目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。   作:ただのポケモン好き

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41話 目撃情報

「うーん。美味しい!」

 

 約束通り僕たちはカレーをご馳走になっていた。場所は謎の一室。ツリーハウスとか車の中とかいう話ではない。言葉通りの謎の部屋。見た目はアンティーク調のカフェ。果たしてここはどこなのだろうか。

 

「しかし驚いたわ……まさかテレポートを使うブーバーがいるなんて」

 

 いや、ナナ。そこじゃなくて別の場所に驚けよ。たしかにテレポートを使うブーバーなんて始めて見たし、まさか使えるとも思わなかったけどさ……

 

「私の大切な相棒です。バトルは出来ませんけど」

「そうなの?」

「はい。そもそも私はバトルをするのは好きじゃないんですよ。見るのは好きですが……」

「ふーん」

「基本的に私は料理人。ポケモンと一緒に料理をするのが好きなのです。火起こしのブーバーに冷却役のバニプッチ、そして試食役のゴンべ。私は一流の料理人になって店を持つのが夢なのです」

 

 ナナはカレーを平らげてジュースを一口だけ飲んで一拍置いて喋る。

 

「ねぇ一緒に旅をしない!」

 

 僕は思わず吹き出しそうになる。ナナは一体なにを! まだ会って数時間しか経ってないぞ! そんな人をいきなり旅のメンバーに加えるなんて……

 

「あなたの料理は美味しいわ! もっと食べたいわ! それにテレポートも気に入った!」

「テレポートが気に入った?」

「ここはどこか遠くにあるベアルンの家なのでしょう? あなたは寝るときや料理をする時だけテレポートで家に帰っている。そうすることで旅の荷物を最低限にしてるのでしょう?」

 

 ああ。そういうことか。ていうかテレポートにそんな使い道があるのか。旅の道具というのは想像以上に多い。寝袋に着替え、それに食料やランプに傷薬等の道具。とにかく多いのだ。その関係でナナは調理器具を断念していた。もっというと雨が降った時なんて最悪だ。洞窟等の雨宿りを出来る場所を見つけるまでびしょ濡れになる。幸いにもナナが常に雲を見て、簡単な天気予測をして雨に降られる前に雨宿り場所に移動してるため濡れたことは殆どないが。

 

 でもベアルンが加われば、このような問題が全て解決するのだ。ぶっちゃけ旅としてはどうなんだと思うが、楽を出来る時はしたい。もっともテレポート用のポケモンを捕まえれば済む話でもあるがナナは何故か頑なに捕まえようとしない。彼女曰く、そのためだけにポケモンを捕まえるのは違う気がするとのこと。

 

「そうですよ。しかし最低限の調理器具は持ち歩いてますけどね。何故って? 私は料理人だから! もっともその結果としてミネズミに襲われ……」

「災難だったわね」

「しかしナナさんはどうしてテレポートポケモンも連れないで旅を?」

「歩いていくと想像以上に面白い発見がある。そして、それが成長に繋がるからよ。私は自分の目で見て肌で空気を感じたいの。でも重い荷物だけはもう勘弁よ! せめて寝る時だけは暖かい部屋で寝たい……出来るなら手ぶら旅がしたい……」

「なるほど」

「だからベアルンに一緒に旅をしてほしいの! 基本的に歩いて街を目指す。そして夜になったらここに移動して寝泊まり。起きたら昨日テレポートをした地点に戻って旅を再開する。重さから解放された最高の旅だわ!」

 

 いや、もうケーシィとか捕まえろよ。まじでそうしろよ。そしたら全て叶うぞ。もしかしてこれが女心というやつだから分からないのか? いいや、そんなはずはない。

 

「そうですね……たしかに私も目的もなく彷徨う旅人ではあります……しかしメリットが特にないのですよね……」

「メリット? 私が毎日歌うんじゃダメ?」

 

 メア……さすがに無理だ。可愛い子の歌や踊りで釣られるのなんてオタクくらいだ。さすがにそれだけじゃ……

 

「おおおおおおお! 一緒に旅をします!」

「やった!」

 

 いや、それで良いんかい! メアさんまじで凄いな! 女の子の歌が聴きたいから旅をしますって危ない匂いしかしないな。でも別に良いか。上手い飯が食べれるし。しかしメアさんと一緒に旅をしていてマジで良かった……ほんとにありがとうございます。

 

「ていうか今なんか歌ってくださいよ!」

「いいよ~。ルンパッパ。音楽お願い」

「パッパ!(任せろ!)」

 

 ルンパッパが歌い始める。そしてウルガモスが何故かカラフルな『あさのひざし』を使ってメアを照らす。ウルガモスよ……いつの間にそんな芸当を……

 

「それじゃあメア! 歌います!」

「M・M・T!」

 

MMT? ベアルンがそんなことを言うが、なんだそれは……

しかしメアは気にせずウインクで返事するとステップを踏んで踊りながら可愛らしいソプラノ声で踊り始めた。その様子は僕でも目を奪われた。完璧な足裁きに一切の音程のズレがない歌。どこを取っても完璧だった。メアから目を離せない……

 

「……さて、これからどうするかルートの確認をしましょう」

 

 ナナは横で地図と新聞を出して整理していく。ナナは主にレジ系の記事を重点的に調べていた。レジ系。それはレジアイス・レジスチル・レジロックの総称である。レジロックが封鎖地域で見つかったのは有名な話。それからレジアイス、レジスチルも見つかった。そして問題はそこからだ。なんと封鎖地域から逃げ出してデトワール地方を徘徊しているのだ。

 相当な強さを誇るらしく、ナナも出来れば戦いたくはないといっている。そのためレジ系が目撃された付近には移動しないようにルートを組んでいる。

 

「……ん?」

「ドウシタ?」

「いや、この記事……もしかして……」

 

 そこには緑色の五線譜のような髪がぼんやりと写っていた。ピンボケしていてハッキリとは分からない。なんでも写真は読者投稿らしく記事も小さい。文には未知のポケモンである可能性は高いということだけ書かれている。しかし読者投稿か……デマも多いからな。しかし、そのポケモンはなんなんだろうか?

 

「メア。ちょっと来て」

「なに?」

 

 メアが歌をやめてナナの方に寄ってくる。それに少しだけガックリするベアルン。そんなベアルンにメアは「ごめんね」と軽く謝っていた。そしてナナはメアに記事を見せる。

 

「これどう思う?」

「おおおおおおおお! ねぇそれどこ! どこよ!」

 

 メアは興奮気味に喋る。一体なんなんだ。この写真がなんだと言うのだ……

 

「やっぱり私の見間違いじゃないわよね。これってどう見てもメロエッタの髪よね……」

「うん! 間違いなくメロエッタの髪だよ! メロエッタ検定一級の私が言うんだから間違いない!」

「メロエッタ検定なんてないでしょ……そして場所はシノノタウン付近の林ね」

「え! つまりここじゃん!」

「落ち着きなさい。まだデマの可能性もあるのよ。こういう読者投稿ではメタモンに変身させて撮った悪質なフェイク写真も多い。だからこそ小さい記事になるわけで……」

「ねぇ探そうよ! メロエッタ探ししようよ! 私ね! 絶対にメロエッタをゲットするんだ!」

「こんな簡単に幻のポケモンが出るわけがないでしょ……」

「ダークライを持ってるナナがそれ言う?」

 

 ナナはあからさまに目を逸らす。しかしメロエッタか。どんなポケモンだっただろうか。歌と踊りが得意なポケモンということは知っているが……

 

「あの……もしかして二人はそのポケモンを探してるの?」

「うん!」

「そのポケモンならここの林だよ。写真投稿したの僕だし……」

「え!」

 

 おお! まさかこんな身近に写真投稿者がいるとは。それは少しだけメロエッタの信憑性も上がってきたな。これは本格的にメロエッタ捕獲作戦を……

 

「ちょっとその話を詳しく教えて!」

「なんでもそのポケモンは誰か探してるようでしたよ。そして僕に気付くとすぐに体が透けていったので慌てて写真を撮って……」

 

 透明化。そういえば幻のポケモンは姿を消すポケモンが多いから見つけるのが難しいってキンランさんも言っていたな。たしか探す時は体温でどこにいるか判断するためサーモグラフィーカメラが必須と言っていたな。そんな高価なものはないわよ……

 

「一日も早くアメコミタウンに行くわよ」

「え! ナナのいじわる!」

「冷静になりなさい。相手は姿を消すポケモン。捕まえるなら、それなりの機材が必要になる。それにほとんどの人がデマと考える。まず人が動くことはないわ」

「そっか……」

「それに幻のポケモンの強さも未知数。それなりに戦えるようにしてから行くべき。それに誰かを探しているような挙動をしていたのも気になるわ」

「たしかに!」

「もしかしたらメロエッタにもトレーナーがいるのかもしれない。それも兼ねてアメコミタウンで情報収集するべきよ。少なくとも数日前に私達はシノノタウンにいて情報は入って来なかった。つまり情報の期待はできないわ」

「情報があるとしたらアメコミタウンか……」

「そうよ」

 

 ナナが地図を広げてペンを出す。ベアルンに詳しい位置を聞いて丸を付ける。そうするとアメコミタウンに近い場所だった。そこからナナは簡単な考察をする。

 

「メロエッタは恐らくシノノタウンもしくはアメコミタウンの方を目指してる」

「うん」

「そしてシノノタウンを目指していた場合はすれ違う可能性がある。仮にアメコミタウンの方を向かってる場合は私達が追う形になる。そう考えると向かう方向は一択じゃないかしら?」

「なるほど!」

「というわけで私達はすれ違う可能性を考慮して徒歩でアメコミタウンを目指す。異論はないかしら?」

「うん!」

「はい。僕もメロエッタというポケモンは見てみたいですね。なんかこういうのぅてワクワクしますね」

 

 幻のポケモン捕獲作戦。不思議と全員がワクワクしていた。メロエッタ。どんなポケモンなのだろうか。ゲット出来なかったとしても一度は見てみたい。

 

「それじゃあご飯も食べ終えたし行きましょうか」

 

 ブーバーのテレポートで再び先程の場所へと戻る。先程と同じ林だ。そこのどこかにメロエッタがいるかもしれない。僕は目を凝らして見る。

 

「……透明になってるとしても実態がないわけじゃない。歩けば足跡。草木に触れたらガサガサという音がする。それを見逃さないことね」

 

 そしてメロエッタ捜索戦が開始した。

 




The補足でもない小ネタ

テレポートブーバー。
実は原作のポケモンでも出来るんですよね。
VCの一世代だと技マシンであるので、そこで覚えさせて連れてくると『テレポートを覚えたブーバー』になります。エスパータイプのムンナでも覚えないというのに(ボソッ)
(ブーバーってどうやってテレポートをするんだろ?)
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