目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。 作:ただのポケモン好き
あれから数時間メアと話した後にナナは部屋に戻った。そしてペンと紙を持ってなにかを箇条書きしていた。そして途中で力尽きたのか、ぶっ倒れて寝た。
軽く横目でナナが書いていたものを見ると今までのポケモンバトルの内容が詳細に書かれていた。しかも書いてあるだけではない。負けた勝負は赤ペンでどうすれば勝てたのか。勝てた勝負は青ペンでどうすればもっと安定して勝てたのか。そして、どちらも共通して、そのトレーナーの癖と戦闘スタイルを書いていた。ナナは今までの対戦を振り返りながら、自分にしか出来ない戦い方を模索しているのだ。
次の日、ナナは視線を外すことなくずっと他人のポケモンバトルを見ていた。そして気付いたことがあればすぐにメモするようにしていた。そしてポケモンバトルを見て二時間が経とうとした時だった。
「スリーパー。さいみんじゅつ」
「クソッ! 避けろ! コラッタ!」
「無駄です。かなしばりされたのを忘れました?」
その勝負の途中、ナナが急に立ち上がった。まるでなにかを閃いたかのようだった。一体なにが分かったというのだろう……
「……コラッタ……眠り! どうして私は忘れてたんだろ!」
「ン?」
「ダークライ。やっと分かった! あなたの本当の強さを引き出す方法が! お兄ちゃんの言っていた意味が!」
それからナナは本を出した。山を下る時にソリで読んでいた本。タイトルは『シンオウ地方の怖いポケモン』というものだ。
「ここの百二十一ページ。【黒一色のポケモンが放つ闇の玉に触れた時、ありとあらゆるポケモンは立っていられない】恐らくそれは眠ったから! そして!」
ナナが走り、ポケモンセンターの図書コーナーに行く。そこで『ポケモンの技大百科』という分厚い本を取り出し、とあるページを開いた。そこには『ダークホール』と書かれていた。
「この技は今まで『ゆびをふる』という技でしか起こされていない技。この技は広範囲に触れたら即眠りの闇の玉を放つとされている強力な技。おそらく未発見のポケモンの限定技だろうと考察されていたの」
「ウム」
「さっきの『シンオウ地方の怖いポケモン』の内容と照らし合わせる。おそらく黒一色のポケモンというのはダークライ。そして使った技はダークホール。つまりダークホールを貴方なら使えるのよ! ダークライ!」
ナナは鼻息を荒くしながら興奮してそう言った。ダークホール。それを覚えた時がダークライの真価を発揮する時。そしてチャンピオンが言っていたダークライの本当の強さ。
「ダークライの強み。それは眠らせることにあるのだわ!」
しかし、ダークホールってどうやってやるのだろうか。
技の存在は分かった。しかしどうやって撃てばいいのだろうか。ダークホールという技のイメージが一切出来ない。闇の玉を放つ。つまり闇を作るということだ。それは一体どうやってやるのだろうか……
「そして、もう一つ」
「……ナンダ?」
「今までの戦いを振り返って分かったのだけどダークライには攻撃力が足りないわ。あやしいかぜもやきつくすもそれなりに使えているけど、それはダークライの攻撃力が高いから。本来は威力の低い技。だからダークホールに加えて『あくのはどう』を覚えるのよ!」
あくのはどう。これはどんな技なのだろうか。僕に習得できる技なのだろうか……
「あくのはどうはダークホールと違って色々なポケモンが使用している実例があるわ。体から悪意に満ちた恐ろしいオーラを発生させる技」
悪意か。それまた難しい注文だ……
そんな時、ナナのボールが揺れて勝手にムンナが出てきた。
「ンナッ!(悪意なら俺の専門分野だぜ!)」
「どうしたの?」
「ムンナァァァァ!(ちょっと表に出な!)」
ムンナは勝手にプカプカと歩いていき、どや顔で付いてくるように促す。そうして案内されたのはなんの変哲もないトレーニングスペースだった。
「ンンナ! ンンンンンナァァァァ!(人間ども! ちょっと死に晒せえええ!)」
物騒なことを言いながら嫌悪を覚えるオーラを纏うムンナ。そして、そのオーラを一転凝縮させて、口から黒と紫色の光線を放った。それはもの凄い威力で遠くに積んであったタイヤの山を吹き飛ばした。これを見て、ナナが唖然とする。
「ねぇダークライ。普通のムンナってあくのはどう覚えないのよ」
「エ?」
「それをボールの外から概要を聞いただけで撃てるなんて少し凄すぎない?」
「ンナッ!(どんなもんだい!)」
「あとムンナ大好き!」
ナナがムンナをギュっと抱きしめる。それに対してムンナは赤面する。
「ン、ンナ! ンンンナ!(や、やめろよ! 恥ずかしい!)」
しかしムンナも満更でもなさそうだ。
「でも、この子。ほんとに頭いいわよ。本来は覚えないころがる。それにあくのはどうも覚えているんだもん。ここまで優秀な個体は滅多にいないわ」
「ンナ! ンンンンンナ!(ころがるは普通のムンナでも出来る! ていうか丸っぽいポケモンなら殆ど出来るわ!)」
しかし、これがあくのはどうか。人を憎み、そのエネルギーを一点に集めて放出する技。
なんとなくイメージは出来たが、だが悪意か……
「ンンンナァ(あのゴゥー団を思い出せ)」
ムンナが横でそう言う。ゴゥー団。あいつらのことを思い出す。あのふざけた連中のことを……
「ンナ。(あいつらのせいで俺達の旅は止まってる)」
そうだな。あいつらがいなければ、なんの問題もなく旅に出るんだろうな。そう思ってた矢先だった。ムンナがあくびをした。僕はそれを間近で見て、眠りに落ちた。
※
目を覚ますと森の中。そしてナナの隣を普通に歩く。あれ? 俺はなにを……
バンッ
そんな銃声が鳴ってナナが倒れる。僕はすぐにナナに駆け寄ろうとする。しかし後ろから網が飛んできて、身動きが取れなくなる。必死に足掻くが網は解けない。
そして近くに男がやってくる。間違いなくゴゥー団だ。
「ガキの死亡確認。ダークライ捕獲。さぁダークライ。俺が新しいパートナーだ」
誰がお前なんかのポケモンになるか! そう叫ぼうとした時にブツリと意識が途切れた。
※
目を覚ますとナナがいた。そして普通にムンナもいる。これは一体なんなんだ……
今のは夢か。なにが起こった?
「ンンナ(今の夢でどう思った)」
ああ。そういうことかよ! 分かったよ! やってやるよ!
あの夢の時にものすごい怒りが湧いたよ。自分でもおかしくなりそうなくらいドス黒い感情が湧いたよ! そしてこれが悪意ってことなんだな!
今の感情をそのまま解き放つ。辺りが吹き飛ぶ。これがあくのはどうか……
そんな時だった。ナナに抱かれているムンナが軽く叩かれて、ナナに怒られる。
「ンナッ!(いたっ!)」
「ムンナ。いつの間に『あくむ』なんて技を覚えて……そんな凶悪な技を勝手に使わないの」
「ンンナッ!(でも、あくのはどうの初歩は出来たじゃねぇか!)」
「ていうか、このムンナ。明らかに覚えられる技が四つ超えてそうね……」
「ンンナッ!(あったりめぇだ! そこらのポケモンと一緒にするな!)」
ちなみに後ほどナナに聞いたところポケモンが覚えられる技に理論上は上限がないみたいだ。しかしポケモンが覚えられる技の数の平均を取ったところ四という数字になったことから多くのトレーナーはポケモンの技は最低四つ、多くても六つという前提で考える。ちなみに技を十も覚えるカイリューというデタラメな存在もいるとか……
そしてもちろんだが技が一つしか覚えられないポケモンもいる。
「あくむ、あくび、ころがる、おんがえし、あくのはどう……恐らくやつあたりはおんがえしと入れ替わりで忘れただろうから現在五つね」
そのタイミングでナナの携帯が鳴った。どうやらメールが来たらしい。
ナナは溜息を洩らしながらムンナを戻した。そして僕に一言だけ言う。
「ダークライ。ちょっと訳ありで、ポケモンセンターから出るわよ!」
ポケモンセンターから出る! ちょっと危険じゃないか!
「行き先はここから少し先にある墓場。歩いて三時間くらいの距離かな。ノエルがピンチみたいなの! そしてこれが片付いたら旅を再開するわよ」
The補足
ポケモンの技は、この作品においては平均4つと言いながらも今後は6つ近くも技を使うポケモンも多く出てくると思います。筆者もなるべく技は4つまでというのを意識して書かせていただいてますが、『戦闘中に技(選択肢)が多い方が駆け引きが生まれて面白いバトルが書ける』ということもあります。覚えられる技に関しましては大人の事情が少し絡む設定となりますが、それはタグにもある『独自設定』の部分でもありますので、ご理解頂けると幸いです。