目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。   作:ただのポケモン好き

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11話 VSフリージオ

「ムンナ。勝つわよ」

「ンナッ!(なに当たり前のこと言ってるんだよ)」

 

 もう後がない。ムンナが負けたら僕たちの負けだ。そしてフリージオの攻略の糸口は一切掴めずにいた。あの高すぎる防御力にじこさいせいという回復技。それをどうやって攻略するつもりなのだろうか。

 

「ムンナ! あくび!」

「フリージオ。目をつぶれ!」

 

 ムンナの得意のあくび。ニシンは既に攻略法を見出したようで、簡単に攻略してしまう。

 それに対してナナが下唇を噛む。

 

「ムンナ。今のままじゃ勝てない」

「ンナッ?(は?)」

「だから、戦いの中で次のステップに成長するわよ! 私もムンナも!」

「ムンナァァァ(あったりめぇだ!)」

 

「くだらん。フリージオ。れいとうビーム」

「ジオッ(凍り付け)」

「ムンナ。右に避けて!」

 

 ナナの指示通りにムンナは動く。見事にれいとうビームを避けて、フリージオの真横に周り、その一瞬にナナが指示を出す。

 

「そのままやつあたり!」

「くだらん!」

 

 フリージオは攻撃をそのまま受ける。ムンナの攻撃でもビクともしない。あまりに硬すぎる。このフリージオを倒す手はないのか……

 

「フリージオ! こうそくスピン!」

「しまった!」

 

 ムンナがフリージオの攻撃をもろに喰らう。しかしムンナはなんとか耐えたようでナナの方を見て、まだやれると言いたげに頷く。しかしムンナも相当なダメージを受けてるはずだ。恐らく、あと一度でもこうそくスピンを受けたら……

 

「……ねぇムンナ。さっきのタマザラシの動き。覚えてる?」

「ンナッ(ああ!)」

「あれと同じ要領で動いて!」

「ンンンナァ!(信じてるぜ。ナナ!)」

 

 ムンナはその場で転がり始めた。これはまさか……!

 

「ムンナ! ころがるよ!」

「フリージオ。れいとうビームでムンナを向かい打て!」

「ジオッ(容易い)」

「正面から来る! 重心を少し右に傾けて避けて!」

「なっ!」

「あとは直線! そのまま突っ込みなさい!」

 

 ムンナのころがるがフリージオに命中した。それに対してフリージオが吹き飛ばされる。しかしすぐに起き上がり態勢を整える。初めてフリージオが見せたダメージらしいダメージだ。これならいける!

 

「……普通のムンナはころがるは覚えないだろ!」

「うちのムンナは賢いの。普通のムンナと一緒にしないでくれる?」。

「へっ! 面白れぇ! 燃えてきたぜえぇぇぇ! あんたら最高だよ!」

「ムンナ。そのままころがるを続けてフリージオにもう一撃決めなさい!」

「フリージオ! ムンナをこうそくスピンで迎え撃て!」

 

 ムンナのころがる。フリージオのこうそくスピン。それらがぶつかり合い、互いに吹き飛ばされる。それによりムンナもフリージオもボロボロになる。しかし両者必死にトレーナーの想いに答えようと立ち上がった。あと一撃だ。あと一撃でも入れた方が勝つ!

 

「ムンナ! ころがる!」

「フリージオ! ムンナに勢いがつく前にれいとうビームでとどめだ!」

「しまった!」

 

 フリージオのれいとうビームの方が僅かに速かった。れいとうビームはムンナに直撃してムンナを凍らせる。もうムンナは動けない。でもムンナもナナもまだ諦めていなかった。

 

「ンナッ……ンナッ!(くそっ……動けよ!)」

「ジオッ。ジオ(諦めろ。もう俺の勝ちだ)」

「ムンナ。頑張って!」

「諦めろ。あの状況でれいとうビームを受けてなお、戦闘不能にならないのが奇跡だ」

「ムンナ! 私をチャンピオンの高みまで連れていってよ! 私にはムンナの力が必要なの!」

「フリージオ! とどめのこうそくスピンだ」

 

 その時だった。ナナの呼び掛けに応えるかのようにカシャンとムンナの氷が割れた。ムンナがそのまま動き出す。この距離ではころがるは間に合わない。しかしムンナには策があるようだった。

 

「ンナッ! (仕方ねぇな!)」

「ジオオオオオオオ(この技はやつあたりか。それは効かん!)」

「ンナァ……(ちげょよ。おんがえしだよ)」

「ジ、ジオ!(な、なに!)」

 

 ムンナはそのままフリージオを体で弾いた。こうそくスピンをしてるフリージオに突っ込んでいったのだ。ムンナもかなりのダメージを受ける。しかしムンナは踏ん張った。そして、そのままフリージオを弾き飛ばした。フリージオは地面に数回バウンドして戦闘不能になる。一撃。たった一撃がフリージオを打ち破ったのだ。ムンナがナナの想いに応えるかのように放ったおんがえしはフリージオを戦闘不能へと追い込み、勝利を掴んだのだった。

 

「ンナッ! ンンンナァ!(見たか! 俺たちの勝ちだ!)」

 

 そしてムンナは限界だったのか、その場にバタッと倒れ込んだ。ナナが慌ててムンナに駆け寄って元気の欠片を食べさせる。そしてムンナに優しい一言を言う。

 

「ありがとね。ムンナ」

「ンナァ……(おうよ)」

「良いものを見せてもらった。ムンナに全力でぶつかり、ムンナを信用する。そんなナナだからこそムンナはナナの想いに答えたのだ」

「そうですね。ほんとに今回のバトルはムンナに助けられっぱなしでした。もちろんダークライにも」

「さて、そんなムンナ、そしてダークライの奮闘にトレーナーであるナナの最後まで諦めない心を称え、ピュールバッジを授けよう!」

「ありがとうございます!」

 

 そしてナナは初めてのジムバッチを手に入れた。ナナが無邪気に喜ぶ。お世辞にも簡単に勝てたとは言えないジム戦。何度も危うい場面はあった。しかし勝てたのだ。このメンバーだからこそ勝てたのだ。

 

 しかし勝ったという実感が湧かないな。あのフリージオを倒したというのが未だに信じられない。それほどまでに強かった。

 

「改めてダークライ! ムンナ! 勝ったよ! みんなで初めてのジム戦に勝ったよ!」

 

 でも僕たちは勝ったのだ。間違いなく勝ってジムバッジを手に入れたのだ。しかし同時に思った。僕はもっと強くならなければならないと。今回の僕は眠ったタマザラシを倒しただけ。タマザラシを眠らせたのはムンナ。そしてエース格のフリージオ。それに関しては手も足も出なかった。結局のところフリージオもムンナが倒したのだ。僕は殆ど活躍していないのだ。僕はほんとにナナをチャンピオンの高みに連れて行けるのだろうか?

 

 

 周りが喜ぶ中で僕はボールの中で一人そう思っていた。

 

 

 

 


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