫だったの?」
「ええ。香織がきっちり“治癒”で回復したわ。改めてだけれど…凄く早かったわね」
「その辺りは流石【聖女】ね。まったくあそこまで天職と本人が一致することって滅多にないでしょ…」
「いるでしょう? 例えば菅原さんとか」
「ああ、【操鞭師】…」
「ええ、【操鞭師】…」
妙子はドS。それは全員の周知の話であった。本人は隠してるつもりかもしれないが頭を隠して全身隠さないレベルで丸裸である。
そんなこんなで他愛のない話をしていると、優花が気恥ずかしそうにある事を尋ねた。
「そ、そう言えば八重樫さんって南雲の好きな物って分かったりする?」
「…好きな物? 分かるけれど、どうしたの?」
雫は何かが引っ掛かった。話題転換がかなり急だったし、何よりも先ほどまでよりも頰…と言うか全体的に赤くなっている。なんだかとても既視感のある優花の反応に雫の中の警鐘が何故だか鳴る。
こんな感じの顔、昨日の夜嫌と言うほど見たような…。
「あ、あれよ! 南雲に迷宮で助けられたからそのお返しというか…。ただ感謝するだけじゃ味気無いし、どうせだったら何かプレゼントしてやろうかなとかそんな感じよ!」
うん。
「だから…別に…そう義理よ! 義理! 助けられたって義理があるから何かしらアイツが好きな物あげれば喜んでくれるかなって思っただけだし! 勘違いしないで!」
本人は誤魔化しているつもりかもしれないが、雫には分かる。これは『ツンデレ』だ。本当に「勘違いしないで」とか言う人本当にいるんだぁ、とか現実逃避風に思ったりもしたが、心の奥底で雫が思ったことはただ一つ。
(あんの…天然ジゴロ野郎、どうしてくれようかしら)
筋力のステータスがこの世界の一般人平均を遥かに超える拳がゴキリッと音を立てる。優花にはその内心を見せないように笑顔を貼り付けているつもりだが、口元がヒクヒクしている。もっとも現在も言い訳を連ねている優花には見えてはいないのだが。
雫が親友と新たな友人の想い人が重なっていることに頭を悩ませる中、優花は照れ照れしながら言い訳を重ね続ける。途中、雫がブラックコーヒーを頼んだのも仕方がない。香織に続いて優花まで桃色前回なのだ。先程まで肉を食べていた舌がとてつもなく甘く感じるのは自然な話である。
結果、この話は訓練が始まるまで続いた。そして雫がハジメの部屋に向かうまでずっとハジメにどんな文句を言おうか頭を悩ませたのも仕方がないだろう。なんだかその途中、心がズキっとしたのはきっと気のせいだ。
そんな感じで雫はハジメと出会い頭、殴りに掛かろうとしたのであった。『天然ジゴロ、爆発しろ』と。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ーーとそんなわけです」
「なるほどな、理解した」
とまぁ、そんな二人の恋心を事の張本人にバラす訳にも行かず、雫はメルドだけに理由を話していた。なお本人は重りを自らに乗せていた。冒頭の一幕を未だに悪く思っているらしい。
「まあ、雫。貴様も流石に殴りに掛かるのはいかん。気持ちは分かるが、坊主と貴様のステータスを比べれば分かるだろう。一発でも死ぬ」
「はい…二度としません」
「あと愚痴は俺が聞いてやるし、手伝えることならば手伝おう。それで我慢してくれ」
「はい、ありがとうございます」
メルドも訓練の準備や事務仕事などが大量にあるだろうにそこまで自分たちを思ってくれるのに大人な度量を感じざるを得ない。
「そして坊主、貴様は爆発しろ。三人とはなんだ! 三人とは!?」
「何の話ですか!? 三人って何!?」
ただし、その度量をしてもハジメの状況は男として羨ましい案件らしい。…というか雫は二人と言ったはずなのだが…。
とりあえずカオスなあの状況がなんとか平穏となった為、メルドは部屋から出て行った。それを追いかけるようにして雫は出口へと向かい、そのすぐそばで止まると、ハジメの方へと振り返った。
「南雲くん、いきなり殴りにかかってごめんなさい。今度お詫びでもするわ」
「ううん。むしろこっちこそ。悩み事があったらいつでも相談してね? 八重樫さん、大変だろうから」
「…こんな時でも貴方は他人の事を気にするのね」
「うん? 何か言った?」
「いいえ、何も言ってないわ。それじゃあね」
そう言って、今度こそ雫は部屋を出て行こうとしてーー
「坊主!!」
「「ファっ!?」」
急スピードでハジメの部屋まで戻ってきたメルドに二人は目を見開いた。
「貴様に用事があった事をすっかり忘れていた! すまないな!」
「…用事って一体何のことですか?」
ハジメの脳裏に真っ先に浮かぶのは追放、逮捕、最悪処刑か。現在も冤罪を掛けられた身として自分の部屋に謹慎中なのだ。更に何かされても不思議では無い。当然、たまったものではないが。
しかしどうやらそう言った悲報ではないようだ。メルドの目は真っ直ぐとハジメに向いている。
「もしやすれば貴様を雇って貰えるかもしれん場所があってだな…
「本当ですか!?」
もはや使徒としての役目を失ったハジメに自由にできる金は無い。そのため今日のお昼も庭で取ってきた雑草である。それほど、ハジメはひもじい生活を強いられている。
そのためハジメからすれば雇い手が見つかるというのは無理にでも縋り付きたいような案件なのだ。このままでは本当に死活問題に関わる故。
「それっていったい…」
「まあ待て…これが俺が書いた推薦状だ」
メルドが取り出したのは一つの封書。丁寧に折られた封筒で金の刺繍で閉じられており、この話が冗談でない事をより信頼させた。
そしてメルドはニッと笑い、ハジメに言った。
「これは国家錬成師の一人、ウォルペン=スタークが開く工房への推薦状だ」
はい、そんなわけでハーレムルートになったのでちょっとはそれらしいの書いとこうという軽めのお話。
書いてて雫ちゃん、苦労してるな〜ってなった。
香織、優花、雫…彼らもまだ高校生。
故にまだ欠点はあるので、そこら辺の成長も書けたらなぁ…。
でもそれ消したらキャラのアクが濃いという原作要素が…。
兎も角、次回からちょっとずつ技術面とかそっちの話をします。
出来ればオリジナルスキルの話もしたいなぁ…。
それにしても気づきました、みなさん?
この話の中に原作との乖離点があることに。
どうしても必要だったんです、許して…。
ちなみに個人的には二つ仕掛けたつもりです。
気になる人は探してみてね☆
ps.
今週の鬼滅は手に汗を握りましたね!
ネタバレになるかもしれませんのでお口にチャックしますが…個人的に無残にスタンディングオペレーションをしたい気分です。
よくやった無残! 天国行ってこい! お前は最高だぜ!
もしまじでラスボスが彼となって二部いくなら…私は全力で応援する。
え? どっちを? もちろん彼の方さ!
(実は真っ当な主人公も好きだけど、闇堕ちも死ぬほど好き。光と闇が合わさって最強に見える)
再・ヒロイン投票
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香織オンリー
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香織&優花
-
原作通りのキャラハーレム