恋をしたありふれた職業は世界最強   作:見た目は子供、素顔は厨二

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ウォルペェエエエエエエエエンッッッ!!!!(ブチギレ)
テメェのせいでこんなに時間かかったんだよ!
原作でのセリフ少な過ぎねぇか、お前!?
しかも発狂シーンばっかだよ!
…そんな訳で自己解釈EXを用いて書きました。
それではどうぞ!(ヤケクソ)


2、国家錬成師、ウォルペン=スターク

 ーーハジメside

 

 ウォルペン=スターク、彼は『ハイリヒ王国』が囲んでいる多くの【錬成師】の中でも『棟梁』の位に属する筆頭錬成師である。国が保有するアーティファクトの整備も行っており、加工が困難と言われるアザンチウム鉱石をも容易く“錬成”することが出来る腕を持つ。

 

 先日メルドからウォルペンの工房の推薦状を受け取ったハジメは一夜“錬成”の特訓を重ね、本日メルドと共に工房へと足を運んだ訳だったのだが…。

 

「うぉおおおお…」

 

 ハジメにとってまるでそこは宝の山だった。

 

 滅多にお目に掛からないような鉱石の数々が棚に並び、煌めいている。王国から当てられた最低限の食費さえも犠牲にして、鉱石を買っているハジメだがとても手を出せないほどに工房にある鉱石は値が非常に高い。

 

 ちなみに言っておくとこの前の昼飯が雑草だったのはハジメが食費を犠牲にしたことで財布がすっからかんになった為である。決して国から虐められているとかそんな事ではない。

 

 閑話休題

 

 こんな夢の光景(錬成師時点)が工房の入り口からすぐに広がっているというのだから、ついついハジメは度肝を抜かれ、目をキラキラと輝かせていた。

 

「…坊主、感動しているのは分かったが早く行け。ウォルペンが待っておるのだぞ」

「すみません。今までショーケース越しにしか見たことが無かったので」

「…言い方は悪いかもしれんが、このような石ころがそれほど貴重な物なのか?」

「そりゃあそうですよ! こちらのタウル鉱石なんて滅多に見れない代物ですよ! それにこの緑光石もオルクス迷宮でしか取れない物でして、更にはこちらのーー」

「あー、分かった分かった。分かったから早く進め、坊主」

 

 ハジメが異世界に来て間もなく鉱石オタクになってることにメルドは半端諦め気味にスルーしながら、ハジメに先に行くよう促す。確かに待たせるのも悪いのでハジメも渋々と言った様子で進み始める。

 

「っ!?! アザンチウム鉱石!? グラム単位で幾万ルタとする代物がこんな塊で!? 流石王宮の工房! 凄い!」

「さっさと行くぞ! 坊主!」

 

 超激レアな鉱石にハジメが「異世界来てから最高潮じゃね?」クラスの大興奮を見せる中、遂にメルドが切れた。鉱石オタクの蝸牛の如き歩みの遅さに耐え切れなかったらしい。

 

 結果、ハジメは肩を落としながら「……はい」と答え、アザンチウム鉱石に背を向けた。

 

「だがまぁ、貴様のその様子ならウォルペンとも良く出来るだろうな」

「…?」

「似た物同士、と言うことだ」

 

 メルドは「俺には理解出来んがな」と溜息をつきながら、数多くの錬成師達を傍目に真っ直ぐ突きすすむ。錬成師達はメルドという王国最高クラスの権威を持つ物を前にも関わらず「お疲れ様です」の一言だけで、すぐに手元の作業に没頭した。

 

 ハジメは錬成師達の仕事を横切る度に目に焼き付ける。否、読み取る(・・・・)。そしてその“錬成”の精密さ、素早さ、丁寧さに息を飲んだ。

 

(これがっ、最高峰の仕事!?)

 

 ハジメの“錬成”で張り合えるとすれば速さだけであろうか。仕事の細かさや機能美、そして一切損なわれない見た目の絶妙なバランス。錬成師達の仕事がハジメに語りかける。一流の仕事とはこういう(・・・・)ことだ、と。

 

「着いたぞ。ここがウォルペン専用の工房だ。大体奴はこの部屋に二十四時間いる」

 

 ハジメが職人達の腕に酔いしれている間に目的の場所へと辿り着いたらしい。メルドは「お前が先に入れ」とアイコンタクトで促した。確かにこれから工房に入ろうとしている身だ。自分の手で扉を開けるのが筋という物だろう。

 

 ゴクリとハジメの喉が鳴る。そして自身の手で部屋の扉に手を掛けた。

 

 すうぅと息を吸ってハジメは扉を開き、溌剌と大きな声で挨拶をした。

 

「初めまして! ウォルペンさんの工房に入門を希望します、南雲ハジメといいまーー」

「ひゃっふー!! 遂に出来たぞーー!! 剣と杖、どちらもの機能を成す可変武器! 『ベッグ・ユー』の完成だぁーーー!!!」

「え!? 可変武器!? 何それロマン!」

「ほぉう! そこの小僧、話が分かるな! ちょっとこっち来やがれ!」

「はい! 失礼します!」

 

 ただし、その挨拶はそれを掻き消すレベルの奇声により無意味と化す。更に事の張本人達はロマン武器に目をキラキラとさせ、推薦状の事など頭の中から放り出した。

 

「まずこちらの剣フォームは周囲に風の刃を纏わせる! これにより剣から十センチ離れた箇所でも斬撃が届く仕様だ! 古代の破産したアーティファクトから作り上げた会心の出来!」

「間合いを誤魔化すんですね! 僅かでもズレると厄介ですし! まるで『インビ○ブル・エア』みたいですね!」

「その通り! というかその名前良いな! 貰お! だがしかぁし真骨頂はこの魔法陣! この魔法陣は単なる生活魔法の延長線でしかない為、魔法適性を持たぬ者でもスムーズに扱える! 小僧、一度込めてみろ!」

「はい! 失礼しま…おお、本当に変形しましたね! 素早く、尚且つ魔力の回路にも無駄がない!」

「その通り! 魔法陣に魔力を込めることにより、杖の形に切り替わる! 更に形が変わることにより先程までの斬撃強化とは違った機能が発言しーー」

 

 童心へと帰る男達が若干二名、ロマン武器を褒め称える中、メルドは呟いた。

 

「…うむ、やはり息が合うな」

 

 置いてけぼりにされた悲しみが、メルドをそっと抱きしめた。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「えーっと、若干話し込んでしまいましたけど…改めまして、南雲ハジメです」

「丁寧な小僧だな。分かっちゃあいるだろうが俺がウォルペン=スタークだ。よろしくな」

 

 二人は散々ロマンを語り合った後、ようやく本題を思い出したのか事務室へと入り、挨拶を交わした。名前を聞けばハジメが王都で裏切り者とされているその人だと分かる筈だというのに、ウォルペンは顔をしかめる事もなく単に頷いた。

 

 ハジメにはそんな反応がとても新鮮だった。大体の場合は嫌そうな顔を剥き出しにしてくるし、香織や雫の場合には多少哀れみとかそういうのが篭っている。

 

 だがウォルペンはハジメの外聞など気にしていないとばかりに話を続けた。

 

 その一方でメルドはそれもその筈だと、呆れているのか、敬っているのか複雑な視線と共にウォルペンの悪癖を語る。

 

「坊主、ウォルペンはそこらの奴よりも余程欲深い。ただただ腕が良い【錬成師】と言うだけで元盗賊なり、元反乱軍だったり、奴隷だったり、亜人とのハーフだったりと何でも自分の工房に入れたがる。それが原因で何度コイツは聖教教会や王族から注意されたことか…」

「ハハッ。やめろって言われても無理なもんは無理だっての。俺が作る武器が更に上のステージに行けるかもしれねぇんだぜ! 面白そうな新人は入れなきゃ損ってもんだろ!」

「貴様の場合、腕が確か故に上層部からも殺されはせんが…それでも面倒は増えるだろうに。まあ、それが貴様の美点でもある訳だが」

 

 ちなみに言っておくとメルド=ロギンスとウォルペン=スタークは互いに幼馴染である。ただしロギンス家が貴族の名家であるのに対し、スターク家は王都の住宅街に家を構える平民の家と真反対。それでも二人の豪放磊落な性格が見事に合致し、長年良くやっている訳である。

 

 それは兎も角ウォルペンはメルドから受け取った推薦状を手に取ると、すぐ様破り捨てーー

 

「ーーって、ぇえええええええ!?」

「こう言うのはいらんつってんだろ。まどろっこしい」

「形だけでもしっかりしておこうと思っただけだ」

「いらねぇわ。ゴミ増えるだけじゃねぇか」

 

 めちゃくちゃ高価そうな手紙をそれはもうビリビリにした。そしてあっさりと書類を破り捨てたことに驚くハジメへとウォルペンは悪戯が成功した子供の様に笑い掛ける。

 

「小僧、さっきメルド(コイツ)が言ってたろ? 俺にとっちゃあ雇う奴の外聞だとか身分だとかはどうだっていい。それこそ小僧みてぇな他称『裏切り者』だろうとな。俺の判断要素はただ一つしかねぇ」

 

 そしてウォルペンは更にハジメへと顔を近づけ、笑みを深くした。

 

「ーー興味がそそられるか何もねぇかだ。さぁ見せてみろ、小僧。テメェの“錬成”を」

 

 ウォルペンは己の横にある棚からある物を取り出した。それは先程、ハジメが夢中になって見つめていた物と相違無く、眼を剥くに値する代物だ。

 

「それは…」

「アザンチウム鉱石、【錬成師】の端くれなら誰でも知ってる世界一の硬度を持つ鉱石だ。何つっても上級魔法にも耐えられる様な代物だ。当然、その性能に比例する様に加工難易度も高い」

 

 黒鉄色の鉱石がハジメの目の前に置かれた。

 

 本来、アザンチウム鉱石とは初見で扱っていい物ではない。対物理、対魔法どちらにも優秀な防御性能を誇るこの鉱石は当然“錬成”に対しても耐性を持つ。その為、他の鉱石で“錬成”の腕に磨きを掛けてからこの鉱石に挑むのが普通というものだ。

 

 そしてそれだけ練習してなおアザンチウム鉱石は【錬成師】としての関門として数えられる。それほどにこの試験の難易度というものは非常に高い。

 

 この世界に来て1ヶ月経ってどうかという者ならば尚更の話だ。

 

「見るにコイツに触れるのは初めてって所だろう? だが“錬成”の筋道を立てるってのも【錬成師】にゃあ必要な要素だ。やれるだけやってみな。アザンチウムを変形させられずとも、テメェに面白そうな所があればそれで一発クリアだ」

「だが坊主はまだこちらに来て浅い! それはあまりにも無茶とーー」

「メルド、テメェの親切心なんざ今はどうでも良い。第一、そんな親切心で“錬成”の腕が良くなるわけでもねぇ。俺が欲しいのは腕だけだ。テメェもそれを承知でここにコイツを寄越したんだろうがよ」

「……」

 

 メルドがここにハジメを推薦したのは腕が良いからとかそんなものではない。言うなればハジメの力になりたかった、それだけだ。あの迷宮での借りにどうにかして報いたいとここに招待した。

 

 だがウォルペンからすればそんなことはどうでもいい(・・・・・・)。ウォルペンが信じるものはその者が持つ腕のみ。

 

 だからこそウォルペンはハジメをあくまでも『挑戦者』として見る。いつもと変わらず『いるか』、『いらないか』の二択だけを選択肢とする。

 

 そしてメルドはそんな友人の頑固さは承知の上だ。しかしハジメはまだ【錬成師】としては若輩者。玄人であろうと落ちかねないこの試験を乗り越えられるとはとても思えない。

 

 ここ以外の工房ではハジメはきっと話を聞く前に弾かれる。そして他の職ではもっての外だ。だからこそハジメにとって上を目指すならばここが最後の砦だ。

 

 もしハジメがここに入れないとなればそれこそハジメは一生を悪意と共に過ごす事になるかもしれない。そんな万が一の事を考えるとウォルペンのことは最もとはいえ、どうしてもやらせない気持ちとなる。

 

「大丈夫です、メルドさん」

「坊主…」

「僕は絶対に、ここに入りますから」

 

 だがメルドの心配とは裏腹にハジメは何処までも真っ直ぐにその試練と向き合った。微妙な震えこそあれどそれは武者震いに他ならない。

 

「ハハッ、いいぜ。やってみろ小僧」

「はい。試験、受けさせて頂きます」

 

 そしてハジメは“錬成”の魔法陣が描かれた手袋越しにアザンチウム鉱石に触れた。

 

 体が熱い。故に鉱石の冷たさが際立って感じる。

 

 意識を整える。今まで過ぎてきた修羅場を思い返し、それにこの試練は匹敵するのだと再三念じる。

 

 魔力を発露させる。ハジメの体から蒼く、沸々と燃え上がる。

 

 そしてハジメは呟いた。死地にて手に入れた新たな力の名を。

 

「“解析”」

 

 ハジメはその瞬間、全てを読み取り(・・・・)始めた。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 ここで突然だが、ハジメの現在の技能の幾つかを説明する必要がある。

 

 基本的に技能とはその人物自身の才能、努力、経験、そして抱く野望、それら全てを統合した結果として発生する。そのため、個人オリジナルの技能が発生するというのもそう珍しい話ではない。

 

 例えば天之河光輝の“限界突破”が最もたる例だろう。“限界突破”は【勇者】限定の技能であり、才能に沿った技能である。だがその後に現れる派生技能については保有者の経験や努力の傾向からオリジナルの物に派生し易い。それこそ正しくオンリーワンとなり得る。

 

 だがオリジナルの技能というものは当然ながら発生しづらい。それは余程本来からは掛け離れた経験などを重ねるというのが前提だ。

 

 少なくともマニュアル通りの技能の使い方や何となくで生きている様な人生ではオンリーワンになどなれはしない。

 

 では本来非戦闘職で、それまで戦いのイロハさえも知らなかった少年が剣を握ってすぐにラスボス級を足止めし、気絶するほどに体を酷使。その後に犯罪者扱いされ、心を悩ますも再び死地にて己の在り方を取り戻し、ステータスが低い身でありながら魔物の群れをたった一人で殺し切った。

 

 これは果たして『普通』と言えるだろうか。否、当然ながら言えやしない。まず【錬成師】は戦うことがしないのが普通な時点で根本がズレている。

 

 だからこそハジメはおかしかった。ステータスこそは平凡なれど、技能欄に関してはレベルが一桁の身であるにも関わらず、三つものオリジナルの技能を獲得していた。

 

 それこそが“集中”、“不屈”、そして“解析”だ。

 

 これらの技能は死の直前まで至ったハジメの願いに応え、発生したものだ。

 

 ーー強くなりたい。

 

 ーー死にたくない。

 

 だからこそこれらの技能は【錬成師】という戦いからは本来遠ざかるはずの少年を、不相応から相応に至らせるが為に生まれた。

 

 より“錬成”を戦いに組み入れられるよう、スピーディーに、臨機応変にする為に。未熟な腕を生まれ持った鋼の精神で賄うが為に。最後の最後まで泥臭くとも、地獄を見ようと足掻き切るが為に。

 

 ハジメの全てがここに至らせた。

 

 特殊技能“集中”…保有者が一定以上の集中を行うと発生する自動的技能(オートスキル)。強制的に人が至れる最高値まで集中力を引き上げる。任意での操作不可能。

 

 特殊技能“不屈”…恒常性技能(パッシブスキル)。保有者はどの様な状況であろうと気絶する事が出来ない。睡眠不能。脳死不能。なお本来体の機能が停止するような状態になった際には器官は停止するが、精神と感覚神経は正常通り働く。

 

 派生特殊技能“解析”…能動的技能(アビリティ)。指定した範囲間に存在する凡ゆる物の構造、性質、状態を理解する事ができる。ただし“解析”の深度は発動者の集中力に比例する。また範囲は自由に拡大、縮小、選択が可能であり、上限はない。

 

 “解析”、“集中”、そして“不屈”。この三つの特殊技能の相性は最高であり、最悪とも言える。

 

 まず“解析”だが、これは鉱石に関わらず指定した範囲にあるもの全てを発動者の脳味噌に叩き込む技能だ。これだけでは本来の技能、“鉱物系鑑定”という鉱石しか鑑定しない技能の上位互換に聞こえるが、使い手が人である限りそうとは言い難い。

 

 “解析”の指定方法はあくまでも『範囲』だ。そしてその範囲にある物全てが解析対象となる。それはつまり必要以上に鑑定が行われる事に他ならない。

 

 一方で“鉱物系鑑定”などの一般的な鑑定系技能の指定方法は『物体』だ。つまり必要外の物を指定しないスマートな鑑定方法となっている。

 

 更に“解析”は“集中”により常に全力出力を発揮する。どのような状況であろうとハジメが集中してさえしまえば、一瞬で“集中”は発動する。それに使用者の意思は関係がない。

 

 当然ながらそれだけの知識が一瞬で入り込めば、ショックにより安全装置(セーフティー)が下り、気絶を起こす。そうすることで脳の負荷を抑え、正気を維持するのが体の普通だ。

 

 だがハジメの第三のオリジナルスキル“不屈”がそうはさせない。“不屈”の能力は単純に言えば『気絶無効化』、『睡眠無効化』、『脳死無効化』だ。それは安全装置(セーフティー)の意識の断絶をも防ぐ。同時に“不屈”は知識による脳死もさせはしない。

 

 だが正気で居させる技能は無い。あくまでも“不屈”は精神の逃げ場を無くすだけの技能だ。不屈の心が大前提となってようやくメリットとして輝く技能である。

 

 ーーたとえ地獄を歩もうとも、己の道を行く。

 

 そんなハジメの覚悟がこの技能達の全てであった。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 集中力が激痛も不快な音も全てを掻き消す。

 

 深海に沈み込んだかの様に世界は静かで暗い。そんな“集中”の絶海の中、ハジメはアザンチウム鉱石を覆った範囲の“解析”を開始する。

 

「ーーーっっ!!?」

 

 この瞬間は何度(・・)経験しても慣れない。鈍器で頭をぶつけられたかの様に情報が頭に雪崩れ込んだ。目的のアザンチウム鉱石以外にもそこに存在する魔力の残滓や電子、部位ごとの熱、人が触れた際に着いたのであろう脂ーー凡ゆる情報がそこにはあった。

 

 情報が溢れ返る中、ハジメは全力出力の“集中”によりアザンチウム鉱石の情報を探し出す。アザンチウムの構造や性質、他の鉱石が混じっている割合などを隈なく掻い摘んでいく。

 

 必要な情報は手に入れた。“解析”が解除され、意識の濁流から浮上するとすぐに“錬成”を発動した。

 

 先程までに手に入れた情報を元にアザンチウムの原子一つ一つが“錬成”により導かれていく。そこには未だ丁寧さは無いがアザンチウム鉱石を加工しているとは思えないほど素早く形を成していく。

 

 メルドは素人ながらハジメの弩級の“集中”に目を剥き、ウォルペンはハジメの“錬成”のあまりもの異端さに笑みを深める。

 

 そんな両二名の反応は“集中”により、ハジメの目には映らない。その目は鉱石だけを見つめ、求める形を再現しようと蒼い光をなお一層強く込めーー。

 

「ーー小僧、そこまでだ」

 

 瞬間、猫騙しがハジメの目の前で炸裂した。

 

 ここで外界の現象などガン無視していたハジメが鉱石の視界を塞ぐ様にして、大音量が炸裂したとなればその反応はどうなるか。

 

「〜〜〜っっっ!?!!?!??」

 

 結果、ハジメはその場から瞬時に飛び逃げた。体がロケットの様に後方に打ち出され、アザンチウム鉱石に触れていた手が万歳ポーズになって、声にならない悲鳴が上がった。

 

 そして打ち出されたハジメほ真後ろの壁に思いっきりぶつかった。鈍い音を派手に鳴らし、地面に崩れ落ちーーようとしてすぐ様顔を猫騙しの音源、ウォルペンに向けた。

 

「ななななななな何ですか!?」

「ビビり過ぎたろ。どんだけ集中してたんだよ…」

 

 呆れた様なセリフを吐くウォルペン。しかしその呆れた様な調子は言葉面だけでしかなかった。言葉の調子はあまりにも明るく、顔もキラキラと輝いてハジメを目に映している。

 

 誰がどう見ても分かる。ウォルペンはハジメをロックオンしていた。

 

 ーー『職人の本能』オ〜〜ンッ!

 

 ーーリミッター解除入りま〜〜す。

 

 ーー獲物『ナグモハジメ』、捕獲開始ッ!!

 

「取り敢えずだ、メルド…」

「へっ?」

 

 メルドが溜息を吐く中、ウォルペンはハジメの襟を掴み、ウォルペンの工房。ハジメは呆気に取られた。そして間抜けを晒す獲物を野獣が逃す道理は無い。

 

「この小僧、1ヶ月ぐらいは借りてくぞ!」

「ちょっ!? まっ!? ぐえっ!?」

「おう、気に入った様で何よりだ」

 

 ウォルペンは【錬成師】ではあるが、ハジメよりもステータスは高い。その結果、ハジメは為されるがまま事務室からウォルペン個人の工房へと音速で引き摺り出されていった。

 

 ギギギッと音を立てて、二人が出ていった扉が閉じた。同時に茶飲みがビキッと割れた。更に外から黒猫と鴉の鳴き声が響いた。なんだかハジメのこの先に不幸がたっぷり待ってそうな感じがする。

 

「…まあ、坊主なら大丈夫、か?」

 

 なんだか最後まで取り残され気味なメルドは取り敢えずハジメの事は大丈夫だと思い直す事にした。




という訳でハジメのハイリスクハイリターンスキル一覧説明完了!
ちなみに“不屈”はハガレンのアルフォンスくんの「一人ぼっちの夜は嫌だ」的なセリフから発想。
それを悪意でデコレーションした。
“解析”と“集中”は『蜘蛛ですが何か』の【探知】を参考にした。
なおこれらのスキルで前提となる『鋼の様な精神力』は自前で用意する必要がある畜生設定。
しゃあないよね、人間だもの(反省も後悔もない)

なおこの小説ではメルドとウォルペンは同期の扱い。
よくこの二人で城下町ぶらりして、お酒飲んで飲んで道端で倒れてる。
どちらも豪放磊落な感じだけど、最近メルドは使徒のお世話をしてるせいか父性が目覚めつつあるのでマシになってきてる。

そういや一章オープニングの『蒼』の具体例、ようやく思い付きました。
ブラックローパーですね!
スッキリした!

ちなみにハジメの“錬成”のスタイルはマジで異端。
それを多分次回説明する感じ。
それではまた次回〜♫

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