目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。 作:ただのポケモン好き
現在はシノノタウンのポケモンセンター近くにある広場いる。ポケモンセンターの中はボロボロだが、既に落ち着いたのか復旧作業中だった。広場にいるのは単純に襲われたポケモンの治療中で中にスペースがないからだ。それから僕は自分の体を見る。いつも通りの黒い手。なんの違和感もないダークライの体だ。ゴゥー団に拉致された時、もちろん僕もボールから出ようとはした。しかし謎の力で内部からボールが開かなかった。恐らくそういう技術もあるのだろう。
そしてノエルはグソクムシャを回復させていつでも戦えるように準備をしていた。
「メア。ニンフィア貸してくれてありがとう」
「私のニンフィア。役に立った?」
「ええ。とっても」
ナナはニンフィアのボールをメアに戻す。そして近くにはボロボロのルンパッパとウルガモス。それにボルノも疲れ果てている。恐らく凄い大惨事だったのだろう。
「……しかしキンランさんとメグ先生はまだ戻らないのか」
「ラティ兄弟が相手よ……簡単に勝てるとは思えない」
「そうだな」
しかし奴らは僕を捕まえてどうするつもりだったんだ?
そんな時だった。ドシンと大きな音が響いた。まるでジェット機が墜落したような音。
「逃がさないよ」
そして落ちたものを確認する。それはラティオスだった。
「……ラティオスに乗って追ってきたのか!」
「ナナ。あのラティオス。先程よりも随分と弱ってる」
ラティオスを見るとかなりのダメージを負っていた。それに先程のバチュルの麻痺も治っていない。これは勝機があるのか?
「しかし四天王は強いわ。ダークポケモンで足止めしながらの逃亡がやっと。テレポートをする隙も与えてくれないときた。でもテレポートに警戒して物理的な方法で逃げるのは想像してなかったみたい。あれかな。想像力が足りないよってやつ?」
「ナナ。逃げ場はない。戦うぞ」
「そうね! ダークライ! ダークホール!」
「ヒトモシはシャドーボール! グソクムシャはであいがしら!」
ノエルは二体のポケモンに同時に指示をした。僕は闇色の球を作り。そこからマシンガンのようにダークホールを飛ばす。しかしラティオスっはそれを華麗に避ける。またヒトモシのシャドーボールは同じくシャドーボールで相殺。グソクムシャのであいがしらは膜なようなバリアを出して防ぐ。
「弱い! 弱い! 弱い! ラティオス! りゅうせいぐん!」
空から大量の隕石が降ってくる。これはマズい! 僕はナナに覆いかぶさり、その身でりゅうせいぐんを受ける。空から落ちる隕石は熱を帯びていて当たると体中が焼けるように痛い。りゅうせいぐんは辺りに一帯に降り、落ちた地点にクレーターを作る。建物は壊れ、しばらくしたら辺りは焼け野原になっていた。高威力で広範囲の技。グソクムシャも倒れ、それどころかノエルやメアすらボロボロだ。幸いにも直撃は免れたようだが、無傷とはいかず意識はなさそうだ。
「ナナ!」
「ダークライ……私は大丈夫……よ」
僕はナナに覆いかぶさり守った。しかし庇われたと言えど至近距離で隕石が当たって無傷のわけがない! 直撃はしなくとも隕石には熱もあるし、衝撃波もある。それこそ近くにいたら火傷するくらいの。そしてナナがガクリと意識を失う! こいつ!
「クソガキが手こずらせてくれたわね」
ラティオス使いの女がこちらに近づいてくる。この女がナナに危害を加えた。そう思うと体の奥から熱いナニカが走り始めた。こいつだけは許さない。手を振るう。ゴガガガガという音とも地面が抉れ、ラティオスが吹き飛ぶ。
「なに!」
「ユルサナイ……」
体中から力が湧いてくる。今ならなんでも出来る。手始めに女。破壊してやろうか。破壊。そうだ。破壊だ。全てを壊す。目に入るもの全てだ。嫌い。憎い。だから壊したい……
「ああ……これがボスの言っていた現象ね。出来れば捕獲したいけど、時間はないわね。ラティオス逃げるわよ」
ラティオスに乗って女が飛んでいく。すぐに追おうとするが体に電撃が走り、動けなくなる。誰だ? 何故? 邪魔をする!
「……恐らくダークライの体内にある『やみのエネルギー』が暴走してるのね」
「キエロ!」
邪魔をした女! ああ許せない! 憎い! 壊したい!
「……ポケモンレンジャーでもいたら落ち着かせられるのだけど、そんなに美味しい話もないわよね。これは困ったわ……とりあえず倒すしかないわね」
僕は女に手を振るう。再び地面を抉る闇のビームを飛ばすが、女はカプ・コケコに抱き抱えられて上空に逃げていた。
「ピカチュウ。お願い!」
「ピカッ!(うん!)」
ピカチュウ。そう呼ばれたポケモンが空から降ってくる。どこかで見た気がするポケモン。しかし思い出せない。まぁいい! そんなポケモンなど一捻りだ!
「ピカチュウ。ボルテッカー」
その時だった。腹に凄まじい痛みが走る。力が一気にぬけていく。なにが起きた! まったく目で追えなかった、なにをした!
「そのままアイアンテール」
頭が叩かれる。その一撃でドシンと体が倒される。起きようと思うが体に力が入らない。力がどんどん抜けていく……ああ……あぁぁぁぁぁ!
「よく勘違いされるのだけど私の手持ちで一番強いのはカプ・コケコじゃなくてピカチュウなのよね。それじゃあ終わりにしましょう」
「ピカ?(あれやるの?)」
「ええ」
女の腕とピカチュウが光り始める。一体なにをする気だ!
「ゼンリョクで勝負を決めるわよ。ピカチュウ! 1000まんボルト!」
最後に見たのは七色の電撃。それだけだった。僕の記憶はそこで途絶えていた。
* * *
「ダークライ!」
目を覚ますと、どこかの部屋だった。そしてナナが僕に抱きつく。なにがあったんだろうか。そうだ。たしかラティオスのりゅうせいぐんで襲われて……あれ?
「今回はダークライの持つ『やみのエネルギー』の暴走。基本的にダークライというポケモンはやみのエネルギーを放出して戦う。例えばダークホールなんかが良い例ね」
「それで大丈夫なのですか?」
「感情が高ぶって暴走しただけだから問題はないと思うわ。ただ姿の変貌もあった。もしかしたら今の姿がダークライの本来の姿なのかもしれない。もっともダークライ自体が珍しくて、研究中のポケモンだから断定は出来ないけど。とりあえず暴走したメガシンカくらいに捉えておきなさい」
暴走と言われても記憶にない。でも凄く良い気分になって……
「……それより今回のゴゥー団の襲撃。私とメグがいながら取り逃がすなんてどう協会に報告すればいいのよ……」
「いやぁラティオスとラティアスが想像以上に強かったんだから仕方ないね」
「ていうか私のバチュルが麻痺まで追い込んで手負いにしたんだからきちんと仕留めなさいよ!」
「ちゃんとくろいまなざしでテレポート封じたよ。そしたらまさか飛行船から飛び降りて逃げ出すなんてメグも予想外。だから代わりにゴゥー団の下っ端を全て一人で仕留めたじゃん」
「はぁ……それよりも問題は同時刻に起こったメラオ大監獄の襲撃よ。それにより前に捉えた幹部が逃亡。そして二ロロノクス社のマリア社長が幹部の一人だと判明するも証拠がないため逮捕は不可。最悪この上ないわよ……せめて私達でマリアを現行犯で捕縛出来れば話は違ったのだけど……」
「でもマリアは相当強かったね。ボスがそれ以上に強力なトレーナーだとしたらなんかしら対策を立てないと」
メグさんとキンランさんの言い争いで色々な情報が飛び交う。また雲行きが怪しくなってきたな。まだゴゥー団の脅威は残っているということだろう。しかし勢力が落ちたと言えど、あの規模って全盛期はどんだけやばかったんだよ……
それにしてもテレポートの技が強すぎる。あれにより今回みたいな奇襲から逃亡まで全て可能にしている。テレポートがある以上は常に警戒しないといけないことになる。
「まぁやられっぱなしというのも癪だし、私達もそろそろ攻め込みたいよね」
「そうね。でも奴らの狙いはダークライ。つまりダークライがいるところに彼らが来る。つまり裏を返せば私達がナナと常に連絡を取れる状態にして、ナナから連絡を受けたらテレポートで移動して、そこから攻めればいいんじゃないかしら」
「なるほど。そういうわけでナナちゃんはあとで私とキンランと絶対に連絡先を交換してね」
「はい……」
ていうかジムリーダーじゃなくてジュンサーさんや国際警察が動けよ。なんどこんな事態になってるんだよ。マジで。もしかして無能なのか?
「ダークライ。基本的にジュンサーさんはエリートトレーナーくらいの戦闘能力がないわよ」
「エ?」
「ジュンサーさんが通報を受ける。小物ならその場で対応。ゴゥー団みたいな場合は近くのジムリーダーや四天王、ベテラントレーナーに連絡して対処を求める。ちなみに国際警察なら相応の強さはあるけど、あれは忙しいから対応してる暇なんてないでしょうね」
いつも通りのナナからの補足説明。まぁ納得できたようなできないような……
「ていうか連絡は取れない。なにをしてるか内情が掴めない国際警察が一番の問題なのよ。まぁ実績があるから強く言えないし、仕事をしてるのは分かってるけど……」
キンランさんがぼやくように言う。国際警察って恐らく地球でいうところのFBIみたいなものなんだろうな。
「そういえば、貴方の友達のボルノ君。国際警察になったみたいでけど、どこに行くって言ってた?」
「場所までは知りませんがネットの掲示板『ワザップ』に色違いボルケニオンの目撃情報があるから調査に行くとか……」
「色違いボルケニオンねぇ……絶対にデマの気がするわ」
ボルノはこの街から旅立ったのか。ていうかあれからどのくらいの時が経ったのだろうか。そこまで経ってはいないと思うが……
「ダークライ。あれから数時間も経ってないから安心していいわよ」
そんなもんか。しかし、そろそろ旅の方針を決めないとな。これからどうするのか。なにをするのか決めなければ……
「それとキンランさん」
「なに?」
「明日、ジム戦をお願いできないでしょうか?」
「いいわよ」
そんなことを僕が考えてる中でナナは既に今後の方針を決めていた。